20th Century/井ノ原快彦、坂本昌行、長野博(提供写真)

トニセン、V6経てたどり着いた「頑張るのやめようね」の哲学 三宅健とは“SNS度外視”の絆<「風に預けて」インタビュー>

2022.07.28 12:00

昨年、26年間駆け抜けたV6としての活動を終了し、20th Century(トニセン)の新章をスタートさせた坂本昌行長野博井ノ原快彦。8月1日に新曲「風に預けて」を配信リリースする3人が取材に応じ、今でこそたどり着いた“トニセンらしい”あり方について語ってくれた。

  

20th Centuryらしさ表す新曲「風に預けて」

同曲は、トニセンのレギュラー番組『トニセンロード~とりあえず行ってみよ~』(スカパー!の動画配信サービス「SPOOX(スプークス)」、CSチャンネル「フジテレビTWO」で配信・放送)のテーマソング。「ネオ風街系」と称され注目を集めている新進気鋭のバンド・グソクムズが楽曲提供し、自分のペースで自分らしく楽しんでいこうという今のトニセンの姿を表すようなグルーヴ感が心地よい曲となっている。22日の放送では「風を預けて」のアレンジをグソクムズと話し合いながら作っていく過程、そして最後には楽しそうにセッションする映像も公開された。

冒頭、グソクムズとの初対面について聞かれ「初対面で何かやるって分かってたのに、その前にビール飲んじゃったんだよね、俺たち(井ノ原)」と、トニセンイズム溢れる“ユルさ”で始まった取材。

井ノ原は「作家さんに作ってもらって、僕らが歌うというよりも、一緒に作っていくことができたので、これからああいうスタイルを僕らの中で取り入れたいなというのはある。しかも若い人たちとやるというのがとてもいい結果になったんじゃないかな」と制作過程を振り返り、「今までいっぱい曲をやってきて、レコーディング大変だったとか、歌詞がなかなか出来上がらなかったとか『大変だった』という思い出も蘇ってくるんですけど、この曲は『楽しかったな』というイメージとして永遠に残るなという感じがします」と同曲への愛情を語った。

若手として注目されるグソクムズとの協業について、坂本は「音楽って(年齢は)関係ないんだなと感じました。若いとかベテランとかというよりも、音楽という共通項があるだけで、初対面なのにこんなにも会話がすごく弾むし、ここまで曲を作ることができた。やっぱり音楽の力ってすごいなと」と新鮮さを語り、長野は「昔から僕らを見てくださっていたというグソクムズのみなさんが、僕らをイメージして書いてくださって、こういう風に見てくれていたんだな、こういう曲を歌ってほしいんだなと伝わってきて嬉しいですし、それがこの年代のみなさんだった。すごくいい出会いができてるなって」と、充実したコラボだったことを明かした。

20th Century「風に預けて」ジャケット(提供写真)

3人だけリズムで進む今のトニセン V6解散後から変化は…?

フレキシブルでより自由で、身軽。そんな空気感はまさに『トニセンロード~とりあえず行ってみよ~』にも表れている。同番組は、トニセンが自分たちで、行く場所・すること全てを決め、やりたいことを実現していくロケバラエティ。番組の裏話として井ノ原は「最初いろんな企画を出してくれていたんですよ。スタジオでクイズとか、“番組”って感じのやつを。でもなんか、僕ら興味が無くて(笑)」とぶっちゃける。

さらに「『バイク乗りたい!』とか、そういう感じのまま『曲もやろうよ!』って決まっていっちゃった。本当だったら1話から主題歌にできたんですけど、まさかの9話から(笑)。そこら辺もユルくていいかな?というか、今後の僕らの音楽活動を象徴してる。『そんな頑張らなくていいんじゃない』とか『どんどんやろうよ』とか、そこは3人のリズム。スタッフもそこを理解してくれるから楽しいです」としみじみ。自分たちだけの“リズム”で進むのが今のトニセンなのだ。

V6としての活動が終了した後、関係性に変化はあったか聞かれた3人は「変わってないです」と口を揃えつつ「でもV6があると、そこに向けて持って帰るものを探すみたいな活動になっていたけど、今はここでしかないので、そんなに気をはらなくても『まあ、何もないこともあるよね』っていう感じでやってます。でも関わってくれた人はみんな幸せであってほしい」と井ノ原。

「解散した後も3人でやってるし、どんどん後輩たちが出てきているけど、坂本くんは51歳になっても楽しんで音楽をやっていて、自分1人でもしっかりした仕事を持っていて。後輩に恥じないようにとか堅苦しいことじゃないけど、『ゆるくやってるのでこういうのもあるよ』ということを見てもらえたら」と、たどり着いた“今の形”に胸を張った。

トニセンらしい“マイペース”の源は?

しかし、振り返ればもちろん、V6として全力でがむしゃらに頑張ってきた若かりし頃がある。「現在の“マイペース”がしっくり来るようになったのはいつ?」という質問には、井ノ原が「分からないけど、僕が40歳超えたときには、坂本くんはもう45歳だったから、すっかりマイペースな感じだったんですよ(笑)」と、笑いを交えつつ語る。

V6解散後、3人で再び新たに歩み始めた今が「ちょうどいい感じ」なのだそうで「今までは戻るところがあったので、ずっとトニセンをやっている訳じゃなく、6人に戻ったり、1人でもやらなきゃいけなかったり、3年に1回くらいトニセン3人で何かをやってたけど、今はもうここがある。Twitterみたいなのがあると連絡もとるし、近況もお互い知るし、3人でのラジオも27年目に入って。無理に『マイペースでやってます』と言わなくても、自分たちの空気でしかできないし」と表現する。

「『頑張るのやめようね』って話はしてるかな」というトニセン。「『あ、これ頑張んなきゃダメそうだな』と思ったらやらないようにして(笑)。もう十分頑張ったから(笑)。頑張ってないわけじゃなくて、やることはやるけど、あくせくしちゃわないような感じで。そうしたら余裕を持てる」と言うように、“十分頑張ってきた”という思いが今のチルなムードを形作っている。

坂本も「色んな物を触ってきて、これは持てるだとか、やっぱりこれは持っちゃいけないとか、なんとなく自分たちで分かってきた。それが自分たちの引き出しとなって今があるような感じ。自分たちの引き出し以上のことはできないし、昔はいろんなことをがむしゃらにやってましたけど、全部100%できる人間なんていないので、自分たちができるもの、やりたいことが明確になってきて、それを自分たちの言葉として発して形になって、なんとなくトニセンのペースになっていったという感じ」と述懐。

長野は「年齢とともに、自然と言えば自然に、仕事の内容も変わってきますし、1つ1つの課せられる部分とかも幅が変わってくる。そうなると、そこに対しての感覚とか、自分の求めるところも変わってくる。マイペースというか、もしかして頑張ってても頑張ってるよう に見せないようにしてるかもしれないし。それが自然に出せるようになってきたのかもしれないなと思います」と続けた。

「頑張らない」は「何もやらない」ではない…今後への思いも

ただ、そんな“風に預ける”トニセンイズムも、“何もしない”というわけでは決して無い。

ジャニーズ事務所の後輩たちが新しい挑戦を次々始めている激動の今、「トニセンは“マイペース”を貫いていく?新しい事にチャレンジしたい思いはある?」という質問では、井ノ原が「もう新しいことやってると思いますよ、僕ら」と口を開いた。

「自分たちで『無理はしない』とは言ってますけど、それはなんでもかんでもやればいいってもんじゃないって思ってるから。なんでもかんでもやってた時もあったので、今は『ほんとにこれ 面白いね』ということは共有するようにお互いしてるし、『この人知ってる?今度やってみない?』という風に、結構新しいことをやらせてもらっているという感じ」と、ここも“自分たちのリズム”で、新たな開拓はしていることを語ってくれた。

続けて坂本は「『頑張らない』って言ってるけど、『何もやらない』ってことじゃなくて」と、念を押す。「頑張るってキラキラになるか、無理しちゃうか、どっちかな気がして。僕らが何かをやろうとすると無理がたたるような気がして(笑)、だからそういう頑張りではなく、今まで経験してきたもの、やってきたものを自分たちなりに咀嚼して、新しいものを作り出す、チャレンジする。それに対しての頑張るというのがある。『後輩がやってるので皆さんどうですか?頑張れますか?』という頑張りの意味はちょっと違くて。僕らもずっと相当頑張ってきたので。アクロバット相当頑張ってきたので(笑)。それを経ての今なので」と、“頑張り”を経てきた今思う“頑張らない”の本当の意味について思いを述べた。

トニセンのSNS事情

後輩たちの新しい挑戦を見て、井ノ原は「『そういうことやるんだな、面白いな』というのは感心しながら見つつ、年齢も違ったり通ってきた道も違うから、お互い先輩とか後輩関係なくいちアーティストとして、お互い尊敬できる間柄だったらいいなと思います」と伝える。

25日には三宅健が今秋ソロデビューすることを発表し、Twitterも開設したばかり。お互いフィードバックし合っているのか?と聞かれると「(フィードバックし合うことは)ないですけど、話したりはします。『頑張ってね』とか声はかけます。Twitterツイッターも始めたから…お互いに『絶対フォローしねーから』って言ってます」とまさかの発言。

「形だけのフォローなんてしないですよ」と、SNS時代になどとらわれない“絆”をアピールし、坂本も「良いこと言いましたよ」、長野も「わざわざSNS上でつながらなくてもフォローし合ってるんだっていうね」と賛同。

井ノ原は「『いいね』とかありがたいですけど、そういうことじゃないんだって。『いいね』だけの関係じゃないことを見せていこうかな、逆に(笑)。ボタン1つ押せばいいのかそれで?そうじゃないだろ、形じゃないだろ?っていうところを見せていきたいですよ」と奮起していた。

「そういうところもトニセンらしさですね」という声がかかると、3人は「Twitterに関してまだよくわかってない(笑)」と本音も。最近ようやく、Twitterのスレッドで自分のツイートやファンの反応を確認できることを覚えたそうで「最近“スレッド”って覚えたぐらいですから。まだまだ活用しきれてないんですよ」と長野。

井ノ原は「だってフォロワーを増やそうって話1回もしたことないですもん。俺はフォロワー数は、ゾロ目とかでたときだけスクショして」とお茶目に笑わせ、「わざわざフォローしてくれてるからもちろんありがたく受け止めてるけど、それ以上になってしまっても自分たちもついていけなくなっちゃうから。今いる人達を楽しませるっていうのが一番。ファンクラブとかもそうだし」とファンへの想いも語った。

3人それぞれの「風に預けて」お気に入りのフレーズ

坂本:『行きついた先がそこがゴール』『いつだってそこがゴール』

「6人でグループ組んでいるとき、目標を決めない、ゴールを決めないというスタンスでずっとやってきたので、気づいたらそこがゴールだったんだな、じゃあ次に行ったらまた次のゴールがあるんだなということを考えると、この2つのフレーズは好きですね」

長野:『君にしか見えないものが 一番大切なのさ』

「やっぱり人それぞれの価値観がありますし、“自分に見えてるものを信じていいんだよ”みたいに、背中をぽんと押してくれるようなこのフレーズが好きです」

井ノ原:『君だけの輝きだから 誰にも内緒でいいのさ』

「本当に“自分が楽しければそれでいいんだよ”っていう感じがする。僕らがよく話してるのは『そんな無理するの、もうやめようぜ』というか『頑張るんだけど本当に楽しいことを頑張っていきたい』ということなので、そういう面では結構刺さりました」

(modelpress編集部)

20th Century リリース情報

「風に預けて」
作詞・作曲:堀部雄介 編曲・演奏:グソクムズ
SPOOX 「トニセンロード ~とりあえず行ってみよ~」テーマソング
2022年8月1日配信リリース
【Not Sponsored 記事】

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