“愛の人”Sexy Zone中島健人が極限状態で挑んだ新境地 “ターニングポイント”佐藤健の存在も語る<「桜のような僕の恋人」インタビュー>
2022.03.01 18:00
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3月24日にNetflixにて配信される映画「桜のような僕の恋人」で主演を務めるSexy Zoneの中島健人(なかじま・けんと/27)。これまで“完璧アイドル”“キラキラ王子様”のイメージが強かった中島は、“何者にもなれる俳優”として世界に羽ばたく。
「原作が本当に好きなので、中途半端な気持ちで挑みたくない」──言葉の通り全身全霊で“朝倉晴人”を生き抜き、極限状態で挑んだ本作。大きな責任、そして恐怖も、作品への思いと役への愛で強さに変えた“愛の人”中島は、俳優としての新境地を切り開いた。
中島健人、全身全霊で挑んだ朝倉晴人役
2017年に発売され、泣ける恋愛小説として話題となり、さらにTikTokで人気に火がつき発行部数60万部を突破したベストセラー小説、宇山佳佑著「桜のような僕の恋人」(集英社文庫刊)の映画化。中島が主人公・朝倉晴人役、有明美咲役を女優の松本穂香が演じ、深川栄洋監督がメガホンをとる。かねてより原作ファンを公言、本作の制作発表時には「震えるような感動と同時にずっしりと重い責任を感じました。僕の役者人生の中でもっとも泣いた宝物のような脚本です。僕の26年の人生の最高傑作にしたいと強く思っています」と熱いコメントを寄せていた中島にとって、作品にかける思いは並大抵のものではない。
「“晴人像”が、深川監督と宇山先生、そして僕の考え方の唯一の相違点で、僕は晴人に対してもう少し清廉さがあるというか、あんなにもさくないイメージだったんです。お2人と僕の考える“晴人像”のギャップを感じることができて楽しかったですが、深川監督が僕に提案してきた“晴人像”を演じるのがすごく難しかったですね。
この役は現実とフィクションの地続きで、本番だけで切り替えられるものではないと思って実生活から晴人を作り上げていったので、撮影の時期はいつものテンションじゃなかったかもしれないです。アイドルの活動をしている僕にとっては少し難しかったけど、普段からこのような心構えで役に対して臨んでいたので、ファンの方には『ちょっと地味だったらごめん』という気持ちでした。(佐藤)勝利くんもずっと『映画楽しみ』と言ってくれているので、その期待にも応えないといけないなと思って、いつもよりもっともっと役に近づこうと過ごしていました。
本読みの段階では、僕と(松本)穂香さんで、美咲と晴人の役を入れ替えて読み合わせをしてみて、1回美咲を演じることによって、お互いの気持ちを理解することができたんです。撮影中には、深川監督から『健人くん、このシーンは“ドレミファソラシド”の“ソ”の音からセリフを始めてください』と言われたことがあって、驚きました。アーティスティックな演出もあったのですが、途中から全然苦労しなかったんです。終盤のキーポイントになるシーンで、今までの記憶が全部フラッシュバックした瞬間があって、ありもしない思い出とかも出て来て…。その時に『もう完全に晴人になれたな』と感じました」。
中島健人のすべてをかけた挑戦…撮影時には「極限状態だった」
役に没入するあまり、極限状態に陥った瞬間もあったという。中島が語る作品、そして役に対する思いからは大きな責任やプレッシャーを感じるが、言葉のどこを切り取っても、どこまでも愛に溢れている。「役に入り込みすぎて、極限状態になったことをよく覚えています。後半は大変なシーンがすごく詰まっていたので、途中本当に涙が止まらなくなっちゃって。スタッフさんに手助けをしていただいたりもして、すごく辛かったです。ただ、今となってはちゃんと心を削ってまでも作品に向き合えていたのかなと思うし、本当にこの作品が好きなので、演じるには全てをかける思いで挑戦しないといけないと思っていたので、それができていたんじゃないかなと思います。全身全霊で、後悔のないように演じました。
最初はすごく楽しいシーンばかりなのですが、途中から辛いシーンにも向き合っていかないといけないという点でも、責任と恐怖があったんです。でも『この作品がすごく好きなんだ』という愛情が強すぎて、その責任と恐怖すらも愛で包めたかなと思うので、演じる中で恐怖はなくなっていました」。
中島健人“大恋愛”を乗り越えた先に見えた“俳優としての基盤”
恋人が難病を発症し、同じ速度で歳月を重ねることができない、という晴人を演じる中で、美しい思い出と同時に、受け止めきれない辛く、悲しい現実を表現する繊細な表現力が必要。中島にとっては、深川監督との関係を築いたからこそ乗り越えられた“大恋愛”でもあった。「僕は作品作りをする際に、監督や演出の方と話し合いをするのですが、これまでもしかしたら実は本質の部分を読み込めていなかったんじゃないかなと思いました。今回は、こんな大作に選んでいただけたことに対して、責任と恐怖があって…。これを1人で背負うのは難しいと思ったので、監督に自分の弱点や、お芝居に対しての苦手な部分、自分の人生の中で辛かったことや悲しかったことを話したんです。監督が僕について理解してくれたら、もっと肩の力を抜いて自然と晴人になれるかなと思ったのですが、自分から監督にこのような機会を打診したのは、自分の中でも珍しかったかもしれないです。
監督との話し合いの機会を設けた結果、演じる中で感情の解放にストッパーがかからなかったなと思います。今まではいろいろな情報が頭の中に入ってきちゃっていて、1人で頭の中で完結してしまうという癖があったのですが、今回のように監督と共有することによって、ノンストレスでできることに気づけました。全身で呼吸をした方が本気で作品に取り組めて、自分の俳優としての基盤ができたなと感じるので、そのことに気づけたのが1番の財産でした」。
本当の意味で俳優としてのスタートラインに立ったであろう中島。「アメリカのアカデミー賞に日本人がノミネーションされて、あのレッドカーペットを歩くというのは素晴らしいことですし、日本が盛り上がることだと思うので、1人の表現者として、そのビッグチャレンジにいつかは関わりたいなと思っています」と世界への夢を語りつつも、「でもそんなに甘い世界ではないこともわかっているし、ブラッド・ピットを見て『いえーい!ブラピ最高!』とはしゃぐくらいのテンションの持ち主なので(笑)。僕はブラピとの2ショットを撮ることが目標の1つなので、それを叶えるために頑張ります!」と弾ける笑顔を見せていた。
中島健人のターニングポイントに佐藤健の存在
晴人は逃げ続けてきた自分から、美咲と出会ったことで変わる決意をするが、中島もしっかりと自分の弱さと向き合い、強さに変えている印象がある。そんな中島が変わるきっかけには、俳優・佐藤健の存在があった。「佐藤健さんとの出会いがターニングポイントになっているかなと思います。当時25歳だった僕に対して『俺は今25歳だったらもっと勉強している。もっといろんなことを学んだ方が良いよ』とおっしゃってくれたんです。そこから、自分の作品に対してどう取り組むのかということを考え直したし、全部は見つからないけれど、自分の中で道筋みたいなものが少し見えた気がします。
これまではレールに乗せられてそのまま走っていただけだったので、このままじゃダメなんだということに気づきました。健さんに『俺がアイドルだったらもっと本気出している』と言われてやべぇ!と思いましたもん(笑)。今でも健さんがくれた言葉はすべて心に残っているし、大切な日はいつも連絡をしています」。
中島健人が見出した“クリエイティブ”な可能性
佐藤の言葉をきっかけに自分を見つめ直した中島は、“演じる”ことだけではなく、“クリエイティブ”な面でも可能性を見出す。2020年に「アカデミー賞授賞式」のWOWOWスペシャルゲストを務めた経験も大きな刺激となったという。「オスカーに行った年に『未満警察 ミッドナイトランナー』が放送されたのですが、オスカーでブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオを見て、『こんなにかっこいいんだ!』と刺激を受けて、平野紫耀と一緒にこの2人の映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』を目指して挑んだんです。そこで、自分たちがドラマをクリエイトするということに対しての価値の高さを改めて感じたので、オスカーの経験は大きいですね。
その後の『彼女はキレイだった』でSNSを始めたのも大きくて。もうSNSを見ていない時間はないくらい!自分のプライベートも全部潰したり、ヒロインのプロモーションビデオを作ったり…でもそういう時間が1番楽しいんです。映画やドラマを作っている時間、そしてそれを発信している時間がすごく生きがいなので、こういうクリエイティブな面もできる人間になりたいなと思っています。もしまたSNSを始めることがあったら、応援してください!」。
中島健人が世界へ羽ばたく瞬間
後悔しないためには「思い立ったら吉日」とまっすぐと断言した中島。夢を語る瞳はキラキラと輝いており、着実に自分の居場所を実力で積み上げてきたことがうかがえるが、どこまでも謙虚な姿勢。「僕は今まで本当にありがたいことに恵まれていた環境に立たせていただいていただけであって、それは自分の実力ではなくただのラッキーなんです。なので、その幸運なことに甘えず、ちゃんと地に足をつけて全力で頑張っていきたいなと思います」─そう話す姿も、凛としていて眩しい。桜の“ピンク色”がもたらす美しい情景、胸を打つ旋律、登場人物たちの繊細な心情…そして、中島の愛が細部に行き届いた作品。「多分この作品は、僕の人生を変えるものだなと思っています。どう変わるかはわからないのですが、配信日以降、きっと何かが変わるんじゃないかなと。ただ1つ断言できることは、この映画が見られる場所が日本だけではないということ。僕たちが作る作品が、世界の方に評価をしていただけるのならばすごく嬉しいし、日本のラブロマンスを世界中の方に楽しんでいただきたい。僕たち日本人の恋愛の形を、世界の方に知っていただければ嬉しいです。そういう未知なる可能性を秘めた、“日本の桜”を世界中にアピールできる大きな機会だと思います」。
──中島が人生を変える瞬間、世界へ羽ばたく瞬間を見守りたい。(modelpress編集部)
「桜のような僕の恋人」ストーリー
美容師の美咲(松本穂香)に恋をした晴人(中島健人)は、勇気を出して彼女をデートに誘う。目標に向かって頑張る美咲にふさわしい人間になるべく、諦めかけていたカメラマンへの夢を叶えるため再びカメラと向き合うことを決意する。しかし、美咲は「人の何十倍も早く老いていく」という難病を発症する。好きな人と同じ速度で歳月を重ねることができないという残酷な現実を前に、美咲が下した決断とは─?中島健人(なかじま・けんと)プロフィール
1994年3月13日生まれ、東京都出身。2011年にSexy Zoneとして1stシングル「Sexy Zone」でCDデビュー。代表作にドラマ「生まれる。」(TBS系/2011)「BAD BOYS J」(日本テレビ系/2013)「黒服物語」(テレビ朝日系/2014)「未満警察 ミッドナイトランナー」(日本テレビ系/2020)「彼女はキレイだった」(2021/カンテレ・フジテレビ系)、映画「銀の匙 Silver Spoon」(2014)「黒崎くんの言いなりになんてならない」(2016)「心が叫びたがってるんだ。」(2017)など。
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