菅田将暉、蜷川幸雄さんから教わった大事な表現「とりあえず登れ」演出家役で“丸2ヶ月かけて慣れた”セリフ回しとは【「もしがく」インタビュー第2回】
フジテレビ系ドラマ「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」にて、主演を務める俳優の菅田将暉(すだ・まさき/32)にインタビュー。第2回では、菅田演じる久部が憧れてやまない演出家・蜷川幸雄さんからの教えをはじめ、久部に共感する演出への想いについて話してもらった。【インタビュー全3回の第2回】
菅田将暉主演「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」
本作は、1984年の渋谷を舞台にした青春群像劇。経済の安定成長期からバブル経済期への移行期にあたる希望に満ちた時代の中、まだ何者でもない若者たちの苦悩や挫折を描く。三谷氏の半自伝的要素を含んだ完全オリジナルストーリーであり、菅田は、演出家としての成功を夢見る熱い青年・久部を演じる。菅田が連続ドラマの主演を務めるのは3年半前に放送されていた「ミステリと言う勿れ」(同局系/2022年)以来となる。三谷氏が民放ゴールデン・プライム帯の連続ドラマ脚本を手がけるのは25年ぶりであり、NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(2022年)以降、2度目となる菅田とのタッグに注目が集まる。なお、共演者には俳優の神木隆之介や女優の浜辺美波など錚々たる顔ぶれが登場予定だ。
菅田将暉、目指すものは「かっこ悪いセッション」
― 演出家を演じると聞いたときのお気持ちはいかがでしたか?菅田:(演じるのは)難しいですよね。僕は演出家じゃないので、あまり考えないでおこうと思いました(笑)。
― でも、俳優にとっては身近な存在でもありますよね。
菅田:演出家含む「俳優部」と「俳優」では、アプローチの仕方が全然違うので、いつも見てはいますが未知な領域です。
― では、菅田さんから見て、演出家としての久部はどう感じますか?
菅田:ギアが入ってくるとうるさいなと思います(笑)。「セッション」(※)という映画があるじゃないですか。あの作品の見ていられないバージョンみたいな(笑)。そんなものを目指しています。かっこ悪いセッション。
※「セッション」:2014年公開の映画。世界的ジャズドラマーを目指して名門音楽学校に入学したニーマンが常軌を逸した厳しいレッスンを受ける様子を描いた物語。
菅田将暉「やっと喉が完成しました」
― 演出家を演じていく上で気づいたことや驚いたことはありますか?菅田:演出家って声が枯れていくんですよね。基本「対・舞台」だし、「1人対大勢」なので自然とジェスチャーも大きくなるし、声量も大きくなってきて…撮影中盤くらいにやっと喉が完成しました。ちょっと掠れていて、いくらでも叫べる声というか。クランクインしたてのときは、まだきゅっとなっていて線が細かったので、もうちょっと声のローが欲しくなりました。
― 声量については、蜷川さんを意識されている部分もあるんですか?
菅田:声量というよりかは、セリフ回しですかね。「誰々に教えてあげなさい」など、なかなか20代、30代で使わないようなセリフ回しがあるんです。丸2ヶ月くらいかけて、やっとその辺が馴染んできた感じです。
― 久部は、蜷川さんに憧れているということで圧のある強いキャラクターだったんですよね。
菅田:はい、たぶん今ご想像されている通りだと思います。灰皿を飛ばそうとするのも本当に憧れているからだと思います。ただ、これは結構協議した部分なのですが「久部はどういう演出をするんだ」と。「久部は何を求めているんだろう」というところを三谷さんと相談したのですが、久部が意外とちゃんとしているなと思ったのは、自分の理想や、やりたいこともあるんだろうけど、それ以上に俳優や役者に沿って演出しているシーンが結構あって。お芝居の経験がない人たちと演劇をやっていくという話なので、そうするしかないというのもあるのかもしれませんが、ちゃんと「その人を見る」感じというか。実際に、久部が目をつけていた人たちが出世していくので、その辺は意外と間違ってはいないんでしょうね。センスがなくはないんだと思います。
菅田将暉が明かす「心の師匠」
― 久部の心の師匠は蜷川さんですが、菅田さんにとっての師匠はどなたですか?菅田:僕の師匠は青山真治監督(菅田が主演を務めた2013年公開の映画『共喰い』の監督)です。僕が19歳くらいの頃に出会ったのですが、最初に「映画の現場」というものを、怒鳴られながら教えてもらったというのが現体験としてあるからだと思います。でも、その後に幸いにも蜷川さんのところで1本演じさせてもらっていて、それもすごく記憶に残っています。
― 本作で、そのときの蜷川さんとのやり取りが活かされている部分はありますか?
菅田:あります。蜷川さんには、沢山いろいろな言葉や演出をもらっていますが「ロミオとジュリエット」という舞台で僕がロミオを演じていたとき、ジュリエットに対する高ぶりなどを「どう演じようかな」と思って「どうしたらいいですかね」と蜷川さんに相談したんです。そしたら、蜷川さんが「とりあえず登れ」と。「とりあえずもう階段登れ」「気持ちが高ぶったら、高いところに行け」とおっしゃっていて。たしかに、上に上がるって視覚的に見ても高ぶっているように思えるし、物理的にも上がろうとするエネルギーってすごく大事なんですよね。
だから、今回も高揚したときの表現としては、無駄に立ち上がったり、ちょっと高いところに上がったり、普段のお芝居よりも演劇的な要素や身振り手振りを大きくして、ギリギリ違和感が出るくらいにしようと思っていました。そういう部分においても、蜷川さんのもとで演じられてよかったなと思いました。
菅田将暉、久部と重なる想いとは?
― 菅田さんが考えるお芝居や作品への想いと久部の想いは重なる部分はありますか?菅田:わからなくはないなと思います。ただ、ちょっと極端かなと。「客に媚びるな」というところも、簡単に言うと「わかりやすく伝えようとしなくていい」ということなんです。もうちょっとお客さんを信じて表現に徹すればいいのにと思います。「最もだな」とは言わないけど、これは永遠のテーマなんですよね。
ただ「客に迎合するな」「そんなわかりやすいことしなくていい」というものって、1回わかりやすいことをちゃんとやりきった人が言うべきなんですよ。王道でちゃんとわかりやすく「人に伝える」ことをして評価された上で、それを言うのであれば説得力があるんだけど、久部は口先だけなので。結局、客も入っていないし、何も馳せていないし、評価もされていないわけで。だから、まず王道をディスるなと思います。「媚びすぎるな」はすごくその通りだと思いますが、それがどれだけ難しいことか。久部が言うには説得力がないですよね。でも「なんかこいつ、すごく一生懸命だな」というのが伝わればいいかなと思います。
菅田将暉「時代劇だと思って」本作での意識
― 1984年の渋谷が舞台ですが、この時代の若者像であったり、キャラクターと向き合っていく中で意識されたポイントはありますか?菅田:僕は一種の時代劇だと思って演じています。言葉の置き方やラリーの速さ、ちょっと粗暴な感じというか。現代劇ではない、ちょっと圧のあるテンションは意識しています。あとは“とっぽい感じ”(生意気であったり、不良じみているという意味)。今ってタバコを吸っているだけで「タバコを吸っている人」というキャラクターになりますが、当時はみんな普通に吸っていたり、平気でポイ捨てするシーンもあったりする。だから、このドラマに関してですがモラル感として、ちょっと雑な感じというか…。感情表現においても、声量や人との距離の近さは荒めに意識しています。
― ちなみに、菅田さんは渋谷への思い出はありますか?
菅田:上京した身からすると、渋谷はすごく憧れの場所でした。でも、上京して来てみると、人が多すぎて「もう2度と来たくないな」と思う(笑)。事務所が近かったので繰り出すこともあったんですが、意外と周辺でやることがなくて、宮下公園のあたりに集まったり…。「渋谷を拠点にしたい欲」は10代の頃はありましたけど。…そんなに思い出はないです(笑)。
好きなラーメン屋はあったりしましたけど…そのくらいかな。あまり来てなかったですね。でも、ユーロスペースという映画館に行ったりしていました。
★第3回では、人生で初めて目にした芸能人についてのエピソードや本作のセットでお気に入りのポイントを教えてもらった。(modelpress編集部)
菅田将暉(すだ・まさき)プロフィール
1993年2月21日生まれ、大阪府出身。2009年に俳優デビュー。2013年に映画「共喰い」で第37回日本アカデミー賞・新人俳優賞、2018年には映画「あゝ、荒野 前篇」で第41回日本アカデミー賞・最優秀主演男優賞を受賞した。2017年、ソロ歌手としてデビューするなど多方面で目覚ましい活躍を見せている。2025年12月、NHK放送100年特集ドラマ「火星の女王」への出演が控えている。もっと詳しくみる
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