「なつぞら」脚本・大森寿美男インタビュー<2>広瀬すずの持つ共鳴力とは…ナレーション「なつよ」へのこだわりも明かす
女優の広瀬すずがヒロイン・なつを演じるNHK連続テレビ小説『なつぞら』(NHK総合/月曜~土曜あさ8時)が、最終回の9月28日までいよいよ1ヶ月ほどに迫った。この度、脱稿した脚本・大森寿美男氏が、モデルプレスなどのインタビューに応じた。<2>
なつ(広瀬すず)を描く上で大切にしてきたこと
100作目の“朝ドラ”『なつぞら』は、戦争で両親を失いながらも北海道・十勝でたくましく育ったヒロイン・なつが、当時まだ「漫画映画」と呼ばれていたアニメーションの世界に挑む姿を描く大森氏のオリジナル作品。なつは、職場・東洋動画で出会った演出家・坂場一久(中川大志)と結婚し、妊娠、そして出産…と北海道の柴田家、新宿の風車に続く“3つ目のホーム”で奮闘中。大森氏は今作をあくまで“ホームドラマ”と表現しているが、一方で、なつが自ら道を切り拓いていく“成長記”としての一面も視聴者の心を打つ要因となっている。
戦災孤児となり、血の繋がりのない柴田家に引き取られ、そこでアニメーターという夢と出会った。たくましく成長していくヒロインを描く上で、大切にしていたのは「人との関わり方、距離感」だという。
「北海道にいたときは、自分がどう生きるべきか分からず、今与えられた家族というものを大事にすることで自分のアイデンティティを守っていた。どこか(自分を)抑え込んでいたところ、健気だったところ、本音が言えないもどかしいところが、東京に出てきてからは少しずつ開放できるようになった。そこから健気さがたくましさに変わって、強い部分が出始めましたね。もどかしさが奔放に見えるようになって、人との関わり方の変化、自分を表現する変化を常に意識して書いていました」。
なつには様々な転機が訪れてきたが、結婚、出産もまた大きな転機に。「自分の家族ができて、なつの雰囲気も変わっていくので、その変化とともにまた違う広瀬すずさんの顔が見られると思います」と、その“変化”が物語を新たな方向に動かしていく…かも?
広瀬すずの持つ共鳴力、なつとの共通点…
また、なつにはどこか喪失感があり「何か欠けている部分、欲求のままに動くことができない子」だという。現場に顔を出すことはあまりせず、演技は基本的には広瀬に“お任せ”。それは広瀬への絶大な信頼からだろう。
そんな広瀬となつについて、大森氏は「重なる部分がある」と感じているようで「なつって根本的に孤独な人。孤独な理由は人に依存できない性格だからで、人との関わりはすごく大事にするんだけれども、踏み込んで自分のために“こうしてほしい”と言えるタイプではない。そこに、不安定な人間関係みたいなものを感じてしまうし、それはなつと共通して広瀬さんにもあるような気がする」と分析する。
それは“一人で立つ強さ”のようなもの…「人に頼らず自分だけの力で乗り切ろうとするところに、周りの俳優さんたちも共鳴しているんだろうなと。協力して、支えようという気持ちになって、それが現場の雰囲気を良くしている。広瀬さんの持つ資質となつの性格は、僕の中では分けがたいものになっているので、広瀬さんが表現するなつが正解なんだろうと思います」。
ナレーション「なつよ」へのこだわり
自らの力で道を拓き続けてきたなつ。彼女を支えているのは、家族や仲間たち。その中には、亡き父の存在も。内村光良(ウッチャンナンチャン)が父役としてナレーションを担当しており、印象的なのが回終わりの「なつよ○○」というメッセージ。「大変になるだろうなと思いながら書き始めた」というその台詞は、演出の都合によってカットされることもあり、大森氏は「意地でも最後に“なつよ”をつけるから編集段階で明らかに入れない方がいいときは使わなくていいですよ」とスタッフに最初に伝えたそう。
土曜日の放送では「なつよ、来週に続けよ」と締めるが、その台詞に関しては「途中で失敗したかな?と思ったけど、やめるわけにはいかず…(笑)」と困ったように笑っていた。
「なつよ、来週に続けよ」もあと数回。最終回では「なつよ」のあとに何と続くのか…。(modelpress編集部)
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