富山の縫製工場ミヤモリ、リペアでも生きる熟練技術 循環経済の一翼を担う

縫製工場のミヤモリ(富山県小矢部市)が、リペア事業を強化している。BtoB(企業間取引)のリペアと自社店舗でのBtoC(企業対消費者取引)も手がける。このほど、DPP(デジタル製品パスポート)を活用する実証実験にリペア事業者の立場で参画した。アパレル分野のサーキュラーエコノミー(循環型経済)のなかで「リペアのフロントランナーになりたい」(宮森穂社長)という。
(小堀真嗣)
同社は今年で創業60年。スポーツウェアや学校体操服が主力だ。09年からBtoBのリペアを始め、21年に本腰を入れた。現在は有力なスポーツ・アウトドアブランドを顧客に持ち、着実にリペア点数を増やして年間約7000点をこなす。
品質もスピードも
「リペア作業は単なる縫い直しではない」と強調する。「どう分解すれば最短で、強度を保ったまま直せるかを常に判断しながらの作業。量産とは異なる高度な技術と経験が求められる」。同社は工場にリペア専任者を10人配置。一人ひとりが丸縫いできる技能を備え、「品質とスピードの両立を実現している」という。
24年12月には、三井アウトレットパーク北陸小矢部にBtoCのリペア拠点「リフォルメ」を出店した。蓄積してきたリペア特有の技術とノウハウを生かし、徐々に顧客を増やしている。パンツやスカートなどの丈直しが全体の7割で、そのほかリメイクも請け負う。リペア件数は前年実績に対して20~30%増で推移し、5月の件数は440件(前年は360件)だった。

リピーターも増えている。接客が初めてのスタッフで店舗運営を始めたが、慣れないながらも地道に経験を積んできた。宮森社長はスタッフに対し、「〝服の医者〟として丁寧に問診(対話)してほしい」と呼びかけている。スタッフは「専門的な言葉は使わず、なるべく伝わりやすいように」心がけ、少しずつ接客レベルが上がり、次の来店につながっているようだ。様々なリペア依頼への対応を積み重ね、応用力も高まってきた。工場の量産ラインにも共有し、生産効率の改善などにも生かしたい考えだ。
実証実験に参画
DPPを活用する実証実験は、サーキュラーエコノミーの社会実装を目指すサイクラス(横浜市)とNTTドコモビジネスが始め、ゴールドウインとミヤモリなどが参加事業者として関わることを発表した。
QRコードで製品ごとの基本情報や製造・修理履歴、二酸化炭素排出量などのライフサイクル情報を一元管理し、ユーザー、メーカー、リペア事業者が共通で参照・更新できるデジタル基盤の有用性を検証する。
製品のライフサイクル情報を可視化できれば、リセール価値の見極めや、リサイクルに必要な組成情報を得るなどで製品の循環性を高めることができると見ている。
ミヤモリはリペアの技術力と、デジタル基盤の構築に関わり、活用することで「サーキュラーエコノミーの一翼を担い、市場で存在感を発揮したい」と話す。

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