会見した浅田真央(C)モデルプレス

浅田真央、こだわり続けたトリプルアクセル「強みであり悩みだった」/引退会見全文【2】

2017.04.12 14:31

女子フィギュアスケートで世界選手権を3度制し、2010年バンクーバー五輪で銀メダルを獲得した浅田真央(26)が10日、現役引退を発表。12日、都内にて会見を行った。以下、会見での質疑応答全文その2。


喉乾いちゃいました(笑)

― さきほどちょっと喉潤していましたけど、緊張されている?

浅田:すごいもう…熱気もすごいですし、たくさん喋るので喉乾いちゃいました(笑)。

― アスリートならば誰もが迎えるこの引退という日なんですけども、自分が思い描いていたイメージしていた形と、実際この日を迎えていかがでしょうか?

浅田:本当に発表するまで、あまり自分の中ですごい実感っていうのはなかったんですけど、またこうして改めてここに座って、今までを振り返っていると、少しずつ「引退するんだな」って気持ちは湧いてきますね。

― 気持ち的には寂しいのか、少しホッとしているのか、あるいは清々しいのか、いかがでしょうか?

浅田:本当に気持ちはすごく晴れやかな気持ちです。

― これからスケート靴を履かない生活、リンクから離れて少しあたたかい生活が待っていますが、そのあたりはいかがでしょうか?

浅田:私は1月から4月まではスケート靴を持たず、滑らずにずっといました。でも7月にショーがあるので、もう滑り始めます。

現役生活で思い残したことは

笑顔で会見を後にする浅田真央(C)モデルプレス
笑顔で会見を後にする浅田真央(C)モデルプレス
― 今清々しいという気持ちがありましたけど、なにか現役生活でやり残したこと、なにか悔やむことはありますでしょうか?

浅田:んー、決断をするにあたって、本当にたくさん悩みました。でもそういったやり残したことはなんだろう?って思うことがなかったので、それだけ自分はすべてやり尽くしたんじゃないかなって思います。

― 今日は白いブラウスに白いジャケットっていう衣装なんですけど、その真っ白なお洋服に決めた理由はあるんですか?

浅田:黒のスーツか、白どちらにしようか悩んだんですけど、でも自分の気持ちとしては本当に晴れやかな気持ちなので、この服をいま着ています。

― これまでの浅田真央さんの言葉で何度も出てきたのが、「ノーミス」という言葉だったと思うのですが、そこまで完璧、パーフェクトにこだわり続けたのはどんな理由ですか?

浅田:やはり、これだけ試合に向けて練習してきてるからこそ、誰もがミスしたくないって思うと思うんですけど、自分も試合にそんなに強いタイプでもなかったので、あえて自分で言っていたのではないかなと思います。

トリプルアクセルは「強みであり悩みだった」

― 浅田真央さんといえば、トリプルアクセルだと思うんですけど、このトリプルアクセルっていうのは浅田真央さんにとってどんなものでしたか?

浅田:私は伊藤みどりさんのようなトリプルアクセルが飛びたいと思って、ずっとその夢を追ってやってきたので、本当に飛べた時はすごく嬉しかったですし、自分の強さでもあったと思うんですけど、その反面、悩まされることもやっぱり多かったです。

― 5歳の時にスケートを始めたと思うんですけど、今タイムスリップして5歳の自分に会うことが出来たら、どんな言葉をかけますか?

浅田:んー、恥ずかしいな。「頑張って」って。

― どんな思いを込めて?

浅田:やっぱり私がこれだけフィギュアスケートをやれて、こうやってたくさんの方に応援してもらえて本当に幸せだなと思いました。なので、大変なこともあったんですけど、自分に対してエールを送ると思います。

― 浅田選手の経験から、世界の子どもたちに何かアドバイスとか声かけるとしたらどんなことでしょうか?

浅田:私は小さい事頃から本当にスケートが大好きで、ただただスケートが大好きでここまで頑張ってきたので、だから今始めたり、頑張ってる子には、スケートを大好きな気持ちを忘れないでねって言いたいです。

― なにかそういう子たちとまたやりたいことはありますか?

浅田:私は本当に子供が大好きなので、楽しいですよね。スケート教室もやったんですけど、また機会があれば是非やりたいなと思います。

― 浅田さんに伺いたいのはトリプルアクセルのお話なんですけど、自分のあえてトリプルアクセルに声をかけるとしたらどんな言葉をかけたいですか?

浅田:難しい(笑)。トリプルアクセルに声をかけたい…トリプルアクセルに声をかけるんですよね(笑)?

― そういう存在だとして(笑)。

浅田:んー、「なんでもっと簡単に飛ばせてくれないの?」って感じです(笑)。

― 先程「よくここまで続けてこれたね」とご自身に声をかけたいとおっしゃっていましたが、その続けてこられた支えとなったものはなんだったんでしょうか?

浅田:1つは自分の目標ですね。それだけではないですけど、たくさんの方に支えられて、そしてたくさんの方の応援があったからだと思っています。

― 他にはなにかありますか?

浅田:今思いつくのはそのあたりですね。

引退を決断したのはいつ?

― 引退の決断まで時間がかかったと思うんですけど、今年の世界選手権で、五輪の枠が3から2になりましたけどそれをどう受け止めていたのかと、それが引退の決断に影響したのかお願いします。

浅田:私は、そのさっき自分で言っていた、平昌オリンピックに出るというその目標をやめてしまう自分を許せるのかな、許せないのかなって思いながらずっと過ごしてきて。でも最終的に、話し合いをして(引退を)決めたのが2月だったので、世界選手権が影響したというわけではなくて、自分自身が最後は決めることですし、そんな感じですね。2枠になってしまったことは残念なことだと思うんですけど、やはりその2枠をたくさんの選手が争うので、本当にハイレベルな試合になるんじゃないかと思っています。

― 2月に決断して、4月に発表になりましたが、その2ヶ月間の流れはどういったものだったんですか?

浅田:いろいろと自分の気持ちの準備もあり、今日に至りました。

― 引退を決断するまでに本当に悩んだっておっしゃっていましたけど、その世界選手権が終わってからの2ヶ月間、どなたがその決断を後押ししてくれたのか、心を軽くしてくれたのか教えてください。

浅田:家族だったり、友達だったりに相談しました。本当に皆さんいろいろなことを言ってくださいましたが、最終的に決めたのは自分自身なので。その中でも旅行に行ったり、今まで行けなかったところに行って、日々を過ごしてきて決断をしました。

― 最終的にはご自身の中で決断できたということだったんですね。

浅田:はい。

― 競技人生、本当に続けてくること自体が大変だったと思うんですけど、どなたかにかけられた印象に残っている言葉だったり、ご自身が1番大切にしている言葉があれば教えてください。

浅田:でも本当にこの決断をしてからは、本当に沢山の方が温かい言葉、メッセージを送ってくださったので、私自身本当に晴れやかな気持ちでここにいます。なので、感謝という気持ちはこれからも忘れずに進んでいきたいと思います。

― 浅田選手が試合に出始めた頃から、今もこうして多くの方がきて、たくさんの人がフィギュアという競技に興味を持つようになってきましたが、こうして世界でも強い国になったということに、浅田さんはどういう風に力になったと思うかと、自分がしてきたことで、これからも日本のスケート界をどういう風にしていきたいかをお願いします。

浅田:私が小さい頃っていうのは、伊藤みどり選手をはじめ、本当にたくさんのトップのスケート選手がいました。そのスケーターを見て、私もこうなりたいって思って、ずっとそれを目指してやってきました。そしてジュニアからシニアに上がってからは、本当にスケーターみんなそれぞれ強くて、魅力のある選手ばかりが集まって、それぞれが刺激をしながら、切磋琢磨して頑張ってきました。そしてそれを応援してくださるメディアの方だったり、ファンの方がいたから、フィギュアもここまで注目されるスポーツになったと思います。だからこれからのスケーターの子たちには、みんなでそれぞれ高めあって、刺激し合いながら頑張って欲しいなと思います。

ソチオリンピックでの脅威の挽回

浅田真央(2014年ソチ五輪フリースケーティングより)/写真:Getty Images
浅田真央(2014年ソチ五輪フリースケーティングより)/写真:Getty Images
― 選手人生の中でたくさんの山があったと冒頭でおっしゃいました。あの伝説のソチ大会についてお伺いしたいんですけど、ショートプログラムからの数時間の間で、どのようなきっかけで立ち直って、あの感動的なフリーに繋がったのか。立ち直ることが出来たきっかけについて改めてお聞かせください。

浅田:ショートが終わってからは、本当に「あー、日本に帰れない」ってすごく辛い思いもしたんですけど、フリーの当日の朝もまだ気持ちが切り替わっていなくて、「このままで大丈夫なのかな」って気持ちで公式練習を終えました。でも試合が近づくにつれて、メイクをして、アップをして、リンクのドアを出た瞬間に、すごい会場で、「やるしかないな」って思いが出てきて、ようやくその時に「やるしかない」って思いました。

浅田真央(2014年ソチ五輪フリースケーティングより)/写真:Getty Images
浅田真央(2014年ソチ五輪フリースケーティングより)/写真:Getty Images
― 競技が終わった時の心境はいかがでしたか?満面の笑みでしたけど、どういう気持ちでしたか?

浅田:最後のポーズが上を向いていたんですけど、「あー、終わった」って思いましたね。それと同時に「良かった」って思いが込み上げてきて、ちょっと涙してしまったんですけど、バンクーバーの時は悔し涙を流してたので、泣いてちゃダメだって思って、頑張って笑顔でいました。

【3】に続く。

浅田真央「私のフィギュアスケート人生に悔いはありません」

浅田真央(2014年ソチ五輪フリースケーティングより)/写真:Getty Images
浅田真央(2014年ソチ五輪フリースケーティングより)/写真:Getty Images
浅田は10日、自身のブログにて現役引退を発表。2014年のソチ五輪では6位となり、1年の休養を経て昨シーズンに復帰したが、結果はふるわず。

「このような決断になりましたが、私のフィギュアスケート人生に悔いはありません。これは、自分にとって大きな決断でしたが、人生の中の1つの通過点だと思っています。この先も新たな夢や目標を見つけて、笑顔を忘れずに、前進していきたいと思っています」とつづり、「皆様、今までたくさんの応援、本当にありがとうございました」とファンへの感謝を語っている。(modelpress編集部)

情報:浅田真央オフィシャルサイト
【Not Sponsored 記事】

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