ナオト・インティライミ「一生、忘れられない」 原点回帰した濃密な旅とは<インタビュー><インタビュー>(C)モデルプレス

ナオト・インティライミ「一生、忘れられない」 原点回帰した濃密な旅とは<インタビュー>

2017.11.24 22:30

デビュー前から世界各地を訪れ、表情豊かな歌声と抜群の音楽センスを武器に、“旅”という新たなジャンルで存在感を放つ歌手のナオト・インティライミ。この度、忙しい日常から飛び出し、純粋に音楽を楽しむ心を取り戻すために、未知なる旅へ。“原点回帰”して戻ってきた彼が、モデルプレスのインタビューに応じた。

いざ、心を取り戻す旅へ

― 今年の始めから半年をかけて19ヶ国を旅されたそうですね。今回の旅の目的地はどうやって決めたのですか?

ナオト:“長期でしか行けないところ”が基準でしたね。東南アジアとか山ほどある選択肢の中から、数ヶ月間ないと行けない場所、音楽的に面白いものがある場所を選びました。出来る限り、自分のライフスタイルと違う場所へ行って、刺激を受けたいと思っているんです。

― 旅先について、事前に調べたり?

ナオト:意外と調べないかもしれない。行きの飛行機で初めてその国の情報をガイドブックで知る。だから、服のチョイスミスはよくありますね。「寒すぎる!嘘だろ?」って。もうちょっと調べといたほうがいいなと思います(笑)。

今回はアフリカを14ヶ国巡りましたが、情報が全然ありませんでしたね。モザンビークでは何が起きてるのか、どんな音楽なのか。この旅は、出たとこ勝負が多かったかもしれない。

ナオト・インティライミ

タンザニアで出会った絶景に感動

― 今回の旅では、どんな出会いや驚きがありましたか?

ナオト:印象に残っている景色は、タンザニア・ザンジバル島で見た夕日ですね。今までは綺麗な夕日といっても、太陽が雲にかかっていたりしたけど、その夕日があまりにも素晴らしかった!船を借りて海に出たんですが、太陽が完全体で少しずつ水平線に沈んでいく様子は感動しました。あれは一生、忘れられないです。

― 今まで見てきた夕日の中でも?

ナオト:そうですね。面白いのは、日本にいる時は“太陽が沈んでいく”感覚だけど、旅している時は太陽は動かずに、“俺らが回ってるだけ”だと実感するんです。それに僕らが日本で見る夕日って、モルディブ辺りの日照を見ているんだって。“夕焼けが綺麗だと、明日は晴れる”という言葉があったり、ちょっとロマンがありますよね。

(C)2017「ナオト・インティライミ冒険記2」製作委員会
― 旅では、普段考えたこともなかったことに気づくんですね。

ナオト:はい。旅をすると、そういうところにも行き着くから面白いですね。地球規模で感じられるというか。旅してると本気でそう思う。

― では、旅をした19ヶ国の中で、女性にオススメしたい場所は?

ナオト:あまり危険な匂いがしないところがいいですよね。マダガスカルとか、カーボベルデかな。マダガスカルの自然は素晴らしいし、カーボベルデの街並みはアフリカの中のヨーロッパ。街中はとても洗練されてるし、ごはんも美味しい!アフリカにもこんな場所があるんだなって。

“旅”がテーマのコンセプトアルバム完成

― 半年間の旅を終えて、どんな心境で帰国されたんですか?

ナオト:「早く形にしたい!」に尽きるかな。旅を始めたばかりの時は、曲も思い浮かばないし、レコーディングしたいって意欲も沸かなかったけど、旅の終わりにはアイディア渋滞が著しくなって(笑)。これ以上、旅を続けると上書き保存されちゃうから、19ヶ国でちょうどよかったなと思いましたね。

― (笑)。そこから「旅歌ダイアリー2」が生まれたんですね。

ナオト:はい。充電しに行って、ちょっと漏電気味からの放電です。だから、帰国してからアホみたいに作りましたね(笑)。「旅歌ダイアリー2」は約1ヶ月で30曲近くを全部パックしたんです。いやあ、楽しかったなぁ!もう好き放題、頭に浮かんでいるものを片っ端から形にしていって。

(C)2017「ナオト・インティライミ冒険記2」製作委員会
― 半年という膨大な旅の記憶の中から、どうやって?

ナオト:今回は旅日記が本になるので、推敲しながら思い返したり。あとは現地で録ってきたボイスメモ。その景色を見て感じたことを、鼻歌で残しておくんです。その時には既にピアノが鳴ってるわけですよ。帰ってきてからは、何も考えずに“うわっ”て出てきたものを形にしたような、反射神経で完成したアルバムになりました。こんなに集中したことはなかったかもしれない。

やっぱり今までは活動の中で、ツアーやテレビ、いろんなことを同時にやりながらのレコーディングで。制作するのも断片的になってしまうんだけど、今回は帰ってきて1ヶ月間は“このために生きる!”とメリハリがあったんだと思います。

(C)2017「ナオト・インティライミ冒険記2」製作委員会
― 旅の途中で、どんな音楽と出会ったのでしょうか?

ナオト:アフリカの7大フェスのひとつ「サウティザブサラ」で、4日間アフリカの音楽を浴びてきました。とんでもなかったですね。自分が大切にしているのが“音楽を体感する”ということ。今の時代、世界中の音楽を聴くことはできるけど、その場で体感することは一生の財産になる。ルーマニアのジプシー音楽もすごくて、世界に誇るスペシャルなものだと感じましたね。それに、ジンバブエの“ムビラ”っていう親指ピアノと呼ばれるオルゴールのもととなった楽器。自分の精神が繋がっていく感覚で、不思議な経験でした。

― コミュニケーション部分では、日本とは何か違いはあるのでしょう?

ナオト:それは日本が一番大変じゃないかな。よくも悪くも人を敬う。段階を経て徐々に距離を縮めていくのは、日本のいいところでもあるんだけど、海外はその気遣いがいらないから。初対面でも関係なく心が開ききってるから、考えずにいけるなっていうのはありますね。遠回しに言っても伝わらないし。「申し訳ないんだけど…」「無理だったらいいんだけど…」とか、日本ではよく言うでしょ。“僕はこれをしてほしいんだ”“これをしたい”とダイレクトに表現をすることが、海外では大事だなと思います。日本人はいい人だから、向こうの人からすると騙しやすいですし。

― そうかもしれませんね(笑)。

ナオト:彼らの言い値で買ってしまうと“日本人には高値で売れる”と思っちゃうから、はっきり「NO!」って言わないとね。いつも僕は、今後日本人がナメられないために、説教しながら値切ってます(笑)。

(C)2017「ナオト・インティライミ冒険記2」製作委員会

新曲「Sunday」に込めた思い

― お説教!すごいですね(笑)。旅の様子はドキュメンタリー映画にもなっていますが、主題歌「Sunday」に込めた思いを教えてください。

ナオト:この「Sunday」は、曲の中にSundayという言葉が出てくるわけでも、日曜日っぽい何かが登場するわけでもないんです。ただ、アフリカを旅して痛感したのが、“歌いたいから歌う”“踊りたいから踊る”“笑いたいから笑う”っていう、シンプルな感情。アフリカは奴隷の歴史から始まり、今も飢餓に苦しんでいたり、教育や医療も決して恵まれているわけでもなくて。

訪れた村では10人の子供がいても、10歳まで生きられるのが5~6人。「だから、たくさん人を作るんだよ」って笑いながら彼らは言うんだけど、そんな中でも毎日、日曜日の僕らのように開放された笑顔を見せてくれたんです。

― とても明るい曲調に、そんな思いが込められていたんですね。やはり、笑顔で人と繋がるような部分もあるんでしょうか?

ナオト:そうですね。時には笑顔で騙そうとするやつもいるけど(笑)、笑顔が基本なのかもしれない。顔の表情は何万の情報が入ってるって言われていますし。ましてや旅で出会う人なんて初めましての連続じゃないですか。“敵じゃないよ”と伝える笑顔が、大切なファーストコミュニケーションだと思いますね。

― 日本では味わえないような経験が、すべて「旅歌ダイアリー2」に詰まっているんですね。

ナオト:はい。すべては入りきらなかったけど、とてもピュアにパックしました。脚色せず、出てきたものをそのまんまの素材を楽しんでいただけるんじゃないかな。

(C)2017「ナオト・インティライミ冒険記2」製作委員会

今でも続ける“夢を叶える秘訣”

― では最後に、ナオトさんが思うその夢を叶える秘訣を教えてください。

ナオト:2つありますが1つ目は、自分の夢のために、誰も何もしてくれないんだってこと。応援の言葉はかけてくれたとしても、その夢を叶えるために誰かがその道を作ってくれたり、大きく手を差し伸べてくれることっていうのはなくて。もう自分を信じて自分で切り開いていくしかないと思うんです。

もう1つは、分かっているものに対して準備するだけでなく、来るかも分からないチャンスに対して、努力を惜しまないこと。受験やオーディションがあると分かっていたら、そのために準備はできるけど、見えないチャンスのために日々準備するのは、モチベーションの矛先が決まってないと非常に難しい。ただ、いつも“I'm ready”でいられるかどうかが、夢を叶える秘訣な気がします。今日、自分の夢を叶えてくれるお手伝いをしてくれたり、自分のことを分かってくれるキーマンに会うかもしれない。その時に自分は準備ができてるいることが大事かなって。

(C)2017「ナオト・インティライミ冒険記2」製作委員会
― 実際に経験からにじみ出た言葉なんですね。

ナオト:そう。だから準備ができてなかった時はすごく悔しい思いをしてきたし、自分が甘いなと思った。それで気づいたんです。自分が準備が出来た時は、逆にチャンスも向こうから訪れたり、流れを引き寄せたりもするから、忙しさにかまけることなく、ね。今でも、自分のリュックには最新のCDが入ってます。ちょっとボロボロになりながら。

誰かと縁あって、その場でお渡しすることが出来れば、そこから何か繋がるものだってあるはず。僕自身、“I'm ready”な状態を死ぬまで保っておきたいですね。夢を叶えるために、大事な気がします。

― 貴重なお話、ありがとうございました。

旅の記録を、音楽、映像で

「旅歌ダイアリー2 」(完全限定生産盤)
ナオトが旅の中で感じた、純粋な音楽への思いを詰め込んだコンセプトアルバム「旅歌ダイアリー2」も完成し、さらにドキュメンタリー映画の前編が公開されたばかり。(後編は2018年1月5日より公開)。

日本では決して味わうことのできない、地球の営みを感じる大自然や、溢れ出る人々のエネルギーは、心を開放させるパワーがあるのかもしれない。

そのすべてを全力で受け止め、音楽と向き合いながら“旅”をし続ける姿を、これからも見届けたい。(modelpress編集部)[PR]提供元:ユニバーサル ミュージック合同会社

コンセプトアルバム「旅歌ダイアリー2」

【CD収録内容】
1. Mukone hikwenu ke?(ミコーナ・ケー from モザンビーク)
2. Sunday
3. African dream -2017 Edition-
4. Sunday -African ver-
5. You are
6. Maputo(マプト from モザンビーク)
7. Farafina
8. まだ夢のまま
9. Sunday -LaLaLa ver-
10. Elisa Gomara Saia(エリサ・ゴマラ・サイア @ モザンビーク)
11. Beautiful
12. 口笛 〜行き〜
13. Hoch auf dem gelben Wagen(ホーフ・アウフ・デム・ゲルベン・ヴァーゲン from ドイツ)
14. ハイライフ
15. ME DÁ UM DINHEIRO AÍ(ミ・ダ・ウン・ジニェイロ・アイ from カーボヴェルデ)
16. Gypsy Rhapsody(from ルーマニア)
17. Sunday -strings ver-
18. Thrill me
19. Var det du eller var det jag?(ヴォル・デ・ドゥ・エレル・ヴォル・デ・ジョ from スウェーデン)
20. Michikusa conversation
21. Sunday -piano major ver-
22. Fighting pose(from ガーナ)
23. Carter’s room
24. How many times?! -2017 Edition-
25. 崖の上のメロウソング(@ エチオピア)
26. Sunday -piano minor ver-
27. 口笛 〜帰り〜

Bonus Track
28. Sodade (ソダ @ カーボヴェルデ)

豪華60ページにも及ぶ「PHOTO BOOK」付き。映画でも未公開となるL.A.やヨーロッパ各国の写真など、ここでしか楽しめない貴重なショットが満載。

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