伶(C)モデルプレス

伶、ソロになり訪れた変化「縛られず、何にもとらわれず」歌と共に歩んだ人生を語る<モデルプレスインタビュー>

2022.04.20 17:00

2020年末に解散したE-girlsのメンバー・鷲尾伶菜のソロプロジェクト“伶(レイ)”が、幾田りらや数原龍友(GENERATIONS from EXILE TRIBE)とのコラボが実現したファーストアルバム「Just Wanna Sing」を4月13日に発売。ソロとして初のCDリリースを控え「自分の好きな音楽を楽しんでいる様子を、このアルバムを通して、ファンの方々に共有できたら」と心境を明かす伶に、本作にどんな思いを込めたのか、そしてソロ活動を通じて去来している思いや、人生を共に歩んできた歌がどんな存在なのかを語ってもらった。

  

伶、ソロ初のアルバム「Just Wanna Sing」を語る

― ファーストアルバムはタイトルの通り『ただ歌いたいだけ』という真っ直ぐな想いが込められた一枚とのこと。コラボ楽曲に加えて「Dark hero」「IDNY」「Butterfly」「恋と、終わりと、Kiss feat. 清塚信也」「Playful Mind」と新曲含む全12曲が収録されています。改めて、どんな一枚になったと感じていますか?

伶:ソロとしては、初めてアルバムをリリースすることになるので、今あるすべてを詰め込みました(笑)。去年1年をかけて制作してきた曲たちだったり、もともとストックしていた、温めていた曲たち、自分が気に入った曲たちを、詰め込ませていただいたアルバムになりました。流行りだったり、時代の流れってあると思うんですけど、このタイトル通り、自分の好きな音楽を楽しんでいる様子を、このアルバムを通して、ファンの方々に共有できたらいいなっていう思いがあります。

伶「Just Wanna Sing」通常盤(提供写真)
― 幾田りらさん初書き下ろしのフィーチャリング曲「宝石 feat. 幾田りら」が1曲目になっていますね。1曲目に選んだ背景は?

伶:アルバムを出す季節的にも、4月って新生活だったり、新しい職に就いたり、みんなの変化と重なる時期じゃないですか。環境の変化、心境の変化もあるだろうし。そういう大切な季節が春だと思うんです。そういった季節にせっかくリリースさせていただけるので、少しでもエールソングになればいいなっていう思いがありました。

アルバムを聴くときって、1曲目、2曲目、3曲目を聴いて、どういうものかを一旦探って触れると思うんです(笑)。そういう意味でも、1曲目はポジティブな、前向きになれるような、自分の背中を押されるような、すごく素敵な曲を幾田りらちゃんに書いていただいたので。季節的にも、この曲がピッタリなんじゃないかなっていう思いですね。

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― 2曲目には、佐藤大樹さん(EXILE/FANTASTICS from EXILE TRIBE)、橋本環奈さんのW主演映画『小説の神様 君としか描けない物語』の主題歌で、THE FIRST TAKEでの歌唱も話題となった「Call Me Sick」が続きます。改めて、どんな楽曲に仕上がったと感じていますか?

伶:ソロとして一発目に出させていただいた曲で、まだその時は、どのタイミングでソロをスタートしようって、あんまり明確に決まっていなかった状態でした。ちょうどそのタイミングで『小説の神様』っていう映画の主題歌と挿入歌の話をいただきまして。せっかくこのタイミングがあるのであれば、ここで勢いのある曲を選曲してリリースしてみようっていう感じだったんです。

本当に、この曲に関しては、映画のストーリーや脚本に沿って選曲させていただいたような楽曲です。エンディングで流れると聞いていたので、しんみりし過ぎない、しっとりし過ぎない、切な過ぎない、勢いのある、ポップさもあって、だけどただのポップじゃなく、「落ち着いた大人ポップ」みたいな感じのものが、最後に流れたらいいんじゃないかと思いました。二人の雰囲気も見つつ、ぴったりだなと思って決めましたね。

― 伶 Official YouTube Channelでの数原龍友さんとの初コラボカバーが話題となった「So Special」が初音源化されました。音源化を望む声は届いていましたか?

伶:そうですね。YouTubeのカバー企画って、コロナ禍に何か皆さんに発信することができたらいいなっていうことで始めたので、アルバム化とかも考えてはいたんです。カバーアルバムとしても作れたらいいなと考えてはいたんですけど、そんなにいろいろ、後先を考えずに始めたことだったんですよ(笑)。

― そうだったんですね(笑)。

伶:せっかくYouTubeっていう発信するサービスがあるからこそ、それを活用して音楽を届けられたらいいなっていう気持ちから、いろんな曲をカバーしていて。もともと数原くんとは、何年も前から仲が良くて、お互いグループ活動をしていたので、なかなか音楽のコラボレーションっていう機会はなかったんですけど、「いつか一緒に歌えたらいいね」っていう話はしていたんです。やっと、このタイミングでそれを実現することができて、すごく嬉しいなって思います。

― 実際にコラボしてみての、数原さんの印象は?

伶:彼の音楽性、声質、歌っているときの雰囲気っていうのは、やっぱりアーティストになるために生まれてきた人なんだなって、改めて感じると言いますか。ほぼほぼ同期なので、GENERATIONSとしての数原龍友の活動も、同じ事務所なので、身近で見させていただいていたんです。ソロとしての数原くんと、GENERATIONSとしての数原くんだったら、けっこう差があるなと思いました。すごくギャップがあるなって感じましたね。

数原くんって、勢いのある楽曲の印象が強いと思うんですけど、意外と、繊細なメロディに、ものすごくハマる声をされているし。彼が好きな音楽性とかも、きっと幅広いと思うんです。こういうバラードというか、女性アーティストと、こういう風にコラボレーションするきっかけとして、彼の新たな一面みたいなものも、ファンの皆さんに知っていただけたのかなと思いましたね。

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― アルバムを通じて、届けたいメッセージはありますか?それとも、そこはリスナーに任せていますか?

伶:任せていますね(笑)。グループ活動のときにアルバムを制作するってなると、グループの色だったり、世の中の流行り、ライブに向けた制作っていうのが基準となってきていた部分が大いにあって。ソロになってからのアルバムとなると、タイトルが「Just Wanna Sing」=「ただ歌いたいだけ」っていうシンプルな名前なんですけど、今までのグループ活動があったからこそ、今音楽を楽しみながらできていると思います。だからこそ、このタイトルを、やっと使えるなって感じているんです。

本当にこのタイトルの通り、私の好きな音楽たちを詰め込んだアルバムなので「少しでも皆さんと好みが重なるといいなあ」なんて思っています(笑)。多ジャンルの音楽を収録させていただいているので、一曲でも皆さんのタイプに合う楽曲が見つかればいいんじゃないかなと思いますね。

ソロになった伶の変化・発展とは

― 2020年のインタビューでは、ソロ活動について「今回は不安よりも、楽しんでやりたいという気持ちの方が強いです。」と仰っていました。「楽しんでやりたいという気持ちの方が強い」という言葉の通り、楽しめていますか?

伶:グループとソロ、どちらもそれぞれ良さがあるなとは思うんです。またグループの時の自分とはきっと全く違う感覚でやらせていただいているので、音楽自体を楽しみながら活動できているのかなと思いますね。

― グループの時と比較して、ソロではどんな面にポジティブな変化・発展が現れているのでしょう?

伶:やっぱり、音楽性ですかね。グループのときは、E-girlsであれば、「E-girlsっぽい」っていう色みたいなものを作れたのって、本当に奇跡みたいなことで。それはFlowerも同様なんですけど、「この曲ってFlowerっぽい」「E-girlsっぽい」っていう、そういうグループの個性みたいなものがすごく強かったからこそ、選曲しやすかったし、その時のタイアップだったりで、出す曲っていうものは変わってきていたと思うんですけど、個人になってからは、縛られず、何にもとらわれず、「好みなものを集めた・歌っている」っていう感覚なので、選曲の仕方もガラッと変わってきました。

歌っている内容も、きっと違うと思います。E-girlsって、陽なイメージがすごく強いんですけど、私って、たぶん声だったり、好むものが陽というよりも陰の方が強い気がしていて。深みだったり、裏側みたいなもの、そこのエモーショナルな繊細な部分を、音楽として表現しやすくなったっていうのは、ポジティブに変化した部分ではありますね。

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― コロナ禍を通じて、楽曲制作やパフォーマンスに対する向き合い方に影響はありましたか?

伶:オンラインライブとか、ミーティングとか、トーク会が増えたじゃないですか。それって、「今までなんで思いつかなかったんだろう?」と思うようなことだったんですよ。生ものの良さも、きっとあると思うんですけど、なかなか会いに来ることができないエリアに住んでいる方々とか、海外のファンの方々、そういう方々に向けた発信が、けっこう多くなりました。

発信に対しての気持ちだったり、可能性もどんどん広がってきているのは、コロナ禍だったからこそだなと感じています。オンラインっていう仮想空間の中で、様々な方々に知っていただくきっかけができたり。今って、そういう時代なんだなって、改めて感じることもできました。

あとは「家にいる時間ってみんな何をして過ごすんだろう?」って考えたときに、音楽を聴いたり、テレビを見たり、サブスクって言われるもので映画を見たり、ゲームをしたり。そういう風におうち時間を過ごされる中で、音楽のジャンルとかもきっと増えていっているだろうし、みんなが聞く音楽の幅っていうのを、改めて自分も知ることができました。

その中でボカロを知って、「ボカロってこんなにかっこよかったんだ」って、改めて発見になったり。それで今回選曲した曲もあるんです。そういう意味でも、コロナ禍だからって全部マイナスに捉えるんじゃなくて、気づきや発見がたくさんあった期間だったなって。未だにそういう期間だと思うんですけど、感じますね。

伶と歌の関係 忙しすぎたグループ時代を振り返り…

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― 改めて、アルバムのタイトルである「Just Wanna Sing」=「ただ歌いたい」について、とてもシンプルで素敵だと思いました。伶さんと歌の関係についてもお聞きしたいのですが、歌に関する一番古い記憶はなんですか?

伶:幼稚園ぐらいの時から、歌うことがすごく好きでした。自分でも「なんでなんだろう?」と思うんですけど、たぶん母親の影響が大きいんじゃないかなと思います。母親も、音楽に積極的で、まだ幼稚園なのに、ピアノを勧めて来たり(笑)。「ピアノを弾けたら、今後困らないから」って。あとは、母親が聞いていた音楽をよく一緒に聴いていました。音楽に触れる機会が、小さいころに、ほかの子よりもあったような気がしています。

そうすると必然的に、大人になっていくにつれて、歌手になりたいって思うんですよね(笑)。テレビとかを見て、それこそ当時は「ミュージックステーション」をよく見ていて。「絶対、この番組にいつか出たい!」って、ずっと思っていたんですよ。それが小学生の頃だったんです。その頃から、漠然としていた夢が、どんどんリアルになっていくというか。そういう感覚がありましたね。

―「歌で生きていく」という思いが固まったのは、いつ頃でした?

伶:高校入学のタイミングでした。高校1年生の時に、スクールに通い始めて本格的に音楽を、ダンスと歌を学び始めて、先生っていう人に、初めて教わりました。そこでオーディションというものがあったので、人生で初めてのオーディションを受けました。

これでだめだったら、年齢も年齢だし、20歳までに結果を出すことができなければ、就職をして、ちゃんと安定した職に就くことも考えていました。両親に心配をされていたこともあり、このままでは迷惑をかけてしまうと感じていました。でも私は運が良くて、17歳の時にデビューが決まったので、好きな職に就くことができました。

伶(C)モデルプレス
― 実際に好きなことを職にできても、続けていくのは難しいことですよね。歌手として生きるうえで、迷いはなかったですか?

伶:確かに、音楽は厳しいと感じることも多いです。もちろん今もそうですけど、E-girlsのときは、なんにも知らない状態で(笑)。本当に、わからないんですよ(笑)。

― 陽ですね(笑)!

伶:あはは(笑)。17歳の私は、何枚売れたとか、どこでこの曲が流行ってるとか、そういうことに向き合う暇がないほど、ありがたいことに忙しかったんです(笑)。というのを言い訳にさせてください(笑)

― でも、いい忙しさですよね。

伶:そうですね。今思うと本当にありがたいです。目まぐるしく毎日が過ぎていく中で、学んでいかないと、ついていけなくなってしまう。常に毎日何かしら成長していないと、世の中に置いていかれてしまうような感覚がありました。

グループ活動って、そういうところがきっとあると思うんですよ。みんながみんな、本気で頑張っていたと思います。みんなが100パーセント努力するなら、自分は置いていかれないように、200パーセント努力しようという気持ちで、約10年間生きてきました。

― 忙しすぎて(笑)。

伶:はい(笑)!次々と考えなきゃいけないことがありました。今こういう風な仕事をしていても、来年のライブのことを、アルバムのことを考えなきゃいけなかったり。定期的に、ヴィジョン会議っていうものが行われていたので。本当に忙しい日々を過ごさせていただきました。ファンの皆さんも、どんどんついてきてくれていました。

みんなの努力があったからこそ、ファンの方々にも、それが届いていて。個人になった今でも、ついてきてくれるファンの方々がいるからこそ、活動できているんです。趣味が音楽で、それが職になったけれども、音楽で食べていくって、なかなか難しいことじゃないですか。今の時代、特にそうだと思うんです。だけど、私がそういう風に生きていけているのは、今までのグループ活動とファンの方々がいて下さったからだなと、改めて思っていますね。

伶「Just Wanna Sing」初回生産限定盤(提供写真)
― グループ在籍時とソロの今では、自分をアップデートするプロセスで、何か違いができましたか?

伶:どうなんでしょう?今は比較的、マイペースに生きているかもしれないです。プライベートもちゃんと充実させなきゃとも思うし、好きなことをお仕事にさせていただいているので、ちゃんと発信できるようにという風に考えてはいますね。グループのときは、目まぐるしかったっていうこともあって、成長していないと、作品についていけないんです(笑)。

例えば、めちゃくちゃなダンスナンバーが来て、ダンスができなかったら、意味がないというか(笑)。あと、ライブもあるので、生で見て「この子、踊れないじゃん!」ってならないために、ちゃんと準備が必要なんです(笑)。そういう意味では、すごく目まぐるしかったなと思うんですけど、それに比べると、今はやっぱりマイペースに音楽を楽しむくらいの気持ちでできているかなと思いますね。

伶「Just Wanna Sing」初回生産限定盤(提供写真)
― マイペースに楽しめているんですね!歌とともに歩んできた人生なのかと思います。伶さんにとって、歌はどんな存在ですか?

伶:私にとっては、必要不可欠。人が生きていくために必要なものって、酸素、水、食料、そういうものだと思うんですけど、音楽もそれに近いものがあるなと思っているんです。物理的に必要なものが水とか食糧なのであれば、音楽って精神的安定だと思うんです。

人が悩んだり、くじけたり、落ち込んだり、時にすごくうれしいことがあったり。そういう喜怒哀楽を共にできるのって、音楽だと思うし、そういうものを掻き立ててくれるのも、音楽だと思うんです。あと、落ち込んだ時に寄り添ってくれるのも、音楽だと思うんですね。だからこそ、すごく身近にあるものだし、自分はそういう風に身近に感じて生きてきたので、自分たちが発信する音楽が、一人でも多くの方の心に寄り添えるものになればいいなと感じています。

― ありがとうございました!

(modelpress編集部)

伶(れい)プロフィール

伶(提供写真)
2011年「EXILE Presents VOCAL BATTLE AUDITION 3 ~For Girls~」において選出され、Vocal&PerformerとしてFlowerに加入。同年「Still」にてデビュー。

デビュー後、EXILEのD.N.Aを受け継ぐ、本格的なダンスパフォーマンスを展開するダンス&ボーカルグループ“E-girls”としても活動を開始。

どこかせつなさを孕んだ歌声は聴く人の心を鷲掴みにし、これまでにm-floやDJDECKSTREAM等の作品にコラボレーションで参加。

2017年10月~2019年3月まで、J-WAVE「AVALON」の週替わりナビゲーターも務めた。2020年末をもって、E-girlsは活動を終了させ、満を持してソロプロジェクトを始動。
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