恋愛感情なしで合理的なはず……の親友婚。結婚後に分かった意外な落とし穴 

恋愛感情なしで合理的なはず……の親友婚。結婚後に分かった意外な落とし穴

2026.04.17 11:10

昨今、ここ数年でSNSやメディアを通じて急速に注目を集めるようになった「親友婚」。

「一人は気楽だけど、有事の際に誰とも繋がっていないのは不安」。「婚活で条件合わせをしたり、恋愛特有の駆け引きをしたりすることに疲れた。性的関係の維持に負担を感じずにパートナーシップを築きたい」……などなど、恋愛感情を前提としない新しい家族の形として、合理性や精神的な平穏を求める人々に支持されています。

恋愛結婚にはない目新しいメリットがあることから、若い世代を中心に注目されている親友婚ですが……まだその「デメリット」については、あまり知られていないのも事実です。

■恋愛感情で人を好きになっても……「大人になったら人は変わらない」

今回お話を聞いたのは、2025年に職場の同僚と親友婚した由紀さん(仮名・33歳)。多様性という言葉が浸透している現代でも、未だ結婚という選択肢はごく当たり前のものとして他世代に解釈されることが多いもの。由紀さんも、そんな“世間の目”や、これまでの恋愛のトラウマから、親友婚を選択する決断をしたのでした。

「新卒で、大好きだったエンタメ業界に就職してはや10年。仕事は忙しくも楽しくて、恋愛は私にとって、毎日頑張っている自分に癒やしを与えてくれる存在だと思っていました」

しかし、社会人以降、付き合った2人の彼氏は、どちらも価値観の違いが原因で破局。そもそも由紀さんは今、大人になってしまった相手と、価値観を擦り合わせること自体が無謀だと感じているのだそう。

「1人は友人の紹介、1人は婚活アプリ。2人の男性とは2年以上交際しましたが、夜寝る時間とか、土日の時間の使い方とか、連絡の取り方とか、こういった些細なことで何度もケンカを繰り返してしまいました。

話し合いで合理的に解決できたことはほぼありません。ケンカすることに疲れて、いつもとりあえず謝るだけ。どちらの男性とも、共働き前提で家族を運営していける自信はありませんでした。感情で人を好きになっても上手くいかない経験があったからこそ、親友婚に合理性を感じている自分もいました」

最後の彼氏と別れたのは29歳の頃。その後「しばらく恋愛はいいや」と仕事に明け暮れていた由紀さんですが……。

「うちは両親が仲がよくて、会えばいつも結婚はいいぞ、と啓蒙されます。両親からの期待に疲れていることを職場の同僚に打ち明けると、特に仲の良かった男性にとても強く共感されました。そこで、あと3年経っても恋人ができなかったら結婚するか〜と、半分ギャグみたいな約束をしたんです」

■恋愛結婚と比べて「合理的なメリット」を感じた親友婚

結局、3年間仕事の合間にマッチングアプリなどで婚活をするも、いい出会いがなかったという由紀さん。

「例の同期とは、会う度にお互いマッチングアプリが上手くいかないことを愚痴りあっていました。私も彼も、マッチングアプリでの出会いそのものに辟易していたこともあり、それならやっぱり、気心知れた仲で結婚した方がいいねと意気投合。1ヶ月後には同棲をスタートし、2ヶ月後には婚姻届を出しました」

婚活が上手くいっていなかった由紀さんは、親友婚のメリットを下記のように考えていました。

・相手に「異性としての魅力」を求めないため、容姿などのステータスに寛容になれる。

・一人暮らしよりも住居費や光熱費を抑えられ、体調不良や自然災害など、有事の際に頼れる。

・「良き妻」という役割を演じる必要がない。趣味や仕事に理解がある友人同士の方が個人の時間を尊重できる。

・気心の知れた友人であれば性格や価値観の不一致によるケンカ、離婚リスクを避けられる

・恋愛結婚よりも手軽に「既婚者である」という世間体を手に入れることができる。

恋愛結婚のための婚活に疲れていた由紀さん。特に、相手に期待せずに済むこと、ケンカなく平和な日常を過ごせそうなところにメリットを感じていたそう。

その反面、親友婚での結婚を周囲に伝えることにはデメリットも感じていたという由紀さん。両親や職場には、親友婚であることは伝えませんでした。

「親友婚なんて、気軽に話してしまうとギョッとされるパターンも多いと思うので、本当に仲のいい親友以外には、恋愛婚で通しています。ただ職場結婚なので、周囲にカップルとして見られてしまうことを面倒に感じることは多いですね」

結婚した彼に対して、今も昔も同僚以上の感情はないという由紀さん。相手も同じ気持ちであることを確認してから結婚したそうですが、同棲生活の満足度は「90%」だとも。

「寝室も分けていますし、同棲しているとはいってもルームシェア感覚です。でも時々、相手との距離が近すぎると感じることがあります。買い物に行けば荷物を持ってくれますし、ご飯を奢ってくれることも多いです。私は相手を異性として見ていないけれど、本当に相手も同じなのかな、と不安になる時があります。

とはいえ、基本的には財布も別で生活費は完全折半。時々彼の優しさが過剰に感じるので、混乱することもありますが……基本的には仕事や夜遊びの制限もなく、ストレスなく過ごせていました」

■親友婚しても……異性への恋愛感情がなくなったわけではなくて

結婚2年目。今のところ、彼に本当の気持ちを確認したりはしていないそう。実は由紀さんは今、それ以上に深刻なとある悩みを抱えているのです。

「私自身、結婚してから肩の荷がどっと降りたことは自覚しています。もう誰かに求められるように努力しなくていいんだと思ったら、毎日を明るく過ごせるようになりました。

でも……実は結婚してから、あからさまにモテるようになったんです。もちろんマッチングアプリは結婚前に辞めたのですが、結婚したとたん、昔の元カレから連絡が来たり、取引先の飲み会で口説かれたりと、恋愛する機会がグッと増えてしまいました」

そして今、由紀さんには結婚相手とは別に彼氏がいるのだそう。お相手は、取引先の年下男性。相手からの強いアプローチで交際がスタートし、現在半年ほど。

「既婚であることはもちろん伝えています。だけど、親友婚であることを伝えたら、彼は“旦那さんより俺の方が好きってことだよね?”と……。図星ですし、どちらかに絞るべきなのではないかとも、真剣に悩んでいます」

親友婚なので、お互いに恋愛感情がないことは確認したものの、外で恋愛してもいいかどうか、という話し合いはせずに結婚したのだそう。

「同僚の彼にも、感謝はしているんです。肉体関係はないのに、毎日家事も率先してくれて、すごく優しい。だけど彼氏は、同僚にはない恋愛的な癒やしを与えてくれます。今自分が独身なら、間違いなく彼氏との結婚を意識していると思います。でも離婚しなければ、彼氏はいつか私から離れていくでしょうし、その方がツラいと感じる自分もいます」

恋愛感情がないからこそいい親友婚。しかし由紀さんのように、どちらかが他の異性に恋愛感情を持ってしまった場合、どうすればいいのでしょうか。仮に話し合いで恋愛を外でするのはOKとなったとしても、同僚と離婚しなければ今の彼氏とは結婚できません。

「彼氏との結婚を考えたい気持ちが半分。恋愛感情はなくても家族として、体調が悪い時も支えてくれた同僚への感謝が半分。どちらを選択しても、後悔しそうな気がしています。親友婚なんて、やっぱり間違っていたのでしょうか」

お互いに恋愛感情がないことを確認し合って結婚しても、家庭の外で誰かを好きになったら不貞となるのでしょうか。恋愛感情はなくても、法的には夫婦であるという矛盾が、由紀さんをより苦しめているようにも感じます。

「親友婚であることを周囲に伝えていないので、仮に離婚するとなれば、家族に心配をかけるでしょう。それに合理的な親友婚なら、不仲になる心配もないと思って結婚したのに、好きな人ができたから離婚しようなんて……同僚からしたら寝耳に水でしょう。

バレれば彼氏が慰謝料を請求されてしまう可能性もありますし、恋愛感情がないからこそ、バレても離婚してもらえないのかもしれません。どうしたらいいのか分からないまま、彼氏と会い続けてしまう自分に罪悪感があります」

親友婚には、恋愛結婚にはないメリットがあることも事実でしょう。しかし、感情は移ろうものですし、今は誰も好きになれないと思っても、死ぬまで一生恋愛しないかどうかは、誰にも分かりません。

あなたは由紀さんの「親友婚」、どう思いましたか?

(取材・文 久留米あぽろ)

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