「誰かにとって星のような存在でありたい」SUPER JUNIOR-YESUNGのストーリー “満ち足りていること”と“まだ物足りないこと”<モデルプレスインタビュー>
2019.02.25 12:00
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マルチエンタテインメントグループ・SUPER JUNIOR(スーパージュニア)の一員としてボーカルの中核を担い、2016年に日韓でソロの活動もスタートしたYESUNG(イェソン)。2月20日にリリースした1st Full Album『STORY』では、これまで日本でリリースしてきた楽曲はもちろん、イェソン自らこつこつと作り溜めてきた楽曲たちが新しく世に放たれる。日々移り変わる感性で、様々な景色を見つめながら作った音、大切につづられた言葉たちは、いわばイェソンの人生の縮図のようなもの。ソロアーティストとして、そしてひとりの男性として描いてきた彼だけの“ストーリー”を、モデルプレスのロングインタビューで語った。
イェソン「『STORY』は僕と皆さんを繋げるような作品」
― 今回インタビューをさせていただくにあたり、2016年のインタビューを振り返ったのですが、そこで「早くアルバムを出したい」とお話いただきました。実現に至った今の心境をお聞かせください。イェソン:そうですね、本当はもっと早く出したかったんですけど、世の中は思い通りに行かないなと思うこともあり…(笑)。「最大限早く」というのは叶いませんでしたが、その分頑張って最大限いいアルバムに仕上がったと思っています。
― 『STORY』というコンセプトはイェソンさんご自身のアイデアでしょうか。
イェソン:はい。僕は常に僕の中にあるストーリーを曲作りに反映してきたので、自然な形でコンセプトが決定したと思います。おそらく、アルバムを聴いていただく方の多くは『STORY』を僕自身のストーリーとして感じてくださると思いますが、常に「皆さんと共有できる音楽を作りたい」と言っているように、今回も結果的には僕と皆さんが共有できる『STORY』になったのではないかと思います。歌詞を見ていただければ、僕の経験であり、皆さんの経験でもあるようなお話だと感じていただけるはずなので、僕と皆さんを繋げるような作品になっています。
― 以前から作詞・作曲を手がけられていて、無数の楽曲ストックがあると伺っていましたが、今回のアルバム制作はそこから選んだ形だったのでしょうか。
イェソン:もちろんストックから選んだものもありますが、今回のアルバムのために作った曲もあります。スタッフの方々の意見も取り入れながら、今回のコンセプトの雰囲気に最もマッチするものを選ばせていただき、最終的にこういう形になりました。
― 日韓でのソロ活動を並行される中で、“日本でのリリース”という部分において特別に意識されることはありますか?楽曲のテイストや曲選びに違いは出てくるのかなと。
イェソン:韓国も日本も同じ延長線上にあるとは思うのですが、リリースの時期が違うことで、楽曲の背景は違ってきますよね。その時ごとにやりたい音楽も違うので、自然とテイストも変わってくるのかなと。これまでに日本で出した作品と比べて変化をつけたいとは思っていましたが、結局そこにこだわることはなく、今回のコンセプトのアイデンティティに集中をしたということになります。
― 作詞曲については、イェソンさんが韓国語で書いたものを日本語に訳すという作業ですよね。
イェソン:そうです。僕のオリジナルの歌詞を最大限、直訳にしていただく形を希望していました。それでもちょっと違うなと思うところは僕がチェックをしながら、色々なバージョンを見せてもらって。完成までそういうやり取りを何度かしましたね。韓国語でオリジナルの歌詞を書き上げるまで非常に力を入れて、気に入るまで何度も作り直していたので、それと全く同じ日本語の表現を探すのはちょっと難しかったです。微妙に意味が違ったり、メロディーに合わせて言葉の長さを調整する必要もあったので。
― 訳し方のニュアンスは慎重になりますよね。日本語の歌詞で完成したものを聴いて、特に印象的だった言葉はありますか?
イェソン:印象に残っているのは…韓国語の発音の響きよりも、日本語の「もう一歩、もう一歩」という響きがよかったこと。カクテルの「モヒート」の発音に似ているなと思ったり(笑)、韓国語で「キス」が「ポッポ」という発音なので、もう一歩の「ポ」が「キス」に聞こえたりして。なんか面白いな、響きがいいなというのは何箇所かありました。
― モヒート、お好きなんですか?
イェソン:お酒が苦手なので、モヒートの味はわかりません(笑)。
イェソン、ロンドン旅行での思い出「いきなり写真を撮られて…!?」
― 少し話が逸れますが、日本での滞在中も、様々な場所に足を伸ばしてプライベートな時間を楽しまれていますよね。海外での過ごし方は、ご自身で計画を立てたりするのでしょうか。イェソン:そうですね、僕はとにかく計画を立ててから動きたいタイプです。
― 年末はロンドン旅行の様子もツイートされていました。
イェソン:はい。忙しくて海外旅行に行ったことがほとんどなかったんですが、MV撮影でチェコに行ったら本当によかったので、「ヨーロッパに行きたい!」と思い、弟と一緒にロンドンに行きました。6日間だけだったので、短く感じましたね。
― ロンドンで印象的だった思い出はありますか?
イェソン:6日間の滞在だったんですが、なかなかいい天気に恵まれず、快晴だった日が2日しかなかったんですよね。そのかわり雨は降らなかったのでよかったです。早起きをして、有名な観光地は一通り回りました。色んな街を歩き回る中で、アートの雰囲気が漂う街があったりして。バンクシーの壁画もあって、とても雰囲気がよかったのでそこは2回行きました。
それと僕は元々ファッションが大好きで楽しんでいるんですけど、街を歩いていたらいきなりたくさんの人に写真を撮られて。「ついに気づかれたのか!?」と思ったら、その時たまたまファッションウィークで、様々なセレブが集まって列ができていて。その有名人の列に巻き込まれて建物に一緒に入ってしまったんですけど、そこは招待状がある人だけ入れる場所だったらしく、追い出されてしまって。どさくさに紛れて写真を撮られただけだったんだと気づきました(笑)。弟はVサインで写真に撮られたりしていて、それは面白かった出来事です(笑)。
― 旅にはそんなハプニングがつきものですよね(笑)。
イェソン:いつも次はどこに行こうかな?と考えていて。僕はヨーロッパの素敵な建築物にも興味がありますし、写真を撮るのが好きなので、いつかイタリアも行ってみたいなと思ったり。ハンガリーのブダペストもいいですよね。ハワイやギリシャに家族旅行で行きたいとも思っています。ハワイはSUPER JUNIORの撮影の時に僕1人だけ活動を休んでいたり、日本ツアーが被っていたりして行けていないので。
― 旅先での経験は、音楽のインスピレーションの源にもなりますか?
イェソン:活動休止中の週末は時間があったので、よく韓国国内の静かなところに旅行へ行きました。とても可愛らしいペンションにいつも一緒に行くメンバーがいて。その時はかなりたくさん曲を作りました。
― 休みの日はお仕事を忘れて切り替えられるタイプですか?
イェソン:いや…もうずっと仕事のことを考えていますね。
― 歌詞が浮かんできたらすぐメモを取ったり。
イェソン:スマートフォンに録音します。ノートパソコンでも曲の録音はできますから、基本的には持って行きますね。ただ、ロンドンの時は旅行を楽しむだけでも忙しかったのでやってないです(笑)。
― では今回のアルバムのリード曲である「Because I Love You ~大切な絆~」は、どこでどんなことを考えながら作りましたか?
イェソン:元々、ジャズの音楽をやってみたかったんですが、なかなか挑戦できずにいました。確か2017年だったと思うんですが、ジャズの音楽を聴きながら「ジャズのブラスって本当にいいな」と心に刺さってしまって。そんな魅力がある音楽を作りたいと思い、かなり勉強したんですね。音楽の知り合いに尋ねてみたり、自分なりにリサーチをしながら。実は自分がやりたい音楽にジャズのテイストを加えるという形で挑戦をして、3回失敗してるんです。その失敗を諦めずに乗り越えて、形作ったのが今回の「Because I Love You ~大切な絆~」。元々韓国のアルバムに収録しようと思っていたんですけど、日本のアルバムにタイミングが合った形です。完成してからさらに編曲をして、最終的に僕が目指した進化系になっていると思います。
― 挑戦したい音楽のジャンルの方向性は頻繁に変わっていくのですね。
イェソン:はい。それで今回はたまたまジャズということになりましたが、僕は元々明るいミディアムテンポのきれいな歌が好きで、例えば以前、僕の韓国のソロアルバムに収録された「Confession(どんな言葉でも)」という曲。あれは比較的ミディアムテンポに近い曲でしたが、今回のアルバムでそれを最大化した曲といえば「いま会いにゆきます ~If You~」や「染まったんだ ~初恋~」になると思います。「Confession」はミディアムテンポでもどちらかと言えばダンスに近いので、今回の2曲のほうが僕の好きなテイストを色濃く実現したと思っていて。
また、ピアノ伴奏で、感性豊かなかっこいい歌が歌いたかった時期には、村上龍先生の作詞で「愛してるって言えない」という曲をリリースしましたよね。そんな風に、その時ごとにやりたい音楽は変化してきました。
― 世界的な音楽のトレンドを意識したり、そこから刺激を受けることはありますか?
イェソン:それは基本的にないです。ただそういう意味で言うと、去年韓国でリリースしたチョンハさんとのデュエット曲「Whatcha Doin」は僕としてはチャレンジでした。ダンスやポップスのジャンルを意識して作ったので、同じ時代を生きる方々に共感していただける曲だったと思います。
― 「Because I Love You ~大切な絆~」のMVでは女性とロマンチックなラブストーリーを演じられていますが、曲を元にストーリーを構築していったのでしょうか。
イェソン:今回はMVのストーリーと歌詞が100%一致しているわけではありません。一部の内容が盛り込まれている形になっていて、例えば“初恋”だったり、僕が演じる作家さんが想像で描いたストーリーの中でときめきを表現するような流れになっていたり。そういう中身は歌詞と連動しているんですが、MV=歌詞ではない。「いま会いにゆきます ~If You~」のMVもそういったアプローチになっています。実は日本語のセリフを言うというアイデアもあったんですが、いつかかっこいい日本語のセリフが入ったMVも作ってみたいな。日本の映画にも出演した(※2016年公開の主演映画『いきなり先生になったボクが彼女に恋をした』)ので、できるんじゃないかなと思います。
― 「For Dream~夢を目指して~」はメンバーのドンヘさんとウニョクさんとのコラボ曲ですが、SNSでは「(2人と)同じ夢を持って歩んできた」と紹介されていましたね。
イェソン:僕はデビュー前の5年間、練習生という立場でしたが、2人も同じ時期に5年以上の時間を練習生として費やしました。そうやって長い時間同じ夢を追っていた、デビューに向けて一緒に走ってきたという意味で言いました。
3度目のソロツアー開催「本当に皆さんが驚くような中身を準備しています」
― 間もなくソロツアー「SUPER JUNIOR-YESUNG Special Live『Y’s STORY』」も開催されます(※インタビューはソロツアー開催前に実施)。今回のアルバムは、最初からツアーで披露することをイメージしていたのでしょうか。イェソン:制作の中で「この曲はエンディングに合いそうだね」という話が出ることもありましたが、必ずしもライブを意識してアルバムを作ったわけではなくて。僕は何か大きな絵を描いてから詳細を詰めていくというタイプではないんです。どちらかというと“心赴くままに”というスタイルなので、例えば曲作りをしていても、途中でなんか違うな…と思ったら「やーめた」という風に覆すことも。自分の感性に忠実な人間なんです。もちろんコンサートの中身には深く関わっていますが、最終的には作りながら自分のフィーリングで決めていきますね。
― ソロとしては3度目のツアーで、それぞれ異なるコンセプトがありますが、逆に変わらない部分はありますか?ライブを作る時に、絶対に譲れないと思っていること。
イェソン:生バンドにのせて、生で歌うこと。それが僕のプライドでもあります。ただ、今回のツアーが一番不安で、色々と心配事があって。プレッシャーですね…。色々なスケジュールが決まっていて、移動が多かったり、SUPER JUNIORとしても色々と準備しなければいけないことがありますし。それと並行して、コンサートに使う映像を撮影したりしますので、まずはベストコンディションで臨めるように頑張ろうと思います。仕事があるのは幸せなことですので、忙しいスケジュールも感謝して、受け止めたいです。
そして今回、スタンディングという形のコンサートになりまして、そこは皆さんの不安材料になるかもしれません。ただ、僕は皆さんが大変な思いをしないように楽しい時間をお届けしますので、心配することはありません。本当に皆さんが「ワオ!」と驚くような中身を準備しています。これまでのツアーで使わなかった映像もありますので、期待していてください。SUPER JUNIORの他のメンバーが好きだよという方々にも楽しんでいただける、いい意味でのサプライズもあると思います。話し出すときりがないので、この辺にしておきますが(笑)。
たったひとつの星のように瞬く、イェソンのストーリー
― 抽象的な質問になってしまうのですが…イェソンさんの人生というストーリーに、もしタイトルをつけるとしたら、どういう言葉を選びますか?イェソン:そうですね…まだ人生が終わってないからわからないなぁ。ある程度終わったと思ったらその時に考えてみようかな(笑)。
一同:(笑)
― そうですよね(笑)。言葉を大切にアルバムを作ってきたイェソンさんに聞いてみたいなと。
イェソン:今考えるとしたら…「星」になるかな。誰かにとっての輝く存在でありたいという気持ち。そして、ある特定の1人にとっての星のような存在でありたいという気持ちも。実際、僕の歌詞の中には「美しい星」とか「花」とか、抽象的かもしれませんが、そういうモチーフが結構あったりして。美しいけれど、現実的には見えないものという意味が込められています。
― 人生というストーリーの中で「満ち足りている」と思う部分と、逆に「まだ物足りないな」と思う部分、両方を教えてください。
イェソン:どちらもたくさんありますが、まず満ち足りているなと思うことは家族愛。そしてこれまでにファンの皆さんからいただいた愛です。ファンからの愛については、まだ足りないかな?と思ったりもしましたが、14年間を振り返ってみると、今この位置にたどり着くまでに本当にたくさんの愛を受けたことを実感します。日本で活動させていただけたことも、とてもラッキーだと思っているので、感謝しなければいけないですね。僕1人がすごいというわけではなく、SUPER JUNIORというグループに属していたからこそ、今このポジションがあるんだという風に思います。
それからまだ物足りないなという部分ですが…音楽に限らず色々な分野で、まだ挑戦したいものがたくさんあるということ。それともうひとつ、自分の立場上、本当にこれまできちんとした恋をしたことがないなと思っていて。もうそれなりの歳なので、恋をしたいなという気持ちです。これまで出会い自体あまりなかったので、ある瞬間、なんだか虚しい気持ちになったり、実際に「愛」や「恋」をテーマにして色々な表現をしてみようと思っても、限界を感じたりして。よりよい音楽を作るためにも、よりいい形での愛や恋を経験しなければいけないのかなと。
― さらに色鮮やかな表現を楽しみにしています。「音楽に限らず」という部分は、具体的にどういう活動でしょうか?
イェソン:音楽以外の分野としては演技ですね。韓国で映画をやってみたい願望もありますし、ドラマにも引き続き出演したいなと。新しい役をやってみたいですね。
― それぞれに人生というストーリーがあり、楽しいことも辛いことも経験します。特に今「苦しいな」と感じている人や、壁にぶつかっている人に、前向きになれるメッセージをいただけますか。
イェソン:それはこのアルバムに込められています。「Happiness ~幸せなことはいつもそばにある~」という曲なんですが、この歌詞を書いている時、僕も大変な時期でした。何もうまくいかないし、寂しさや孤独を感じていましたが、もし同じ思いをしている方がいれば、この曲の歌詞を読んで、感じていただければと思います。
韓国語のオリジナルの歌詞を紹介しますね。
“毎日幸せじゃなくてもいいんだ。でも幸せなことは毎日どこかにあるんだ。
その隙間と余裕のない時間の中で、私たちが少し見逃してしまっただけだ。
目を覚まして探さなくても、一緒にいるんだ。
見えなくても感じ取ることができる風のように、すでにあなたの周りを回っているんだ”
― ありがとうございます。最後に、今ご自身が苦しいなと感じた時に、乗り越えるための原動力を教えてください。
イェソン:家族、そしてファンの皆さんです。正直に言いますと、ファンの皆さんを想うあまり、様々な感情も味わいました。活動を休止してる間、当然、色々と状況が変わりますよね。その時、僕自身どれだけファンの方を頼っていたのか、心の支えとして考えていたのかを実感したんです。それでも今改めて振り返ってみると、変わらず僕のファンでいてくださる方がたくさんいて、今回のアルバムで、そういった方々への愛を込めた曲も多く生まれた。それがどれだけ幸せなことなのかを気づかされたので、今は本当に幸せです。これを今の僕の紛れもない本音としてお伝えします。
(modelpress編集部)
SUPER JUNIOR-YESUNG Special Live『Y’s STORY』
2月20日(水)Zepp Fukuoka 開場18:00/開演19:002月27日(水)Zepp Osaka Bayside 開場18:00/開演19:00
2月28日(木)Zepp Osaka Bayside 開場18:00/開演19:00
3月6日(水)Zepp Nagoya 開場18:00/開演19:00
3月7日(木)Zepp Nagoya 開場18:00/開演19:00
3月13日(水)Toyosu PIT 開場18:00/開演19:00
3月14日(木)Toyosu PIT 開場18:00/開演19:00
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