「なつぞら」山田裕貴、雪次郎とシンクロする“生き様” 4作掛け持ちで得た新たな武器とは<モデルプレスインタビュー中編>
NHK連続テレビ小説『なつぞら』(NHK総合/月曜~土曜あさ8時)で小畑雪次郎役を演じる俳優の山田裕貴(やまだ・ゆうき/28)のモデルプレスインタビュー。【中編】
インタビュー中編では、「雪次郎であって、僕でもある」と語るほどシンクロする雪次郎に重ねた思い、朝ドラ含め最多4作を掛け持ちするなど多忙を極める今の胸中を聞いた。
演劇の道へ進む雪次郎にシンクロ
― 菓子職人の修行を辞めて、夢だった演劇の道へ進むことを決めた雪次郎。同じ俳優として、共感する部分も多かったのでは?山田:まず、僕もこのお仕事が一番好きだということ。本当にこれしかやれることがないぐらい。僕は同じルーティンを繰り返していく作業がどうしても苦手で、多分そういう仕事には就けないだろうなと思っていました。自分はすごく無個性で、つまらない人間だなあと思っていたので、違う人になりたい欲求がすごくあった。俳優は天職だと思っています。だからこそ、「俳優になりたい」という雪次郎の台詞には思いが乗るというか、雪次郎であって、僕でもある。すごく重なる部分が多かったです。僕の父はプロ野球選手なんですが、僕も自分から「野球をやりたい」と言ってやっていて、やれと言われたわけではなかった。雪次郎が修行を辞めて俳優になるという選択は、僕が父に野球を辞めたいと言った時に似ているなと。僕はそれが中学校卒業ぐらいの時だったので、雪次郎の方が大人ですけど。その辺の感覚は人より分かると思うし、すごくつらかったですね。
― 父・雪之助役の安田顕さんをはじめ小畑家の皆さんの印象はいかがですか。
山田:厳しさの中にある愛情みたいなものをすごく感じます。不思議なんですけど、ヤスケンさんといる時ちょっと緊張するんですよ。本当に父といるような感覚がして。
小畑家のシーンは本当に面白い。とにかく好きです。お三方(安田顕、高畑淳子、仙道敦子)とも愛の深い方ですごく優しく見守ってくれて、リハでも「好きなようにやりな」と言ってくれる。雪次郎にかき乱されて家族の気持ちが動いていくシーンが多いので、本当に相手のためにあるお芝居なんですよね。それがキャッチボールできたら、良いシーンができるんじゃないかなと思いながらやっていました。だから、結構本番までに変わることも多くて、テストまでは探りながら3人に相談させていただくことも多いんですが、本番で一番バシッと決まる感覚です。本当にいろいろ奇跡的な巡り合わせが重なっていて、パラレルワールドだなと思います。
― 相当シンクロしている感じなんですね。
山田:楽しいです。もう楽しいしかないですね。自分が生きてる人生より楽しい(笑)。
― 自分のやりたいことと期待されている道。雪次郎が抱えている葛藤はどのように捉えて演じられていますか?山田さんは、もし雪次郎と同じ立場になったらやはり自分の思いを貫きますか?
山田:雪次郎の場合、一人息子で逃げ場がないんですよね。でも、高校で演劇をやれた楽しかった時間を忘れられなかったんだろうなと思います。今までも、本当は演劇がやりたいんじゃないかなと思わせる台詞が何週かにわたってあったりして、それが最後に爆発する。
好きなものをやれない人たちの方が多いと思うんですよね、きっと。でも、「本当はあれになりたかったな」と思ってそこから行動する人って、それよりもっと少ないと思うんですよ。普通は「仕方ないよ。生きていかなきゃいけないから」と思うと思うんですよね。
だから、それを振り切る強さは雪次郎からすごく感じました。僕的には「よくぞ言ったな」って。やりたいことをやる。1回きりの人生だから、やりたいことをやれないというのは一番もったいない気がしていて。僕も一番やりたいことやらせてもらっている以上、それは死ぬ気でやらなきゃいけないと思う。もし僕が雪次郎の立場でも、やっぱり言うと思います。やりたいって。
朝ドラの反響を実感、掛け持ち出演で得たもの
― 3、4月は他の連続ドラマと並行しての撮影だったと伺いました。掛け持ちでの撮影でいろいろと大変なこともあったと思いますが、どのように乗り越えられましたか。山田:「あゝ、荒野」という映画でボクサーの役をやらせてもらった時、ベーシストの役もやっていたのでベースの練習もしていて、さらに主演舞台がかぶったんですよ。しかも舞台は「宮本武蔵」。それはすごいなぁと思いました(笑)。でもその時はベースを毎日触る、ボクシングをやるという状況がそれぞれの役に入り込む解決策でもあったんですよ。
今回、実は3月から4月は4作ぐらいやっていて、中には時代劇もあったりして結構頭がごっちゃごちゃでした。だから、本番に命を懸けてました。感じたものをそのままやる、というのが一番スリリングで楽しかったです。「本番、用意!」の声がかかるまで、時代設定とか見落としがないかグワーッといろんなことを考えて、本番になったらスッと切り替える。考えていたことは乗っけておいて、あとは感じたまま動く、みたいな瞬間がたくさんあって、すごく鍛えられたし面白かったです。その面白みがなかったら、多分本当に嫌になっちゃってたと思います。だから、プライベートで何してたかとか、あんまり覚えてないです。
― 凄まじいですね。
山田:そういう時があったので、最近はゆったりと時間が流れてます。2、3、4月は本当につらかったですね。なっちゃん(広瀬)に「大丈夫?」って言われたんですよ(笑)。朝ドラのヒロインに心配されてたらだめだなと思いました。
― 広瀬さんにはどんな時に声をかけられたんですか?
山田:多分、「わはは」って笑いあった後に、僕がぐったりしてたんでしょうね(笑)。ご飯も皆で行きましょうってよく誘ってくれるんですけど、僕は行けない日が多くて。そういうこともあって「昨日も撮影だったの?大丈夫?」と声をかけてくれて、「いや、ありがとう」みたいな感じです(笑)。
― 今まさに、雪次郎にとって見せ場の展開。反響も大きい?
山田:やっぱり「朝ドラ観てますよ」とは言われるようになりましたね。赤ちゃんを抱えているお母さんとか、おじいさん、おばあさんにも言われるようになりましたけど、朝ドラを観てくれているというだけで、僕の名前を覚えてもらってるわけじゃないんだろうなって(笑)。
もちろん一番良いことなんですよ、役者としては。役が一番知れ渡ってるというのは良いことなんですけど、僕はそこから抜け出せないんだろうか…とも思います。“カメレオン俳優”じゃなくてカメレオンのまんまだな、みたいな(笑)。でもそれは自分が一番影響を受けた俳優さんのゲイリー・オールドマンもそう。エンドロールを見るまで「え!この人ゲイリー・オールドマンだったの!?」って気づかなかったことがあって、僕もそうなれたらいいなと思います。
※最後になるインタビュー後編も後日配信予定。(modelpress編集部)
山田裕貴(やまだ・ゆうき)プロフィール
1990年9月18日生まれ。愛知県出身。2011年俳優デビュー。近年の主な出演作には映画『あゝ、荒野』『万引き家族』、ドラマでは『ホリデイラブ』、『健康で文化的な最低限度の生活』、主演映画『あの頃、君を追いかけた』、『HiGH&LOW』シリーズ、『特捜9』シリーズなど。今後の待機作として映画「HiGH&LOW THE WORST」(2019年10月4日公開)、「嘘八百 続編」(2020年新春公開予定)、主演舞台「終わりのない」(2019年10月29日~世田谷パブリックシアターほか)がある。もっと詳しくみる
-
【写真】山田裕貴、乃木坂46齋藤飛鳥とのキスシーンに言及<あの頃、君を追いかけた>
-
【写真】「山田裕貴史上、一番ヤバイやつ」金髪&タトゥーで新ドラマ 窪田正孝との2ショット望む声殺到<僕たちがやりました>
-
【写真】古川雄輝&山田裕貴“Wゆうき”の2ショットにファン歓喜
あわせて読みたい
-
山田裕貴、朝ドラ「なつぞら」出演までの軌跡 “8年前のあの日”から変わらない信念<モデルプレスインタビュー前編>
モデルプレス
-
山田裕貴“新田真剣佑に間違えられる問題”「実は…」新田本人が反応 やり取りが話題
モデルプレス
-
山田裕貴、新田真剣佑に間違えられ困惑
モデルプレス
-
吉沢亮&山田裕貴、笑顔の仲良し動画に「最高すぎてニヤける」「目の保養」とファン歓喜
モデルプレス
-
視聴総合ランキング
2025年12月16日 10:15時点
※TVer内の画面表示と異なる場合があります。
-
01ザ・ロイヤルファミリー
The Last Episode「ファンファーレ」
12月14日(日)放送分
TVerで見る -
02良いこと悪いこと
第9話 犯人、だーれだ?
12月13日(土)放送分
TVerで見る -
03ぼくたちん家
#10(最終回)「この世に私に関係ないものなんてない」
12月14日(日)放送分
TVerで見る -
04誰も知らない明石家さんま第11弾
さんまの息子・二千翔さんの結婚式に番組が潜入!さんまのスピーチ初公開
12月14日(日)放送分
TVerで見る -
05フェイクマミー
最終話 2人のママは娘を守れるか!?心で繋がる家族の運命
12月12日(金)放送分
TVerで見る
最新ランキングはこちらPowered by -
-
山田裕貴「クビにならなくて良かった」V6井ノ原快彦の“いじり”に本音も<特捜9 season2>
モデルプレス
-
山田裕貴「鬼邪校の祭りは村山通せや」は林遣都も許可済みのアドリブだった 「HiGH&LOW THE WORST」特報が胸熱
モデルプレス
おすすめ特集
-
12月のカバーモデルは「今年の顔」Mrs. GREEN APPLE大森元貴
特集
-
2025年「モデルプレス今年の顔」発表
特集
-
「2026年ヒット予測」発表 モデルプレス独自調査
特集
-
インフルエンサー影響力トレンドランキングを発表!「モデルプレスカウントダウン」
特集
-
モデルプレス独自取材!著名人が語る「夢を叶える秘訣」
特集
-
モデルプレス読者モデル 新メンバー加入!
特集
-
国内作品見放題数2位!アニメ・お笑い・ドラマ・映画が充実!オリジナル作品も!
特集
-
日本テレビ系日曜ドラマ「ぼくたちん家」の情報をたっぷり紹介
特集
-
FODでは放送中の最新作はもちろん、オリジナルの独占作品も見放題配信中!
特集
-
業界初! 全プラットフォーム横断の大規模読者参加型アワード
特集
-
SM ENTERTAINMENT JAPANが手がける『GPP』の情報をお届け!
特集
おすすめ記事
SPECIAL NEWS
記事ランキング
RANKING
-
01
【AAAインタビュー】宇野実彩子「30周年を目指したい」與真司郎・末吉秀太と語った今後― グループの成長と変化<後編>
モデルプレス
-
02
【AAAインタビュー】宇野実彩子・與真司郎・末吉秀太、20周年迎えファンへ届けたい“感謝” メンバー集結秘話も「素敵な仲間たちと出会えたなと思った瞬間」<前編>
モデルプレス
-
03
【竹内涼真&町田啓太「10DANCE」インタビュー後編】「あんなに支えてくれる人はいなかった」2人が感謝する存在 ダンスパートナーとしての互いへの想いも語る
モデルプレス
-
04
【竹内涼真&町田啓太「10DANCE」インタビュー前編】「片時もお互いの存在を切り離したことはない」ダンスを通じて深く結ばれた絆と芝居の駆け引き
モデルプレス
-
05
OCTPATH、デビュー逃したオーディションラスト挨拶の真相「あえて追い込むため」目指すは「8人でドームのステージに立つ」【独占カットあり/モデルプレスインタビュー】
モデルプレス