Fujii KazeとXG、『フジロック』出演で改めて見える“日本発グローバルアーティスト”としての現在地

2026.07.02 11:15

Fujii KazeとXG、『フジロック』出演で改めて見える“日本発グローバルアーティスト”としての現在地

今年で29回目を迎える『FUJI ROCK FESTIVAL(フジロックフェスティバル)'26』が、7月24日(金)・25日(土)・26日(日)の3日間、新潟県湯沢町苗場スキー場で開催される。2月に発表された第1弾ラインナップの中でも、ひときわ大きな反響を呼んだのが、Fujii Kaze(藤井風)とXG(エックスジー)の初出演だ。

そこで本記事では、グローバルな活躍を見せてきたFujii KazeとXGの近年の歩みを振り返りつつ、彼らのアーティストとしての立ち位置、今回の『FUJI ROCK FESTIVAL』が示すものについて考えてみたい。

中日となる7月25日、FujiiはGREEN STAGE、XGはWHITE STAGEにそれぞれ名を連ねている。海外アーティストの比重が大きい『フジロック』というフィールドで、この2組がどのように迎えられるのか。その注目度の高さは、単なる”国内アーティストの祭典出演”という枠をすでに超えていると言えるだろう。

【世界基準のフェスを渡り歩いてきたFujii Kaze】

Fujiiのこの1年の動きを振り返ると、その歩みの速さに驚かされる。昨年は欧州・北米ツアーを敢行し、全編英語詞という新機軸のアルバム『Prema』をリリース。同作は今年開催された『MUSIC AWARDS JAPAN(ミュージック・アワーズ・ジャパン)2026』で最優秀アルバム賞を獲得している。さらに今年1月にはインドの大型フェス『Lollapalooza India(ロラパルーザ・インディア)』に出演し、4月には『Coachella Valley Music and Arts Festival (コーチェラ・バレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル)2026』にも初出演を果たした。ソウルフルな歌声とジャンルレスなアレンジを軸にした楽曲群は、日本語詞のままで海外リスナーの心を掴んできた実績があり、世界基準のフェスシーンを転々としながら評価を積み重ねてきたことがうかがえる。

『フジロック』出演は、7月から始まる国内アリーナツアー『Pre:Prema Tour』の最中に組み込まれる形となり、10月からはアジア・欧州・北米を巡る『Prema World Tour』も控えている。ワンマンライブに匹敵する熱量を、苗場の大自然の中でどう表現するのか、期待は高まるばかりだ。

【"最初からグローバル"を体現するXG】

一方のXGも、この1年でスケールを一段階引き上げた。昨年は日本人アーティストとして初めて『コーチェラ』のSaharaステージでトリを務め、世界各地の大型フェスにも出演。今年1月にリリースした1stフルアルバム『THE CORE -核-』は、米ビルボードのアルバムチャートで自身初のトップ100入りを記録した。現在進行中の2度目のワールドツアーは、アジアからオーストラリア、北米、中南米、そしてヨーロッパへと続く規模で展開されている。5月には『American Music Awards(アメリカン・ミュージック・アワード)』のレッドカーペットに日本人アーティスト史上初めて登場。さらに6月にはイギリス最大級の音楽イベント『Capital’s Summertime Ball(キャピタルズ・サマータイム・ボール)2026』に日本人グループとして初めて出演するなど、海外初を次々と塗り替えてきた実績も見逃せない。

切れ味鋭いダンスパフォーマンスと独自のサウンドプロダクションを武器に、どこの国のグループかという前提そのものを軽やかに飛び越えてきたグループだと言えるだろう。『フジロック』もまた、その連続する快挙のひとつに加わることになる。

【日本発グローバルアーティストという新しい型】

この2組に共通しているのは、”日本のアーティストが海外進出を目指す”というこれまでの構図とは、少し異なる立ち位置にいることだろう。Fujiiは日本語詞の楽曲でまず国内外のリスナーを惹きつけ、そこから英語詞のアルバムへと自然に歩を進めてきた。対してXGは、デビュー当初から歌詞・パフォーマンス・プロモーションのすべてを世界市場に向けて設計してきたグループであり、J-POPの海外進出というより最初からグローバルを軸足に置いた活動というほうが実態に近い。アプローチはまったく異なるが、どちらも国内の人気と世界的な評価が地続きになっている点は共通しており、それこそがここ数年で急速に台頭してきた“日本発グローバルアーティスト”という新しい型を象徴していると言えるのではないだろうか。配信とSNSを通じて楽曲もパフォーマンスも国境を意識せず届く時代になったからこそ、こうした活動の形が可能になったという背景もありそうだ。

【“玄人向け”の『フジロック』が選んだ意味】

もともと『フジロック』は、ヒットチャートよりも音楽好きが評価するアーティストを重視する傾向のあるフェスとして知られてきた。今年のヘッドライナーにMASSIVE ATTACK(マッシヴ・アタック)やThe xx(ザ・エックス・エックス)、KHRUANGBIN(クルアンビン)といった海外の実力派が並んでいることからも、その姿勢は健在だ。そうしたラインナップの中に、国内でも絶大な人気を誇るFujiiとXGが加わったことは、単に集客力のあるアーティストを呼んだという以上の意味を持つ。『フジロック』というフィールド自体が、この2組をすでに国内外を横断する実力派として認めているというメッセージにも読み取れるからだ。

それぞれ異なるアプローチで世界を舞台にしてきた2組が、同じ夏、苗場という同じ舞台に立つ。海外アーティストと肩を並べ、同じタイムテーブルの中に組み込まれることで、2組がどれだけ“フェスの文脈”に馴染むアーティストへと成長したのかが可視化されるはずだ。7月の苗場で、FujiiとXGがどんなステージを見せるのか。それは単なる1公演の感想にとどまらず、日本発のアーティストが世界のフェスシーンで今どう受け止められているかを測る、ひとつの指標になるだろう。

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