新木優子「SとX」役への共感と“声”との向き合い方「まだ閉ざしていた蓋を開ける作業だった」
2026.08.20 18:00
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Netflixシリーズ『SとX』(8月20日配信)でヒロイン・市之瀬佑美を演じる新木優子(あらき・ゆうこ/32)。「言いたいことが言えなかった時期があった」―― そう語る彼女が、役を通して見つめ直した“過去の自分”と、現場で深く信頼を寄せた初共演・中島健人から受けた刺激とは。【インタビュー前編】
“性の悩み”に真正面から挑む話題作『SとX』
本作は、多田基生氏の漫画『SとX~セラピスト霜鳥壱人の告白~』(講談社「モーニング」刊)を原作に、触れづらい性の悩みというテーマに真正面から挑み、他人のみならず自分も含めて「愛すること」に向き合うヒューマンドラマ。セックスレス、ED、セックス依存症、性的トラウマなど、誰にも打ち明けられない多様で切実な悩みを抱えるクライアントたちに優しく寄り添う精神科医兼セックスセラピスト・霜鳥壱人を演じるのは中島健人。新木は、そんな霜鳥と運命的な再会を果たす初恋の相手であり、現在TVキャスターとなったヒロイン・市之瀬佑美役を務める。
新木優子「実際に演じることができて嬉しかった」
― オファーを受けた時の心境と、原作を読んだ感想をお聞かせください。原作を読んで、みんながどこかに抱えてる悩みや、芯を突いた悩みが取り上げられていて、センシティブな内容でもありながらすごく面白かったです。佑美というキャラクターに共感できる部分もありましたし、霜鳥先生の考え方や作品全体から学ぶこと、考え方のヒントも多く共感できました。自分の中でも「(この役を)やってみたい」と率直に感じたので、実際に演じることができて嬉しかったです。
― 不安よりも前向きな気持ちの方が強かったんですね。
そうですね。お話を聞いた時にはすでに中島健人さんが決まっていたので「彼の霜鳥先生を見てみたいな」と思いました。私の中で中島さんはすごくプロフェッショナルで、いろんなところからプロフェッショナルな噂をたくさん聞いていたので、彼が演じる霜鳥先生の説得力はすごいだろうな、見てみたいなと思い、不安よりも興味と面白そうだなというすごく前向きな印象でした。
過去と自分と重なる共通点
― 共感する部分があったと仰っていましたが、佑美はどんな人物と捉え、どんなところに魅力を感じましたか?昔の私に重なる部分があるなと思いました。私自身、言いたいことや思ったことがあっても、発言する前に考えてしまって思っていることをあまり言えなかったり、誰かの意見に合わせてしまったり、自分の考えを貫き通す意志の強さが出せない時期がありました。
佑美は、上司との関係の中でそういうモヤっとしたものがあって、圧迫されているように感じているけど、上司の方からしたら自分がすべきことを全うしているんだと客観的に見て気づきました。
私も、素直に発言できないことのもどかしさとか、そういうフィルターを無くすことがベストだと思っていました。でもそれは必要な層で、まずは1回自分で考えて、発言して、それに対して私がわからなかった部分を直してくれる人がいて、というレイヤーの積み重ねで守られているものもたくさんあるんだなと感じました。まだ佑美はそこまで分かっていないけど、良い意味で殻を破ろうとしているもどかしさを感じている時期は私にもあったのですごく共感できました。
あとは、そういう気持ちをぶつける相手がいることの安心感みたいなところも共感できた部分です。私は周りの友だちや親しい仕事仲間に心境を聞いてもらった経験があって、佑美の場合は霜鳥先生や、セラピストの先生に。そういったところも含めて、「共感できないけど、どこから入ろう」みたいな不安は全くなくて、人生のトーンというか、人間性や性格や抱えているもやもや感じていることは、すっと理解できました。
― 佑美がアナウンサーとして周りからどう見られるかと自分のギャップについても描かれています。新木さんは俳優・モデル、同じ“見られる仕事”として共感する点がありましたか?
私はあまり「こう見えてほしい」「こういう風に見えてたらいいな」と思ったことがないんです。俳優として役に応じてこう見えてたらいいなというのはありますけど、他のお仕事やSNSなど全体的な新木優子像はそこまで作り込んでいるものではなく、各々思うままに思ってもらえたらいいですね。私について感じていることが人によって違うことも結構あるので、そういうのは面白いなと思います。
例えば、私自身はカジュアルでざっくばらんな性格だと思っていたんですけど、初対面の人からはクールっぽく見られるようで「(実際は)話しやすかった」と言ってもらうことがあるので、意外でした。
でも、親友や幼馴染に話を聞くと「テレビに出てる優子はまだ優子じゃない」って言われることもあるんです(笑)。私の中ではあまり外の顔しているつもりはなかったけど、言われて気づきました。
アナウンサー役を通じて向き合う“声と表現”
― アナウンサーを演じるうえでレッスンを受けたそうですが、いかがでしたか?あまり自分の滑舌に自信がある方ではなくて、自分がこういう風に喋ったと頭の中でイメージしてるものと、出来上がったものが全然違って聞こえたこともあったので、そういう難しさというか、今まで閉ざしていた蓋を開けなきゃいけない作業だったと思います。
演技は、表情や服装、音楽だったり色んなものが全部合わさって「こういう感情なんだ」って理解してもらうと思うんですけど、声のトーンや質もすごく大事で、相手をシーンの中に引き込む大きなきっかけなんだなということを、このアナウンサーのレッスンを通して実感しました。
自分が普段どこから声を出しているのか、アナウンサーの方たちはどういうところに気を遣って喋られているのか、「こんなに努力をされていたら、それは毎日のニュースが聞きやすいわけだ」という学びだらけでしたし、久しぶりに学校に行っている感覚もあって楽しかったです。
― 閉じていた蓋を開けてみて成長や手応えを感じた瞬間は?
現場では探り探りというか「こう出来ていたらいいな」と思ってやっていましたけど、周りの方から「すごくアナウンサーに見えた」と言っていただけたり、監督もすごく褒めてくださりました。本物かどうかは本物の方々に評価していただくものですが、自分の思い描いた形には出来ましたし、基礎が少しはついたかな…?と思います。
― レッスンは須黒(清華)アナが担当してくれたんですよね?いかがでしたか?
普段からハキハキお話しされるんですけど、いざ原稿を読んだ時の声の切り替わりがすごかったです。分かりやすく教えていただき純粋に楽しかったですし、こんなプロフェッショナルの方にずっと付いていただく機会はないなって思い、一生懸命ずっと口ばっかり見ていました。
― 改めて知ったことや勉強になったことはありますか?
ニュースでは「日本」のことを「ニッポン」と言うんですけど、そうやって統一している言葉があることが衝撃でした。あとは、濁点の鼻濁音。「んが」のように繋がりを持たせると聞き心地の良い音があるということも勉強になりました。
― 実際ニュース番組を見て、気になるようになりましたか?
気になるというか、この背景にはものすごい努力があるんだというのが見えるようになったので尊敬が勝るようになりました。
新木優子、中島健人と初共演
― 「プロフェッショナル」というお言葉もありましたが、初共演となった中島さんと一緒に撮影した感想は?私の思うケンティーはすごく陽気なキャラクターで、そこは霜鳥先生にはない、オフの時に会話していて見られる部分。(役と本人で)良い意味で全然違うベクトルの優しさがあって、休憩の時と役に入っている時で全然印象が違ったので、すごく素敵だなって思いましたし、私が見たかった霜鳥先生以上の霜鳥先生でした。
霜鳥先生のお決まりのセリフで「大丈夫です。悩んでない人なんていませんから」という言葉があるのですが、セラピストはそういう言葉の伝え方が大切なのかということを、中島さん演じる霜鳥先生を見て感じました。本当に安心してほしいから伝える言葉って、こんなにも目の前の人に響くものなんだなって目の前で体感させてもらって、贅沢な時間でした。
― 霜鳥先生ではない、オフの時間の中島さんからはどんなことを感じましたか?
エンターテイナー。楽しませてくれるというか気遣いがすごくて、ちょっとしたことでも気づいてくれる。中島さんがプロテインとか普段から体に取り入れるものに気を遣っていると仰っていて、普段どういうものを飲むの?みたいな話をしたら、次の撮影の時に持ってきてくれて「これ、前に言ってたやつだよ。味見してみて」みたいな。
そういう気遣いというか、些細なことでも覚えてくれてるのが、プロというか気遣いの人なんだなと感じました。ナチュラルにできている部分もあれば、ちゃんと気を遣われているところもあって、それこそ積み重ね、賜物なんだろうなと思いましたし、彼の真面目さと、その真っ直ぐな部分をひしひしと感じてましたね。
― 撮影中にプロフェッショナルを感じた瞬間は?
暑い時期の撮影だったので、汗をかいてしまうから対処したいと仰っていて、衣装部の方と相談して衣装の下に付けられる冷感の装備をしていました。その根底には、1回自分の汗でNGになってしまったことがあったらしくて、そうならないようにと。「夏はなるべく避けたい季節だったけど、やらなきゃいけない。やりきりたい」って仰っていて、そういう風にウィークポイントじゃないですけど、自分のことをしっかりと理解して対処してもらえるように伝えているのはすごいなって思いました。
あと、常に笑顔でしたね。みんなが楽しめるように。どんな時も笑顔で現場を和ませてくれていたなって思います。長い期間撮影をやっていると上手くいかないことやピリッとする時もあったんですけど、ケンティーが和やかにしてくれる場面が本当にたくさんあって、そのおかげでスムーズに行ったので助かりました。
― ご本人の前でもケンティーってお呼びになるんですか?
最初からケンティーって呼んでます。「そんなふうに呼んでくれるの?」ってびっくりしてました(笑)。「もうケンティーってしか呼べないよ」って言って、初対面からケンティーです。明るく受け入れてくれて「僕はむしろなんて呼べばいい?」「なんでも好きなように呼んで」ってなって、優子ちゃんって呼んでくれるようになったのかな。その始まりもすごく安心できるというか、一緒に作品を作っていくのを頑張ろうというイメージが出来ました。
(modelpress編集部)
新木優子(あらき・ゆうこ)プロフィール
1993年12月15日生まれ、東京都出身。スカウトをきっかけに2008年デビュー。2015年にゼクシィ8代目CMガールに選ばれ注目を集める。ファッション誌「non-no」の専属モデルを8年間務め、2021年にはベストジーニストを初受賞。自身の公式Instagramのフォロワー数が480万人を超え、幅広い世代からの支持を集めており、2020年よりDIORのジャパンアンバサダーを務めている。俳優としても活動し、近年の出演作には、『キングダム 大将軍の帰還』(2024)、『ほどなく、お別れです』(2026)、ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』(2025)、『良いこと悪いこと』(2025)など話題作に出演が相次ぐ。
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