「海のはじまり」中絶巡る描写に「厳しい意見もいただいています」村瀬Pが向き合い続ける理由・「silent」から大切にしているセリフ【インタビューVol.1】
Snow Manの目黒蓮が主演を務めるフジテレビ系月9ドラマ「海のはじまり」(毎週月曜よる9時~)を担当する村瀬健プロデューサーにモデルプレスがインタビュー。Vol.1では、様々なテーマを描く上で意識していることなどの質問から、村瀬Pが伝えたい想い、作品と真摯に向き合い視聴者に寄り添う姿勢が垣間見えた。
目黒蓮主演「海のはじまり」
本作は、脚本を生方美久氏、演出を風間太樹氏、そして村瀬氏がプロデュースを務める、“親子の愛”をテーマにした完全オリジナル作品。今の時代だからこそ伝えたい人と人との間に生まれる愛と、家族の物語を描く。村瀬P「暗くて重い」反響は予想外だった
― 毎週大きな反響を呼んでいますが、視聴者からの反響や手応えは実感されていますか?村瀬:すごく良い手応えを感じています。今回のドラマは「暗くて重くないです」と最初に言っていたのですが、皆さんからは「暗くて重い」という風に捉えられていて驚きました(笑)。でも、皆さんに時間をかけてこの世界観を見ていただければ、この作品が持つ“温かさ”に辿り着けると思って作っています。特に6話終わりで全登場人物の物語が繋がっていった瞬間は、皆さんにも「おお!」と思ってもらえたのではないかと感じています。
― 視聴者からの「暗くて重い」という反響は予想外だった?
村瀬:堕ろしたと思っていた子供(=海/泉谷星奈)が生きていたというのは“希望”であり、夏(目黒)が言っていた「罪悪感がなくなった」という気持ちも含めて、事実として消えたと思っていた命が消えていなかったというところから物語が始まるので、皆さんも希望に向かって観てくれると思っていましたが、その裏側にあるものをちゃんと想像しながら観てくださっているからこそ、重く捉えられるんだなと実感しました。加えて、弥生(有村架純)に中絶という過去があったので、それがさらに重くのしかかってきたのだと思います。
「海のはじまり」中絶巡る描写に厳しい意見 向き合い続ける理由
― 本作では、子宮頸がんや中絶などナイーブな題材が詰め込まれていますが、それらを描く上で気を付けていることを教えてください。村瀬:やはり、こういうテーマを扱うと当然色々な意見があります。社会問題ってなんでもそうだと思うのですが、一面からだけでは描けないし、それぞれ違う考え方を持っているものなので、厳しい意見もいただいています。だけど、生方さんにも僕にも、そして監督たちにも作品を通じて伝えたいことがあって、子宮頸がんという設定にしたことにもちゃんと意味があります。弥生が「検診に行きなよ」と2度伝えていますが、視聴者の方々にも考えてほしいですし、むしろ皆で考えていこうという想いがあります。
中絶に関しては、僕らは中絶が悪いもので産むことが正しいなんてことを全く思っていません。人それぞれ色々なやり方や考え方があって、抱えているものがあるので、正解はないですし、どちらが良いか悪いかということを言うつもりは全くありません。もちろんキャラクターによって発言が違いますし、だからといって正しい・正しくないと決めるつもりは一切ないのですが「中絶が悪いと言われているようで辛いです」というようなご意見をいただいたりすることはあります。そうではないメッセージの伝え方をしているように心がけているのですが、やはりこれに関しては本当に難しいテーマだなと実感しています。命というものは大切で重要なものであり、向き合っていく中でナイーブなことを題材にして描いているという意識を常に持ち、常に胸に手を当てながら、色々な人の意見に耳を傾けながら作っています。
― セリフで救われている方も沢山いらっしゃると思いますが、セリフ選びで意識している点はありますか?
村瀬:基本的には、余程気になったり分からないと思ったりするもの以外は、生方さんが書いたセリフを直すことはありません。ただ、いつも生方さんと話しているのは、世の中には色々な考え方を持っている方がいて、色々な方がドラマを観ているので、全員に分かってもらわなきゃいけないと思って作るのはやめようということです。これは、決して上から目線で言っていることではないので、その点は絶対に誤解しないでほしいのですが、、見てくれる人全員にすべてをわかってもらうのは不可能だと思っています。だから、伝わらないことがあってもいい。ただ、伝えたいことが伝わらない分にはいいのですが、誤解される言い方はやめるようにしています。人の心を丁寧に描く中で、あるところで違う風に捉えられると、その後のその人物の感情を誤った形で捉えられてしまう可能性があるので、狙いと違う捉え方をされる危険のあるセリフはやめる、ということはすごく意識しています。だけど、基本的には、彼女が伝えることを前提として考えてくれているセリフですし、この世に無限にある言葉の中から彼女が選んできているものこそが正解だと思っているし、なんでもない会話まで含めて珠玉のセリフが散りばめられているので、僕や監督がセリフを直すことはほとんどありません。
あと、これは僕の話なのですが、ドラマ「silent」(2022年)の中で紬(川口春奈)が言っていた「少ないっているってことだもんね」というセリフを、今も僕はドラマを作る中でとても大事にしています。ドラマ「いちばんすきな花」(2023年)でもテーマにあったのですが、世の中は何かと先入観や知識で物事を決めつけたがるけど、そうじゃない人もいて、色々な人がいるということをいつも意識しながら生方さんの本を受け止めて世に送り出しています。
★Vol.2へ続く!(modelpress編集部)
「海のはじまり」最終話あらすじ
ベッドではなく床に敷いた布団で目を覚ます月岡夏(目黒蓮)。海(泉谷星奈)のランドセルやぬいぐるみが視界に入るが、海の姿はない。「…海ちゃん」と呼びかけるが、返事はなく、部屋は静まり返っている。その頃、南雲家で目を覚ました海は、寝起きのまま居間へやってきて「夏くん…」と呼びかけるが、そこには朱音(大竹しのぶ)と翔平(利重剛)がいるだけで、夏はいない。朱音から「自分で帰らないって言ったんでしょ」と言われ返す言葉のない海。
パジャマ姿のまま寝そべっている海に、朱音と翔平は「朝ご飯を食べようよ」と声を掛けるが、海は「…食べたくない」とそっぽを向く。朱音は台所でおにぎりを握り、「食べなきゃダメ。生きなきゃいけないから」と海におにぎりを差し出す。そして、水季が亡くなった日におにぎりを食べた話をする。
やがて、夏のスマホに弥生(有村架純)から着信が入る。夏が電話に出ると、弥生は海からの伝言があると夏に告げ…。
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