モデルプレスのインタビューに応じた豊田裕大(C)TopCoat

豊田裕大、先輩・菅田将暉は「マジシャンみたいな人」と語る理由 「それパク」窪地役の撮影秘話・共演者とのエピソードも <モデルプレスインタビュー>

2023.05.13 12:00

公開中の映画「銀河鉄道の父」「劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ」、そして放送中の日本テレビ系水曜ドラマ「それってパクリじゃないですか?」(毎週水曜よる10時~)と出演作が相次いでいる俳優の豊田裕大(とよだ・ゆうだい/24)。モデルプレスのインタビューでは、3作品それぞれの撮影エピソードを聞き、俳優として自身の心境の変化を感じているという豊田の今に迫った。

  

豊田裕大「銀河鉄道の父」で宮沢賢治の実弟役

豊田裕大(C)2022「銀河鉄道の父」製作委員会
「銀河鉄道の父」は、世界中から愛される宮沢賢治が“ダメ息子だった!”という大胆な視点を軸に、大量の宮沢賢治の資料の中から父・政次郎について書かれた資料をかき集め、究極の家族愛を描いた同名小説(門井慶喜著)を映画化。豊田は、菅田将暉演じる賢治の弟で、やりたい放題の兄を慕い、商売の才を発揮し、兄の代わりに家業を守る清六を演じている。

2019年、初めて挑戦した「MEN’S NON-NO」モデルオーディションで「ラボ シリーズ賞」を獲得し、芸能界デビュー。2021年春に芸能事務所「トップコート」に所属して以降俳優活動を本格化させた豊田だが、実は、俳優として最初に決まったのが今作だった。

「最初に出演が決まったときは、宮沢賢治ですら教科書で見る遠い存在だったのに、さらにその弟か、と。生きている時代も違うし、自分が演じるには難易度が高いんじゃないかというイメージでした」とハードルの高さを感じたが、まず撮影前に成島出監督が大事にするボイストレーニングから始めた。

「監督は、芝居の上手い下手で一番気になるのは、才能や感覚が優れているかじゃなくて発声の部分だとおっしゃっていてボイストレーニングの機会を下さいました。ありがたいことにこの業界に入ってからスタッフの方に『声が良い』と褒めて頂くんです。自分の発声を意識して喋ることを今までしてこなかったので、トレーニングを受けたことで感覚が少し変わったと思います」

豊田裕大、先輩・菅田将暉は「マジシャンみたいな人」

森七菜、役所広司、豊田裕大、坂井真紀、菅田将暉、田中泯(C)2022「銀河鉄道の父」製作委員会
撮影中はロケ地の岐阜で約1ヶ月半生活。役作りは、清六が兄について記した著書「兄のトランク」を読んで研究したほか、自身の撮影が休みの日も現場を見学。「お芝居を始めて間もないので、できるだけ感じ取れることがあればと思って」と先輩の演技から多くのことを吸収した。

事務所の先輩でもある菅田から受けた刺激を聞くと「菅田さんってマジシャンみたいな人だなと思う」と独特な表現をする。

「世間に見せているところはちょっとテクニカルな部分というか器用なイメージが強いじゃないですか?でも実は基礎がすごくしっかりしていて謙虚な方で、生真面目さとか物事を見る視点の純粋さがある。マジシャンも基礎があってマジックができると思うので、そういうところがマジシャンみたいだなと」

豊田裕大(C)TopCoat
初の現場で緊張していた豊田を救ったのは、菅田の一言だった。

「撮影初日に、清六が父を止めるシーンの撮影中、僕がランプを倒して中断しちゃったんです。大先輩方に囲まれて芝居も全然分かっていない状況で緊張していたので、撮影の後、一人ひとりに謝りに行って最後に菅田さんに謝りに行ったんです。そしたら『もうそんなこと忘れた』と言って下さって。『切り替えろ』という意味なんだなと思って、菅田さんはなんの気なしに言ったかもしれないんですけど、僕からするとそれを初日に教わったことがすごく重要でした。やっぱりできないことばかりなんですけど、ずっと気にしていてもしょうがないから切り替えて次に行くしか無いと思わせてくれたし、パワーをもらいました」

また、撮影中のエピソードを質問すると、普段から現場の秘話をメモしている中から、印象的だったという話をしてくれた。

「菅田さんと森(七菜)さんといたときにフリマアプリの話になって、そしたら菅田さんが、よく芸能人の名前で『菅田将暉着用』と服が売られていることがあるらしいんですけど、『俺これ1回も着たことないぞ』みたいなアイテムでも『実際に俺着てそうだし買うか』と自分で買っているらしくて、『着用』を自ら本物にしていくというのを聞いて爆笑しました」

豊田裕大「推し武道」ドラマから映画に続くキャストの絆とは

豊田裕大(C)平尾アウリ・徳間書店/「劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ」製作委員会
「劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ」は、2022年10月クールにABCテレビで放送されたドラマの劇場版で、地元・岡山のマイナー地下アイドル・ChamJam(チャムジャム)のメンバー・舞菜に人生のすべてを捧げている伝説的なファン・えりぴよ(松村沙友理)のオタク仲間・基を演じている。

「現場の雰囲気がすごくワイワイしていて、コロナ禍で息苦しい時代にも息抜きできるような作品なので、ドラマと映画で特別意識の切り分けもなく自然と撮影できました」とドラマに引き続き撮影現場は和気あいあいとしていたと振り返る。

「松村さんがパブリックイメージのままなんですよ。ジャンボさん(レインボーのジャンボたかお)はすべてを拾って下さるし、毎日1つのコントを見ているようで絶対どこかで笑いが起こっていて行くのが楽しみな現場でした。キャストは年齢の一番下が14歳の子とかで、年齢幅が広くて、そうなるとあんまり話さない子も出てくることも多いと思うんですけど、この現場はそんなことが全くなくて皆で分け隔てなく話せましたね。だけどChamJamメンバーはやっぱり”推し”という意識で現場でも触れてはいけない存在というか、ちゃんと応援しないと握手できないと思って距離を保っていた感じです(笑)」

豊田裕大、松村沙友理、ジャンボたかお(C)平尾アウリ・徳間書店/「劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ」製作委員会
豊田裕大、ジャンボたかお、松村沙友理(C)平尾アウリ・徳間書店/「劇場版 推しが武道館いってくれたら死ぬ」製作委員会
「僕は普段の自分よりもテンションが高めの役だったので、本番以外でもテンションを高くするように意識していて、皆腹を割って話せる関係性で、素直に甘えさせてもらいました。あとはドラマでは登場していない基のライバルキャラクターが映画には出てきて、人間性がより分かるシーンがあるので、普段は怒らない役柄なんですけど、そこは意識して演じました」と劇場版の見どころをアピールした。

豊田裕大「それパク」で実感した難しさと成長

豊田裕大、芳根京子「それってパクリじゃないですか?」(C)日本テレビ
板橋駿谷、豊田裕大、芳根京子「それってパクリじゃないですか?」(C)日本テレビ
それってパクリじゃないですか?」は、飲料メーカーを舞台に芳根京子が演じるお人好しの知財初心者・藤崎亜季とジャニーズWEST重岡大毅が演じる理屈っぽいカタブツ上司・北脇雅美が凸凹コンビとなり、仲間の汗と涙の結晶を守る、笑って胸が熱くなる知的財産エンタメドラマ。豊田は、亜季の同期の開発部員・窪地育哉役で、上昇志向が強く、亜季のことをライバル視しているという役どころ。10日に放送された第5話では、窪地が開発した新商品の特許を出願するストーリーが描かれた。

「まずセットがリアルで、開発部のスペースもちゃんとあって、1個ずつ器具の使い方を確認するところから始まりました」とこれまでになかった専門的な役柄の役作りは尽きず、「亜季との関係性や、なぜ周りに対して強くあたってしまうのか、という窪地が抱えている問題を探っていきました。裏でめちゃくちゃ一生懸命仕事をしていて誰よりも努力しているので、ただの嫌なやつに見えないようにそこのバランスにはちょっと苦労しています。5話は最初に脚本を読んだときに、これを自分が演じられるんだと思ったのと同時に、大丈夫かなとも心配になりました。もちろん初めからできないとは思わないようにしているし、最善を尽くすだけなんですけど」と演じる難しさも口にする。

橋本淳、田辺誠一、豊田裕大「それってパクリじゃないですか?」(C)日本テレビ
板橋駿谷、芳根京子、豊田裕大「それってパクリじゃないですか?」(C)日本テレビ
前回のモデルプレスのインタビューが初主演映画「レッドブリッジ」「レッドブリッジビギニング」が公開された約1年前。そこから俳優として感じた自身の成長を聞くと、5話の撮影をあげ、「窪地が怒りをぶつけるシーンはカットがかかったときに『よくやった』『良かったね』と皆さんが言って下さって、自分自身では分からないんですけど、もしかしたら一歩前に進んでいるのかもなとちょっと思えた瞬間でした」と周りの反応で実感を得たそう。

また、今年に入ってから心境の変化も。「芸能界に入っていきなり自分が役者だと意識できるわけでもないので、今年に入ってからエンジンが本格的にかかってきたのかなという感覚があります。やっぱり現場現場で更新していっていて、作品に対する想いとか臨み方というのか前よりも深くなっているなと自分でも思います」と俳優としての自覚がさらに深まった。

「現場は先輩ばかりなのでお芝居の面でもすごく勉強させて頂く部分が多いんですけど、何より芳根さんと重岡さんのエネルギーがすごくて。芳根さんは炊飯器を持参しておにぎりを高橋努さんに配ったり。重岡さんは撮影の合間もずっと喋っているし、お話が面白いんです。僕がバスケットをやっていると言ったら『なんでバスケやったん?熱い話聞かしてや!』と聞いてきてくれて、重岡さんは逆にバラエティ番組でやられているボクシングの映像を見せてくれたり。本当に分け隔てなく接してもらっています」と現場の話になると自然と笑顔になった豊田。「お仕事モノって固いイメージがあると思うんですけど、それを打ち砕いてくれるような主人公の明るさと、毎回気持ち良い終わり方なので、気軽に観て欲しいです」と呼びかけてくれた。

インタビューQ&A

豊田裕大(C)TopCoat
― モデルプレスの読者の中には今、さまざまな不安を抱えている読者がいます。そういった読者に向けて、豊田さんのこれまでの人生の中で「怒りを乗り越えたエピソード」を教えてください。

豊田:怒りを乗り越えたエピソードか…。(悩んで)今年に入って鍵を2回失くしたときに、自分に対して本当に腹が立ちました。そのときの解決方法としては鍵にでっかいキーホルダーをつけようと思って、怒りの原因に対してちゃんとアプローチするということをしました。でも邪魔になって結局外しちゃいました…ダメですね(笑)。

― 意外とおっちょこちょいなところがあるんですか?

豊田:本当におっちょこちょいなんですよ。割とクールな見た目だと言われるので、そういう抜けているところが感じ取れないらしくて、イメージを保つために必死です(笑)。

― ファンの方にはバレていますか?

豊田:バレてきていると思います(笑)。インスタライブをしたときにちょっとイジられるようになってきたな、と感じました(笑)。まあでも自然体でいければいいかなと思います。

― 「推し武道」にちなみ、豊田さんにも“推し”はいますか?

豊田:レインボーさんのYouTubeをすっごく観ています(笑)。日常のあるあるを切り取っているところとかあの感じがすごく好きです。あとはYouTubeだとクーちゃんねるとかもよく観ています。

― 「推し武道」のオタク仲間のように、豊田さんが仲間と意識している存在は?

豊田:学生時代はバスケットボール部でやっぱりチームスポーツなので小学校、中学校、大学とずっと途切れずにいました。今も学生時代からずっと一緒にいる友達は仲間だと思っているし、あとは「MEN’S NON-NO」モデルも仲間だと思います。特に同じ役者をやっている鈴鹿央士や鈴木仁といったメンバーは、役者の現場だけで会う形じゃなくて「MEN’S NON-NO」という媒体を通しながら一緒にやっているという部分があるので、より仲間意識を感じます。

(modelpress編集部)

豊田裕大(とよだ・ゆうだい/24)プロフィール

1999年4月10日生まれ、神奈川県出身。2019年より「MEN’S NON–NO」専属モデルとして活動。TVドラマ「じゃない方の彼女」(2021)で俳優デビュー。「レッドブリッジ」(2022)、「レッドブリッジ ビギニング」(2022)で初主演を務める。その他の主な出演作は、「妖怪シェアハウス―白馬の王子様じゃないん怪―」(2022)など。テレビドラマでは、「妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪-」(2022)、「推しが武道館いってくれたら死ぬ」(2022)、「正しい恋の始めかた」(2023)、「沼る。港区女子高生」(2023)などに出演。
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