全身脱毛症公表のGYUTAE「一生手に入れることができない」ビジュアル面で落ち込んだ時期 向き合う中で光になったもの・夢を叶える3つの秘訣【インタビュー後編】
2026.07.24 07:30
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10代で全身脱毛症を発症。メイクを通じてコンプレックスを強みに変え、前向きな姿勢と生き方で幅広い層から共感を集めるGYUTAE(ぎゅて/31)にモデルプレスがインタビュー。周りの目を気にして好きなメイクができなかった過去や、人生のターニングポイントに迫った前編に続き、後編では全身脱毛症を受け入れるまで、そして今のポジティブマインドを形成したルーツについて語ってもらった。【インタビュー後編】
GYUTAE、全身脱毛症公表したきっかけ
― SNSではメイクに加え、パーソナルな部分も注目を集めています。YouTubeで全身脱毛症を公表されるまでに葛藤や不安はありましたか?GYUTAE:最初は公表する気は全くなくて。自分の病気を友達に言うのも躊躇うし、言ってしまえば誰にも言いたくない話じゃないですか。でもYouTubeが伸びていく中で、メイクの発信をしているのにコメント欄は「なんで眉毛ないの?」「なんでウィッグ被っているの?」ばかりで。もっとメイクの技術を見てほしいのに、皆の注目が毛にしかいっていなかったんです。
どうしたらこの状況が改善されるんだろうと考えたときに、自分の口から話した方が早いなと思いました。そう決めてから行動に移すまでは早くて。直接的に対面で言うよりも、顔は晒しているし何なら本名も知られているのですがネットで公表する方が楽でした。僕が全身脱毛症と知っていてくれた方が、生活しやすいのもあるなと思って「言っちゃえ!」くらいの感じで言って、コメント欄を見てみたら、同じ境遇の方がたくさんいらっしゃったり、僕の発信を見て同じ病気の方が「勇気づけられました」と書いてくれていたり。それまでは単純にメイクの発信しかしていなかったのですが、「メイク動画以外でも与えられる影響があるんだな」と胸がじわーっと温かくなって、そこから動画を投稿するマインドも変わりました。ただ単にメイクのHow-toやメイクハックを載せるだけではなく、自分の日常や近況を話すというスタイルになっていったのはそこがきっかけです。
GYUTAE、24歳で治療をやめる決断
― 全身脱毛症と向き合う中で、メイクはどのような存在?GYUTAE:メイクがなかったら多分こんなにポジティブになれていないと思います。21歳のときに上京したのですが、当時は毛が生えたり抜けたりを繰り返している時期で。全部毛がなくなっているわけではないけど、ほぼなかったので、ウィッグがないと出歩けなかったです。18歳で脱毛症を発症してから24歳までは、6年間ずっと治療をしていて。病院に毎週通って、注射を打って、かゆみ治療や光治療などのありとあらゆる毛を生やす治療を全部していました。
その中で効果があったものももちろんあったのですが、18歳から24歳までずっと病院に通っている生活にすごく疲れてしまったんです。しかもそれだけ長い間治療に通っても、間違いなく毛が生える方法はなくて。自己免疫疾患と言って、自分の白血球が毛根を攻撃してしまうという体質なので、根治が難しい。それを考えたときに「一生治療を続けて痛い思いをしていかなければならないのかな」ということが頭によぎりました。治療の効果といっても少し産毛が生えるくらいで、目に見えてわかるものはなく、ホルモン系の治療は副作用で顔と足が腫れるんです。だから今より顔が2倍くらい腫れていたし、体は細いけど顔と足だけパンパンに腫れていたので、好きな服も着られなかった。
だったらもう治療をやめて、毛が生えなくてもいいから、自分の元のビジュアルを手に入れた方が幸せなのではないかなと思って、24歳のときに治療を完全にやめました。当たり前に毛が全部生えなくなってしまうので、全身の毛が抜けて、まつ毛や眉毛も1本もなくなりました。でもメイクがあったおかげで、眉毛がなくなっても描くという方法があって。当時は今みたいに毛を1本1本描くという発想がなかったので、アイシャドウで塗りつぶすだけの変な眉毛でしたが、それでもメイクをしていれば“濃いメイクをしている人”にはなれたので、そこに助けられた部分は大きかったです。
― メイクがGYUTAEさんのポジティブマインドを形作る鍵になったんですね。
GYUTAE:メイクがあったからこそ、誰かにメイクの方法を教えたり、動画を観てくれる人が真似して喜んでくれたりして、ある意味自分の存在意義が見出だせて、自己肯定感が保たれているところもあります。この職業に行き着いたのもメイクのおかげで、メイクがなかったらクリエイターもできていないです。
― コンプレックスを補えるメイクに救われた部分が大きかったんですね。
GYUTAE:14歳のときにメイクを始めたのも、コンプレックスが原因でした。目が小さい、顔が丸いなど、いろいろなコンプレックスがあって。そんなときにジュンスさんがソロデビューの際に、普段の親しみやすいビジュアルから180度変わっている姿を見て、メイクに興味を持ちました。白髪で白いコンタクトレンズで顔が真っ白で、「デスノート」のリュークみたいな衣装を着られていて。それを見たときに「男性でもこんなにメイクで変わるんだな」と思って真似したところから、僕のメイクの道が開けました。1番最初は黒いシャドウで目の周りを塗りつぶすだけでしたが、それでもやっぱり目に覇気が出て、強くなった感じがし、楽しいなと思って今に行き着いています。コンプレックスを味方にできたのもメイクのおかげです。
GYUTAEの悲しみを乗り越えた方法
― 壁にぶつかっている読者に向けて、GYUTAEさんの悲しみを乗り越えた方法を教えてください。GYUTAE:反骨精神以外の何物でもないです。昔から負けず嫌いで、基本的には何に対しても負けたくなくて。21歳で広島から上京するときに、親からすごく反対されました。親はもちろん子どものことが心配で、僕の場合、病気のこともずっと近くで支えてきてくれたこともあって、余計に不安だったと思うんです。しかも上京のきっかけが芸能のオーディションで合格したことだったのですが、芸能活動への興味や憧れを親に話したときに「毛がないわけだから、例えば俳優になるにしても、何の役も演じられないだろうし…」のようなマイナスなことをすごく言われて。でもそこで絶対に負けたくないと思う気持ちと、「自分はこんなところで終わる人間ではない」という根拠のない自信が昔からあったので、「絶対上京する」と押し切りました。
最初はもちろんいろいろな壁にぶつかっていたし、家賃5万円のアパートで3食パスタを茹でて食べていたので、今のような生活はできていなかった。でも諦めないことが大事だなと思ってずっと頑張り続けていたし、昔から運はすごくありました。だから漠然とした自信だけを信じて、突き進んでいけました。
GYUTAEの夢を叶える秘訣
― モデルプレス読者には夢を追いかけている方も多いので、そういった方に向けてGYUTAEさんの夢を叶える秘訣を教えてください。GYUTAE:諦めないことです。もちろんあまりにも高すぎる夢だと叶えるのが難しいこともあると思うのですが、ある程度続けていくことはすごく大事です。
あとは自分をよく知ること。僕はすごく緊張しいで、テレビの本番前は特に吐きそうになるくらいなので、鏡に向かって喋るなど、マインドコントロールをしていて。周りから見たら変ですが、鏡に向かって「絶対大丈夫」と言うと、目の前の自分に言われている感じがするので、気持ちが落ち着きやすい。最近、自分のビジュアル面で病んでいたときも自分を知っていたことが役に立ちました。僕の場合、自分のなりたい理想の雰囲気と、自分の持っていないものとでは乖離がありすぎて。例えば、ナチュラルメイクをしたいけど、眉毛が生えないので、描く眉毛と実際に生えていて濃い眉毛は全然質感が違う。それを手に入れたくても、僕は一生手に入れることができない。描くのがどれだけ上手くなったとして、自然に生えている濃い眉毛とは全く違って平面だから、そこに対して病んでいたときがありました。
でも自分が病んでいるのも自覚していて。「梅雨の時期で太陽光がないからセロトニンの分泌が少なくて病んでいるのかな」などと考えるタイプなので、その病み気質の自分から抜け出す方法も何回も経験があるから分かっていて、それをルーティンのようにすれば、復活できるんです。『プラダを着た悪魔』か『マイ・インターン』を観て、友達と飲みに行って、カラオケをして、お風呂に浸かってよく寝れば元気になれる。それの繰り返しなので、自分のことをよく知っていると、「こうなったときにこうしたら自分は持ち直せる」ということが分かるので、楽だなと思います。
ほかには大きい目標を立てすぎないことかな。僕は3ヶ月以内に叶えられる目標しか立てなくて。コロナウイルスが流行る前は大きい目標も追っていたのですが、コロナ禍を経験して「明日どうなるかわからない」と思うようになりました。また急に病原菌が流行って死んでしまうかもしれないし、外出禁止になって生活が一変するかもしれない。コロナ禍で皆さんの家にいる時間が増えて動画が観てもらえるようになったクリエイターの1人ではあるのですが、コロナウイルスが流行ったことで考えさせられたことが本当に大きくて。遠すぎる目標ばかりを立てても疲れる一方で気持ちがついていかない。だから近い未来に叶えられることを着実に叶えていって、コツコツ生きていく方がいいかなと思います。
取材こぼれ話
― 最近のベストバイコスメは?GYUTAE:最近出たfwee(フィー)のシェイキングミストがやばいです!ミストはメイクをフィックスさせるものなので、普通ただの液体なのですが、これは液体の中にパウダーがいっぱい入っていて。ピンクと黄色とブルーの3種類あって、質感が違うのですが、僕はマット肌が好きなので、ピンクがお気に入りです。これを吹きかけるだけで本当にメイクが崩れないし、パウダーを浴びたみたいにサラサラになるんです。革新的!
― ありがとうございました!
(modelpress編集部)
GYUTAE(ぎゅて)プロフィール
1994年12月23日生まれ、広島県出身。SNS総フォロワー数は300万人超え。10代で発症した全身脱毛症と向き合いながらも、前向きな姿勢と生き方が幅広い層から共感を集める。メイクを通じてコンプレックスを強みに変える方法を発信し、性別や国籍、ジャンルを超えた変身メイクが度々話題に。その技術は多方面で注目を集め、中島美嘉のMVではメイクを担当。2022年には「ベストスタイリングアワード2022」、2023年には「ネイルオブザイヤー」を受賞した。さらに2022年には初の著書『無いならメイクで描けばいい』(幻冬舎)、2025年には初の写真集『FULL MOON』(講談社)を出版している。
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