高橋一生、初共演・井浦新の魅力熱弁「なぜこんなにも惹かれるんだろう」邦画初の全編ヴェネツィアロケ裏話【「岸辺露伴は動かない 懺悔室」インタビュー】
2025.05.02 08:00
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モデルプレスの独自企画「今月のカバーモデル」で2025年5月のカバーモデルを務めたのは、映画「岸辺露伴は動かない 懺悔室」(5月23日公開)で主演を務める俳優の高橋一生(たかはし・いっせい/44)と共演の井浦新(いうら・あらた/50)。シリーズの原点でありファンからも圧倒的な支持を受ける「懺悔室」の映画化に挑んだ2人が、作品への深い思いや全編ヴェネツィアロケの裏側、“幸せ”について語ってくれた。
映画「岸辺露伴は動かない 懺悔室」
2020年末より高橋主演で実写ドラマ化され、「実写化の理想系」「完成度が高すぎる」と、そのクオリティを多くの原作ファンが絶賛した本作。人気は原作ファンに留まらずドラマファンにも大きな反響を呼び、2023年にはフランスのルーヴル美術館を舞台に展開される映画「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」が映画版第1作目として公開された。その制作チームが、シリーズの記念すべき最初の作品で、ファンの間で屈指の人気を誇るエピソード「懺悔室」を完全映画化。邦画初となる全編ヴェネツィアロケを敢行し、史上最大スケールで届ける。「ヘブンズ・ドアー、今、心の扉は開かれる」相手を本にして、生い立ちや秘密を読み、指示を書き込むこともできる特殊な力“ヘブンズ・ドアー”を持つ人気漫画家・岸辺露伴(高橋)が、担当編集・泉京香(飯豊まりえ)と共に奇怪な事件や不可思議な現象に立ち向かう物語。
高橋、飯豊のほか、本映画では自らの犯した「あやまち」を告白する謎の男・田宮を井浦、ヴェネツィアの仮面職人・マリアを玉城ティナ、田宮が告白する恐ろしい話のカギを握る浮浪者・ソトバを戸次重幸、ソトバを死なせてしまい“幸運”に襲われる“呪い”をかけられてしまった水尾を大東駿介がそれぞれ演じる。
高橋一生「懺悔室」映画化は「感慨深かった」
ー 本作には、原作の内容に加えて、オリジナルの展開も入ってくるということですが、初めに脚本を読んだ際の感想から教えてください。井浦:僕自身、原作者への思い入れが深い作品でもあるので、脚本を読んだ時は、単に「仕事として渡された脚本を読む」という感覚ではなく、もっと純粋な喜びや高揚感がありました。原作を踏まえた上でのオリジナルストーリーがたっぷり詰まっていて、まるで“まだ見てはいけない扉”を開けてしまったような感覚。演じる側としての思いもありましたが、どこかで1人のファンとしての気持ちもあり、最初はセリフを覚えるとかではなくファンとして読んだような感覚でした。
高橋:原作と、そこから派生した今回のオリジナル脚本が、全く縫い目を感じさせずに自然に作られていたのが印象的で、最初から1つの作品だったかのように違和感なく読めていることに感動しました。ここまで岸辺露伴をやってきて、ようやく「懺悔室」を映画化できることに、大きな意味を感じましたし、新たに加わった登場人物たちも含めて、これまで積み重ねてきたチームの熟成された雰囲気の中でだからこそ、ようやく手が届いた——そんな感慨深さがあります。
高橋一生&井浦新、脚本の魅力語る
ー 本作の脚本を読んで、感銘を受けた部分がありましたら教えてください。高橋:「幸せとは何か」という問いについて、作品を通じて改めて考えさせられました。誰かにとっての幸せが、他の誰かにとっては足枷になることもある。そんな風に幸せという言葉が確立しているにも関わらず、共通の定義があるようで実はとても曖昧で、人によってまったく異なるものだと実感しました。「絶望って何ですか?」と聞かれたらある程度、皆が似たようなイメージを持つと思うけれど、「あなたにとって幸せは?」と問われたら、複雑で定義しがたい。それが“穏やかさ”だったり“平穏”だとする人もいれば、真逆の“刺激的なことが幸せ”と答える人もいる。定義しづらいものを自分が受け取った時にどういう風に捉えるか。今回出ている登場人物は、願ってもいなかった幸運がやってきた時に、皆それぞれの反応をしているんです。その反応がある意味、幸福に対するひとつの答えになっているようにも思えましたし、そういったことを考えながら芝居していました。
井浦:「岸辺露伴は動かない」だけではなく、荒木先生が描く物語は青春や男同士の格闘、壮大なスケールの人間ドラマなど様々です。ですが、どの作品でも素敵な瞬間を描き続けるのではなく、他人には見せたくない奥底の部分や闇の部分を描くことで、小さな希望の光だったり、明るい景色だったりを感じることができると思います。戸次重幸さんが演じるソトバや、大東駿介くん演じる水尾もそうですが、荒木先生が描くキャラクターって、どこか“人間の薄汚い部分”を持っているんです。でもその中に、確かな“人間らしさ”が滲み出ていて、それがとても魅力的だと感じます。
今回のように登場人物が限られた物語では、特に“人間という存在”が浮き彫りになります。運命に引っ張られて、それぞれの立場に立たされた時に出てくる表情や言葉は、きっとセリフ以上に印象に残ると思います。実際に現場でそれを見ていて、一瞬たりとも見逃したくない気持ちになったので、自分の芝居がない日も現場に行って見ていました。皆さんのお芝居は、言葉にならない憂い、喜び、怒りといった感情を全て目で表現していて、本当に素晴らしかったです。
高橋一生&井浦新、初共演で感じた互いの魅力
ー 今回お2人は初共演ということで、共演前の印象と撮影を経て感じる現在の印象を教えてください。井浦:一生くんは、どんな役でも演じることができて、ただ演技が上手とかだけではなく、言葉では定義されない、本当になんでもできる人だと感じていました。実際にお会いして芝居で交えてみると、芝居というテクニックを通して、“血の通った人間”に心を乗せて演じている。漫画を超えて、“高橋一生が演じる露伴”という人物が目の前にいて、会話をしているし、ちゃんと跳ね返ってくる。人間の生きている姿があることを一生くんが演じる岸辺露伴を通して感じることができました。「こういう芝居をされるんだな」「何でもできるな」と思ったのは、側ではなく、しっかり演じる役に責任を持って、その内側を表に出そうとしているから、何でもできてしまっているように見えていたんだなと、腑に落ちました。そのため、芝居をしている時は、「何が飛び出してくるのだろう」とヒヤヒヤしましたが、何が起きようが、映画の神様が与えてくれるギフトはすごく嬉しいので、2人での芝居のところはワクワクしながらやらせていただきました。
高橋:僕が好きだなと思う芝居をされる方だなと思っていて、ご一緒する前から「新さんの芝居になぜこんなにも惹かれるんだろう」といろいろ考えていました。毎回作品を見るたびに、新さんが演じられる役を丸ごと好きになってしまうんです。佇まいはさることながら、きっと新さんの何か根本的な人間性のような部分に魅力を感じていると思います。実際、ヴェネツィアで初めて共演させていただいて、芝居を重ねるほど、人としての奥行きや奥ゆかしさみたいなものが、役の端々に投影されていくんだなという感覚がありました。そこの部分に関しては、新さんの作品への臨み方も含めて、どこか畏敬に近い思いを感じながら芝居をさせてもらっていました。新さんは普段どんなことを感じられていて、どういう風な思いでいるのか、芝居を通していい意味でものすごく透けてくるので、それに触れるたびに「人って素敵だな」と感じながら演じていました。
井浦:ありがとうございます。
高橋一生&井浦新、全編ヴェネツィア撮影で感じた日本との違い
ー 撮影は、邦画初となる全編ヴェネツィアで実施されたとのことですが、撮影を経て感じたことや自身にとってどんな経験になったか教えてください。高橋:露伴というキャラクターがヴェネツィアでも自然にそこに存在していて、何の違和感もなかった。スタッフ・キャストの皆さんに支えられて、どこにいても変わらず存在できることに感動しました。芝居に関しては、現地のスタッフの方々とご一緒できたことで、日本の現場との違いも色々見えてきて。いいところや悪いところがそれぞれあるのですが、当時、言語化できなかった部分が、日本に戻って比較してみてから腑に落ちたりもしました。俳優としてそういう現場にいられたことは、いいことだったなと思っています。
ー 現地のスタッフは陽気な方が多いですか?
高橋:関西のようなノリで、人のことが好きな方が多いと感じました。コミュニケーションをたくさん取ってくださるし、元気もいいですし、皆さん朝にエスプレッソを飲まないと始まらないですし(笑)。また、労働時間が決まっていて人権も大切にしている。とてもいい環境だと思います。尊重されているほど、作品に愛を向けられるのだと大いにわかりました。自分の生活でいっぱいになっていたら、作品も愛せないなと感じましたし、余白が与えられている現場は、本当に素晴らしいことだなと思いました。ある日夜まで撮影する日があり、夜は日本人スタッフのみとなったことがあったんですが、移動する際には現地のスタッフさんが皆バーで飲み始めていて「いってらっしゃい!」と声をかけてくれて。それがもう何の嫌みもなく、「この環境、素晴らしいな」と思いながらやっていたので、俳優として感じられるところが多くありました。
井浦:全編ヴェネツィアロケということで、6~7割方はイタリアやヨーロッパのスタッフで、普段チーフの人たちがセカンドとして動いてくれるような現場でした。もちろん日本の作品だけど、ほぼ海外の作品だなと思うぐらい、ヨーロッパのスタッフの方たちが現場を作ってくれました。技術スタッフ、カメラスタッフは日本人だけど、その周りはヨーロッパのスタッフさんが固めてくれるというのは、全編イタリアだったからですし、しっかり時間をかけて撮らせてもらえているから、その変容を見ていけたのはとてもありがたかったです。言葉が通じなくても、お互い最初は自分たちのやり方を見せ合いながら、譲れないところは「こう撮りたいんだ」と相手に敬意を持ちながらディスカッションし合って、次第に認め合っていき、それぞれの部署が一体となっていく。その変容を俳優部は、1歩引いて見ているので、どんどんいいチームになっていくのが目に見えてわかると、「今すごく奇跡的な現場に居合わせているんだな」と感じることができました。また、最後までヴェネツィアでの撮影だったので、スタッフさん含め、俳優もそうですが、1つになっていく。「この作品絶対撮ろうね」という情熱を感じながら作品を撮れたのは、ありがたい経験だと思いました。
一生くんも言っていましたが、現地ではエスプレッソで1日を始め、温かい食事を皆でとり、必ず1時間しっかり休憩をとるというサイクルがありました。どれだけ大変で疲れていても、そうしたルーティンがあることで自然と前向きに頑張ることができました。こういった環境は日本では意外と少なくて、アメリカでもヨーロッパでもこれがスタンダードということを知ると、日本の現場にも、まだまだ伸びしろがあると実感しました。
高橋一生&井浦新、全編ヴェネツィア撮影で感じた幸せ明かす
ー 今回の作品は、“人生最高の幸せの瞬間”が大きなテーマの1つとなっています。お2人にとっての幸せの瞬間を教えてください。高橋:常に更新されていますね。過去で幸せだったことが毎回塗り替えられていくので、今が1番幸せです。今回の撮影期間は、芝居のことで頭がいっぱいになっていましたが、改めて考えたら撮影が終わって、寝泊まりしているところに戻ってきて、明日の準備をしていると、改めて「とても幸福な場所にいるんだな」と毎日感じていました。朝は真っ暗な時間に自転車や車が走っていない、朝の街を見ながら、パンをかじって15分歩いて支度場に行って。現場まで船で移動するのですが、なかなか経験できることではないと思いながら、やっぱり日々幸せを感じていました。あと、キッチンがある宿だったので、地元の食材を買い込んで、豚の生姜焼きを作ったのですが、あまり美味しくならなくて…。やっぱり、現地の料理を作ったほうがよっぽど美味しいですね(笑)。
井浦:僕も一生くんと考え方が似ています。今が本当に大事だなと思っているので、「幸せを感じている瞬間」を質問されると、過去を思い出すよりも、それを積み重ねてきた“今”という上澄みの部分が大事でいつも幸せだなと思っています。今回の撮影期間だと、まだ4ヶ月前とかの話(インタビューは4月上旬に実施)で、長い人生の中で考えた時、この撮影期間を“今”の枠に入れられるなら、本当に特別だったと思います。一生くんが言っていたように朝15分歩いて、5時だろうが夕方入りだろうが何時入りだろうが、必ず歩いて支度場に向かうのですが、その支度場に向かう景色が僕の中ではこの作品を表す景色になっています。雨が降っていても、石畳が少しキラッとしていて、空はグレーだけど輝いていて。ヴェネツィアなのに、誰も人がいない道を1人で黙々と歩きながら「この瞬間すごいな」と思いながら、毎日同じ道の写真を記録していました。
あと、ヴェネツィアで食べたトマトがとっても美味しくて、同じトマトなのに何かが違うんですよ。そして、作る料理も段々と洋食が多くなっていきました。この撮影で毎日過ごしていく時間が本当に愛おしくて、皆さんに届けたいから終わらせなきゃいけないけれど、このまま長くここで撮影して、こうして皆で過ごすことができたら幸せだな…と思っていました。なかなかない経験をさせていただきました。
高橋:朝には船乗りの歌声が聞こえて、ゴンドラが宿の真横の運河を通っていて、朝から少し騒がしいなとも思いましたが、あの空気感ってヴェネツィアでしか味わえないですよね。幸福な日々でした。
ー 素敵なお話をありがとうございました。
(modelpress編集部)
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高橋一生(たかはし・いっせい)プロフィール
1980年12月9日生まれ、東京都出身。ドラマや映画、舞台と多岐にわたり活動。主な出演ドラマは、「岸辺露伴は動かない」(2020~24年・NHK)、「天国と地獄~サイコな2人~」(2021年・TBS)、「恋せぬふたり」(2022年・NHK)「雪国-SNOW COUNTRY-」(2024年・BSプレミアム)、「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」シリーズ(2023~24年・テレビ朝日系)、「ブラック・ジャック」(2024年・テレビ朝日系)など。連続ドラマW「1972 渚の螢火」(WOWOW)が今秋放送予定。井浦新(いうら・あらた)プロフィール
1974年9月15日生まれ、東京都出身。1998年、映画「ワンダフルライフ」で初主演。以降、映画を中心にドラマ、ナレーションなど幅広く活動。また映画館を応援する「MINI THEATER PARK」、アパレルブランド「ELNEST CREATIVE ACTIVITY」ディレクターや、サステナブル・コスメブランド「Kruhi」のファウンダーを務めるなど、その活動は多岐にわたる。主な出演ドラマは、「アンナチュラル」(2018年・TBS)、「最愛」(2021年・TBS)、大河ドラマ「光る君へ」(2024年・NHK総合)、「アンメット ある脳外科医の日記」(2024年・カンテレ)「おっさんずラブ-リターンズ-」(2024年・テレビ朝日系)など。
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