モデルプレスのインタビューに応じた北原里英 (C)モデルプレス

NGT48北原里英、拉致監禁され下着姿・キスも…過酷な撮影に挑めた理由 「一番のチャンスで事件」の作品で卒業へ<モデルプレスインタビュー>

2018.01.18 12:00

NGT48北原里英(きたはら・りえ/26)が主演映画『サニー/32』(2018年2月9日新潟・長岡先行公開/2月17日より全国公開)で衝撃的な姿を見せている。今作は、2013年に日本映画賞を総なめにした『凶悪』でタッグを組んだ監督・白石和彌氏と脚本・髙橋泉氏による完全オリジナル作品で、北原は劇中で拉致監禁されるヒロイン・藤井赤理を体当たりで熱演。モデルプレスは北原にインタビューを実施し、撮影での苦労や女優としての思いを語ってもらった。

  

北原里英主演「サニー/32」

今年8月、キャプテンを務めるNGT48・並びにAKB48グループからの来春卒業を発表し、卒業後女優としての活躍を誓った北原。今作は、そんな彼女が女優業を本格始動する第一弾作品となる。

ピエール瀧、北原里英(C)2018『サニー/32』製作委員会
北原が演じる赤理は、仕事も私生活も今ひとつのごく普通の24歳の中学校教師。物語は、彼女の24歳誕生日にピエール瀧リリー・フランキー演じる“サニー”の狂信的信者に拉致・監禁されるところから始まる。“サニー”とは「犯罪史上、最もかわいい殺人犯」と呼ばれ、ネットなどで神格化され世間を騒がせた11歳の少女の愛称。誘拐犯の柏原(ピエール)と小田(リリー)の二人は赤理(北原)を“サニー”と呼び、強烈なキャラクターたちの群像劇がサスペンスフルに展開していく。


ストーリーは序盤からフルスロットルに加速。拉致監禁された赤理はドレスに着替えさせられると、顔を舐められたり、殴られたり…存分にいたぶられる。しかし、後半にはある出来事をきっかけに赤理が“覚醒”。捕らえられていたはずの赤理が柏原と小田に対して反撃を開始し、拉致監禁からはじまった物語は予測不可能な展開へ突っ走る。

撮影は2017年2月2日から19日まで、降りしきる雪の中でNGT48の本拠地である新潟県にて敢行。北原は、2階の窓から雪山に飛び降りるシーンでは、スタントを使わず自ら体を張った。

秋元康プロデューサーの一言がきっかけ

(C)2018『サニー/32』製作委員会
元々『凶悪』の大ファンだったという北原が、ラジオ番組『オールナイトニッポン』で秋元康総合プロデューサーに「北原主演の映画を撮ります」と告げられたことがこの映画の始まりだった。そこからすぐに白石監督がメガホンをとることが決まったが、スケジュールの都合で月日が流れ、今回こうして公開の運びとなった。

それだけに北原の現場に臨む覚悟は違ったといい、全編にわたって過酷なシチュエーションを受け止め、ヒロインを演じきった。

北原里英、過激なシーンにも挑む

ヘアメイク:大西 麻理子 A and ON Atelier/スタイリスト:有本祐輔(7回の裏) (C)モデルプレス
―元々白石監督に撮って頂きたいという思いがあったんでしょうか?

北原:まさか、本当にとっていただけるとは思いませんでした。ふとした会話で、秋元先生に「北原はどんな映画に出たいの?」と聞かれて、その頃に観た映画で一番印象的だった「『凶悪』のような映画に出たいです」と何の気なしに言ったんですよね。そのときは白石さんが監督した作品という意識もまだ持っておらず、そういうふとした発言がこういう形になったので、人生何があるか分からないなと。白石さんは多忙な方なので、そんな方に撮って頂けたことがすごく幸せだし、すごく運が良かったなと思います。

― 今までには挑戦されてこなかったような過激なシーンが沢山あったと思うんですが、最初に脚本を読んだときはどう思われましたか?

北原:始めて読んだときは過激なシーンよりも、脚本の面白さの印象が強かったです。のちに過激なシーンも含めて自分にできるのかという不安は撮影に入るまでずっとありました。

― 具体的に不安だったのは演技の面ですか?

北原:そうですね、演技の面で不安でした。共演者の方が演技派な方々だったので心配でしたね。本格的な映画になるなと思った時にやっぱりちょっと緊張してしまったというか、結構不安で眠れない夜がありました。

― そうなんですね。それは撮影中も?

北原:始まってしまったら「もうやるしかない」という気持ちになっていたので大丈夫でした。撮影に入るまでに物凄くメンタルを調整したので、なんとか。自分の中で準備期間があったおかげで、“覚悟”という意味での準備をして。『凶悪』で白石さんのファンになっていたので、撮影に入ってからはそんな白石さんとお仕事できる環境にすごく幸せを感じて。始まってからは度々訪れる不安なシーンの撮影はありましたが、「もうやるしかない」という気持ちで臨めましたね。

北原里英、ピエール瀧(C)2018『サニー/32』製作委員会
― メンタルの調整をするんですね!恥ずかしながらしたことがないんですが…

北原:しませんか?私は、(バラエティ番組で)過去にバンジーを跳ぶ日に合わせてメンタルの調整をしました(笑)。

― どういう風にするんですか?自分の気持ちを持っていくというか。

北原:そうですね、ボクシング選手の計量前みたいな感じです。1月に写真集を出すのですが、そのときも写真集に行くまでに体型とともにメンタルの調整をしました。

― それはスケジュール帳に書いて計画を立てたり?

北原:ものを書いたりはしませんが、ひたすら自分の心と向き合います。大事なお仕事があるときは同時にダイエットもするので、心と体をより集中させます。本当にボクシング選手の計量前みたいな感じですかね。卒業発表の前もメンタルの調整と喉の調整をしていました(笑)。

北原里英、新潟での撮影は「相当過酷でした」

― 撮影に向けて何か準備はされましたか?

北原:新潟へ撮影に行く前に防音室やカラオケで声を荒げる練習から始めました。あと、一度助監督さんが、セリフ読みに付き合って下さいました。

― 他に何か役作りされたことはありますか?

北原:中学校教師役だったので、予備校の授業を参考にしました。久しく教師というものに触れていなかったので、思い出す作業はしましたが、周りのキャラクターが個性的な分、赤理は普通の良い子だったので特に役を作り込んではいきませんでした。

― 撮影は雪の中という環境だけでもかなり過酷だったと思います。

北原:相当過酷でした。何より2月の新潟はとても寒くて、人生で一番寒かったと思います(笑)。

― 普段新潟で暮らしていてもあんなに寒い状況はさすがにないですか?

北原:そうですね。長時間かつ毎日寒かったので。試写で出来上がった映画を最初に観たとき、思い出が詰まり過ぎていて冷静に観ることができませんでした。思い出すことと言ったら「ああこのとき寒かったな」「このときも寒かったな」「このときも…」そんなことばかりでした(笑)。

― 演技のことよりも。

北原:そうなんです。でもその冬の厳しい寒さが映画のスパイスになっていて画面を通して伝わってくるので、あの環境で撮影してよかったように思います。

北原里英、ピエール瀧&リリー・フランキー『凶悪』コンビにいたぶられる

北原里英(C)2018『サニー/32』製作委員会
― 結構最初からずっと縛られていて殴られたりするシーンが続きましたが、それ自体は辛くなかったですか?単純に痛そうで…。

北原:辛くはなかったですね。元々『凶悪』がすごく好きだったので、あの『凶悪』コンビの2人にいたぶられるのは、なかなか良い経験しているなという感じはありましたね(笑)。

― それは感覚でいうと女優として、自分は当然のことをしているという感じ?

北原:そういった感覚でいたかったのですが、本音を言えば「『凶悪』コンビにいたぶられているわ!感激…」という喜びのほうが大きかったですね(笑)。

スタントなしでワイヤーアクション・下着姿・女性同士のキスシーン…

(C)2018『サニー/32』製作委員会
― 撮影が実際に始まってみてから、一番演じるのが難しかったシーンはどこですか?

北原:どこまで言えるか難しいのですが、“覚醒”するシーンですね。普段声を荒げることや、激しい言葉遣いをあまりしないので、撮影日は自分の中でXデーと捉えていて、その日に対して今までにない緊張感を持っていました。

― 実際に演じてみて監督から注意を受けたり、苦労したシーンはありましたか?

北原:白石さんは細かく教えて下さる方だったので、まずはイメージしたものをトライしてみて訂正して頂きながら撮影しました。特に時間がかかって皆さんをお待たせしてしまうような場面はなかったように思います。でも最後の屋根から飛び降りるシーンはワイヤーアクションだったので、一晩中かかりました。オールナイトで、夜中に何度も飛んでいました。

― 最初の方でも下着になったりとか、あとは女性同士でキスされたりとか、ああいった過激なシーン自体に全然抵抗はなかったですか?

北原:それ以上に大変なシーンがありすぎて自分的には全然抵抗がなくて。下着になることもほぼ抵抗がありませんでしたし、キスシーンも試写を観て思い出しました。「あ、そう言えばキスしたな」みたいな。

― そんなものなんですね(笑)。

北原:そうなんですよね。それほど自分にとっては他に悩んでいたシーンが多くあったので、そこに全然目が行っていなくて。だけどこうして特報が公開されてメンバーに「下着でしたね」、「舐められていましたね、里英さん」などと言われて初めて「皆はやっぱりそこが気になるんだ」と思って自分との視点の違いが面白いなと思いました。

― ではまた本編を観たメンバーから反響がありそうですね。

北原:はい。また違うところが気になるんだろうなと思うので、皆に観てもらって感想を聞きたいなと思います。当たり前ですが私たちは台本を読んだ上で観ているので、結末が分からない状態で観たらきっと捉え方も全然違うのだろうなと思うので、早く感想が聞きたいです。

北原里英、撮影を通じて共演者から刺激

― 北原さん自身は赤理のことはどういう女の子だと思いますか?

北原:最初は本当に分かりませんでした。すごく地味で、特に何の特徴も無くて。でもたまに「抱きしめられたことない」と言い出したり。ごく普通の女性に見えていても愛が足りていないところもあって、難しいなと思っていたのですが、撮影が始まる前に「北原さんの割とそのままで大丈夫です」と白石さんが言って下さったので、そのままの気持ちで行きました。

撮影が進んでいくにつれて、ガッツリお芝居の世界に参加させて頂いた上で周りを見たら他の役者さんたちが監督さんに「このキャラはこうは言わないんじゃないか」などと意見を自分から言ったり、提案している姿を見て、「皆こんなにも真剣に役と向き合っているんだ」とすごく勉強になりました。私もすぐ実践しました。

― それはアドリブということでしょうか?

北原:アドリブというか、例えば台本を読んだときにちょっとしっくりこないセリフがあったら、そういうのは自分の中で納得しないまま撮影にのぞむのではなくて相談して良いんだなと思うようになりました。

来春48グループを卒業「すべてのタイミングが合った」

リング¥7,000/JEWERY MISUZU.その他スタイリスト私物 (C)モデルプレス
― この映画が決まったことも卒業を決意するきっかけになりましたか?

北原:卒業の後押しをしてくれた一因ではありますね。でも映画の話がそもそも出たのは3年ほど前で、偶然今となりました。ちょうど今年の春で私のAKB48活動が10周年なのでそれぐらいを目処に卒業できたらキリが良くて良いなと思っていたところですごくタイミングよく、公開も2月に決まりまして。自分の今までのアイドル人生の中で一番大きな仕事というか、一番のチャンスで事件だし、この映画をもって卒業したいという気持ちが強かったので本当にすべてのタイミングが合ったという感じでした。

― 改めてこれからの女優としての意気込みを教えて下さい。

北原:今回こうして白石さんと一緒にお仕事をさせて頂けて、お人柄も大好きになって、もう勝手に一生ついていこうと心に決めました(笑)。また白石さんとお仕事できるような女優さんになれたらいいなとすごく思います。

― 憧れの女優像はありますか?

北原:そうですね。今回共演させて頂いた門脇麦ちゃんに憧れています。どの映画に出ていても世界観がすごいというか、麦ちゃんがいるだけで本格映画の香りを出せるというか…そういうところにすごく憧れているし尊敬しているので、私も目指したいです。

― これからは主に映画界で活躍されていきたい?

北原:今回、映画がすごく楽しいなと思ったし、すごく好きなので、映画が一番やりたいです。

― 他のジャンルも?

北原:勿論全ジャンルやらせて頂きたいです。お芝居に1本に絞るというつもりもまだないので、何でも卒業後もやっていきたいなと思っています。

北原里英の“夢を叶える秘訣”

― では、最後に夢を追うモデルプレス読者に向けて北原さんの“夢を叶える秘訣”を教えて下さい。

北原:自信を持って言えることが1つあります!絶対言葉にすることだと思います。先ほどもお話しましたが、偶然とは言え、私が「『凶悪』が好き」と思っていても口にしなかったら多分この作品は出来ていなかったので、絶対口にした方がいいなと思いますね。やっぱり夢って、お年頃は特に、口にするのも恥ずかしいと思うのですが、言葉にすると自分で叶えなくてはとも思うし、誰かが思わぬところで聞いてくださることもあるので、どんどん声に出していったほうがいいなと思います。

― これまでのアイドル人生でも結構早い段階で言葉にされてきましたか?

北原:「女優さんやりたい、お芝居やりたい」と口にしていたからこそ、これまでも映画やドラマに出演することができたと思いますし、以前、雑誌のインタビューで「園子温監督の作品に出るのが夢です」と話したことがあったのですが、テレビ東京のプロデューサーさんが偶然見て下さり、憧れの園さんと一緒にお仕事ができたんです。本当に身をもって体感してきたので、これは間違いないと思います。

― 割と過激というかアウトローな感じの作品がお好きなんですね。

北原:重め、暗め、エンタメな作品が好きなので、そういった作品にこれからも出たいです!ここでも次の目標を言っておこうかと(笑)。

― 大きく書いておきますね!ありがとうございました。

“女優・北原里英”が覚醒

過激なシーンも「全然抵抗がなかった」「喜びのほうが大きかった」とあっけらかんと、むしろ生き生きと演技について語る様子は、まさに“女優”。

スクリーンに映る姿は、ステージに立つ姿とは別人で、“アイドル北原里英”のファンもそうでない人も、何の先入観も持たずに、ただ作品を、そして“女優・北原里英”を体感して欲しい。きっと彼女の卒業後の活躍が楽しみになるだろう。(modelpress編集部)


映画「サニー/32」ストーリー

(C)2018『サニー/32』製作委員会
冬の新潟の或る町。仕事も私生活も振るわない中学校教師・藤井赤理(北原里英)は24歳の誕生日を迎えたその日、何者かに拉致された。やったのは二人組で、柏原(ピエール瀧)と小田(リリー・フランキー)という男。雪深い山麓の廃屋へと連れ去り、彼女を監禁。柏原は「ずっと会いたかったよ、サニー……」と、そう赤理のことを呼んだ。

“サニー”とは――世間を騒がせた「小学生による同級生殺害事件」の犯人の通称。そのいたいけなルックスゆえに「犯罪史上、最もかわいい殺人犯」とネットなどで神格化、狂信的な信者を生み出すことに。この“サニー事件”から14年目の夜、二人の男によって拉致監禁された赤理。赤理は正気を失っていきながらも、陸の孤島と化した豪雪地帯の監禁部屋から脱出を試みるが、それは驚愕の物語の始まりにすぎなかった―

北原里英(きたはら・りえ)プロフィール

北原里英 (C)モデルプレス
1991年6月24日生まれ、愛知県出身。2007年にAKB48の5期生オーディションに合格し、翌年上京。10thシングル『大声ダイヤモンド』で初めて選抜入りする。2011年には大島優子・指原莉乃・横山由依とユニット『Not yet』を結成。2012年から2013年にかけてSKE48と兼任活動も経て、2015年にNGT48への移籍とキャプテン就任。2017年のAKB48選抜総選挙では自己最高10位を獲得。2017年8月に2018年春にグループを卒業することを発表した。

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