蒔田彩珠「御上先生」明るい役柄に葛藤「助けられた」「念願の共演」…キャスト陣との撮影裏側語る【インタビュー】
2025.01.23 12:00
TBS系日曜劇場「御上先生」(毎週日曜よる9時~)に富永蒼役として出演する女優の蒔田彩珠(まきた・あじゅ/22)がモデルプレスらのインタビューに応じ、初めてのキャラクターで苦戦したという役作りの裏側から、「念願の共演」「助けられた」「刺激し合っている」…共にドラマを作り上げる教師・生徒キャストとの関係性までたっぷりと語った。
松坂桃李主演「御上先生」
本作は子供が生きる「学校」、大人がもがく「省庁」という一見別次元にあるこの2つを中心に展開。未来を夢見る子供たちが汚い大人たちの権力によって犠牲になっている現実に1人の官僚教師・御上(松坂桃李)と、令和の高校生たちが共に立ち向かう、教育のあるべき真の姿を描く大逆転教育再生ストーリーだ。御上が担任を務めることになるのは隣徳学院3年2組の生徒29人。生徒キャストは、2024年3月から始まったオーディションで選ばれ、同年8月初旬に全29人が決定。蒔田は、神崎拓斗(奥平大兼)の幼馴染・富永蒼を演じる。
蒔田彩珠、明るい役に葛藤 監督らと密に相談
― オーディションで役を勝ち取り出演が決まった本作。どのような気持ちで現場に入られましたか?蒔田:ここまで明るくハキハキ喋る役は初めてで、今までにやったことのないような役でした。話し方も今時っぽくてパワフルなキャラクターだったので、この役をちゃんと自分のイメージ通りにできるのかという心配がありました。でも脚本が本当に面白かったので、ぜひ参加したいと思いオーディションを頑張りました。
― これまでの作品では少し影があるような役を演じられることが多い印象ですが、富永のような明るいキャラクターに難しさを感じることはありませんでしたか?
蒔田:周りの生徒の皆が想像以上に元気なので、私なりの明るさだけだと負けてしまうと撮影が始まって実感しました。そのため監督、プロデューサーと話し合いの時間を設けさせていただいて、この役をどんな風に考えているのか擦り合わせたり、「あの子はこのくらい明るいから富永はそれよりも明るくないといけないよね」と確認したりしています。
― ご自身と富永の共通点があれば教えてください。
蒔田:どんな物事にでも口を出したくなる性格は似ているなと思います。私は富永ほどの行動力はないですが「こうしたらいいのに」「こういうアドバイスをしたい」みたいな考えが出てくるところは同じかもしれません。それを行動に移せるのが富永、移せないのが私です(笑)。
蒔田彩珠、オーディション当時の心境
― 改めてオーディションを振り返ってみて、当時の心境を教えてください。蒔田:オーディション自体が1年に1回あるかないかくらいだったので、すごく緊張していました。とにかく「富永をやりたい!」という一心で挑んだので結果を聞いて驚きましたし、日曜劇場の学園モノに出演できることも嬉しかったです。母もドラマが大好きなのですごく喜んでくれました。
― これまでも多くの学園ドラマが放送されていますが、印象に残っている作品はありますか?
蒔田:富永の役を掴むことが難しくて、何か参考にできるものはないかなと最近「ドラゴン桜」(2005、2021)などいろいろな学園モノを観ました。教室の雰囲気や教師との関係性など細かいところは参考にしつつも、やっぱり富永のようなキャラクターは前例がなく、ロールモデルになるような人はまだ見つけられていないです。
― 撮影していて日曜劇場ならではの雰囲気や他の現場との違いなどを感じることはありますか?
蒔田:それこそ「VIVANT」(2023)を観てから現場に入ったのですが、やっぱり他のドラマとは少し違った雰囲気があります。この「御上先生」の企画書を見た時「こういう作品にして世の中にこういうことを伝えたい」という意思の強さがとても滲み出ているなと感じました。だからすごく厳しい現場なんだろうなと想像していたのですが、監督もプロデューサーさんもキャストの皆さんも本当に明るい方たちばかりで、皆で励まし合いながら同じ方向を向いて1つのものを作っているなと日々実感しています。
蒔田彩珠、松坂桃李の印象「すごくかっこいい」
― 主演の松坂さんに抱いていたイメージや実際にお会いした印象を教えてください。蒔田:現場に入る前に「孤狼の血」(2018、2021)を観ていたので、その影響で少し怖いイメージがあったのですが、生徒1人1人に話しかけてくださったり、常に笑顔で現場の状況を見ながら私たち生徒のことを一番に考えながら動いてくださっていて、すごくかっこいいなと思いながらいつも席から見ています。
― 松坂さんと御上が重なる瞬間はある?
蒔田:松坂さんはすごくにこやかな方ですし、御上先生とは全然違うと思います。でも「こうした方がいいんじゃない?」とはっきり意見を言ってくださったり、アドバイスをくださったりするところは先生っぽいなと思います。
― 松坂さんと何かお話されたことはありますか?
蒔田:ゲームセンターで松坂さんと2人のシーンがあるのですが、その時にいろいろなお話をしてくださって、お互いに自分が今まで出演した作品の中でどれを一番観てほしいか発表し合ったりしていました。私は勉強のために最近ドラマをよく観ていると伝えたら「ゆとりですがなにか」(2016、2017)をぜひ観てほしいと勧めてくださって、ドラマから映画まで全部観ました。私は「星の子」(2020)を勧めました。
蒔田彩珠、吉岡里帆からのアドバイスとは
― 先ほど、監督やプロデューサーと演技の相談をしていたとお話がありましたが、松坂さんにも演技の相談をしたりアドバイスをもらったりしたこともあるのでしょうか?蒔田:松坂さんとは役についてあまり深くお話していないのですが、私が明るい役を演じることに苦戦していると話をした時は「え、苦戦してたんだ!?」とびっくりされていました(笑)。副担任役の吉岡(里帆)さんは「苦戦しているらしいね」と声をかけてくださって。いっぱい話し合いをしていることも知ってくださっていたので「絶対話し合って慎重にやった方がいいと思う」とアドバイスをくださいました。
― 生徒役の皆さんとはいかがですか?
蒔田:生徒の皆とは役の話はあまりしてなくて、楽しく過ごしつつ、お互いを応援し合っています。それぞれ長ゼリフがあるので、終わったら「次頑張れ!」とバトンタッチのように皆で頑張っています!
― 過去に共演された方もいらっしゃいますよね。
蒔田:はい。(窪塚)愛流くんとは1年半ぶりくらいの共演になるのですが、学園モノの経験者も多い中、私は初めてですごく緊張していたので、愛流くんがいてすごくホッとしました。愛流くんも私も以前共演した映画とは全く違う役柄なので、少し恥ずかしさもありつつ刺激し合って頑張っています。
蒔田彩珠「絶対一緒にやりたい」「助けられた」共演者
― 親交のある奥平大兼さんとの共演はいかがですか?蒔田:いつか共演したいと思っていたのですが、恥ずかしさがありました(笑)。私の役は神崎と一番会話を交わす生徒で、自分からガツガツ話しかけに行くので会話の主導権を握ることがすごく難しいです。でも(奧平の)お芝居は今までも見ていていつか一緒にお仕事をしたいと思っていたので、念願叶っての共演になりました。同じ事務所ですが、なかなか一緒にお仕事はできなかったので奧平くんもオーディションを受けたという話を聞いて、絶対一緒にやりたいと思っていました。
― 共演者の中で刺激を受けた方はいらっしゃいますか?
蒔田:北村一輝さんが本当に面白いです!やっぱりドラマの内容がシリアスなだけあって本読みの時もヒリッとした空気感があったのですが、北村さんと及川(光博)さんのお二人が本当に場を和ませてくれようと冗談を言ってくださるんです。それによって、映像作品の出演が初めての生徒キャストも安心する瞬間があったので、お二人にはすごく助けられています。
― 制服姿も印象的ですが、自分なりのこだわりもあるのでしょうか?
蒔田:顔合わせの時に監督とプロデューサーが29人の生徒の席を回って一人ひとりと話し合いながらこうしていこうかと方向性を決めていきました。富永は優等生でしっかり勉強もするタイプなので「スカートを短くしたり袖まくりしたりはしないよね」と相談していました。
― 最後に作品の魅力と富永の見どころポイントを教えてください。
蒔田:普段見ないようにしていることや自分1人じゃどうすることもできない問題に3年2組の皆が向き合っていきます。一見、1つのクラスの小さな出来事だけど、それを解決しようと皆が動くことで少しでも日本が変わっていく。自分が行動を起こすことで日本も変えられてしまうのかもしれない。そんな希望が見えるドラマになっています。
そして、富永はどの問題にも積極的に口を出しています(笑)。動き出そうとしている生徒と動かそうとしている先生の架け橋になっているような役なのでぜひ注目してほしいです!
― ありがとうございました。
(modelpress編集部)
蒔田彩珠(まきた・あじゅ)プロフィール
2002年8月7日生まれ、神奈川県出身。関西テレビ・フジテレビ系ドラマ「ゴーイング マイ ホーム」(2012)をきっかけに、映画「三度目の殺人」(2017)、第71回カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品「万引き家族」(2018)など是枝裕和作品の常連に。河瀨直美監督の「朝が来る」(2020)では「第44回日本アカデミー賞」新人俳優賞受賞、「2020年第94回キネマ旬報ベスト・テン表彰式」助演女優賞、「第45回報知映画賞」助演女優賞を受賞。2021年、NHK連続テレビ小説「おかえりモネ」でヒロインの妹役を演じ、注目を集めた。近年はNHK夜ドラ「わたしの一番最悪なともだち」(2023)で主演を務めたほか、映画「クレイジークルーズ」(2023)、「ハピネス」(2024)、Netflixシリーズ 「忍びの家 House of Ninjas」(2024)などに出演。「御上先生」第2話あらすじ
試験会場で起きた殺人事件と自分がリークした不倫記事は関係がある。御上(松坂桃李)の言葉が気になった報道部の神崎(奥平大兼)は、隣徳学院を辞めた教師・冴島(常盤貴子)に会いに行く。事実が明らかになる中で、神崎の記事について生徒たちに討論させる御上。同じ頃、文科省の塚田(及川光博)と槙野(岡田将生)が動き出す。
殺人事件、不倫記事、隣徳、文科省、これらには一体どんな関係があるのか、そして殺人犯の目的とは――。
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