北川景子「人前に出るのがもう嫌で嫌で」追い詰められた過去 人生を変えたのは2つのきっかけ・夢を叶える秘訣<「美少女戦士セーラームーンCosmos」インタビュー>
2023.07.07 17:00
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モデルプレスの独自企画「今月のカバーモデル」で7月のカバーモデルに登場した女優の北川景子(36)。テレビドラマ「美少女戦士セーラームーン」(2003)で華々しいデビューを飾り、今年で20周年を迎える北川に、モデルプレスがインタビュー。20年の時を経て、劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」(前後編:絶賛公開中)に声優としてカムバックする率直な心境とは。そして、美しい笑顔の裏側で「人前に出たくない」とまで苦しんだ3年間の葛藤も語ってくれた。
北川景子「美少女戦士セーラームーン」に20年ぶりカムバック
1991年から1997年にわたり、少女漫画雑誌『なかよし』(講談社)で連載された武内直子作の「美少女戦士セーラームーン」。TVアニメシリーズ(1992~1997)の放送が終了した後も、日本のみならず40か国以上の国で放送され、今なお世界中で愛されるコンテンツに。2022年に連載開始から30周年を迎えた「美少女戦士セーラームーン」が、劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」として二部作連続の劇場アニメーションで公開された。2003年10月よりスタートしたテレビドラマ「美少女戦士セーラームーン」でセーラーマーズ/火野レイ役としてデビューした北川は、今回20年ぶりにカムバック。セーラームーンの未来の究極の姿・セーラーコスモス役を演じる。
北川景子「美少女戦士セーラームーン」への思い
自身にとって人生の転機となった本作へのカムバック、そしてデビュー20周年というタイミングでのオファーにはとても驚いたという北川。それに、デビュー当時1年間演じていたセーラーマーズはセーラームーンを“支える側の戦士”。今回演じたセーラーコスモスとの役柄の大きな違いには葛藤もあった。「劇場版『美少女戦士セーラームーンCosmos』が最後の集大成ということはお聞きしていて、いただいた役もとても重要な役なので、声の仕事の経験が少ない私で大丈夫かなと思っていました。またセーラーマーズを演じていたので『自分はセーラームーンを支える側の戦士なんだ』という思いがとても強かったので、このセーラーコスモス/ガーディアンコスモス(セーラーコスモスの守護精霊)という全ての戦士を包み込むような役のオファーをいただいた時から『演じるなら沢井さん(テレビドラマでセーラームーンを演じていた沢井美憂)じゃないの』という気持ちもずっとあって。セーラーマーズを演じていた自分がセーラーコスモスを演じることに、最初は葛藤や難しさをとても感じていました。
でも、私自身『美少女戦士セーラームーン』でデビューさせてもらって、今年で20年という節目のタイミングでまた『美少女戦士セーラームーン』の作品に関われるのは、何かの縁というか、意味があるのかなと思いましたし、『自分が(ドラマで共演した)みんなの代表として出るんだ、みんなの分までやろう』という気持ちで臨みました」
ドラマでの共演者の思いも背負い、“全ての戦士を包み込む”という難しい役柄に挑戦した北川は、実は声優としての仕事が『マジック・ツリーハウス』(2012)、『それいけ!アンパンマン ドロリンとバケ~るカーニバル』(2022)を経て3回目。
「やっぱり声のお仕事には全然慣れていなくて、緊張してセリフを早く終わらせようと急いで言ってしまうところがあったので、監督にはテンポをゆっくり、尺に合わせようとするんではなくて自分の間でお芝居をするようにアドバイスをいただきました。あとは、『全てを包み込む優しさと、信じられない辛さと悲しみを経験した深さを表現してほしい』という話をしていただいて、それを声だけで演じるというのがとても難しいな、これでいいのかなと悩みながらアフレコしていきました」
北川景子「美少女戦士セーラームーン」で伝えたいこと
北川は、この「美少女戦士セーラームーン」という作品に“女優デビュー作”というだけではない並々ならぬ思い入れを持つ。「『美少女戦士セーラームーン』は『なかよし』で連載があった当時、初めて読んだ漫画でとても大好きな作品でしたし、20年前に初めて受けたオーディションも『美少女戦士セーラームーン』なので、自分にとってとても大きな原点で大事な作品です。今回『美少女戦士セーラームーン』の世界観にまた戻ってくることができて、小さい頃に読んでいた時の気持ちやアニメを見ていた時のこと、実写版をみんなで撮影していた時のことなど、人生の節目節目を振り返りながら演じていました」
役柄の違いや慣れない声優業には不安を打ち明けていた北川だが、自身にとって“原点”となる『美少女戦士セーラームーン』の魅力や伝えたいことには自信を持って答えてくれた。
「『美少女戦士セーラームーン』という作品を今回初めて知ったわけではなく、実写版を1年演じていたからこそ『美少女戦士セーラームーン』の世界観や(原作の)武内直子先生が伝えたいことを理解できていたことが役に立ったと思っています。
『美少女戦士セーラームーン』は、とても可愛い女の子たちが変身して敵と戦って勝つんでしょと思われがちですが、普通の中学2年生の女の子たちが、1人では絶対乗り越えられない困難や倒せない相手を、仲間たちと協力して力を合わせることで乗り越えて前に進むことができるということを、自分たちは1番伝えたかったですし、武内先生もそうなのかなと思っています。うさぎちゃん(セーラームーン/月野うさぎ)はとても人間らしくて、『できっこない』と自信をなくしたり、時々泣いたりくじけたりしますが、最後は必ず前を向いてもう1度立ち上がろうとする。シンプルですが、諦めず前を向いて胸を張って歩いていくことの大切さや、絆を大切に仲間と力を合わせれば成し遂げられることがあるというポジティブなメッセージが詰まっていると思います」
「人前に出たくない」北川景子が悲しみを乗り越えた方法
北川は、本作で「辛く苦しい戦いから全てを捨てて未来から逃げてきた」というセーラーコスモスを、深い悲しみに包まれた声で演じきっていた。自身にも、セーラーコスモスのように「逃げ出したい」と思ってしまうような辛い経験があったのだろうか――。「この20年間で何度もあります。最初の10年くらいはがむしゃらに仕事をやっていたので、あまり寝れないほど忙しかったですが辛いとは感じていなかったんです。でも、後半の10年、特に30代でキャリアも重ねてきた時期は若い頃よりも役の幅が広がり、広告をやらせていただくことや待機作も増え、求められるものも多かったので『この人はもう10年経っている人だからできて当たり前』『なんでもできる』と思われているのではないかというプレッシャーを感じて、自分自身が全然ついていけていないと絶望することもありました。
さらに、元々は自分の考えていることを割とはっきり言うタイプで、それが10代の時考えていたことと今で変わってもいい、素直に話したいと思っていたのですが、キャリアを重ねて『自分が発する言葉1つ1つにも責任を持ち、若い人たちにとって模範でなければいけない。自分は1つも間違えず常に正しいことを言ってなくてはいけない』という思いがとても強くなりました。自分の発言で驚かせてしまう、話の前後の流れがあってもここだけ切り取られたら違った受け取られ方をされてとても失望されてしまう、自分は自信持って考えていることも人にとっては間違っていると思われる。自意識過剰かもしれないですが、自分の言葉がとても重たくて影響力を持つものなのではないかと怖くなり、“北川景子”として番組や雑誌、舞台挨拶など、人前に出るのがもう嫌で嫌でしょうがなくて、ともかく逃げ出したかったです。30代に入ってから3年間ほどは、その心の葛藤がきつかったです」
「人前に出たくない」と思ってしまうほど追い詰められてしまった北川を救ったのは、人生を大きく変える2つのきっかけだった。
「今思うと、10代・20代はずっと働き詰めで自分と向き合う時間があまりなかったので、煮詰まってしまって自分の中で過渡期に入っていたのだと思います。新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言で一旦現場が全て無くなって仕事がストップした時に、自分と向き合う時間をたくさんもらい、他の方の作品を見たり本を読んだりとインプットできたので、頭と心を休めることができました。
自分たちの仕事が“不要不急”で1番最初にいらなくなってしまうことはとても悲しかったですが、活動できる場所があるありがたみも感じて『こう言ったらこう思われるのではないか』『こういう仕事をしたらがっかりされるのではないか』ではなく、自分が思っていること、やりたいこと、伝えたいことをやっぱり発信していきたいし、素直に自分らしいやり方で歩いてもいいのではないかと思えたんです。
また、そのぐらいで子供も授かりました。子供を授かったことも長期で休んだことも初めてだったので、色々変わるきっかけを強制的にもらえたことも自分にとっては運命で。あそこであのようなタイミングをもらえなかったら、今ももしかしたらしんどかったのかなと思います」
北川景子の夢を叶える秘訣
20年間、トップ女優として走り続けてきた北川は「叶った夢もあれば、まだまだもっとこういう風にもなりたいと叶っていない夢ももちろんたくさんあります」と話す。辛く苦しい時期も乗り越えた今だから思う「夢を叶える秘訣」とは――。「しんどかった3年間、ネットもSNSもどういう風に切り取られるかも全てが怖くて、本当はもっと思っていることや言いたいことがあるのに抑えていました。そうして内に閉じこもっていた時期は、返ってくるものも広がりも小さくて、色々と途絶えてしまったと思っています。正直に話せば『北川さんがこう思っているなら僕もこういう風に協力しよう、私も頑張ろう』と、もっと人とのコミュニケーションやキャッチボールがあったと思うし、ファンの方たちにももっともっとオープンに発信すればよかった。
今は自分に正直に発言するのも好きだし、正直に言うとみんながもっと分かってくれて応援してくれる人も出てきて、夢に近づいていくと思うので、諦めないで、内に閉じこもらないで、到底叶いそうにないと思っても、恥ずかしがらずに言ってみたり、人とちゃんと交流を持ち続けたりすることが大切だと思います。コロナが流行してしまって叶わなかった舞台を40代ではやりたいという思いがあり『できるわけないじゃん』と思われるのが恥ずかしいという部分もありますが、『そういうことに興味あるんだ』と分かってもらうところから始まっていくと思っているので、口に出すようにしています」
(modelpress編集部)
北川景子プロフィール
1986年8月22日生まれ、兵庫県出身。2003年にドラマ「美少女戦士セーラームーン」で女優デビュー以降、「ブザー・ビート〜崖っぷちのヒーロー〜」(フジテレビ/2009)、「スマホを落としただけなのに」(2018)、「ラーゲリより愛を込めて」(2022)など話題のドラマ・映画に続々と出演し、高い人気を得る。また、「マジック・ツリーハウス」(2012)、「それいけ!アンパンマン ドロリンとバケ~るカーニバル」(2022)では声優業にも挑戦し、劇場版「美少女戦士セーラームーンCosmos」《後編》が3回目となる。
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