「金曜ロードSHOW!」で“冬もジブリ”「魔女の宅急便」&「ゲド戦記」放送<スタジオジブリプロデューサーコメント>
2017.12.15 11:00
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日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」(毎週金曜よる9時~)では、1月5日から「冬もジブリ」を実施。スタジオジブリが贈る傑作ファンタジーを2週にわたって放送する。
新年1回目の放送となる第1弾は「魔女の宅急便」。同作は、見習い魔女のキキが両親のもとを離れ、見知らぬ土地で奮闘する姿を描いた心温まる成長物語。見習い魔女のキキがたくさんの出会いと小さな挫折を経験しながら、少しずつ成長していく姿を描く。
翌週の第2弾は「ゲド戦記」。「指輪物語」「ナルニア国物語」に並ぶファンタジー文学の傑作「ゲド戦記」を原作にスタジオジブリが贈る冒険ファンタジーとなっている。
この原作には宮崎駿監督も多大な影響を受けたと公言しており、監督の不朽の名作「風の谷のナウシカ」の原点ともなったといえる。傷ついた少年と少女が光を取り戻していく物語を描く。
―今回放送する「魔女の宅急便」は2019年に公開30年。愛される理由。
宮崎駿監督も僕も「何周年記念」という言い方があまり好きではありません。ただ、宮崎駿と二人で「一本作った作品が10年もつといいよね。10年でいろんな人が見てくれたら嬉しいよね」という話をしたことがあります。それこそ、20年30年…皆さんに愛され続けているというのは本当に嬉しいです。
なんでうけるんだろう…。これは「魔女の宅急便」に限らず、宮崎駿にしろ、高畑勲にしろ、ジブリの作品が何故いろんな人に観てもらえるかっていうのはアナログ故だと思います。残念ながら人間の歴史って「人間なのに人間じゃなくなる」“非人間化”してきていると思うんです。
そういう時に、ジブリの作品の芯にあるものは人間的であるということだと思います。人間ってそういうものが好きですよね。デジタルかアナログかっていったら、アナログが好きに決まっているんですよ。
―「魔女の宅急便」のテーマ。宮崎駿監督が描く「思春期」とは。
宮崎駿は「魔女の宅急便」をやることになって、この映画のテーマに悩んだんです。二人で吉祥寺の町や井の頭公園を歩いて、3時間ぐらい歩いて、疲れ切って、喫茶店に入ったんですね。席に着いた途端に宮崎駿が「この映画でなにやったらいいの?」と聞いてきたので、苦し紛れに「正面から思春期ってやったことないですよね」と答えたんです。そしたら「それだ!」って。
宮崎駿という人は抽象的な概念で思考をしない人だから、すべてが具体化するんですね。(作中で主人公のキキが)パン屋へ行って次の日の朝起きてトイレに行くじゃないですか。あのシーンと、つまらなそうな顔をしながらパン屋でお留守番をする絵。宮崎駿がそういった形で思春期を表したんです。なんかわかる気がしました。
―当初予定になかった「飛行船のクライマックスシーン」が追加された理由とは。
やっぱりお客さんは娯楽として映画を観に来るわけだから、サービスは必要ですよね。それで、宮崎駿と話してあのシーンを付け加えることになったんです。でも、メインのスタッフからは呼び出されて袋叩きにあいました。「あのシーン(本来ラストシーンとされていた老婦人からサプライズのプレゼントにケーキをもらうシーン)で終わればいい映画なのに、なんでそんな提案したんだ!?」って。そこで、「なんでもいいから付け足してやればいいシーンになるわけじゃない。宮崎駿がやるんだよ。面白くなるでしょ!」って…これが説得の言葉だったんです。宮崎駿本人は「鈴木さんそう思う?だったら付け足すよ」というあっさりした反応だったんですが(笑)
ただ、映画が封切られていろんな批評の対象になるころ、キネマ旬報の映画評に「この映画は素晴らしい!ただ、あのケーキのシーンで終わってれば名作になったのに」って書いている人がいて。鋭いやつがいるな!と思いました。まぁ、大団円っていうやつですよね。付け足しでもいいから最後は楽しく終わるっていう。
<ゲド戦記>
―作品成立の秘話。
「ゲド戦記」は宮崎駿にとって念願の企画で、実は「風の谷のナウシカ」の前に原作者のグウィンさんに映画化を申し出ていたんです。でも当時からすればどこの馬の骨とも分からない日本人からの申し出…お断りされてしまいました。それが、年月を経て今度は向こうから打診がきた。細かいことは省きますけど、(宮崎)吾朗くんのデビュー作にいいなと思ったんですよね。「ゲド戦記」の第3巻。年老いたゲドとアレンのやり取りが、僕はいいなと思ったんですよ。
でもグウィンさんの了承はすぐにでなかったんです。望んでいるのは宮崎駿による映画化だったわけですから。そこで、宮崎駿と僕で会って話をすることになったんです。宮崎駿は説得のために色んなことを話していました。「僕の色んな作品は全部あなたの影響を受けてる!闇との戦い。僕にとってはすごい重要なテーマだった。だけど、それをやるには年をとりすぎた。息子はやりたいって言ってるけど、自分がプロデューサーとして見守るから納得してくれないか」…という感じで。それを話したのがお昼で、その場では夜もう一度お話をしましょうっていうことになって、夜にやっと返事をもらったんです。わかりましたって。
実は「ゲド戦記」の映画化を断られた時に宮崎駿が「シュナの旅」っていう絵物語を書いていたんですけど、実際に映画を作るときに吾朗くんに「シュナの旅」を作ったらどうかと提案したんです。吾朗くんも基本的にはそれを受け入れて、大きくは違ってますけど、流れているものは同じなんですよね。
<レッドタートル ある島の物語>
「レッドタートル」は今回お正月の深夜に放送するということで、作品の内容からすると一番いいんじゃないかと思います。お正月の深夜…今ふとそんな気持ちになってみたら、楽しんでもらえる気がしてますね。僕が本当に好きで作った作品なんで、是非観てください。
翌週の第2弾は「ゲド戦記」。「指輪物語」「ナルニア国物語」に並ぶファンタジー文学の傑作「ゲド戦記」を原作にスタジオジブリが贈る冒険ファンタジーとなっている。
この原作には宮崎駿監督も多大な影響を受けたと公言しており、監督の不朽の名作「風の谷のナウシカ」の原点ともなったといえる。傷ついた少年と少女が光を取り戻していく物語を描く。
「レッドタートル ある島の物語」もテレビ初放送
また、関東ローカルで月曜深夜に放送中の映画天国では、「冬もジブリ」に合わせてスタジオジブリ最新作、日仏白合作の「レッドタートル ある島の物語」を1月2日午前1時59分よりテレビ初放送する。(modelpress編集部)スタジオジブリ・鈴木敏夫プロデューサー コメント
<魔女の宅急便>―今回放送する「魔女の宅急便」は2019年に公開30年。愛される理由。
宮崎駿監督も僕も「何周年記念」という言い方があまり好きではありません。ただ、宮崎駿と二人で「一本作った作品が10年もつといいよね。10年でいろんな人が見てくれたら嬉しいよね」という話をしたことがあります。それこそ、20年30年…皆さんに愛され続けているというのは本当に嬉しいです。
なんでうけるんだろう…。これは「魔女の宅急便」に限らず、宮崎駿にしろ、高畑勲にしろ、ジブリの作品が何故いろんな人に観てもらえるかっていうのはアナログ故だと思います。残念ながら人間の歴史って「人間なのに人間じゃなくなる」“非人間化”してきていると思うんです。
そういう時に、ジブリの作品の芯にあるものは人間的であるということだと思います。人間ってそういうものが好きですよね。デジタルかアナログかっていったら、アナログが好きに決まっているんですよ。
―「魔女の宅急便」のテーマ。宮崎駿監督が描く「思春期」とは。
宮崎駿は「魔女の宅急便」をやることになって、この映画のテーマに悩んだんです。二人で吉祥寺の町や井の頭公園を歩いて、3時間ぐらい歩いて、疲れ切って、喫茶店に入ったんですね。席に着いた途端に宮崎駿が「この映画でなにやったらいいの?」と聞いてきたので、苦し紛れに「正面から思春期ってやったことないですよね」と答えたんです。そしたら「それだ!」って。
宮崎駿という人は抽象的な概念で思考をしない人だから、すべてが具体化するんですね。(作中で主人公のキキが)パン屋へ行って次の日の朝起きてトイレに行くじゃないですか。あのシーンと、つまらなそうな顔をしながらパン屋でお留守番をする絵。宮崎駿がそういった形で思春期を表したんです。なんかわかる気がしました。
―当初予定になかった「飛行船のクライマックスシーン」が追加された理由とは。
やっぱりお客さんは娯楽として映画を観に来るわけだから、サービスは必要ですよね。それで、宮崎駿と話してあのシーンを付け加えることになったんです。でも、メインのスタッフからは呼び出されて袋叩きにあいました。「あのシーン(本来ラストシーンとされていた老婦人からサプライズのプレゼントにケーキをもらうシーン)で終わればいい映画なのに、なんでそんな提案したんだ!?」って。そこで、「なんでもいいから付け足してやればいいシーンになるわけじゃない。宮崎駿がやるんだよ。面白くなるでしょ!」って…これが説得の言葉だったんです。宮崎駿本人は「鈴木さんそう思う?だったら付け足すよ」というあっさりした反応だったんですが(笑)
ただ、映画が封切られていろんな批評の対象になるころ、キネマ旬報の映画評に「この映画は素晴らしい!ただ、あのケーキのシーンで終わってれば名作になったのに」って書いている人がいて。鋭いやつがいるな!と思いました。まぁ、大団円っていうやつですよね。付け足しでもいいから最後は楽しく終わるっていう。
<ゲド戦記>
―作品成立の秘話。
「ゲド戦記」は宮崎駿にとって念願の企画で、実は「風の谷のナウシカ」の前に原作者のグウィンさんに映画化を申し出ていたんです。でも当時からすればどこの馬の骨とも分からない日本人からの申し出…お断りされてしまいました。それが、年月を経て今度は向こうから打診がきた。細かいことは省きますけど、(宮崎)吾朗くんのデビュー作にいいなと思ったんですよね。「ゲド戦記」の第3巻。年老いたゲドとアレンのやり取りが、僕はいいなと思ったんですよ。
でもグウィンさんの了承はすぐにでなかったんです。望んでいるのは宮崎駿による映画化だったわけですから。そこで、宮崎駿と僕で会って話をすることになったんです。宮崎駿は説得のために色んなことを話していました。「僕の色んな作品は全部あなたの影響を受けてる!闇との戦い。僕にとってはすごい重要なテーマだった。だけど、それをやるには年をとりすぎた。息子はやりたいって言ってるけど、自分がプロデューサーとして見守るから納得してくれないか」…という感じで。それを話したのがお昼で、その場では夜もう一度お話をしましょうっていうことになって、夜にやっと返事をもらったんです。わかりましたって。
実は「ゲド戦記」の映画化を断られた時に宮崎駿が「シュナの旅」っていう絵物語を書いていたんですけど、実際に映画を作るときに吾朗くんに「シュナの旅」を作ったらどうかと提案したんです。吾朗くんも基本的にはそれを受け入れて、大きくは違ってますけど、流れているものは同じなんですよね。
<レッドタートル ある島の物語>
「レッドタートル」は今回お正月の深夜に放送するということで、作品の内容からすると一番いいんじゃないかと思います。お正月の深夜…今ふとそんな気持ちになってみたら、楽しんでもらえる気がしてますね。僕が本当に好きで作った作品なんで、是非観てください。
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