<賀来賢人「ニッポンノワール」インタビュー>「今日俺」後に生まれた変化とは?新ドラマは手応え十分「役者冥利に尽きる」
2019.10.10 08:00
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10月13日スタートの日本テレビ系10月期の日曜ドラマ「ニッポンノワール―刑事Yの反乱―」(毎週よる10時30分~)で主演を務める賀来賢人(かく・けんと/30)が、モデルプレスのインタビューに応じた。
賀来賢人「ニッポンノワール―刑事Yの反乱―」インタビュー
今作は、直前数ヶ月の記憶を失い、森の中で目を覚ました警視庁の刑事・遊佐清春(賀来)が女性刑事の殺害を疑われ、容疑者として追われる身となるアンストッパブル・ミステリー。すべての人間が疑心暗鬼の中、騙しだまされのストーリーが繰り広げられる。日テレ日曜ドラマ×賀来といえば、2018年10月期放送され、映画化も決定した「今日から俺は!!」(主演:三橋貴志役)がヒットを記録。福田雄一監督が手がけ、ギャグ要素を詰め込んだ同作から一変、「ニッポンノワール―刑事Yの反乱―」では冷徹で目的のためには手段を選ばないエキセントリックな主人公を演じる。
「こういう役は初めてに近い」と本人も語った今作――インタビューでは、「今日から俺は!!」前後で役者として生まれた変化、そして夢を語った。
賀来賢人、新ドラマに手応え十分「役者冥利に尽きる」
― まずは「ニッポンノワール―刑事Yの反乱―」の見どころ、役柄について教えて下さい。賀来:僕が演じる遊佐清春は、記憶を失ってしまったことで、ある事件の犯人かもしれないと疑われる刑事です。理不尽なことが嫌いで真っ直ぐな男ではあるんですが、乱暴で世間的な見え方としてはあまりよろしくないキャラクターで。いいヤツか、悪いヤツか…それが分からないところから物語が始まって、ミステリー要素もありつつ展開していきます。清春は凶暴な男ですけど、芯を食ったようなことを言うこともあって、今の時代だからこそ響くものがあると思います。ドラマ全体としては少し昭和なテイストもあり、今の刑事ドラマっぽくない荒々しさが“新しい”と感じていただけるかもしれないです。
― 台本を読んでいた段階から、実際に演じてみて演技プランなどが変わった部分はありますか?
賀来:やっぱり熱量が変わってくるので、気持ちの面では違います。今撮影しているシーンは全部手応えがありますし、画も日本のドラマのイメージと違って少し暗く、緑っぽく撮っているみたいなんです。台本だけでは分からなかったことも分かってきますし、あるシーンではフランス映画のような画になっています。視覚的にも楽しめますし、男が観てもかっこいいと思える画になっていると思います。
― 賀来さんと日テレ日曜ドラマのタッグといえば「今日から俺は!!」が話題となりましたが、同枠に帰ってくる心境はいかがですか?
賀来:素直に嬉しいです。すごくお世話になった枠ですし、ちょうど1年後に全く逆のキャラクターを演じられるというのはありがたいことだと思っています。「3年A組(―今から皆さんは、人質ですー)」(同局2019年1月期放送)のチームと初めてご一緒させていただくので、また新たな融合といいますか、良いチームができているなと実感しています。
― 三橋と「逆のキャラクター」ということで、賀来さんの新たな一面を楽しみにしている方も多いと思います。
賀来:ファーストシーンから全く違う印象が与えられるんじゃないかなと。作風も違いますし、色んなキャラクターに振れるというのは役者冥利に尽きます。
― 期待値も高いと思いますが、視聴者の方々の声などチェックしますか?
賀来:モノによりますけど、自分が主演のときは割と見るかも知れないです。放送後の感想はやっぱり知りたいですから。
でも、賛否どっちもあって当然なので、どういう意見もあまり気にならなくなりました。それは良い意見に対しても、悪い意見に対しても。そこに迎合しようと思わないですし、作っているのはこちら側なので、あまり視聴者の方の意見に左右されてないようにというか。そちらに届けるけど、そこに流されてはいけないのではないかなと思います。
「今日俺」前後で変化 賀来賢人“一番大事なこと”語る
― 7月に30歳の誕生日を迎えられたかと思いますが、以前モデルプレスでインタビューをさせていただいたときは20代ラストイヤーの「今日から俺は!!」放送前でした。その際、29歳への意気込みを語っていましたが、何か変化などはありましたか?賀来:前までは成長しなきゃ、もっと上手くならなきゃとか思っていましたけど、そう言っていられない年ですし、キャリアになったので、最近は良いクオリティのものを作って当たり前という意識になりました。“この作品で成長しよう!”とか、それはなくなったかな。
― それは「今日から俺は!!」後?
賀来:そうですね、終わってから。やっぱり主演である以上、作品の顔でもあるわけじゃないですか?その人が“成長のために”とか考えてやっているのはおかしいと思うし。お客さんに楽しんでもらうモノを作るにはどうしたらいいのかっていうことを最初に置いて考えられるようになりました。
― 三橋を演じていく中で芽生えた意識ということですか?
賀来:ほかにも人からの影響とか。福田(雄一)さんもそうですし、色んなプロデューサーさんも“お客さん第一主義”で。それって、モノを作る人間としては一番大事なことだと思うんですよね。そこしか考えなくていいのかなってくらい。
― シンプルな思考になった。
賀来:テクニックばかり気にしていてもほかの人から見たら、分からないことってあると思うんです。そんな小さなことよりも、このシーンでどういうことが伝えたいか、お客さんがどうとるか。
― そのマインドで臨める方が楽になれそうですね。
賀来:そうそう、代謝がシンプル。
― その考え方の変化が、先程おっしゃっていた“視聴者の声を気にしなくなった”に繋がっているのでしょうか?
賀来:それはあります。前はもっと自分しか見ていなかった部分もあったし、作品全体をあまり見られていなかった。“もっと目立ってやろう!”“もっと技を使おう!”とかそういう気持ちもあったから、“他人より面白く”とかそういうことばっかり考えて。でも、そういうのはもういいやって思えます。
― 「今日から俺は!!」という作品の大きさが伺えます。
賀来:主役をやらせていただくと景色が違いますからね。もっと全体を見ないといけないんだなと思いました。盛り上げることも大事ですけど、バランスを見るってことが主役には一番大事なのかなって。
― 今の現場にはそれが活きている?
賀来:例えば、克喜っていう役で子役の田野井健くんが出ているんですけど、その子とのシーンでは、自分がどう演じるかより、どうやればあっちがやり易くなるかなって考えています。今回、僕は基本的に“受け”の芝居なんですよ。だからこそ、それは特に意識しています。
賀来賢人の“夢を叶える秘訣”は?「家族がニコニコできる家」のために
― モデルプレス読者に向け、賀来さんが実感する“夢を叶える秘訣”を教えてください。賀来:ビジョンを持つことです。やりたいことを明確に決めたら、想像して、頭の中でイメージすることが大事。それを実際に行動に起こしたり、言葉にしたり。特にこの仕事(役者)は、常に頭で想像しておかないと追いつけないですし、思考と行動がちょっとずつリンクして追っかけっこしているような状態が続いて今がある。やっぱり夢を叶えるためには、将来をイメージする力が必要だなと思います。
― 賀来さん自身はキャリアプランを考え行動するタイプですか?
賀来:すごく先まで考えているわけじゃないですけど、“今これやっているから、次はあれをやりたい”とか、次のことは考えています。“こういう風になるには…”とかそこまでは考えないです。
― 今、「夢は?」と聞かれたら?
賀来:一軒家を建てる(笑)!
― 急にリアルなお話が(笑)。
賀来:今はそれをイメージしながら働いています(笑)。
― 賀来さんならいつでも建てられるのでは…
賀来:一軒家ですよ!都内ですよ!馬車馬のように働かないといけない…(笑)。
― いやいや!ゴールデンタイムの連ドラ主演を張る方ですから。
賀来:そんなに甘くない(笑)!!!
一同:(笑)。
― 失礼いたしました(笑)。賀来さんがイメージしているのはどのようなお家ですか?
賀来:プール付きの豪邸!……それは夢で、普通に都内に一軒家を(笑)。何か夢の話なのに、夢のない話ですね(苦笑)。
― 都内に一軒家は夢があります!どういう暮らしが理想ですか?
賀来:家族がニコニコできる家がいいですね。
― そこにプールがあれば…
賀来:最高(笑)!
― お時間が来てしまいましたので、インタビューは以上になります。ありがとうございました。
賀来:えっ!最後、今の話で大丈夫ですか!?すみません、こんな話を聞いてもらって…(笑)。
― いえいえ、素敵なエピソードでした。またよろしくお願いいたします!
賀来:こちらこそ!
賀来賢人「未知の体験」への期待
強烈なキャラクターを演じ注目を浴びた「スーパーサラリーマン左江内氏」(2017年、日本テレビ)、“賀来賢人”の名を一躍広めた「今日から俺は!!」(ともに福田監督作)と、コメディというジャンルで俳優としてステップアップした賀来。CMでも個性的なキャラクターを演じることが多く、弾けた印象も強いが、今作ではそれらは一切封印。「こういう役は初めてに近いので、未知の体験ではあるんですけど、今は早く皆さんに観ていただきたいなという気持ちが強いです」。
視聴者だけでなく、“新たな賀来賢人”を本人も期待しているのだろう。「間違いなく観たことのないドラマになっていますし、刑事ドラマという枠では収まりきれないスケールのドラマになっています」――日曜日のよるに、30代になった賀来が新たな風を吹かせる。(modelpress編集部)
「ニッポンノワール―刑事Yの反乱―」あらすじ
生い茂る木々。風が吹きすさぶ森。その中にある一軒の山小屋。うっすらと瞼を開けた男、遊佐清春(賀来賢人)。彼の目に最初に飛び込んできたのは一人の女性刑事:碓氷薫(広末涼子)の亡骸――。そして、自分の右手には拳銃が握られていた。確実に自分が彼女を殺したこの状況。しかし、清春はなぜかここ数ヶ月の記憶が綺麗に吹き飛んだようになくなっていた。
「笑えねぇ」
焦りや焦燥よりも、苛立ちが先にきた。自分に薫を殺す理由も道理もない。だが、記憶を失った以上その可能性は拭いきれない。
俺が殺したのか…、それとも何者かにハメられたのか…。清春はこのままだと自分が疑われるに違いない証拠の数々を綺麗に消し山小屋を後にする。
だがすぐに警察からのお呼びがかかる清春。殺人事件の現場招集として、今度は「刑事」として先ほどまでいたあの山小屋へ向かうこととなる。
薫が死亡したのは2日前。その間無断欠勤をしていた清春は、「警視庁のガン」とも称される前評判も相まって薫殺害の疑いの目を捜査員一同から向けられることに。
そんな中、清春は捜査一課長の南武(北村一輝)から薫の一人息子:碓氷克喜(田野井健)の世話をするように言われる。この出会いが、大きな運命の始まりとは未だ知らず…。
そして、薫殺害事件の捜査はやがて薫が死の直前に追いかけていた「十億円強奪事件」と繋がりを持っていくこととなる。既に解決済みとされていたこの「十億円強奪事件」には、実は警察関係者が犯行に関与していた疑いがあり、その捜査中に薫は命を失ったのだという…。
キナ臭すぎる二つの事件。もしも罪を犯した警察関係者の人間が薫を殺害したのだとしたら…。この瞬間、清春も含め、すべての人間が今回の事件の容疑者となる。
薫殺害の犯人は誰か―――。なぜ、薫は殺されてしまったのか―――。薫が追いかけた「十億円強奪事件」との関連は―――。9歳の息子、克喜が握る母の死の真相の鍵とは―――。そして、清春の記憶喪失の原因は―――。
疑いが加速し、裏切りが止まらない、アンストッパブル・ミステリー…ここに開幕。
類い希なるキャラクターの数々。次々に動き、化かし続ける謎の連鎖。一度見たら、誰かと話さずにはいられない。異色異端の「刑事ドラマ」、始まる。
賀来賢人(かく・けんと)プロフィール
1989年7月3日生まれ、東京都出身。2007年に映画「神童」で俳優デビュー。以降、映画・テレビドラマ・舞台と多岐にわたり活躍。近年の主な出演作は、ドラマ「今日から俺は!!」(2018年、日本テレビ)、スペシャルドラマ「犬神家の一族」(2018年、フジテレビ)、映画「ちはやふる -結び-」(2018年)など。今後は、映画「最高の人生の見つけ方」(10月11日公開)、映画「AI崩壊」(2020年1月31日公開)などが控える。
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