「3の数字は当たる」は本当か――『ぼくたちん家』『3000万円』『愛の、がっこう。』に潜むヒットドラマの法則
数字の“3”が登場するドラマはヒットする──。そんな妙な法則が、ここ最近の話題作で次々と浮かび上がっている。『ぼくたちん家』の“3000万円”、安達祐実主演『3000万円』、そして『愛の、がっこう。』で頻発した“300万円”…。なぜ名作ほど“3”が物語の核を握るのか? ドラマの“数字の魔力”を、コラムニストの小林久乃氏が探る。
◆4000万円よりも3000万円!
テレビドラマに“3”にまつわる数字が登場すると、ヒット作になる傾向が高いかもしれない――。そんなまことしやかな(?)法則に気づいてしまった。
例えば、放送中の及川光博主演『ぼくたちん家』(日本テレビ系)。優しいゲイのおじさん・波多野玄一(及川)が恋人の作田索(手越祐也)と家を買い、中学3年生・楠ほたる(白鳥玉季)の父親のふりをしているのが物語の主軸。主演の及川はこれまで数々の作品で、ちょっと嫌味、偏屈な役柄が多かったけれど、今回の役柄は本当に愛おしい。恋人の言動にやきもちを妬いたり、一喜一憂したりと恋するおじかわぶりが人気だ。ちなみにこのドラマでほたるは、逃亡中の母親が勤務していた会社から横領した約“3000万円”を所持している。
“3000万円”と言われて思い出すのは、昨年放送された安達祐実主演のドラマ『3000万円』(NHK総合)だ。派遣社員として働く佐々木祐子(安達)は、生活資金不足に悩んでいた。夫の義光(青木崇高)は定職についていないのに、楽観的で祐子に頼りっぱなし。一人息子の教育費用も捻出できないかもしれない不安を抱えていたある日、交通事故に遭う。相手は“3000万円”を持ち逃げしようとしていた犯罪者で、ふとした拍子に息子が3000万円を自宅に持ち帰ってしまう。一旦は警察に届けようとしたが「このお金があれば……!」と、下心が動き、一家の金による耽溺の道が始まってしまう。
こちらの作品、タイトルにダイレクトに“3”がついている。放送当時、物語のスピード感や緊迫感が話題となり、毎週SNSのハッシュタグが賑わせていたのを思い出す。私も毎週、ミステリードラマを見るような気持ちで軽く興奮しながら追いかけていた。この時も“3000万円”に、なんとも言えない親近感を感じていた。1000万円でも、4000万円でもなく、“3000万円”。同じくドラマを視聴していた男性(既婚)の友人がこう言っていた。
「3000万円って、絶妙にピンとくる数字なんだよね。今、娘の大学受験で我が家、本当にお金なくてさ。ドラマ見ながら『3000万円あれば』って、妄想したもん」
◆『愛の、がっこう。』に頻発して現れた“300万円”
続けて“3”にまつわる金額が登場するドラマと言って思い出すのが『愛の、がっこう。』(フジテレビ系)だ。高校教師の小川愛実(木村文乃)が、ホストのカヲル(ラウール/Snow Man)と恋に落ちて、仕事も家族も失っていく物語。二人の繊細なやり取りがとても美しく、毎話の恋の行方が話題を呼んだ。それだけでなく『第29回日刊スポーツ・ドラマグランプリ』で作品賞、主演女優賞(木村文乃)、助演男優賞(ラウール)、助演女優賞(筒井真理子)の4冠を受賞する快挙を遂げている、今年の話題作だ。
この放送当時、気になっていたのが多く現れていた“300万円”。トラブルメーカーの宇都宮明菜社長(吉瀬美智子)が、カヲルの勤めるホストクラブで入れたシャンパンの金額が“300万円”。そのホストクラブで売上金額がNo. 1になったら獲得できる賞金額が“300万円”。カヲルが義理の父から美容院経営ために貸してほしい、とせがまれた金額が、“300万円”。愛実の父がカヲルとの手切れ金とした用意した金が“300万円”。連続ドラマ放送中に何度も現れる“300万円”、これには何かコンセプトがあったのだろうか。
これは金額よりも“3”に対する何かがあると、私は睨んでいる。思い出すのが10年ほど前まで担当していた、某テーマパークのライセンシーブックでの一幕。どんな事業でも周年祭は盛り上がり、大きな売上を叩き出す。ただ単に周年、だけでは売上記録は作られない。10周年、20周年、25周年、40周年よりも“30周年”が、俄然盛り上がるデータが出ている。確かに表紙や本文ページのデザインをする際にも“30周年”の字面は扱いやすかった記憶がある。一般的なマーケティングデータでも、7より、8より“3”の人気が高い傾向。改めて見直すと「3サイズ」「3種の神器」「3拍子揃う」「3回勝負」「3連覇」「三度目の正直」「三寒四温」と、“3”のつく言葉は、そこかしこに溢れている。
こんなふうにここ数年で放送されたドラマで見かけた、“3”にまつわるヒットの法則。単に偶然かもしれないけれど、関係者の皆様、もし読まれていたらぜひご参考に……。
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