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林遣都、1人3役の“三つ子”設定は「かなり挑戦的な企画」 ソーシャルディスタンスドラマへの思いを語る<世界は3で出来ている>

2020.06.06 08:00

フジテレビ系にて、6月11日に放送されるソーシャルディスタンスドラマ『世界は3で出来ている』(23時~23時40分放送)で主演を務める林遣都が、今作への思いを語った。

新型コロナウイルスの影響下で、緊急事態宣言が解除されても、世界がもとのようには戻らない日常の中で、出来ないことを面白がり、限られた制約をあえて楽しもうと生まれた同番組。題材は、奇想天外なファンタジー、SF、ゾンビものでもなく、どこにでもいそうな若者3人のアフターコロナ、ウィズコロナの今を切り取ったリアルな物語。ただし若者3人は、密な撮影が不可能なため、三つ子という設定に。

また、リモートによる打合せと、密を避けての安心安全な撮影を徹底。いわゆるリモートドラマというくくりではなく、“ソーシャルディスタンスドラマ”と呼べるドラマとなった。脚本は『スカーレット』(NHK)の水橋文美江氏が担当。監督は2020年新春に『フジテレビ開局60周年特別企画 教場』を演出した中江功氏が務める。

林遣都、ソーシャルディスタンスドラマに挑戦

― 今回の出演のお話がきたときの感想を教えてください。

昨年から今年にかけて、(『スカーレット』の)脚本の水橋さんと(『教場』の)演出の中江さん、このお二人との出会いは自分の中での大きな出来事でした。もっと水橋さんの描く人間を演じたいと思いましたし、中江組をもっと経験したい、またいつか参加したいという気持ちがあったので、まさかそのお二人で、しかも出演者が自分だけという形で、声をかけていただけたというのは、とてもうれしかったです。

今、いろいろなところで新しい試みでの撮影が行われている中で、映像作品を作る人たちにも、きっといろいろな変化があったと思います。そんな中で、自分が一人の俳優として何をやっていくのか…脚本があって、監督さんやスタッフの方々がいて、普通に演じられる喜びを(今回のお話で)改めて感じました。

もちろん、撮影はソーシャルディスタンスを守ったり、スタッフさんの人数を減らしたりと変わってきていますし、いろいろ守るべきことはありますが、やっていることは今までと変わらず、スタジオにセットを組んでいただいて。改めて、役者って一人じゃ何もできないんだなと思いましたし、実際にこうして撮影に入ってみても、皆さん(スタッフ・キャスト)が集まってはじめて、ひとつの映像作品が生まれるんだということを感じました。これからも撮影環境は変わっていくとは思いますが、今自分ができることをやっていきたいなと思いました。

― 脚本は『スカーレット』の水橋さんですが、台本を読んでの感想をお聞かせください。

本当に水橋さんの脚本が大好きなんです。昨年から今年にかけて1年弱、『スカーレット』で一人の人間を作っていただいて、それを演じていて、ずっと感動しっぱなしでした。水橋さんの見てきたものや、人生観や世界観、笑いのセンス、すべて本当にとても好きで、演じがいがありました。また、水橋さんが生み出す人間を演じたいと思っていたんですけれど、まさかこんなに早く、しかも三人も書いていただいて演じることができるというのは自分にとっては大きな喜びでした。

今回台本を読んでいて、改めて感じたことは、水橋さんの台本は、セリフが自分の(お芝居の)準備や努力とは別のところで勝手にしみこんでいくというか…それが何でなのだろう、と思ったときに、水橋さんの台本ってすごく“余白”があるんだなと感じました。

今回だと、三人が子供のころにお世話になった近所のラーメン屋さんの若社長の話とか、お母さんのこととか、いろいろな背景がどの登場人物でも、役の上で登場しない人でもしっかり描かれていて。演じる側がそれを想像してイメージを膨らませて、水橋さんが与えてくださった設定を作り上げていかないとすごく薄っぺらいものになってしまうと思うんです。

かなりハードルの高い台本で、難解なのですが、その作業を自分でやっていくことによって、ひとつひとつのセリフが、本当に自分がこの役をずっと生きて経験してきたかのようにその手助けをしてくれるんです。だからやっぱりすごい台本だなって今回、より強く感じました。

― 一人三役を演じられるということで、事前に気をつけたことなどありましたか?

三つ子という設定には最初驚きましたけれど…とても難しいだろうし、かなり挑戦的な企画だなと思いましたがやりがいを感じました。演じ方によって、できあがるものがまったく変わってくるなって感じたので、ひとつひとつ台本を読みながら膨らませていきました。

でも、自分が三つ子を、三人分を演じるので、同じ顔はどうしようもない。撮影期間も短く、入れ替わりながら撮っていく中で、とにかく一人一人気持ちを込めて演じていくことを軸におきました。見てくださっている人に、掛け合いや空気感で、だんだんそこにいる三人が何となく、気がついたら別人に見えていたらいいなと。精一杯自分の心を込めて演じることでどこまでできるかなって。

― 実際に演じられていかがでしたか?

(三役を)入れ替わりながら演じていくのは、僕自身も混乱しました。台本ができてから撮影までの限られた時間で自分がどこまで膨らませられるかということが勝負だと思っていました。今回の企画で、映像作品のスペシャリストの方たちと一緒にお仕事できたということの喜びの方が大きく、とにかく楽しかったです。あとは自分がどこまで突き詰めていけたか?というところです。

― 企画・プロデュース・演出は『教場』も担当した中江でしたが、久しぶりの中江監督の現場はいかがでしたか?

昨年『教場』ではじめてご一緒して、感銘を受けたというか…当時も話していたのですが、中江組の雰囲気、演出…映像作品の現場ってこうでないと、と思うことが多々ありました。今回もそれをより強く感じました。ものすごい分量と大変な撮影を短い時間で皆さんされていて。そんな現場が自分にとってすごくプラスで、こういう監督の元でもっと演じるべきだなと改めて思い知らされました。

今回、自分なりに準備はしましたが、中江監督が“さあ、どう演じるの?”っていう感じで、どれだけ大変な状況でも俳優力が試されているというか、撮影中にセリフや芝居で失敗しそうになった時に、“中江監督の元で育った役者さんは、たぶんこんなの当たり前にやるんだろうな“っていうのがすごく自分の中にはあったんです。それがあるので、自分もどこまででもがんばれるというか、やればやるほど結果やできあがりが変わってくるんだなっていうのは感じています。今までなかなか出会えなかったタイプの監督さんなんです。

『教場』の時に印象的だったのは、大勢のキャストやスタッフの方々がいたのですが、誰に対しても分け隔てなく愛情をもって接してくださる…とにかく人柄がすてきな方なので、今回出演者が一人で、これだけマンツーマンで演出していただけるというのは今後の自分の財産になると思いますし、大きな作品になりました。

― 中江監督は、今回のドラマは、林さん以外のキャスティングは考えていなかったとコメントしていましたが…。

あんなにうれしい言葉はないです。でも、プレッシャーでもあります。

― 最後に、視聴者の皆様へ見どころをお願いします。

今回のドラマは、ソーシャルディタンスドラマという、なかなか挑戦的な試みをしているドラマだと思います。現場も試行錯誤で苦労しながらやっていましたし、僕自身も(放送を見るまでは)どんな映像作品に仕上がっているのか想像ができません。今の段階でのこの作品の見どころは難しいですけれど、改めて“テレビドラマっていいな”と感じていただけたら。いくらでも想像が膨らむ作品になっているので、僕自身演じさせていただいて、こんなに幸せなことはありませんでした。“またドラマを見たいな”という気持ちになっていただけたらうれしいです。

あらすじ

望月勇人(もちづき・ゆうと)、商事会社勤務、29歳。子供の頃から明るくお調子者で、すべてノリで生きてきた。今の会社も亡き父のコネで入ったのだが、入社してはや7年。さすがに仕事はノリやコネだけでは乗り切れず、すっかり落ちこぼれのサラリーマン。自他ともに認めるポンコツ。会社を辞めたいとすら思っていたところに今回の緊急事態宣言。テレワークやオンライン会議という仕事環境が一変したこの3カ月で勇人はいったいどうなったか・・・。宣言が解除されたある日、勇人を案じていた兄・泰斗(たいと)と弟・三雄(みつお)が勇人の元にやってくる…。

(modelpress編集部)
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