内田有紀

アラフィフでもときめきたい…『ラストノート』内田有紀の演技が今を懸命に生きる女性の心に刺さる

2026.07.16 18:03
提供:ENTAME next

内田有紀と寺西拓人がダブル主演を務める『ラストノート』(フジテレビ系)が放送中だ。49歳の香料メーカー営業・一瀬葵(内田有紀)と、30歳のグレーゾーンビジネスの営業担当・樋口澄晴(寺西拓人)。年齢も生きてきた環境も、バックグラウンドも異なる2人の間に、静かに恋の香りが立ち上る。

本作は、葵が駅に飾られたピオニーの絵を眺めながら、「現実を見る前の この時期が一番幸せなのかもしれない。夏も恋も夢も…。」という台詞ではじまった。

人は年齢を重ねるにつれ、現実の残酷さや物事が思い通りに運ばないことを、経験を通じて自然と理解するようになる。だからこそ社会に深く足を踏み入れる前の、期待と可能性に満ちた時期にこそ幸せを感じるのだ。

新作フレグランスコレクションの発表イベントでハワイの映像が流れると、若い女性が「いいな。ハワイ行きたい」と声を弾ませる一方、葵は「うわ、暑そう」と一人つぶやいていた。このリアクションに共感し、思わず笑ってしまった視聴者も少なくないのではないだろうか。若い頃は何も気にせず楽しめていたことでも、年齢を重ねるごとにネガティブだったり現実的な面に目が向きやすくなる。

葵は実年齢だけでなく、精神面でも大人だ。会社では円滑な社内運営のために部署異動も受け入れる。カフェでアイスコーヒーをオーダーしてホットコーヒーが出てきた際も、店員を気遣ってホットコーヒーを受け入れていた。

こうした生き方を、大人になる過程で自然と身に付ける人は多く、「大人の対応」として理想視されることもある。大変な生き方にも見えるが、自分が我慢することで周囲とのトラブルを回避でき、折衷案を見つけるためにエネルギーを浪費することもない。"現状維持"に適した、負担が少ない生き方ともいえる。

葵の友人・佐川優子(坂井真紀)もまた大人として懸命に生きている。優子は父の介護をやり遂げたあと、「自分には何が残ったんだろう」と自問自答していた。

そうした中で、優子は澄晴に恋心を抱き、騙され、絵画を買わされてしまうのだが、それは彼が「綺麗だね」と必死に生きている自分を認めてくれたからだった。

年齢を重ねれば褒められることは少なくなり、むしろ相手をねぎらう側になる。しかし、大人にだって自分の頑張りを肯定されたいし、誰かの優しさに包まれたくなることはある。

葵と優子を通して視聴者も、心の奥底に押し込められていたそうした欲求にふと気づかされるかもしれない。本作は、アラフィフ女性の頑張りや寂しさにそっと寄り添いながらも、ときめきを与えてくれる作品だ。澄晴は絵画を恋愛商法で売る仕事に勤しんでおり、営業成績は社内トップクラスだ。

平野龍太(草川拓弥)に「お前ってさ、どうやっていいカモばっか見つけてくんの?」と聞かれた際、澄晴は「空っぽなやつ」「他人の薄っぺらい褒め言葉で満たされるような」と答えていた。

澄晴が他人の薄っぺらい褒め言葉で満たされる人を見極められるのは、彼自身もまた、その人たちと同じように空虚感を抱え、寂しさを抱いて生きているからだ。似た者同士は自然と引き寄せ合うというが、澄晴もまた、自分に似た人を自然と探し出せるのだろう。

澄晴は、夢を心に封じ込め「現状維持」をモットーに生きる葵に、どこか通じるものを感じた。寂しさを抱えた者同士は、年齢やバックグラウンドを超えて惹かれ合うことは意外にある。お互いに下心や別の目的があって近づいたとしても、相手に感情移入してしまうことはあるものだ。

◆内田有紀が放つ清らかな美しさ

年齢が親子ほど離れた男女の恋を描く『ラストノート』が、清らかで上品、そして美しい作品として成立しているのは、女性役が内田だからだと思う。

内田自身、類まれな美しさと高い演技力を兼ね備え、長年にわたって芸能界の第一線で活躍している。それでもなお、その瞳は澄んでおり、陽だまりのようなあたたかさを放っている。

内田は歴史上の人物やクールなキャリアウーマンなど、さまざまな役を演じてきた。その中でも、小泉今日子主演の『最後から二番目の恋』(フジテレビ系)で演じた長倉万理子のように、無邪気で純粋、内向的で美しい心を持つ個性的なキャラもハマリ役であった。

『ラストノート』でも、内田の透明感、あたたかな表情と優しい瞳、そして体当たりの演技が、作品全体に穏やかで清々しい空気をもたらしている。

酸いも甘いも経験してきた50歳の内田が葵を演じるからこそ、本作は多くの同世代に共感や感動を与えるのだ。

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