桜田通、メジャーデビューで改めて感じた音楽の楽しさ 制作での“新たな挑戦”語る＜「MIRAI」インタビュー前編＞

桜田通、アーティストとしてメジャーデビュー

Netflixシリーズ「今際の国のアリス」や、現在放送中のテレビ東京系ドラマ25「クールドジ男子」（毎週金曜深夜24時52分～）など、俳優として多数の作品に出演する傍ら、音楽好きが高じて、2016年よりイベント「Sakura da Festa」で自身の楽曲をはじめ、自身が出演するドラマや映画の主題歌カバーを披露してきた桜田。

2018年には、主演映画「EVEN～君に贈る歌～」にて、劇中バンドのボーカルとしてメジャーデビュー。2019年の主演映画「ラ」では、元バンドマン役で劇中歌の作詞も担当。昨年春には初となるZeppツアー「Dori Sakurada ZEPP TOUR 2022 Anniversary to the next level」を開催するなど、精力的に音楽活動を行ってきた。

デビューシングル「MIRAI」は、ハイトーンのサビが印象的で、変化を恐れず新たな未来へと向かっていく桜田の決意表明を感じさせる1曲。配信を記念して、5月26日より全国4箇所を周るデビューツアー「Dori Sakurada Debut Tour 2023 “Retrograde Satellite”」を開催する。

桜田通「音楽に対しては楽しさしかない」

― デビュー曲の完成おめでとうございます。感想や手応えをお聞かせください。

桜田：楽曲の作り方や歌詞の書き方など、今までのやり方とベースは同じなのですが、関わってくださる方も含め、今までとはまた違った環境で作っていったので、皆さんにどういうふうに受け止めてもらえるのかは未知数です。人間は良くも悪くもバイアスがかかる生き物だと思うので、一生に一度の“メジャーデビュー第1弾シングル”というところも踏まえて、5月12日に届いた方々からどういう感想が出るのか、今の段階では本当に想像がつかないです。

― ハイトーンが印象的ですが、レコーディングはいかがでしたか？

桜田：今までもしっかりレコーディングをしてきましたが、今回はいつもより時間をかけました。歌い方、歌詞の置き方、メロディーの当て方など、今回は少し変えたい部分があったので、こだわって臨みました。新しいチャレンジがある分大変なレコーディングでしたが、僕は音楽に対して楽しさしかないことを改めて感じました。

いつも半音ずつキーチェックをしていて、今回のサビはもう1つ上のキーでも歌えたのですが、高すぎても低すぎても印象が変わってしまうということで、このキーに落ち着きました。僕はわりと音源至上主義で、ライブで完成する曲もあってはいいと思うのですが、1番最初に届くものが大事だと思っているので、音源が良いものになるように歌いました。

桜田通の音楽のルーツを辿る「20代はとにかく音楽がやりたかった」

― 音楽好きな桜田さんですが、これまで影響を受けたアーティストや楽曲を教えてください。

桜田：話すとキリがないくらいたくさんいます。今まで自分が好きで聴いていたアーティストの方たちからは、全部影響を受けていると言っても過言ではないです。楽曲に関しても、日本の好きなバンドやアニソン、ボカロ、海外のDJやEDMなど、本当にたくさんあるので、全部が自分の細胞みたいなものになっている気がします。

それは音楽に限らず、好きな漫画のセリフや、好きなキャラクターの生きざま、僕が今まで携わってきたドラマや映画で得た感情、僕が普段プライベートで桜田通として思ったこと、良いことから嫌なことまで全部が曲作りに影響していると思います。

― いつから音楽に興味を持つようになったのでしょうか？

桜田：小学5年生の時にアミューズのダンスボーカルユニットに参加して歌とダンスをやるようになったのがきっかけで好きになりました。そのユニットが解散になってからは、中学からミュージカル「テニスの王子様」に出演していて、高校の時に好きな音楽が増えたので、地元の友達とコピーバンドをやっていました。その後留学に行って、20歳を過ぎて戻ってきてから、「Sakura da Festa」を始めて、ファンの方の前で自分の曲を披露するようになりました。

― 「SUPER ハンサム LIVE」に出演しながら、個人でライブ活動を精力的に行っていたのは桜田さんくらいだと思うのですが、「Sakura da Festa」を始めたきっかけは何ですか？

桜田：留学から戻ってきて、「Sakura da Festa」のトークイベントの最後に、オリジナル曲を3曲披露したのが始まりだったのですが、これからは音楽もやっていこうと決めたうえでそのイベントを開催したんです。その時から（音楽プロデューサーの）Naoki Itaiさんとの出会いもあり、翌年から「Sakura da Festa」として、音楽でのイベントを始めるようになりました。

俳優としては「サイケデリック・ペイン」というロックのミュージカルに出たり、年数は変わってきますが、映画「EVEN～君に贈る歌～」や「ラ」に出たり、自分の気持ち的に音楽を題材にした作品を狙うようになっていて、20代はとにかく音楽がやりたかったんです。「ハンサムライブ」もやっていましたが、「ハンサムライブ」はみんなと一緒にやるものだし、僕以外のファンの方もたくさんいらっしゃるので、僕のことを追いかけてくださっている方たちと長い時間を共に過ごしたいなという思いがあって。それで「Sakura da Festa」をやるようになりました。

― 音楽好きだからこそ「Sakura da Festa」をやっていたと思うのですが、いずれはこういう形でメジャーデビューしたいという目標は掲げていたのでしょうか？

桜田：メジャーデビューの目標は掲げたことがなかったです。デビューがしたくてライブをするというよりも、ただ自分を応援してくださっている方と音楽でひとつになりたいという気持ちでずっとやっていました。自分の曲だけでなく、自分が今まで携わった作品の主題歌なども披露するのが「Sakura da Festa」の面白いところだなと思っていて、デビュー云々というよりは、僕を応援してくださっているからこそ“2倍楽しめる”ライブを目標としてきました。

― 昔は渋谷のライブハウスでやっていましたが、会場のキャパが大きくなると違いますか？

桜田：会場が大きくなるとステージも大きくなるので、表現できる世界観が変わるなと思います。ステージが大きいからこそ見せられる景色や、曲の奥行きみたいなものは、正直キャパに比例すると思っているので。僕は最近、BLACKPINKさんやaespaさんのライブに行ったのですが、映像や照明、セットなど、視覚的にも楽しませてくれるあの世界観は、大きいステージだからこそ感じられるものだなと改めて感じました。

― 他のアーティストの方のライブに行くと、やはりそういう目線で見られるんですね。

桜田：ライブに行ったのが久々だったこともあり、BLACKPINKさんやaespaさんは普通に楽しく見ていました（笑）。

桜田通、作詞へのこだわり・言葉に込めた大切な思い

― 桜田さんはこれまでも作詞を手がけていますが、作詞をしようと思ってするタイプですか？それとも常に思っていることをメモに残しておいて詞に起こすタイプですか？

桜田：楽曲制作にあたって「今日は作詞をしよう」と決めて書くことがほとんどですが、作詞をする時のためにも、普段思ったことや考えたこと、良いことや悪いことをスマホのメモに残すようにしています。

― 桜田さんの歌詞は、いつも根底で感じているようなリアルな言葉選びが印象的です。

桜田：僕は自分の人生をわりと重めに生きているタイプだからかもしれないですが、リアルな気持ちを詞にすることが多い気がします。僕もそういうアーティストの曲を聴くのが好きですし、同じように思っている人に届いたらいいなという思いがあるからです。僕自身、浅く生きている人よりも、1つ1つを真摯に受け止めながら生きているような人が好きなので、軽い言葉より、少し重くてもいいから伝わってほしいと思って詞を書いています。

― 過去の楽曲「あの空へ」の「偶然 でも良い 君を見つけた 出会いが全てを変えた」という歌詞がすごく好きで心に残っています。

桜田：ありがとうございます。嬉しいです。思ったことをその時に書いているだけなのですが、今改めてその歌詞の言葉を聞くと、本当にそういうことだなと思います。僕はこれまでメジャーデビューを意識して音楽活動をしてきたわけではないですが、心境や身の回りの環境の変化で、ありがたいことにデビューをさせていただくことになって、いろいろな方の協力があって、今回ポニーキャニオンさんと出会うことができました。

僕がもし5年前くらいにデビューを目指していたら、ポニーキャニオンさんじゃなかったかもしれない。言葉で言うと簡単に聞こえるかもしれませんが、出会ったことはタイミングで偶然だとしても、それが最終的に運命の出会いになるのかもしれないですよね。

― 人に聴かせるという意味では、歌詞に全て本音をさらけ出すというのも難しいところではあるのでしょうか。

桜田：それで言うと、僕は今までの曲で、過激な言葉は控えながらも、自分が思っていることや感情を直接的な表現で詞にのせていたのですが、僕のパーソナルな部分を知っている人には届くけど、全く知らない人からしたら、「何を言っているんだ？」と受け入れられかねないなと思ったんです。今回はメジャーデビューということで、より多くの人に届けたいと思い、自分らしさを残しつつも、僕のことを全く知らない人が聴いても良い楽曲だと思ってもらえるような言葉選びを意識しながら作ったので、それが1つの新しい挑戦でもありました。

― 確かに、「FICTION」の歌詞とかはわりと激しめですよね（笑）。

桜田：激しめですよね。「コイツだいぶキレてるな」という感じの（笑）。

― （笑）。でも桜田さんの楽曲はジャンルレスなので、聴いていてとても楽しいです。

桜田：ありがとうございます。これからもジャンルにとらわれず、その時に歌いたい曲を、自分が好きな範囲で自由に作りたいなと思っています。

― 今後、楽曲をリリースするペースはどのような感じになるのでしょうか？

桜田：「MIRAI」を5月12日にリリースしますが、もう数曲作りたい曲があって、着手し始めているものもあるんです。メジャーデビューと聞くと、僕の勝手な想像では、しっかりスケジューリングして、このタイミングでこれをリリースして…というプラン先行なイメージだったのですが、今僕がやっているのは楽曲制作が先行で、完成したら良いタイミングで配信していこうくらいの感じなので、すごく楽しいですし、それがデジタル配信の面白いところだなと感じています。今までだったら、1年に1回ライブをやるためだけに2曲くらい作っていたのが、今は自由に作っていて、「ストックできたらアルバムにできるね」とか、「ここで配信できるね」という、訳がわからないくらいありがたい環境です。

― 良いですね。ちなみに「Brand New World」と「Hero」は配信する予定はないのでしょうか？

桜田：「Hero」は、ライブだからこそ楽しんでいただける曲だなと思っているので、温めつつ、迷いつつ、という感じなのですが、「Brand New World」は、僕がデビューを目指したいと思えた始まりの曲でもあり、デビュー前最後の納得ができた思い入れのある曲でもあるので、配信したいなと思っています。今はYouTubeのエディットバージョンなので、マスタリングとかをもっとしっかりした状態で、皆さんにお届けしたいです。

― 楽しみにしています。ツアーももうすぐ始まりますね。

桜田：現時点（※インタビューは4月中旬）ではまだあまり準備ができていないのですが、セットリストはほぼ決まっています。自分と環境を信じてやるしかないです！

★インタビュー後編も公開中！

（modelpress編集部）

「Dori Sakurada Debut Tour 2023 “Retrograde Satellite”」日程・会場

・5月26日（金）KT Zepp Yokohama　OPEN17：30／START18：30
・6月16日（金）Zepp Nagoya　OPEN17：30／START18：30
・6月17日（土）Zepp Osaka Bayside　OPEN17：00／START18：00
・6月29日（木）Zepp Haneda　OPEN17：30／START18：30

桜田通（さくらだ・どおり）プロフィール

1991年12月7日、東京都生まれ。2005年のドラマ「瑠璃の島」にて映像デビュー。ミュージカル版「テニスの王子様」（2006～2007） の主人公・越前リョーマ役に抜擢され、映画「劇場版さらば仮面ライダー電王ファイナル・カウントダウン」（2008）野上幸太郎役で映画初主演。

2019年には「コーヒー＆バニラ」に出演。最近では、Netflix「今際の国のアリス」シリーズに出演するなど、グローバルを視野にいれた活動に注力。テレビ東京で放送中のドラマ「クールドジ男子」に主演として出演。

10代での映像デビュー以降、数々のドラマや映画に出演し研鑽を積み上げてきた役者業はもちろん、自身のSNSでの影響力がファッション業界などで高く評価され、有名メゾンをはじめ、様々なクリエイターやファッション感度の高い若者からも大きな支持を得ている。Instagramフォロワー数は140万人を超える。

様々な活動の中で、自身の想いをより広く届けていくアプローチの方法として、アーティストとしての活動を決意。2023年5月12日、個性豊かなクリエイター陣と作り上げた楽曲「MIRAI」でメジャーデビュー。