スタイリスト丸林広奈さんの「マーノ」 少ない型数で一着一着を磨く

今年5年目を迎えるレディスウェア「マーノ」が、DtoC(消費者直販)の受注生産・販売を軸に、顧客を広げている。ディレクターの丸林広奈さんは、スタイリストの経験を経て22年にブランドを設立。タイムレスで日本人の体に寄り添うシルエット、長く愛着を持てる着心地を形にしている。
(須田渉美)
職人と対話して
展示会とECで受注し、9シーズン目となった26年秋冬は、小物・雑貨も含めて12型だ。初回は「たった5型で始めた」という丸林さん。スタイリストの仕事を通じ、たくさんの服に向き合っても目を引く一着に出合うことは少なかった。トレンドの変化の早さに疑問も感じ、「上質で長くクローゼットに残るものを作りたい」と服作りに転じた。「自分が納得のいくもの、本当に欲しいものだけをやっていきたい」。そんな思いから、一着一着に専念して完成度を高めてきた。型数を増やそうとすると、気持ちが「分散して薄まってしまう」ことに違和感もあった。
生地選びは、日本の産地の職人と対話を重ね、作りたいアイテムに見合った風合いを見極める。こだわるのは、縫製の仕上がりの美しさ。比翼仕立てのジャケット(税込み7万4800円)は、ミニマルさが映えるようにステッチの入れ方を何度も調整する。上質な素材から立ち上がる気品や女性らしいニュアンスを大事にしているからだ。
仕事柄、欧州ラグジュアリーブランドの服を上質に見せるバランスも熟知している。一方で、自身の物作りで念頭に置くのは「日常生活でリアルに着られる」こと。日本の女性が身近に感じられる、主張の強さを抑えたバランスを丁寧に考える。チェスターコート(17万3800円)は、尾州産のダブルフェイスのウールモッサーを使い、マスキュリンな凛々(りり)しさを感じさせながら、柔らかく体を包み込むように仕上げた。

海外で限定店も
今シーズンは新たに、桐生産地でジャカード生地の制作に取り組んだ。程よく落ち感があって、光の加減で小花柄が浮かび上がる。きもののような奥行きも感じさせて、タイ付きノースリーブトップ(5万7200円)、パンツ(5万3900円)を彩る。
この生地がきっかけで、今年8月にコペンハーゲンの期間限定店「タダイマ」でのポップアップショップの開催が決まった。丸林さんが昨年訪れて魅力を感じていた店だ。日本らしさへの共感がビジネスの可能性を開いた。

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