福本莉子、声優挑戦の不安を乗り越えた方法・救われた言葉「自分の中ではやり切った」＜「転スラ」インタビュー＞

「劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編」

シリーズ累計発行部数3,000万部突破の人気異世界ファンタジー『転生したらスライムだった件』（通称『転スラ』）初の劇場版作品となる『劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』。スライムとして転生した元サラリーマンのリムル＝テンペストが仲間とともに奮闘し、国を興し、異世界で頭角を現すまでを描いたTVアニメ第1期。大いなる陰謀を退け、リムルが魔王の一柱（ひとり）にまで上り詰めたTVアニメ第2期。そして『転スラ』ワールドがさらに進化。劇場版は完全新作として、ストーリー原案を原作・伏瀬が担当する。

福本は謎の力を持ち、物語の舞台となる「ラージャ小亜国」の女王・トワ役を演じた。

福本莉子「転スラ」声優挑戦で不安を乗り越えた方法

― 今作では、メインキャラクターとして声優に挑戦されていますが、声優のお仕事に対して実際に演じた後の印象の変化があれば教えて下さい。

福本：私が収録する時には他の方の収録はすでに終わっている状況でした。映像がまだ完成していない状態でのアフレコだったにも関わらず、皆さんの声だけで完成していない部分の情景が思い浮かび、その中で私はアフレコをすることができたので「プロの声優さんは違うな」と体感しました。台本には、ト書きで戦闘シーンの説明などがあるのですが、声だけで「ここまで表現できるのか」と驚きました。アフレコを経験したことによって、普段のアニメの観方も変わってくるなと思いました。

― 出演が解禁された際、「周りがプロの声優さんばかりで不安もあった」とコメントされていましたが、どのようにしてその不安な気持ちを切り替え、乗り越えたのですか？

福本：アフレコ本番までにとにかく準備をしました。セリフの秒数などの時間にとらわれないで、その場で言えるような練習をたくさんして、現場では音響監督さんから言われたことに対応できるよう不安要素を払っていきました。不安要素があると自信を持ってできないので、家でぼそぼそとセリフを言っていました。

― 家でセリフの練習をしていることが多いのですか？

福本：カフェで台本を読んでいる時もあります。台本を読みながら、自分の中での疑問点をノートに書き出したりします。

福本莉子、梶裕貴からアドバイス

― アフレコ収録の前に誰かに相談をしたりアドバイスをもらったりしましたか？

福本：コロナ禍だったこともあり、出演者が揃ってアフレコをすることができず、1人で収録をしないといけなかったので、独学で臨みました。あとは、梶裕貴さんに連絡をしたら「おめでとう！」と声をかけて下さって。「どうしたらいいですかね？」と相談したら、長文の返信がきて相談に乗って下さり、それを参考にしながら収録しました。

― アフレコを振り返り、苦戦したことや上手くいったことなど何かエピソードがあれば教えて下さい。

福本：皆さんに届くまで不安はありますが、自分の中ではやり切ったと思っています。ただ最初のシーンは、全て撮り終わった後に「もう1回撮り直さなくて大丈夫ですか？」と撮り直しを提案したこともありました。楽しかったシーンとしては、演じているトワは他のキャラクターたちのようには技を出さないタイプのキャラクターなのですが、終盤のシーンで必殺技のように祈るセリフがあり、普段の生活だと絶対に言わない「転スラ」らしいセリフを言えたように感じたので、嬉しかったです（笑）。

― 本編前半では女王らしい強さ、後半では女性らしい柔らかい雰囲気を声色から感じたのですが、トワの心情の変化を表現する時に工夫したことを教えて下さい。

福本：最初の登場シーンは、自己紹介の意味もあるので女王としてしっかり芯が通っているように見えることを意識しました。一方で、トワは若さゆえの弱さや女王として孤独で寂しい気持ちも持ち合わせています。劇中で後から追加したと監督から聞いたトワとリムルの2人のシーンでは、リムルに心を許しているトワの少女らしさが垣間見えて可愛らしいなと思い、等身大のトワを見せられるように工夫しました。

― アフレコは緊張したと思いますが、どんなことに救われましたか？

福本：普段の映像の作品では驚く声や息遣いなど表情や動きで表現しますが、アニメでは声にならないリアクションで表現をすることを求められました。この部分についてアフレコ前から難しいと感じていたので、家で練習をして、本番の収録に行ったところ、音響監督さんに「意外と上手いね！」と仰っていただけたことが嬉しかったです。「練習していって良かった」と思えた瞬間でした。

福本莉子、自身の強い一面とは？

― 福本さん演じるトワは、女王として自分を犠牲にしても国や仲間を守る、優しさと強さに溢れた女性とのことですが、ご自身で強いと思う部分やその強さを発揮したエピソードはありますか？

福本：体力面は強いと思います。仕事の前後にジムに行ったり、休みの日も予定を詰めたり、行動するタイプです。最近の休みの日は、趣味の茶道やジムばかり行っていますね（笑）。身体のメンテンスのために時間を費やすことが好きなので、マッサージにもよく行っています。

― ご自身のメンテナンスについて気にするようになったきっかけがあったのでしょうか？

福本：映像作品に出させていただく機会が増えると、自分の姿が残るので「もう少し顔がシュッとしていた方がいいな」など見た目を気にするようになりました。瘦せ体質なことが悩みでもあって、健康的な体型を目指すために「筋肉をつけちゃおう」と思い立ち筋トレを始めました。舞台をやる時に、体幹や重心がしっかりしていないと声が出ないのですが、筋トレをするようになって正しい姿勢で臨めるようになり、効果を実感しています。

サウナでデトックスすることも好きでよく行っているのですが、汗をかいたり筋トレで適度に身体を動かしたりすることで前向きな気持ちになれているように感じます。

福本莉子の夢を叶える秘訣

― 劇場アニメーションの声優に挑戦したことを通して福本さんが感じた「夢を叶える秘訣」を教えて下さい。

福本：日々の少しずつの積み重ねや努力が必要だと思います。下準備をして作り上げたベースがある上で「なんとかなる」という前向きな気持ちを持つことも大事です。

今、私の周りの友人は就職活動や卒業論文の執筆などに励んでいるという話を聞くのですが、たくさん努力しているように感じます。友人に限らず、上手く進めて成功できている人は「持っている・持っていない」ということではなく、陰でたくさん努力をしているからこそ、幸運や夢を叶えるきっかけが舞い込んでくるのかなと思っています。

― ありがとうございました。

（modelpress編集部）

福本莉子（ふくもと・りこ）プロフィール

2000年11月25日生まれ、大阪府出身。2017年5月公開の映画「のみとり侍」でスクリーンデビュー。近年の主な出演作はドラマ「夢中さ、きみに。」（MBS／2021）、ドラマ「消えた初恋」（テレビ朝日系／2021年）など。2022年は、ドラマ「赤いナースコール」（テレビ東京系）、映画「君が落とした青空」、映画「20歳のソウル」、映画「今夜、世界からこの恋が消えても」、舞台「お勢、断行」、舞台「アルキメデスの大戦」に出演するなど多方面で活躍を遂げている。

ヘアメイク：伏屋陽子（ESPER）
スタイリスト：武久真理江