Novel Core「初めて自分自身を許せるようになった」瞬間 BE:FIRSTから刺激、Aile The Shotaとの制作秘話も<「No Pressure」インタビュー>
2022.08.24 15:00
注目のラッパー/シンガーソングライター・Novel Coreが、8月3日に2ndアルバム「No Pressure」をリリースした。「ネガティブがあるからこそポジティブを届けられる」と“プレッシャー”を受け入れることができたきっかけは?6月に「Novel Core 1st ONEMAN LIVE『I AM THE TROUBLE』」を成功させたばかりの彼が、次に掲げる夢についても語ってくれた。<モデルプレスインタビュー>
Novel Coreが新たに挑戦したいことは?
― リード曲「独創ファンタジスタ」のMVは、コア子(Novel Coreが女性に扮して登場したキャラクター)やSKY-HIさんの登場など、かなり遊び心満載でしたが、撮影で印象に残っていることはありますか?Novel Core:このビデオは本当に新しいことづくしでした。ダンスに初挑戦しましたが、メインでコレオグラフ(振付)を作ってくれたダンサーのDAACKYと前日の夕方に2時間だけ振り落としがあって、次の日が本番。本番は24名のダンサーさんに囲まれてだいぶ緊張感がありました。
コア子が大御所だったので、別室でメイクが長引いておりまして(笑)。時間通りに進まなくて香盤表(スケジュール)が詰まっていたので、監督から「できればダンスシーンは3カットで終わってほしい」と指示が出て、よりピリッとした空気感になったのを感じながらやりました。あのシーンはダンスを踊ってないものも含めて結果的に4カットで終わりましたが、その独特な緊張感の中でダンスをしたのが思い出深いです。
― ダンスにはその後も取り組まれていると思うのですが、難しいと感じますか?
Novel Core:奥がとても深くて難しいです。音楽と一緒でちょっとしたシルエット1つで見え方が全然違ってしまうし、体重移動などで普段使わない筋肉を使うので、その筋肉がちゃんと発達するまでは、筋肉痛とずっと戦わなければいけなくて(笑)。でも、新しいことができているのはとても楽しいです。
― 他に新しく始めてみたいものはありますか?
Novel Core:最近よく絵を描いていますが、自分が普段描いているアクリルの絵以外も、油絵とか水彩画みたいなものも試してみたいなと思います。あと最近は、ファッションやアート作品など、自分が好きな要素を1つにしたショーをやりたいと思っています。
最近は自分の作品だけではなく、どちらかというとプロデュースをしてみたいという感覚が強くて。自分以外の人のステージを演出したり、人の曲の歌詞を書いたり、自分以外の人のところで自分を活かすというところに最近とても興味があります。
Novel Core、BMSG所属アーティストからの刺激
― ワンマンライブでも「大親友」と呼ばれていたAile The Shotaさんとの制作(「HAPPY TEARS feat. Aile The Shota」)はいかがでしたか?Novel Core:Shotaとは、言わずとも何を考えているか何を歌いたいかがお互いに理解できていて、強く心で繋がっている状態でスタートしたので、セッションを重ねるたびにお互いからアイデアが出てきて。そこに(共同制作した)Matt Cabさんも追随してアイデアを出してくださったので、いい意味で仕事モードにならず、遊びの延長線上で制作ができました。
「THE FIRST」(SKY-HIが主催し、BE:FIRSTを輩出したオーディション)の合宿に自分が遊びに行った時に初めてShotaに出会って、クールな印象がありつつも、自分と同じように静かな炎を心の内側で燃やしているタイプだったので、とてもシンパシーを感じて一緒にいる時間がどんどん長くなっていって…。「THE FIRST」が終わった辺りからずっと2人で「曲やりたいよね」と話していたので、念願叶ってこのタイミングで制作することになりました。
― 制作する中で他のBMSGのアーティストの方々とお話しされたり、刺激を受けたりしたことはありますか?
Novel Core:前作は1人で向き合って作りましたが、今回は制作期間中もShotaと新曲の交換をしたり、「No Stylist」という曲を録り終わったタイミングで「お互い今忙しいけど頑張ろう」とBE:FIRSTのSOTAから連絡が来たのでその日に音源を送ったりして、「いいね!」という跳ね返りをもらって、次の楽曲制作がよりポジティブになっていくというのをずっと繰り返して制作していました。
「No Stylist」は、できた瞬間に他のどのダンサーでもアーティストでもなくSOTAが踊っている画が最初に浮かんだ曲。音源を送った時に、SOTAから「(この曲)半端ないね」という返信と一緒に「また一緒に曲やれるように、自分も1個1個のこと着実に頑張ります」と急に敬語のLINEが来て(笑)。BE:FIRSTはとても勢いがある存在で、本人たちの努力の結果掴んだ栄光を1つ1つ辿っている最中に、僕に対してこういう言葉がすらっとでてくるのは普通じゃない。とても意識が高くて自分の現状に満足していない貪欲さ・ストイックさがかっこいいなと改めて思いましたし、刺激を受け続けています。
Novel Core、“自分”を見てもらえない過去
― 是非「No Stylist」でのSOTAさんとのコラボを見てみたいです!今回のアルバムは「これまで感じ続けてきたネガティブな感情を受け入れられたからこそできた」と伺いましたが、今までで1番ネガティブな感情を感じた経験やプレッシャーに感じたできごとは何ですか?Novel Core:1番大きなネガティブを経験したのは、15、16歳のタイミング。当時渋谷の路上でパフォーマンスしたり、MCバトルというフリースタイルラップを競う大会に出たりと、ラップを始めたばかりの駆け出しのタイミングでZeebraさんから声をかけていただいて、Zeebraさんの事務所に所属することになりました。
自分に実績もまだ何もない状態でZeebraさんの名前が背後についたことで、もちろん得したことや勉強させてもらえた部分も大きいですが、「Novel Core」という名前が自分からどんどん離れていってしまったんです。「Zeebraさんのところの誰々」、日高さん(SKY-HI)と出会った後には「SKY-HIさんが可愛がっている誰々」みたいな言われ方をすることがどうしても多かったので「Novel Core」として見てもらえず、自分とみんなの目が合ってない感覚を長く感じていました。
プレッシャーに感じた瞬間は、BMSGの“第1弾アーティスト”という看板を背負ってのデビュー。「THE FIRST」のようなプロジェクトが大きくなり、BMSGという会社名が世間で1人歩きすればするほど、デビュー1年目は自分自身もそれに伴って「良いものを作らなきゃ」「ちゃんと結果を出さなきゃ」というプレッシャーを感じながらの生活が続いていました。
― BE:FIRSTさんなどBMSGの他のアーティストの活躍にはプレッシャーを感じることはありますか?
Novel Core:プレッシャーには感じないです。自分は確かに先に事務所にいたかもしれないですが「先輩」という感覚はなく、同じ志を持って、同じ理念を持った上で集まった仲間・友達であり、同時に自分自身であるとも思っています。ずっと日の光を浴びなかった才能たちに光が当たることを望んでここまで音楽をやってきたので、「THE FIRST」を通じて光を浴びて、自分たちのポジションを築き上げていっているというのは、当時の自分自身と重ねてもとても幸福なことだし、頼もしいです。
BE:FIRST、Aile The Shota、edhiii boiたち、もちろん日高さんもそうですが、自分の周りにいるアーティストの人たちが結果を出していくたびに、日本の音楽業界にも、自分自身の過去に背負ってきたネガティブに対してもとても希望が持てますし、嬉しい気持ちになれます。
“Novel CoreがNovel Coreである理由”に気づかせてくれた存在
― 素敵なご関係ですね。ネガティブな経験やデビュー時に感じたプレッシャーはどうやって乗り越えましたか?Novel Core:ファンも含めて自分に関わる人たち全員を1つのチームと言っているのですが、ライブやアルバム制作などチームと一緒に新しい世界を見に行く経験を1つずつ重ねていく中で、自分自身では認められなかった弱いところやかっこ悪いところを、ファンの皆やスタッフさんは逆に素敵だと思ってくれていて、「それが『Novel CoreがNovel Coreである理由』じゃない?」と言ってくれて、初めて自分自身を許せるようになりました。
自分はストイックさが変な方向にいく完璧主義なタイプで、ライブにしても楽曲にしてもリリースされる時には感動しますが、その時間は短くてすぐに「もっとできた、もっとやれた」と納得が行かなくなってしまって、次の作品でその作品を上書きすることしか頭になくなってしまう。今回のワンマンライブでは「正直今歌うのはどうかな」と思うような過去の曲もわざとセットリストに入れていましたが、ファンの皆やスタッフさんたちが「その曲ここでやってくれてよかった」「初めて聴いたけど涙が出た」と言ってくれて、自分が思っている以上に多角的に自分の音楽やメッセージを見て、救いにしてくれていることに気づいて受け入れられるようになりました。
俺はかっこ悪くても泥臭くても、これが今の自分自身だし、数年経ったときに今の自分を振り返ったら「当時の自分にしかできないことだ」ってきっと思うので、今の自分の100点満点をちゃんと受け入れてあげようという感覚に少しずつなっていきました。
あとは、例えばCDショップで大きく自分のコーナーが展開されたり、たくさん聴いてもらえてランキングでチャートインしたり、ラジオでたくさんかかったり「Novel CoreがNovel Coreとして評価されている」今を心から嬉しいと思えるのは「Novel CoreがNovel Coreとして見てもらえない」という時間があったおかげなので、当時のネガティブが今のポジティブに気づかせてくれる材料だと思っています。
― それでは、今は「Novel Core」という名前はご自分から離れていかずしっくり来ていますか?
Novel Core:昨年の10月に「J-WAVE INNOVATION WORLD FESTA 2021」に出演した辺りから「Novel Core」に対しての期待が集まってきた感覚があって、そこからライブをコンスタントに行い、アルバムを出すことができたおかげで、今はとても「Novel Core」として見られているという感覚があります。
Novel Core、ファン・スタッフとの関係「全員同じ人間」
― 普段からファンの方たちとハッシュタグを作ってTwitterでトレンド入りするなど、SNSを中心にファンの皆さんと積極的なコミュニケーションをされているように感じるのですが、ファンの皆さんとのつながりで大切にされていることはありますか?Novel Core:自分の思っていることは素直に言うし、逆にファンのみんなが思っていることも常にキャッチしたいというのは明確に考えています。自分は元々ファンと距離が近いタイプで、過去にMCバトルでバトル上でのキャラクターが1人歩きして作られた理想像を、僕が壊した時に失望された経験がありました。だからこそ、自分は人に失望されたくなかったし、人に失望したくもなかったので、理想像を勝手に作られないように、相手に対して自分の理想像を押し付けないために「アーティストとファンだから」「アーティストとスタッフだから」という壁を作らず、「全員同じ人間」だからお互いの思っていることを素直に言い合おうというのを自分のテーマにしています。
ファンのみんなが自分の感覚を理解しようとしてくれたり、素直に「こうしてくれた方が嬉しいかも」「そう思う人は他にもいるんじゃないかな」と意見が出たりするのはとても嬉しいです。あとは仕事を依頼する時に、チームのスタッフさんが僕の目線に立ってその意図を確認してくれるワンクッションが挟まるような仕事のやり方が自然にできていて、それも自分の目線に立って常に考えてくれていると感じた大きな出来事です。
Novel Coreの不安を乗り越える秘訣&今後の目標
― モデルプレスの読者の中にも不安やプレッシャーを抱えている人が多くいると思うのですが、そういう人にはどんなメッセージを届けたいですか?Novel Core:自分自身は諦めることや逃げることをすごく恐れていたタイプで「何からも逃げずに立ち向かう」「転んでも転んでも立ち向かう」っていうのを大切にしてきたんですが、最近になって「諦める」「逃げる」ということはネガティブではなくて攻撃になるときもあるし、とても大事なパーツになる瞬間もあると思うようになりました。時には自分の心に従って逃げることも必要だし、諦めることも必要かもしれない。なので、自分をあまり追い詰めずに、現状を肯定してありのままを受け入れていけば、きっと何があっても大丈夫かなと思っています。
― 最後に、今年の下半期や来年以降はどんな活動をしていきたいか、意気込みを聞かせてください。
Novel Core:今年はありがたいことに大型フェスへの出演権もいただけて、ライブに対するイメージや世間からのパブリックイメージがちゃんと自分自身のままで固まってきている気がするので、「自己紹介」のフェーズを通り過ぎて、次は「自分自身の音楽で魅了していく」というフェーズになるかなと思っています。また、新しいツアーやライブ、作品の制作を定期的に続けていって、来年の今頃には「アイコン」と呼ばれる存在になりたいと思います。
― ありがとうございました。
(modelpress編集部)
Novel Coreプロフィール
Novel Coreは「BAZOOKA!!! 第12回高校生RAP選手権」での優勝後、Zeebra主宰レーベル“GRAND MASTER”との契約を経て、完全自主制作のもとリリースしたアルバム 『WCMTW』をヒットさせ、SKY-HI主宰マネジメント/レーベル“BMSG”へ第1弾アーティストとして移籍。メジャー1stアルバム『A GREAT FOOL』では各種チャートで日本一を獲得し、2022年6月3日には自身初となるワンマンライブ「Novel Core 1st ONEMAN LIVE『I AM THE TROUBLE』at KT Zepp Yokohama」を成功させるなど、今後のさらなる活躍が期待されている。
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