大泉洋の変顔NG、宮﨑あおいのバランス感覚『ちょっとだけエスパー』村尾監督が語る“野木亜紀子脚本×豪華キャスト”現場
『アンナチュラル』(TBS系、2018年)をはじめ、さまざまな人気作を手がけてきた野木亜紀子氏が脚本を務める秋ドラマ『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)。家族もお金もすべて失ったサラリーマン・文太(大泉洋)が、なんだか怪しげな会社「ノナマーレ」に再就職し、社長・兆(岡田将生)から謎のカプセルを飲むよう言われ、さらに謎の女性・四季(宮﨑あおい)と夫婦として同居するよう命じられるところからストーリーが始まる本作。楽しげな雰囲気がありながらも、話数を重ねるごとに次週が気になって仕方なくなる展開に心を奪われている視聴者は多い。そんな本作で演出を務めているのが村尾嘉昭氏だ。村尾氏は『アンナチュラル』の7話で演出を務めた過去があり、実に7年ぶりに野木脚本を担うことになる。
人間らしさや不条理さなど、野木作品らしい世界観を見事に映像化している村尾氏に、オファーを受けた時の心情から撮影現場の裏話まで、幅広く話を聞いた。
◆野木亜紀子脚本の特徴
――監督としてオファーされた時の率直な感想を教えてください。
村尾嘉昭氏(以下、村尾) 企画の説明を受けている段階から本当に面白くて、しかも野木さんが脚本を担当するということで、「ぜひやりたい」という気持ちでした。
――『アンナチュラル』以来となる野木脚本ですが、脚本に変化などは感じられましたか?
村尾 当時の脚本を見返したのですが、ト書きが事細かに書かれていて、本作でもそこは同じで「変わらないな」と思いました。あとは、野木さんの頭の中で映像が見えていて、それを脚本に落とし込まれているので、「野木さんの脚本だな」と感じました。
――『アンナチュラル』とはまた違ったテイストの本作ですが、内容についてはどのような印象を持ちましたか?
村尾 脚本自体のクオリティやテンションは一緒だと思います。ただ、しっかりと面白さを更新していて、「さすがだな」という気持ちでした。
――ただ、そんな面白い脚本をドラマ化するのは相当なプレッシャーがありそうですが……。
村尾 そうなんですよ。めちゃくちゃ責任重大なんですよ。野木さんの脚本は、作品の肝になる情報が細かく散りばめられています。「このキャラは今どういうテンションなのか」「微細な情報だけど、これは絶対把握しておかなければいけない」など、それを1つでも逃してしまうと大きなズレが生じてしまう。とにかくいろいろなプレッシャーがすごいです。
――『アンナチュラル』で野木脚本を経験していて良かったことも多いのでは?
村尾 それは大きいですね。「こういうところを取りこぼすとこれを言われるのか」ということを『アンナチュラル』で経験していました。「野木さんの脚本をどこまで再現しなければいけないのか」を知ったうえで制作に入れたことは本当に大きかったです。
――プレッシャーで言えば、NHK連続テレビ小説『あんぱん』を終えたばかりの北村匠海さんが出演するなど、大泉洋さんをはじめとした豪華キャストで制作されています。そのこともプレッシャーになりそうですが。
村尾 「こんな豪華キャストなのに僕で大丈夫ですか?」という部分もありましたが、あまりプレッシャーには感じていないのが本音です。多分プレッシャーに対する感覚が麻痺していて、「北村さんがこの位置で出てくれると作品が締まるな」とか、「もう逆に楽しもう」という気持ちでした。
◆2話ラストの狙い
――野木さんは放送前の囲み取材で「社会派作品ばかりだと疲れるし、ちょっと楽しいことをやりたいなと思って」とコメントしていました。ただ、2話ラストに千田守(小久保寿人)が交通事故に遭い、「裏切られた!」と感じた視聴者は多いです。この反応には“してやったり”という思いですか?
村尾 「ドラマを見ていたら裏切られたいじゃないですか?」と僕は考えています。“してやったり”もありますが、「ドラマって面白いよね」と思ってもらえたらと。
――2話の放送終了後にはSNSが盛り上がっていたので、裏切られたい人は多かったのかもしれませんね。
村尾 明るいだけの世界で面白いものを創れる。それはとても素敵なことだとは思います。ただ、人生はそうではないこともある。このことは野木さんの脚本の特徴の1つだと思います。2話ラストに限らず全話こだわりを持って撮影していますが、ここはそのスイッチが入る最初のシーンだったので、気合を入れた部分もあります。
――どのように撮影に臨まれましたか?
村尾 このシーンでは、四季の過去が明かされ、文太たちには「四季を守ろう」という一体感が生まれます。その一方で、無事にミッションをクリアしたものの千田は亡くなる、というある種真逆の事態が起きます。「文太たちは本当にヒーローなのか?」「ノナマーレがやっていることは本当に正しいのか?」ということを示せるように、ラストに至るまでの流れは大事にしました。
◆大泉洋にぼやかれたワケ
――日常パートに癒されている人は多いですが、日常パートを描く際のこだわりは?
村尾 後半に重たい展開が続くため、「楽しいところはできる限り楽しんでおこう」という意識で前半は制作しました。大泉さんも楽しいことが大好きな人なので、この先のことを懸念して「今のうちに楽しんでおこう」という気持ちはあったと思います。
――何気ないシーンでも大泉さんの放つ“楽しい”が随所に映し出されていましたね。
村尾 ただ、大泉さんにぼやかれることもありました。5話で青いケースを市松(北村)と取り合う時、文太は紫苑(新原泰佑)から静電気攻撃を受けるシーンがあります。場当たり(本番と同じ状況で役者の立ち位置などの段取りを確認すること)の際、大泉さんは静電気攻撃を受けた時に変顔をしたんです。めちゃくちゃ面白かったんですけど、「そういうシーンじゃないんですよね……」と言って抑えめにしてもらいました。
ただ、そのシーンの後、半蔵役の宇野祥平さんがちょっとふざけた芝居をしたのですが、それにはOKを出したんです。そしたら、ずっと大泉さんからぼやかれてしまいまして……。
――ある意味印象的なシーンになりましたね。ちなみに、村尾さんの中で特に印象的なシーンは?
村尾 7話(12/2放送)にある文太と四季の洗面所のシーンですね。繊細で奥深いシーンになっているので、ぜひ注目してもらえればと思います。
◆宮﨑あおいに圧倒される
――四季に心を奪われる視聴者も多いですが、四季を撮る際のこだわりを教えてください。
村尾 宮﨑さんは誰もが知るすごい女優さんですよね。僕が何かを決めるよりも、まず宮﨑さんがどのように演じるのかを見て、そこから細かいところを相談していく、という意識で四季は撮っています。
――可愛らしさと不安定さを共存させていて、「すごいバランス感覚だな」と感じています。
村尾 そうですね。あとは“芯がある”ということも四季を演じるうえでお願いしています。芯の強さを持った人でなければ成立しないセリフもあるので、そういうところは四季と宮﨑さん自身に共通している部分があるから、違和感なく表現できているのかなと思っています。
――今後、四季を中心とした展開が予想されますが、どの辺りを注目してほしいですか?
村尾 怒涛の展開の中で圧倒的なお芝居を見ていただけると思います。四季の“それだけでは終わらない”部分が出てくるので、今後の四季の楽しみの1つではないでしょうか。本当に圧倒されます。僕も日々圧倒されました。
――最後に本作を通して伝えたいことはありますか?
村尾 「伝えたいことはないかな」という感じです。むしろ「これを伝えたい」というよりは、「これを見てみんなどう思うのかな?」「どんな感情になるのか?」を教えてほしいです。また、今後は怒涛の展開になっていくので、みなさんの記憶に残る作品になってくれればと思っています。
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