斎藤工・永野・金子ノブアキ・SWAY「MANRIKI」インタビュー ノンストレスだった撮影秘話「他の現場だったらキレられますよ」
映画『MANRIKI』(11月29日公開)の企画・プロデュースを務めた斎藤工(齊藤工名義で企画・プロデュース)、原作・脚本の永野、音楽監督の金子ノブアキ、出演のSWAY(DOBERMAN INFINITY)が、モデルプレスのインタビューに応じた。
絡み合う才能とクリエイティブ『MANRIKI』
同作は、齊藤・永野・金子、そして映像クリエイター清水康彦によるクリエイティブ集団“チーム万力”による初の長編映画。「ファッションイベントにゲスト出演したときに感じた違和感から着想した」という永野の原案・原作に、プロデューサーの齊藤、監督の清水のクリエイティブエッセンスが詰め込まれた。キャストは、斎藤が主演を務め、永野、金子ノブアキ、SWAY、小池樹里杏、神野三鈴など個性豊かな顔ぶれ。金子が担当した劇中音楽と、清水監督の独創的な映像で、常識的観念にとらわれず自由なクリエイティブを実現した。
日本公開を前に海外映画祭で受賞
国内の公開を前に、アジア最大のファンタ系映画祭「第23回プチョン国際ファンタスティック映画祭」(6月27日~7月7日)にて、ヨーロッパ国際ファンタスティック映画祭連盟(EFFFF)アジア賞「EFFFF Asian Award」を受賞しており、海外での評価も高い同作。日本では、6月に行われた「SSFF & ASIA 2019」にて、短編作品として再編集した特別作品を上映しており、モデルプレスでは同イベント直後の4人に話を聞いた。
『MANRIKI』観客の反応に感じること
― イベントお疲れ様でした。上映したのは特別に編集した作品でしたが、お客さんの反応はいかがでしたか?永野:チーム万力としては、毎回上映が終わった後に「ウヮ~!」ってなると思ってやってるんですけど、毎回なんかね……(笑)。でもそれはそれで面白いのかなって思います。自分で言うのもあれですけど、狙いにいってお客さんを引かせてないので、素朴にやって「えっ!?」っていう空気になるのが、いい意味でこのチームは天然なのかなって思ってます(笑)。そもそも引いているのか、戸惑っているのかも定かじゃないので、純粋にお客さんに「どうでしたか?」って聞いてみたいです。
斎藤:日本のオーディエンスの方は難しいですよね。映画祭とかでヨーロッパに行くと、終始手拍子してくれたり、ライブみたいに、生のモノに歓声をあげているような映画上映になるんです。日本の監督の作品も、国内でのリアクションと違ってものすごく沸いてくれます。
この映画にも沸きどころはたくさんありますが、日本の方だけでなく、世界の人がどう反応するかということも意識しています。場所や、そこの文化によって受け方が違うと思いますし、シッチェス(映画祭)とか、国外の映画祭で流れたら、興奮も、日本的な何かも生み出せるんじゃないかと思っています。日本のお客さんの反応は、もっと聞き出さないとわからないかな。
金子:僕は想像通りでしたね。僕のこの映画での目標は、この映画を通じて永野さんに海外からオファーが来ること。(永野は)海外の人から見たら男か女か分からないかもしれないし、なんかヤベーやつって感じだろうけど(笑)、逆輸入に向けてスタッフの方も動いてくれているので、そういう素敵なことが起こったらいいなっていうロマンをはらんでいる作品だと思います。そうやってみんなで臆せず作っている姿は勇ましかったし、楽しい現場でした。
SWAY:出演している側ですけど、この映画を観て「こういう映画って観たことないな」と感じました。正直、今日観てくれた方の反応はあまり分からなかったので、これから公開に向けて徐々に分かるのかなって思っています。ただ確実に言えるのは「〇〇っぽい」って言える映画ではないので、この作品を観た人の色んな意見が楽しみです。永野さんは批判されたらボコボコにするんですよね(笑)?
永野:ボッコボコにする!こっちも遊びじゃないんで(笑)。
一同:(笑)。
永野:批判してもいいけど、夜道に気をつけろよって(笑)。
SWAY:でも、皆さんが仰っていたとおり、この作品はどんな評価になるか楽しみです。永野さんが書いてるって言ったらふざけてるように思われると思うんですけど、その角度でもないので楽しみです。
斎藤:「これが何だったのか?」というのは、僕らでも1年後に分かるかも知れないです。
― そういった意味で、今日のお客さんも噛みしめて自分の中に取り込むのに時間がかかっていたのかもしれないですね。
永野:すぐに結果は出ないかもしれないですね。
「MANRIKI」が映画界に提示する“新たな現場”
― 上映会ではメイキング映像も公開されていました。“張り詰めた空気”というよりも“和やかな空気”が流れていたように見えましたが、実際はいかがでしたか?永野:夢見心地じゃないですけど、ノンストレスでした。ただ、ストレスがあってこそ良いものができるっていう世代なのか、環境なのか、教育なのか、そういった考えも持っていたので、あまりにも「楽しい」ことが多すぎて、かえって良くないものが出来るかもって不安も少しありました。でも、結果ストレスが無いからどんどん意見が言い合えたのが本当に良かったし、ノンストレスでこんなに良いものが出来るんだっていう発見もありました。
― 自由にやれたからこその“不安”は他の方もありましたか?
金子:不安は無かったですけど“企み”みたいなのもの強かったですね。僕はこの映画を最大の愛情と称賛を持って「クソ映画」と認定しているんです。
一同:(笑)。
金子:最高のクソ映画を作ってやろうって燃えていました。時間的にはタイトな部分もありましたけど、ランナーズハイ状態がどんどん加速して、でも清水監督が冷静にコントロールしてくれていた。後は、技術さんたちも素晴らしいスタッフさんが揃っていて、みんなクリエイター気質な人で、それぞれの主張が現場の各所で起こっていた、それが他の現場とは違ったところですよね。
さっき(永野さんも)言ってましたけど、いわゆる日本的な「やせ我慢」「大丈夫です」みたいなのがなく、僕自身も撮影について見直すキッカケになりました。あとは、歳を重ねたことでの良いことでもあって、最初からリスペクトのある人たちと一緒に出来ることもありがたいですよね。なので、眠いとかも超越して楽でした。
― 斎藤さんもイベント中に、映画について「魔物を生み出してしまった、でも天使でもある」と仰っていましたよね。
斎藤:今2人の話を聞いていて思ったんですけど、映像制作の現場とファッションの現場の空気感って違っていて、ファッションの現場は「可愛い」「いいね~」ってカメラマンやスタイリストさんたちが言って、そうやって褒め合って、称え合って、ポジティブなものが加算されて頂点に着く作り方なんです。一方で、映像制作ではさっき言っていたように「やせ我慢」しながら算出する美徳でもある。
今回の現場は、その2つが見事に融合していたので、僕もノンストレスだったし、全く疲れがなかった。好奇心がずっと充満していた現場だったんですけど、それは「映画だ!」とハチマキをガッチリ締めた人がいなかった。清水監督を中心にした座組のおかげですよね。
あと、働き方改革もつながると思うんですけど、僕らの業界も見直さないといけない時期ですし、上澄みだけみて「じゃあどういう現場が出来るのか?」と考えてた時、「今までのやり方でいいのか」という疑問も出て来るはずなので、今回の作品はそういう隙間にできたことで、ある種、新たな現場を提示出来たと思います。
― このチームだからこそ、見えた新たな活路ですね。
斎藤:メイキング映像を観ていて思ったんですけど、もう遠足みたいでしたよね(笑)。
金子:確かに(笑)。
永野:出番ないのに現場来て、コーヒーこぼして、衣装さんに迷惑をかけるって、他の現場だったらキレられますよ。
斎藤:(メイキングは)決して辛い所をカットしたわけではなく、ずっと現場は平和で良くも悪くもポワポワした時間でしたよね。
永野:無邪気でしたよね。
斎藤:とにかく健全でした。
初参加のSWAY「考え方を変えてもらった」
― その中でSWAYさんは、今回初めてこのチームに参加して、イベントでも称賛の言葉が数々送られていましたが…。SWAY:僕はこの映画で考え方を変えてもらったように感じています。「作る」ということに関して、普段曲や歌詞を作る時に辻褄を合わせようとしたり、「ここからここに行くのはありえない」と決めつけたりしていたんですけど、「MANRIKI」はストーリーがありながらも謎も多くて、でもその謎は観てくれてる人がそれぞれに感じるものだと思いました。
現実には絶対いないだろうみたいな人も出てくるし、ありえないことも起こる。“映画”ですけど、実は色んなアートが組み合わさっているので、アートを作るうえで全部に辻褄を合わせようとしていた自分が違うのかなって気づきました。もっと柔らかくやれることが分かりました。
“永野先生”誕生も近い?
― 日本での公開も控えていますが、今後の展望を教えて頂きたいです。永野:作品にもちょっと出ている後輩とこの映画を観た時に、その後輩が「元気出ました」って言ったんです。社会的な地位は低い全く売れてない芸人ですけど、そうやって言ってくれたことで、この映画でポジティブになれるんだって驚きました。とはいえ、元気を与えるという映画ではないけど、いい気持ちにはなると思います。
― そういう側面も持っている映画ですよね。
永野:あとは、世界中にすごい褒めて欲しい。
一同:(クスクス)
永野:フランスのシネフィルとかが褒めてくれたら一気に見られ方が変わると思うので、マジでシネフィルに褒めて欲しい。
金子:いや、でもマジで海外の映画祭とかで賞獲っちゃったりしたら、急に“先生”みたいになるかもよ(笑)。
永野:そうしたら、(机の上に足を置いて)こうやって座っちゃおうかな。
金子:そういう姿見たいんだよね。
― 永野大先生が誕生する日も近いですかね?
永野:そうしたら、めちゃくちゃ調子にのるし、全く聞き取れない蚊ぐらいの声で喋ってやりますよ。
一同:(笑)。
斎藤:唇の動きだけで判断するみたいな?(笑)。
永野:今でこそこういう立場ですけど、「人間ってここまで変わるんだ」っていうのを見せてやります。
斎藤:でも、ヘタしたらあり得ますよ。
金子:だよね。
斎藤:永野さんのネタのラインナップを見たら、もうスティーブン・キングですよね。どれでも長編映画がいけるぐらい、題材はたくさんあるので。
金子:ネタは無尽蔵ですもんね。
永野:だから、自分は原作で、海外の監督に任せて、金を稼ぐ。それでインタビューは……(※蚊のような声すぎて聞き取れず)。
金子:海外でも?
永野:勘でいけよってスタンスです。
― そうなっても、なんとかモデルプレスだけは…。
永野:モデルプレスさんだけは“小声”でがんばります(笑)。
― よろしくお願いします(笑)。インタビューは以上です、ありがとうございました。
(modelpress編集部)
映画『MANRIKI』
11月29日(金) シネマート新宿ほか全国順次公開
企画・プロデュース:齊藤工 永野
原作・脚本:永野
主演:斎藤工
出演:永野 金子ノブアキ SWAY 小池樹里杏/神野三鈴 他
音楽監督:金子ノブアキ 監督・脚本・編集:清水康彦
制作プロダクション:イースト・ファクトリー
共同配給:HIGH BROW CINEMA/東映ビデオ
(C)2019 MANRIKI Film Partners
【あらすじ】
日本。秩序と混沌の国。美と醜の国。過度な経済成長で得た豊かさの代償として、国民は様々なコンプレックスを抱えている。醜きを覆い隠し、美しきことのように振る舞う。奥ゆかしさとも⾔えるその性は、この国の様式美そのものなのだ。
整形しているモデルの方が仕事が多い。駆け出しのファッションモデルが仕事欲しさに小顔矯正を決意。美容クリニックを営む美しき整顔師に小顔矯正施術を依頼し、モデルは変身を遂げる。整顔師の猟奇的哲学と万力によって…。
ざる蕎麦を食べたのち、整顔師はクリニックを去り、新たな野望の地へ向かう。場末の街で美人局をするフーテンと年増。彼らと整顔師が突如遭遇することにより、物語は加速してゆく。
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