バン・シヒョク氏、BTS/Photo by Getty Images

“借金百億ウォン超”倒産直前からBTS世界的成功までの戦略 HYBEバン・シヒョク氏が告白「会社を畳まなければと思っていた」

2023.11.02 13:28

JYP EntertainmentのCCO・J.Y. Park(パク・ジニョン)とHYBEの議長バン・シヒョク氏が、1日に放送された韓国の有名トーク番組「ユ・クイズ ON THE BLOCK」(tvN)に出演。バン氏がBTS(ビーティーエス)の世界的成功までの軌跡を語った。


バン・シヒョク氏、JYPのプロデューサーを務め独立

バン・シヒョク氏(C)モデルプレス
バン・シヒョク氏(C)モデルプレス
BTSの生みの親としても知られるバン氏は、JYP Entertainmentのプロデューサー出身。JYPから独立後、HYBEの前進となるBig Hit Entertainmentを設立した。J.Y. Parkは苦楽を共にしたバン氏を弟のように慕っており、Big Hitの由来にもなった“hitman” bangというバン氏のニックネームもJ.Y. Parkがつけたものだという。

J.Y. Park(C)モデルプレス
J.Y. Park(C)モデルプレス
J.Y. Parkはバン氏の独立にも快く協力。契約期間が残った状況でも「君がしたいことをするのが正しい」と送り出し、初期資本を貸して業務提携も結んだという。バン氏は「ジニョンさんがそうしてくれたから始めることができた」と繰り返し話した。さらにJ.Y. Parkはアイドルグループ・2AMのプロデュースをバン氏に任せ、多くのヒット曲を生み出すことに成功する。

バン・シヒョク氏、百数十億ウォンの借金を抱えていた

バン・シヒョク氏/photo by Getty Images
バン・シヒョク氏/photo by Getty Images
しかしその後、Big Hit Entertainmentは大きな危機に直面。バン氏は「人間の欲はキリがない。学んだ通りに頑張らないといけなかったのに、また傲慢になったりして、そこですごく大きく倒れたんです」と明かし、当時借金が百数十億ウォンあったことを告白した。「その時はもう会社を畳まなければいけないと思っていた」と話したが、当時準備していたのがBTSだったという。

BTS/V、SUGA、JIN、JUNG KOOK、RM、JIMIN、J-HOPE/Photo by Getty Images
BTS/V、SUGA、JIN、JUNG KOOK、RM、JIMIN、J-HOPE/Photo by Getty Images
バン氏は当時の副社長に「自信がないのか」と問われ「(BTSの)メンバー達に関してはすごく自信がある」と答えたそう。すると副社長は「どうせもうこのお金をあなたの能力では返せない。このグループを1年やってみたとしてそこまで額は変わらない。返せないのは同じだ。本当に自信があるならやってみたらいい」と言われたそう。悩んだ末、バン氏は「やるのが正しいと思った。やらなければと思ってやって、その時BTSが上手くいったんです」と打ち明けた。


バン・シヒョク氏、BTSに可能性を感じた瞬間

BTS/Photo by Getty Images
BTS/Photo by Getty Images
またバン氏は「BTSがデビュー初期にうまくいかなかったと思われていますが、それは違います。『最初は全然ダメだったがアメリカに行って成功して帰って来た』というと素敵に聞こえますが、当時から新人賞を全て貰って、うまくいっていました」と、BTSがデビュー初期から良い反応を受けていたことを説明した。

BTS/Photo by Getty Images
BTS/Photo by Getty Images
MCから「これは普通のグループとは違う、と感じた瞬間はありましたか?」と聞かれると、バン氏は「何度かありました。2014年にLAで開催されたKCONに、トリでもなく、オープニングの1組として出たのですが、BTSがLAタイムズに大々的に紹介されました。その時に『これは何か違うようだ』と感じて会社の人たちに話したんです」と振り返った。

しかし社員たちは「またシヒョクさんが騒ぎ始めた。これくらいの反響はどのグループでもある。頼むから黙っていてくれ」という反応だったそう。バン氏は「なぜかというと、ほとんど倒産直前にBTSを出すことを決心してから、私は『自分が経営したからだ』ということに気づき、経営については完全に経営陣に渡していたんです」と当時経営からは退いていたことを明かした。

米進出を視野に入れた契機は?経営陣とは「ものすごく喧嘩」

BTS/Photo by Getty Images
BTS/Photo by Getty Images
ただその後2015年にBTSに大きな分岐点が到来する。同年『花様年華』のアルバムが大きな反響を呼び「僕はその時とても確信があったんです」とバン氏。「これは本当に違う。これまでK-POPでこのような反応はなかった。今、米国市場をテストしてみなければならない。アメリカ型の音楽をして、実際にアメリカのファンが反応するかを見なければならない」と感じたという。

ところが会社では「ついに経営に干渉してきた」と大騒ぎに。「今韓国を基盤に韓国型K-POPの曲でうまくいっているのに、なぜまたアメリカに…」と言われ「ものすごく喧嘩した」そうだが、バン氏は「今回だけは譲れないと言って『FIRE』という曲を出したんです」と海外での人気を獲得するまでの裏側を語った。

『FIRE』がグローバルヒットを記録し、バン氏は「その成績を分析し始め、Google検索指数を調べたら、この傾向で私たちがうまくいけば全盛期のワン・ダイレクションと似たレベルの歌手までは行けそうだ」という予測まで立てたという。ワン・ダイレクションと言えば、アイドル史上最大のグループの1つ。メンバーには「PDがあまりに大変でボケてしまったのかと思った」とも言われたという。

長期間準備した世界ツアー 米プロモーションに成功した戦略

BTS/Photo by Getty Images
BTS/Photo by Getty Images
『FIRE』のリリースの後にはワールドツアーが予定されており、「約1年半前から準備させました。韓国ではそれほど前からは準備させません」とバン氏。「有名だから有名な戦略を使おうと思いました。『誰かが有名らしいけど、実際はどんなキャリアで、なぜ有名なのか分からない。でも、皆が有名だと言っている』というケースがかなりあると思います。そうならないといけないと思って、かなり早くアメリカのスタッフたちと準備したんです」と米進出の戦略について口を開いた。

「南米での反応をニューヨークへ素早く知らせれば、私たちがニューヨークに行く頃には、ニューヨークの人々は『何でこんなに大騒ぎなのか』というような話をするだろうと思いました。メンバーたちも頑張ってくれて、運もあり、その通りになりました」と当時を振り返る。

BTS (C)モデルプレス
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ワールドツアーは、19都市40回公演55万席全席売り切れ。南米ではBTSの入国を生中継までした。バン氏は「南米でレギュラー放送を中断して中継をするほど反響があったので、ニューヨークでは『一体なんなんだ。私たちも知ろう』と。一度インパクトを与えて、ラジオプロモーションなどを回って、LAに到着した時には『BTSをよく知らないが、有名らしいから一度経験してみたい』と、観光地のように有名芸能人や彼らの子どもたちが沢山来たんです。そしてそれがSNSで広まった」と、その戦略が功を奏したことを語った。

MCから「誇らしくて胸がいっぱいになるけど、まるで夢のよう。なぜこんなことが起きたんだろうと思います」と言われると「本当に。僕も想像もできなかったことですから(笑)」とバン氏。「運命が引っ張っていってくれた。今のBTSを作ったのが私だというのはあまりに傲慢だと思う」とも話していた。

BTS全員再契約は「20年間で最も幸せ」

BTS/Photo by Getty Images
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なおHYBEは9月、BTSメンバー全員と再契約を締結することを発表。バン氏は「BTSクラスのアーティストは選択肢が多いにもかかわらず、私たちを選択してくれたこと自体が、私がマネジメント・レーベルのトップとしてBTSとやってきた歴史を認めてもらい、祝賀を受けたようだった。正直幸せなことばかりではなく、大部分はつり合いを取る時間なんです。なのでBTSが『兄さんを信じてもう一度やっていこう』と言ってくれた時はマネジメント職をやってきた20年を超える中で最も幸せだった」と顔をほころばせた。(modelpress編集部)

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