「半分、青い。」衝撃の最終週「それを書かないと物語が終われない」 脚本・北川悦吏子の思い<インタビュー【1】>
北川悦吏子氏が脚本を手掛け、女優の永野芽郁がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『半分、青い。』(NHK総合/月曜~土曜あさ8時)。放送開始前、北川氏自身が語っていたように「明らかに異端」であった物語は、9月29日、ついに最終回を迎える。「1話につき与えられた時間は3日」という執筆活動を終えた今、北川氏は何を思うのか――最終回目前、モデルプレスのインタビューに応じた。<1>
北川悦吏子、全156回を書き終えた今
「『あしたのジョー』の矢吹丈のように白い灰になった気分で、本当に魂を抜かれてしまった」。15分×全156回。北川氏は、約1年半をかけて『半分、青い。』を書き上げた。『愛していると言ってくれ』(1995年)、『ロングバケーション』(1996年)、『ビューティフルライフ』(2000年)など様々な愛の形を描き出してきた“ラブストーリーの神様”が手掛ける“朝ドラ”、『半分、青い。』という“朝ドラ”らしくないタイトル…放送開始前から「次の朝ドラは何かが違う」と視聴者をざわつかせていたように思う。
それは放送後も続き、ヒロイン・楡野鈴愛の祖母・廉子(風吹ジュン)のナレーションで「イントロ始まる?星野源が歌い始めるー!?」とオープニングに繋いだり(第17話)、鈴愛が当時の夫・涼次(間宮祥太朗)に「死んでくれ」と言い放ったり(第105話)…廉子のナレーションについては「1話にひとつでいいので何かアイデアが欲しい。ハッとするような。もしくは、説得力のある言葉を、と思っていたんですが、それが生まれやすいが廉子さんのナレーション。“朝ドラ”ってナレーションがたくさん使えるので、遊びがあるし、視点をどこにでも移せる」とシーンの切り替え、視点の誘導に効果的だったと語り、「星野源が歌い始めるー!?」は「主題歌が星野源さんだと決まる前から書いていました。その遊びが面白いな」と、前から計画していたことを明かした。
とは言え、全156回。人を飽きさせずに見せる工夫が、毎日歩いて向こうからやってくるわけではなく、頭を抱える日も少なくはなかったようだ。
「本当に苦しくて、今まで浮かんだんだから浮かぶに違いないって信じるしかない。毎回ゼロからのスタートなので、このまま思いつかなったらどうするんだろう、と苦しむ時間も長くて、そうするとドラマの中の鈴愛みたいに、甘いものをガーッと食べて糖質を補給しました。F1レーサーのタイヤ交換みたいに、それで頭を働かせる。そして、ハッと思いついて、ホッとする。でもすぐに、また次の回がやってくる、という繰り返しで、気がつくと糖質補給のせいで6キロ太ってしまっていて、愕然としました。誤解を恐れずに言うと、“朝ドラ”って精神的拷問だなと思います。15分を156本。合計39時間。ぶっ続けで書き続ける。いつクラッシュしてもおかしくないですよ。そしてそんな作家さんも実はたくさんいます。途中で逃げちゃったり(笑)。ま、尋常な仕事ではないです。ただ、クリエーター魂は刺激されます。15分って、色んな技を入れることができて楽しいんですよ。ただ、スケジュールとしては3日に1本あげなくてはいけなくて、自分に、どこまで才能があるのか毎日試されている感じです」。
「半分、青い。」衝撃の最終週「書かないと物語が終われない」
3年前、北川氏が左耳を失聴したことをきっかけに浮かんだという『半分、青い。』というタイトルとストーリー。自身の体験を元に、子どものころ左耳を失聴した鈴愛というヒロインができあがった。天真爛漫、猪突猛進なヒロイン像から伝えたかったことは、「左耳を失聴したり、漫画家として才能がなかったりしても『人は生きていきようがあるんだよ』という強いメッセージ。それを体現するために鈴愛が生まれた」。
漫画家になるために上京し、夢破れた鈴愛。その後は、結婚・出産・離婚を経験、岐阜の実家に出戻るが、再上京し、今はまた次の夢に向かって懸命に“生きている”。
間もなく迎える最終週。「ちょっと衝撃です。いろんな感想は来るだろうな、と思っています。でも、とっくに覚悟はできています。そこから、何を受け止めていただけるか、は、見ている人それぞれだ、と思っています。話を盛り上げるために、書いたわけでもありません。それが、現実であり、それがリアル。というか、そんなリアルもある。『半分、青い。』はことごとく、そうだったような気がします。シビアなリアルが、この世にはゴロゴロとあると思います。それをどう生きるか、課せられた課題です。漫画家挫折にしても、離婚にしても。辛いけど、そういうこともある。最終週も。それを書かないと物語が終われないと思ったんです。『“朝ドラ”だから止めよう』とか、そういうことから一切逃げずに書いた156本でした」。
(modelpress編集部)
あらすじ
そよ風の扇風機を作るために実験を重ねる鈴愛(永野芽郁)と律(佐藤健)。しかし、扇風機の風特有の「渦」を消す方法は見つからない。ある時、鈴愛は100円ショップ大納言で働いていた頃に田辺(嶋田久作)から聞いた話を思い出し、渦を消す方法をひらめく。それを受けて律が扇風機の羽根の改良を試みる。鈴愛は資金集めに奔走。二人三脚でようやく、そよ風の扇風機の試作機第一号が完成する。しかし、喜んだのもつかの間、試作機、試験データ、設計図など全ての資料が盗まれる。盗んだのは津曲(有田哲平)だった。あわせて読みたい
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