

山下美月、『火喰鳥を、喰う』で見せた“静かな狂気”「本心が分からない違和感を感じて」
乃木坂46卒業から1年あまりが経ち、ドラマや映画で着実に役柄を広げている山下美月。10月3日公開の映画『火喰鳥を、喰う』(本木克英監督)で、ヒロイン・久喜夕里子を演じた。人の執着の感情が怪異を引き起こし。日常が狂っていく様を繊細に表現した彼女に、作品への姿勢や毎日の中で“執着”といえるほど大切にしていることを聞いた(前後編の前編)
夏の信州が舞台のミステリー『火喰鳥を、喰う』は、穏やかに暮らしていた久喜雄司と夕里子の夫婦のもとに、謎めいた日記が届くところから始まる。それは雄司の祖父の兄で、太平洋戦争で戦死したはずの久喜貞市の遺品だった。そして最後のページには「ヒクイドリ、クイタイ」という文字が。その日を境に、墓石の損壊や祖父の失踪など、雄司と夕里子のまわりで不可解な出来事が起こり始める。2人は夕里子の大学時代の先輩で、怪異現象に詳しい北斗総一郎(宮舘涼太)に相談する。しかし、存在しないはずの過去が現実を侵食していき、夕里子の身にも危険が迫るという展開。2020年に横溝正史ミステリー&ホラー大賞を受賞した同名小説を原作としている。
――山下さんにとって、この『火喰鳥を、喰う』の原作の印象は?
山下 「これをどうやって実写化するんだろう?」と気になりながら読み進めていました。「ヒクイドリ」は実際に現場に連れてくるのかな、なんて考えたりして(笑)。それと同時に、この作品が持つ独特の空気感に強く惹かれました。
――お化けが出たりといった派手な展開はないですが、人の情念が怪奇現象を引き起こしていく怖さがありました。
山下 ただ怖がらせるというより、言葉ではうまく表現できない薄気味悪さがありますね。例えば、夏に田舎へ行って、夕暮れ時に理由もなく不安になるような感覚が近いです。
――そして夕里子を演じるにあたり、心がけたことは。
山下 これまでいただいた役柄は芯の強いキャラクターが多かったのですが、この物語は夕里子と雄司、北斗の三角関係が引き金になって事件が起こっていって、彼女もそれに巻き込まれていきます。だから自分からアクションを起こすよりは、水上さんと宮舘さんのお芝居に対して、その場で生まれた感情に反応していくことにしました。それが夕里子が抱いている迷いや疑心暗鬼の気持ちを出すためにはベストだったかなと思います。
――水上さんと宮舘さん、2人への印象は?
山下 役者としてのタイプは正反対だなと感じました。水上さんとは撮影の合間はさほどお芝居の話はしなくて、なぜかよく水上さんが相対性理論について話してくれました(笑)。お互い自由に演技を練っていけましたね。宮舘さんは、とにかく引力や目力がすごい方ですね。夕里子は雄司と北斗のちょうど中間にいる存在だと思ったので、どちらか一方に偏るのではなく、二人の良いところを少しずつ自分の中に取り入れて、バランスを取るような感覚でお芝居をしていました。
――本木監督が、オフィシャルコメントで山下さんについて「神秘的な眼差し」と話していました。目力にも、力を込めたのでしょうか?
山下 神秘的、とまでは思ったことはないのですが(笑)、目については確かに昔からよくほめてもらったので、今でも変わっていない私の特徴なんですね。監督もアップで撮っている時に「視線がいいね」と声をかけてくださいました。それに私が不安になって「今の大丈夫でしたか?」「このアプローチで合っていますか?」と聞いても、「それでいいんです」と、すごく信頼してくださって。おかげで、自分の中で生まれた感情を信じて演じることができました。
――撮影は夏の松本で、1か月半ほどで集中して撮りきったそうですね。
山下 古風で大きな民家をお借りして、ほぼ毎日久喜家としてそのお家にいました。自然がいっぱいで、カエルを手に乗せて遊んだりもしました。映画にはカブトムシも出てくるのですが、私、子どもの頃はカブトムシが大好きで「かっこいい!」と思っていたんです。でも久々に触ってみたら、「あれ、こんな感じだったっけ…?」って、ちょっとためらってしまって(笑)。現場はいつも和気あいあいだったので、完成した映像とのギャップは大きいです。印象が変わりました。
――その「現場と完成した映像で印象が変わる」という経験は、本作の他にもありましたか?
山下 ありますね。自分のお芝居を客観的に見たり、編集さんの技術のおかげで違って見えるのは面白くもあります。実は、自分を映像で見るのはあまり好きではなくて、これが世の中の私の知らない人にもいっぱい見られると思うと、緊張するしちょっと恥ずかしいです。お芝居の点でも、「こうすればよかったな」とか、反省点が先に出てきてしまいます。でもこの作品はミステリーでもあるので、自分自身が出ていた場面が全部繋がって結末のどんでん返しになるのを、純粋に楽しめました。
――では、ミステリーならではのお芝居で、注力したことは。
山下 田舎で真面目に働いている人ですが、あえていい妻として振る舞っているように演じてみました。彼女が本当は何を考えているのか、分からないように。雄司を愛していると言っているけど、実は北斗のことを好きかもしれないし、「普通の幸せを手に入れたい」と雄司に話していますが、彼女の不思議な力を隠して生きていくのも本当に望んだことなのかな?と、思える余地を残してみました。人の本心ってなかなか分からないものだと思うので、彼女からもそんな、本心が分からない違和感を感じてほしいです。
――確かに心理劇の要素も強い作品ですね。
山下 一見難解なお話ですが、人の執着や嫉妬といった、誰の心にも潜む普遍的な感情が描かれているので、観終わった時にはきっと、自分事として捉えられる部分があります。私も初めて経験した感情をお芝居に詰め込んだので、じっくり物語の結末を味わってください。
(プロフィール)山下美月 やました・みづき 1999年7月26日生まれ、東京都出身。2016年9月に乃木坂46に3期生として加入。ドラマでは『電影少女 -VIDEO GIRL MAI 2019-』(2019)、『じゃない方の彼女』(2021)、NHK連続テレビ小説『舞い上がれ!』などに出演。ほか、映画『映像研には手を出すな!』(2020)では齋藤飛鳥、梅澤美波とともに主演。2024年5月に乃木坂46を卒業した。2025年はドラマ『御曹司に恋はムズすぎる』、映画『山田くんとLv999の恋をする』に出演してきたほか、10月から放送のドラマ『新東京水上警察』(フジテレビ系)、さらに映画『愚か者の身分』(10月24日公開)、『新解釈・幕末伝』(12月19日公開)に出演する。
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