堀田真由「御上先生」殺人犯・真山弓弦への先入観に感じた言葉の強さ “分からなさ”を抱えた役への向き合い方【インタビュー前編】
2025.03.13 15:00
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TBS系日曜劇場「御上先生」(毎週日曜よる9時~)に出演する女優の堀田真由(ほった・まゆ/26)に、モデルプレスらがインタビュー。自身が演じる役柄への向き合い方や、心に響いたセリフについて聞いた。<前編>
松坂桃李主演「御上先生」
本作は子供が生きる「学校」、大人がもがく「省庁」という一見別次元にあるこの2つを中心に展開。未来を夢見る子供たちが汚い大人たちの権力によって犠牲になっている現実に1人の官僚教師・御上(松坂桃李)と、令和の高校生たちが共に立ち向かう、教育のあるべき真の姿を描く大逆転教育再生ストーリーだ。堀田が演じるのは、御上が赴任した隣徳学院の元教師・冴島悠子(常盤貴子)の娘で、国家公務員採用総合職試験の会場で殺人事件を起こした犯人・真山弓弦。堀田は「アンチヒーロー」(2024)以来、約1年ぶりの日曜劇場出演となる。
堀田真由、弓弦への先入観に感じた“言葉の強さ”
― プロデューサーの飯田和孝さんが以前のインタビューで、真山弓弦という人物は当初は男性を想定していましたが「アンチヒーロー」での堀田さんのお芝居を見て変更したとお話されていました。視聴者からも「男性だと思っていた」という声が多く上がっていましたが、堀田さんご自身は真山弓弦をご自身が演じることをどう捉えていますか?堀田:この作品に出演させていただき、自分自身も「こういう事件を起こす方はこういうイメージなんじゃないか」と先入観を抱いてしまう部分は無くはないなとハッとさせられました。2話で弓弦の顔が出たのですが、視聴者のみなさんが本当に驚かれていて。このドラマに限らず、日常生活でも人から聞いた話だけで先入観をもってしまうこともあると思いますし、見えない相手からの言葉の強さを改めて感じました。
弓弦が当初は男性の予定だったというのは、クランクイン前に飯田さんからいただいたお手紙に書いてあり、知りました。「アンチヒーロー」の撮影中に「御上先生」でもご一緒させていただくことを知り、また新たな挑戦をさせていただけること、そして私の役者人の中でも大事な作品の一つである「アンチヒーロー」のスタッフのみなさんと一緒に物作りをできることがすごく嬉しかったです。
堀田真由「アンチヒーロー」が転機に
― 「アンチヒーロー」はご自身にとってどのような経験になりましたか?堀田:撮影が約5ヶ月ほどあり、それだけ長い期間1つの役を演じるという経験が今までなかったので、それがまず1つ大きな変化だったのですが、5ヶ月の間、紫ノ宮(飛鳥)を演じているうちに、役と同居している感覚を初めて味わいました。いつも現場に行くときは、ギアを入れて切り替えているところがあったのですが、役にすんなりと入っていける自分がいるという変化は不思議でした。また、長谷川(博己)さん、北村(匠海)さんと3人でいることが多かったので、作品が終わった後も交流をさせていただいているのですが、「アンチヒーロー」の話はもちろん、「これから日本がどういう作品を作っていかなければいけないんだろう」「世界と戦うにはこういうものを作らなきゃいけないよね」というような熱い話などもさせていただいて、そういう深い話ができる方に出会えたことが、嬉しかったです。
― では「御上先生」はいかがですか?
堀田:この作品に出て他と違うと感じたのが、人を殺めてしまっている事実を私自身が受け入れてはいけないけれど、受け入れないとこのキャラクターを全うすることはできないという感覚です。理解できるけど共感できない役や、理解も共感もできる役はよくあるのですが、弓弦はどこか理解はできるけど本当は理解してはいけないし、でも受け入れないとこの役を演じられないし…と、自分と役を合わせるのがすごく難しかったです。弓弦は感じたことのない気持ちや感覚ばかりで、“分からなさ”を抱えて現場にいたのですが、ふと「分からないことは悪いことじゃない」と気付きました。むしろ分かったつもりで物事を進めていくことの方が怖いのでは、と違う角度から物事を考えられるようになったので、これからお仕事を続けていく上ですごく大事な時間になりました。
― 「アンチヒーロー」では役と同居する感覚を初めて味わったとおっしゃっていましたが、「御上先生」ではその経験が活きたのでしょうか?
堀田:また別のものでした。もちろん「アンチヒーロー」があったからこそ、成長している部分を反映できたところもあったと思うのですが、それ以上に「アンチヒーロー」のチームと一緒だというのが私にとって大きかったです。やはり5ヶ月間ご一緒させていただき一人ひとりに対しての信頼があったので、「分からないな」「どうすればいいんだろう」という自分の気持ちを素直に伝えやすく、リラックスできる現場でした。
堀田真由、御上&神崎の言葉に「ハッとさせられた」
― 以前、吉岡里帆さんや岡田将生さんにインタビューした際、今作は「考えるきっかけになるドラマ」だとおっしゃっていたのですが、堀田さんご自身がこの作品を通して新たに考えるようになったことはありますか?堀田:弓弦、御上先生、神崎(拓斗/奥平大兼)くんの接見室でのシーンで御上先生が「本当に悪い人間はここにはいない」とお話をされた後の、神崎くんの「でも自分の責任だって思わないと、進めないから。俺も、弓弦さんも」というセリフに私自身すごくハッとさせられました。社会や世の中という大きな世界でも、学校や会社という小さな組織でも、あらゆることを自分ではなく世の中の責任にしてしまっていることが多いと思いますが、自分自身が考えて行動しなければいけなくて、そうすることでもしかしたら隣の人の痛みや弱さに気付けるかもしれないと気付かされる素敵なセリフです。詩森ろば先生が書かれる世界は1つ1つのセリフに重みを感じ、どの言葉も好きなのですが、実際に私が弓弦としてそこに生きていて、その言葉をお二人から聞いたときのことは1番印象に残っています。弓弦は人を殺めてしまって悪い人であることは間違いない状況で、あの言葉を掛けてくれたということは、「その言葉の裏は…?」と考えるとすごい言葉だと思い、弓弦としても、私自身としても響きました。
★共演の松坂、奥平らの印象や、接見室のシーンでのこだわりを語ってもらった後編は、16日公開予定。
(modelpress編集部)
堀田真由(ほった・まゆ)プロフィール
1998年4月2日生まれ、滋賀県出身。2015年、WOWOW「テミスの求刑」にてデビュー。NHK連続テレビ小説「わろてんか」(2017)で注目を集め、その後、日本テレビ系「3年A組―今から皆さんは、人質です―」(2019)やNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022)など、話題作に数多く出演。近年はフジテレビ系「風間公親-教場0-」(2023)、日本テレビ系「若草物語-恋する姉妹と恋せぬ私-」(2024)、映画「劇場版 君と世界が終わる日に FINAL」(2024)などに出演している。今年5月にはデビュー10周年を記念した初のファンイベントを開催する。「御上先生」第9話あらすじ
「助けて」という富永(蒔田彩珠)の元に向かった御上(松坂桃李)と次元(窪塚愛流)、彼らが目にしたのは、聡明で、明るい彼女とは程遠い、苦しみを抱えた姿だった。そして悠子(常盤貴子)から語られる隣徳学院で起きた出来事、戸倉樹(高橋恭平)が抱えていた苦悩が明かされ、明らかになり始める隣徳の不正。そして遂に、ヤマトタケルが姿を表す。その人物は、本当に味方なのか、それとも敵なのかー。
【Not Sponsored 記事】
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