《アップカミングブランド》「ミッドシングス」 「手本をどう崩すか」を意識

近藤晃裕さんが手掛けるメンズブランド「ミッドシングス」は、行政や財団から支援対象に選ばれるなど新人デザイナーとして業界からの注目度が高まっている。
支援対象に選ばれる
東京都のファッション産業振興を目的とした国内外で活躍するデザイナーを育成するプロジェクト「ファッション・デザイナーズ・アクセラレーター・トーキョー」(FDAT)で、25年度の販路開拓の支援対象ブランド(5組)に選ばれた。また、日本服飾文化振興財団のデザイナー助成制度「JFLFアワード2025」の助成対象者にも選出された。
近藤さんは服飾専門学校で学んだ後、メンズブランド「アタッチメント」で9年ほどデザイナーとして経験を積む。その後、リュノ・デザインを設立し、複数ブランドのデザインを担う。ミッドシングスで25年秋冬にデビュー。現状、卸先は大手セレクトショップから地方の個店など数件ほど。「1~2シーズン目はブランドの核を固める時期、3シーズン目から子供が生まれるなど自分の生活環境が変わり、ピュアな感情・衝動をそのまま服として出した」感じだという。
まず国内でファン作り
3シーズン目となる26年秋冬は「生活感のあるモード」というイメージでの服作りとなった。英国のテーラードのようなシルエットのウールサージを縮絨(しゅくじゅう)したジャケットのほつれやヘンリーネックのボーダーニットのねじれは、サンプル製作時に試行錯誤したミスをあえて受け入れて仕上げた。「従来メンズのトラッドスタイルで積み上げてきた、ロジック優先で手本の型にはめ込むような手法をどう崩すかを意識した」と近藤さん。インドの手織りのラグと上質なゴートスエードを組み合わせたブルゾン(16万円)をはじめ、レースのパッチワークとウールを切り替えたウェスタンシャツ(4万7000円)などでは素材のコントラストを表現した。

「自分も含めて男性はブランドの背景やビンテージを好む人が多い」ので、プリントの上に刺繍されたスウェットシャツ(4万3000円)は3人の持ち主を経て完成する古着をイメージした。三角ガゼットや立体的な袖と太めのリブ、首元の裁ち切りなどで抜け感を出した。デニムパンツは、窓際にかけられたまま時間が過ぎて光の当たり方で不均一に色落ちしたように仕上げた。様々なアイテムに使った子供が描いた絵のような鳥・花・星の柄や三日月型ポケットは、意味を持つモチーフではなく幼い記憶に残る像を簡略化したものにした。
近藤さんは「まず、国内市場でのファン作りに力を入れることが大事。そうじゃないと、海外では通用しない」と一歩ずつ着実に歩みを進める。
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