今田美桜「あんぱん」第13話(C)NHK

朝ドラ「あんぱん」サブタイトルにマイナスな言葉使う理由【脚本家・中園ミホ氏インタビューVol.4】

2025.04.26 08:15

今田美桜主演の連続テレビ小説「あんぱん」(NHK総合・毎週月~土あさ8時~ほか)の脚本を務める中園ミホ氏に、モデルプレスら報道陣がインタビュー。Vol.4では、キャスティング秘話を語ってくれた。

  

今田美桜主演朝ドラ「あんぱん」

中園ミホ氏(提供写真)
放送100年、そして戦後80年を迎える朝ドラ第112作目となる本作は、「アンパンマン」を生み出したやなせたかしと妻・暢の夫婦がモデル。2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどり着くまでの人生を、激動の時代を生きた波乱万丈の物語として大胆に再構成。登場人物名や団体名などは一部改称して、フィクションとして描く。主人公・のぶを今田、後にのぶの夫となる嵩を北村が演じる。

中園氏は、小学生の頃にやなせさんにファンレターを送ったことをきっかけに文通がスタート。やなせさんを知る中園氏だからこそ描ける「あんぱん」とは。

「あんぱん」キャストキャスティング秘話

永瀬ゆずな、加瀬亮「あんぱん」第4話(C)NHK
阿部サダヲ「あんぱん」第8話(C)NHK
― 第4回で朝田結太郎(加瀬亮)が亡くなったとき、朝田くら(浅田美代子)や屋村草吉(ヤムおんちゃん/阿部サダヲ)のセリフの中に、やなせさんの詩だなと思った場面がありました。セリフを作るときに、やなせさんの詩はどんな影響を与えていらっしゃいますか?

中園:やなせさんの「愛する歌」という詩集を小学校4年生のときに読んで、やなせさんにファンレターを送って、そこから文通が始まりました。その詩集はもうボロボロですが、この間開いてみたらほとんど覚えているんです。それくらい繰り返し読んでいたので「アンパンマン」のやなせさんとしてだけでなく、その前にも素敵なお仕事たくさんなさっていた“やなせたかしワールド”を、みなさんに知っていただきたいと思っています。「たったひとりで生まれてきて たったひとりで死んでいく 人間なんてさみしいね 人間なんておかしいね」という詩があって、まさに私が10歳で父親を亡くしたときに、その詩を読んですごく救われて、やなせさんに手紙を書いたんです。最初からこの詩を使おうと思っていたわけではなかったのですが、キャストの顔を思い浮かべながら描いていたら、セリフが降りてきました。今のところ、柳井寛先生(竹野内豊)とヤムおんちゃんの言葉として使わせていただいていますが、やなせさんは絵本もたくさん描かれていて、そういったエピソードも忍ばせているのでファンが増えると良いな、見つけてくださったら嬉しいなと思って描いています。

やなせさんと暢さんのことを考えていると、今まで覚えているほど読んでいた詩ももっと深く味わえるので、そこも楽しいです。たまにやなせさんを近くに感じるときがあって、気が付いたらそのシーンを描き終わっていて記憶がない、みたいなことが起こるので、それは多分私ではなく、やなせさんが描かせてくれたんじゃないかなと思います。

― 加瀬さん、二宮和也さんなど豪華なキャスト陣がすごく贅沢な出演をしていますよね。

中園:倉崎プロデューサーはじめ制作チームがとても頑張ってくれました。キャスティングは基本はなかなか希望通りには叶わないですが、次々に決まっていくのでびっくりしました。こんなドラマは本当にないです。

「あんぱん」サブタイトルにマイナスな言葉使う理由

江口のりこ、今田美桜「あんぱん」第13話(C)NHK
― 第1週のサブタイトルが「人間なんてさみしいね」、第2週が「フシアワセさん今日は」と朝ドラのサブタイトルに“さみしい”“不幸せ”という言葉が出てきたことが気になりました。

中園:実はそこに一番力を入れています。何も失わない人生はないですよね。暢さんとやなせさんは、お父さんを早く亡くされて、若いときにいろいろな別れがたくさんあるんです。その深い悲しみを何度も乗り越えてきたから「アンパンマン」が生まれました。私がお会いした頃のやなせさんは、愚痴っぽいところもありましたが、それ以上にすごく明るい方でした。冗談もお好きで…。人生って辛いことがあるから、楽しい物語、音楽が必要ですし、そういったことをよく考えていた方なのかなと思って、私もその精神を大切にしています。ドラマの前半は辛いことがずっと続きますが、それをどうやって楽しく面白くみなさんに届けられるかなと。顔合わせでも「結構辛いことが続きますけど、それでも毎日毎朝観て元気になれるドラマにしたいので、とにかく楽しく明るくやってください」とお願いしました。深い悲しみを味わわなければ、喜びも幸せも分からないだろうという気持ちで描いています。それがやなせさんの作風であり、人生だと思います。

(modelpress編集部)

【Not Sponsored 記事】

もっと詳しくみる

関連ドラマ

  1. あんぱん

    あんぱん

    2025年03月31日(月)スタート

    毎週月~土08:00 / NHK総合ほか

    詳しく見る

あわせて読みたい

  1. 朝ドラ「あんぱん」全登場人物に当てはめられた「アンパンマン」のキャラクター 視聴者の推察に“ネタバラシ”も【脚本家・中園ミホ氏インタビューVol.3】

    モデルプレス

  2. 朝ドラ「あんぱん」脚本家が語る今田美桜への信頼 北村匠海のファーストシーンは「鳥肌が立ちました」【中園ミホ氏インタビューVol.2】

    モデルプレス

  3. 【あんぱん 第21話あらすじ】のぶ、女子師範学校の寮に入所 嵩は本当の思い吐き出す

    モデルプレス

  4. 朝ドラ「あんぱん」のぶ(今田美桜)&嵩(北村匠海)、幼馴染設定の理由 実際は出会っていなかった幼少期スタートの意図【脚本家・中園ミホ氏インタビューVol.1】

    モデルプレス

  5. 朝ドラ「あんぱん」不穏ナレーションに視聴者ざわつく「すでに圧倒されてる」「怖すぎ」

    モデルプレス

  6. 朝ドラ「あんぱん」のぶ(今田美桜)&嵩(北村匠海)の受験結果明らかに「フラグ立ちまくりだった」「同情する」の声

    モデルプレス

おすすめ特集

  1. 8月のカバーモデルはFRUITS ZIPPER

    特集

  2. “モデルプレス初”グラビアオーディション開催 写真集・ファッションショー出演も

    特集

  3. インフルエンサー影響力トレンドランキングを発表!「モデルプレスカウントダウン」

    特集

  4. 国民的推しランキング!各種エンタメにまつわる読者ランキング、読者アンケート実施中

    特集

  5. モデルプレス独自取材!著名人が語る「夢を叶える秘訣」

    特集

  6. モデルプレス読者モデル 新メンバー加入!

    特集

  7. "史上最大級のファッションフェスタ"TGC情報をたっぷり紹介

    特集

  8. 国内作品見放題数2位!アニメ・お笑い・ドラマ・映画が充実!オリジナル作品も!

    特集

  9. ディズニープラスでは人気の神作や話題の新作が見放題!【PR】

    特集

おすすめ記事

SPECIAL NEWS

記事ランキング

RANKING

  1. 01

    【FRUITS ZIPPER仲川瑠夏ソロインタビュー】映画出演の夢語る「経験や積み重ねが実を結ぶように」

    モデルプレス

  2. 02

    【FRUITS ZIPPER鎮西寿々歌ソロインタビュー】「プライドが邪魔をして」夢を言葉に出来なかった過去 グループ活動が変わるキッカケに

    モデルプレス

  3. 03

    「シャッフルアイランド」さゆり、夫・SHUN&美人姉とディズニーへ「双子みたい」「美人姉妹」の声

    モデルプレス

  4. 04

    【FRUITS ZIPPER真中まなソロインタビュー】アイドルになる前からの夢を実現 心がけているのは「ずっと好きでいること」

    モデルプレス

  5. 05

    秋元康プロデュースMATSURI「挑戦は何歳になっても遅くない」平均年齢35歳の色気予告 小野寺翼は福本大晴へラブコール「個人的に推していて」【「STARRZ TOKYO 2025」インタビュー】

    モデルプレス