舞台俳優コスプレイヤーの表現論「『そのキャラはそんなことしない』は避けたい」
6月13日・14日にかけて、東京・池袋でコスプレイベント「アコスタ@池袋」が開催。梅雨入り前の湿気をはらんだ最高気温30℃近い陽気のなか、会場はコスプレイヤーと来場者の熱気で溢れかえった。『ENTAME next』では当日会場で注目を集めたコスプレイヤーの撮り下ろしスナップを直撃インタビューとともにお届けする!
今回話を聞いたのは、『ホロライブ』所属VTuber・星街すいせいに扮していた蒼乃爽さん。コスプレイヤーとして活動する一方で、舞台役者としても経験を重ねる彼女が追い求めるのは、単なる再現ではない。「キャラクターが本当に存在していたらどう動くのか」。写真、舞台、そして動画――さまざまな表現を通してキャラクターに命を吹き込もうとする彼女に、そのこだわりを聞いた。
――今日は星街すいせいさんのコスプレですが、数あるキャラクターの中から選んだ理由を教えてください。
蒼乃さん 普段からすいちゃんの配信をよく拝見しているんですけど、彼女って「かっこいい」と「かわいい」の両方を持っているじゃないですか。その二面性を一つのコスプレで表現してみたいと思ったんです。
――二面性を一つに?
蒼乃さん 普段コスプレをするときって、「今日はかわいく撮ろう」とか「今日はかっこよく見せよう」とか、どちらかに寄せることが多いんです。でも、すいちゃんなら両方できるなって。表現の幅が広いキャラクターなので挑戦してみたいなと思いました。
――特にこだわったポイントはありますか?
蒼乃さん メイクですね。カラコンは自然に馴染む青色にして、実際存在してたらこうだろうなって思えるものにして、ナチュラルでも「星街すいせいだ」ってわかるような目の強さを再現しました。とウィッグはすいちゃんの特徴でもある縦ロールのシルエットをきれいに見せたかったので毛量を減らして形が綺麗になるように整えました。
――ウィッグのセットも大変そうですね。
蒼乃さん 絵を描いたり造形を作ったりするのは好きなんですけど、なぜかウィッグだけは昔から苦手で。他の人なら2〜3時間で終わるような作業を、私は丸1日かけても納得いかなかったりするので、二次元の髪型を三次元に落とし込むように作れる人は本当にすごいなと尊敬でいっぱいです。
――蒼乃さんなりのこだわりもありそうです。
蒼乃さん 私は「もしこのキャラクターが実在したらどう動くかな」って考えるのが好きなんです。だからスプレーでガチガチに固めるというよりは、風が吹いたら自然になびきそうな髪にしたいかな。キャラクターが本当に存在しているように見えたらいいなと思っています。
――撮影でも、その考え方は意識していますか?
蒼乃さん していますよ。例えばかっこよく見せたいときは、あえてカメラを見なかったり、少し下を向いたり。逆にかわいく見せたいときは、光が瞳に入る位置を探して目をしっかり開いたりします。
――かなり細かく考えているんですね。
蒼乃さん 写真って光と影でできているんだなって本当に思います。被写体をやっていると、自分がどう見えているかを常に意識するようになりますね。そのキャラクターの魅力が一番伝わる写り方を考えるのが楽しいんです。
――蒼乃さんは舞台役者としても活動されていますよね。コスプレとの違いは感じますか?
蒼乃さん 写真は一瞬を切り取る表現ですけど、舞台は流れで見せる表現なので全然違いますね。
――流れ、ですか。
蒼乃さん 舞台は生ものなんです。同じ演目でも、その日の客席や共演者によって空気感が変わるので。指先一つの動きでも、一瞬の形だけじゃなくて、その前後の流れまで含めて見せなきゃいけないんです。
――舞台経験がコスプレにも生きていると。
蒼乃さん それはすごくあります。舞台をやるようになってから、ポーズ一つ取るにしても「この前にどう動いていたか」「この後どう動くか」を考えるようになりました。
――最近はコスプレ動画も増えていますが、その流れについてはどう感じていますか?
蒼乃さん 私はすごく好きです。やっぱりキャラクターが動いている姿を見るのが好きなので。キラキラしたPVみたいなものも素敵なんですけど、私は物語があるほうが好きですね。キャラクターが本当に生活しているような動画というか。作中で描かれていなくても、そのキャラクターもご飯を食べるし、寝るし、歩くじゃないですか。そういう何気ない日常が見える映像にすごく惹かれます。
――キャラクターの“余白”ですね。
蒼乃さん そうですね。歩き方とか仕草とか、そういう部分までそのキャラクターらしい人を見ると、本当にすごいなと思います。
――蒼乃さん自身もそういう表現を目指しているんですよね。
蒼乃さん 私は常に「キャラクターをお借りしている」という気持ちで活動しています。
――印象的な言葉です。
蒼乃さん そのキャラクターを好きな人が見たときに、「このキャラはそんなことしないよ」って思われるようなことはしたくないんです。もちろん解釈はいろいろあると思うんですけど、少なくとも私はキャラクターへの敬意を忘れたくなくて。
――ファンとしての気持ちでもあるんですね。
蒼乃さん そうだと思います。私自身も作品やキャラクターが好きだからコスプレをしているので。その魅力を伝える側でありたいなと思っています。
――最近は動画投稿も積極的にされていますよね。
蒼乃さん 毎日「おはよう動画」を投稿しているんですけど、それを続けていたらイベントでも「動画撮る?」って声をかけてくださるカメラマンさんが増えてきました。活動を見てくださっているんだなと感じて嬉しかったです。
――最後に今後の目標を教えてください。
蒼乃さん 今年はYouTubeに挑戦したいと思っています。動画を撮っていただく機会も増えてきたので、それを活かせる場所を作りたくて。
――新しい表現の場ですね。
蒼乃さん 写真も好きですし、舞台も好きですし、動画も好きです。まだまだ挑戦したいことはたくさんあるので、新しい表現にも取り組みながら、もっと多くの人に蒼乃爽という存在を知ってもらえたら嬉しいです。
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