モデルプレスのインタビューに応じた吉沢亮 (C)モデルプレス

<吉沢亮インタビュー>「全部ウソっぽい、本当にわからない男」にどう向き合った?リアルすぎる感情、共演者へのライバル心… “吉沢家・家訓”も明かす

2017.03.09 00:00

「金」か「友情」か――。ごく普通の高校生がある日突然、多額の借金がかかった“究極の心理戦”に巻き込まれるさまを描いた人気コミック『トモダチゲーム』(原作:山口ミコト、漫画:佐藤友生)がドラマ、映画2作の全3部作で実写化。その幕開けにあたるドラマ全4話が4月よりスタートする(テレビ神奈川ほか全8局にて放送)。主人公の片切友一を演じるのは注目作への抜てきが続く若手俳優、吉沢亮(23)。バラエティ豊かなキャスティングも話題だが、その中心で吉沢が感じていたこと、細部までこだわった役作り、そして幼き頃の吉沢少年が守ってきた“家訓”についても語ってくれた。

  

人間のリアルすぎる感情がおもしろい

― ドラマを原作と照らし合わせて拝見しましたが、セリフなど細部にわたって原作に忠実に作られたこだわりが見えました。

そうですね。内容はもちろんそうですが、キャラクターのビジュアル面もそれぞれしっかり似せていこう、と。

緊迫の“トモダチゲーム”が幕を開ける(C)山口ミコト・佐藤友生/講談社 (C)2017「トモダチゲーム」製作委員会
― 友一の長い前髪や、どこか暗さをたたえた瞳もかなりの再現度で。

ありがとうございます。髪型はすごくこだわりました。伸ばした前髪が顔にかかっているんですけど、目は見えるようにすいたりとか。本当に微妙なニュアンスを狙っていたので、それが映像にちゃんと出ていたのは良かったです。

― 前髪は真ん中分けでセットできるくらいの長さに。

はい。髪の毛食べられるくらいでしたよ。

― 口まで届きました!?

めっちゃ長かったです(笑)。前だけじゃなくて、横も。こんなに髪を伸ばした経験は人生でもあまりないですね。

― 原作は元々ご存知でしたか?

今回出演することになって知ったんですけど、読んでみたらすごく面白かったです。ある意味少年漫画には珍しい、リアル感というか。「お金」と「友情」という誰もが身近なテーマの中で、そのどっちを取るのかという緊迫感や、友達関係の中にあるちょっとグチャッとした汚い部分…もちろん漫画なので大げさに描いている部分もあるんですけど、意外と誰もが日常的に抱いている想いを忠実にとらえているなという印象があって。僕はすごくドキドキしながら一気に読みました。

― 「コックリさんゲーム」や「陰口スゴロク」といった様々な“トモダチゲーム”で揺れ動く心理描写が見どころですが、この作品から伝わるメッセージをどのようにとらえましたか?

「お金か、友情か」というテーマがありつつ、やっぱり「人間ってそんなにキレイなもんじゃないよね」っていうところですかね。お金を選んでしまうのも、友情を選ぶのも、どちらも本物の人間というか。人間のリアルな価値観を描いている気がして。あんな状況になったことがないから、自分がどっちを取るかなんてわからないですけど、ああいう状況になったら僕もこういう感情に陥るんだろうなっていうのがすごくリアルに感じられました。生きている人々が隠し持っている狂気みたいなものが、表に出てくる作品だなと思いました。「誰にでもありえることだよね」という。

「コックリさんゲーム」(C)山口ミコト・佐藤友生/講談社 (C)2017「トモダチゲーム」製作委員会

吉沢亮がトモダチゲームに参加したら…?

― お金の価値観みたいなものは改めて考えましたか?

今回の作品は「金が欲しい」じゃなくて、追い詰められるほうじゃないですか。例えば「これで勝ったらもう1億もらえる!」みたいな設定だったら、みんな友情を突き通したと思うんですよ。でもこの話は、負けると自分が借金を背負わなきゃいけない。どれだけ勝っても絶対プラスにはならないんですよね。だからそこで「自分が背負うのは嫌だ」っていう汚い部分が出てくるんですけど、そういう金の恐ろしさみたいなものは改めて感じました。だって友達の誰が裏切ったかわからないという状況の中で、いきなり借金を背負わされるっていうのは…。

スタイリスト/荒木大輔 ヘアメーク/藤尾明日香 (C)モデルプレス
― 思わず友達を疑ってしまうようなゲーム内容で、クリアのコツは“友達を疑わないこと”という。

さっきまであんなにニコニコ話してたやつらの誰かがね。しかもそれが何万、何十万とかのレベルじゃないですからね。2000万ですから。

― 高校生でその額を。

意味がわからないだろうし。嫌ですよね、そんなの(笑)。

― 吉沢さんが“トモダチゲーム”に参加したら勝てそうですか?

負けると思います。多分、ああいう場で冷静な判断ができないタイプなので。

― 混乱してしまう?

ワーッてなったら、その時に思ったことを別の角度から見られず、そればっかり考えちゃうタイプの人間だと思うので。多分、僕これ即効負けますね(笑)。

「片切友一」という人物は―(C)山口ミコト・佐藤友生/講談社 (C)2017「トモダチゲーム」製作委員会
― 「片切友一」という人物はどのようにとらえましたか?

友一は“こういう人だ”っていうのが明確になくて。全部ウソっぽいんですよね。僕が演じる上で意識したこととしては、“会う人によって顔が変わる”という部分です。友達といる時はこういう顔で、バイト先の人といる時はまた違う顔。ゲームの相手に対しては、バトルするってわかった瞬間こういう顔に変わって…という風に、シーンごとでその時にふさわしい表情みたいなものをすごく意識しました。彼はそういうことをする人間だと思うんです。その時の感情とかじゃなくて、「その時どう動くのが正解か」っていうことを常に考えるタイプ。だから本当にわからない男、っていう感じです。

― ドラマの1話では、友達思いの好青年という印象ですが、ストーリーが進むにつれて友一の抱える過去も絡んできます。

どんどん彼の陰みたいなものが出てくるわけですけど、そこはオリジナルで描かれています。原作の中でも、彼の壮絶な過去はずっと語られていますけど、それが何なのかっていうのはまだ出てきていません。そういう意味でも、原作ファンの方々にも楽しんでもらえると思います。

「負けてらんない」共演者へのライバル意識

― 演じる中で、精神的な重たさもあったのでは。

すごく追い詰められるシーンがあるんですよ。過去のことをバーッと言われるところがあって。そこはもう…感情が自然と出てきましたね。台本を読んでいる時点ではあまり気持ちを想像できなかったんですけど、お芝居でバーッと責められて、「お前の過去は…」と、一から説明されるうちに、どんどんどんどん、気持ち的に追い詰められるというか。

― 撮影は去年の12月で、特に忙しい時期だったとお伺いして。

そうなんですよ。死にそうでした、あの時(笑)。

― その上にこのヘビーな…。

はい。でも撮影自体はすごく楽しかったです。友達5人組のキャストはみんなすごく仲がよかったし、お芝居に真面目な方ばかりで。和気あいあいとしつつ、みんながその時出せるものを全部出している感じがすごくありました。朝早くから夜中までずっと撮影という日々を過ごす中で、撮影が終わった後も、次の日めちゃめちゃ早いのに(美笠天智役の)山田(裕貴)くんとホテルの部屋で読み合わせをしたりして。『トモダチゲーム』をやってる時は本当に『トモダチゲーム』のことしか考えてなかったっていうくらい、すごくいい時間だったなと思います。

山田裕貴、根本凪(C)山口ミコト・佐藤友生/講談社 (C)2017「トモダチゲーム」製作委員会
内田理央(C)山口ミコト・佐藤友生/講談社 (C)2017「トモダチゲーム」製作委員会
― 山田さんと読み合わせを。刺激を受ける部分も大きかったのでは?

いやぁ…すごいなと思いました。自分の役のことは自分が一番考えているに決まっているんですけど、それでもここまで忠実に役を作り上げてくるんだ、というのは彼から刺激を受けた部分で、「負けてらんないな」と思いました。すごくお芝居がうまい方だし、僕は勝手にライバル意識を抱いていましたね。山田くんとは本読みをしながらひたすら色々な話をしました。

― ヒロイン・沢良宜志法役の内田理央さんとは初共演ということで。

すごくサラッとしている方だと思いました。会う前は本当に勝手な印象で、すごく女性らしい方なのかなと思っていたんですけど、男子3人、女子2人というグループの中で、男子の会話にも普通のテンションで入ってきてくれる。ナチュラルにそこに溶け込んでいる感じがすごいなと思いました。

― ほか、友一の友達グループにはモデルの大倉士門さん(四部誠役)、アイドルグループ「虹のコンキスタドール」の根本凪さん(心木ゆとり役)。さらにライバルチームの鬼瓦百太郎役にYouTuberチーム「フィッシャーズ」のシルクロードさんと、本当に多彩なキャスティングが話題です。

本当に色んな方が出ていますよね。シルクロードさんとは初対面でしたけど、すごかったですよ、お芝居も。すごくパワーを持っているというか、グッと来るものがあって。映画2作目の方で絡むシーンがいっぱいあったんですけど、力があっただけに、すごくいじめがいがありました(笑)。彼をボコボコにするシーンとかも、睨んでくる眼力がすごいから、こっちも楽しくなっちゃって。「おぉ?!なんだその目は!」と(笑)。

― スイッチが入って(笑)。主演として、現場での立ち位置を意識することも?

気を遣ったというほどではないですが、今回は他の役者さんやスタッフの皆さんとの会話が結構多かったです。くだらない会話はもちろん、作品のことで色々思うところを言い合ったりもして。

― 自称・人見知りな吉沢さんですが。

今までは自分の世界に入っちゃうというか、割と“話しかけないでくださいオーラ”を出しちゃうタイプだったから(笑)。本当に全然会話をしない現場もあるんですけど、今回そういうことを意識せず、ナチュラルに居られたんです。ちょっと心がけている部分もありつつ、自然とそうなれている感じがありました。それは作品としても大事な部分でしたね。「友達」というテーマだし、スケジュール的にも本当にみんなで力を合わせないと撮りきれなかったと思うので。監督とも「ここどうしましょう?」と話し合いながらやれたのはすごくいい経験で、楽しかったです。それが画に出ていればいいなと思います。

“吉沢家・家訓”は…

吉沢家にはこんなルールが…(C)モデルプレス
― 最後になりますが…友一が「金より友達」と母親から教えられてきたことにちなんで、吉沢さんがご家族から「これは大切にしなさい」と教わってきたことはありますか?“吉沢家・家訓”といいますか。

家訓…と言えるかはわからないんですけど、僕は4人兄弟の次男で、上のお兄ちゃんには逆らえないというのが小さい頃からずっとありました。お兄ちゃんと喧嘩して手を出すと、親に怒られるんですよ。「お兄ちゃん相手に何やってんだ?!」と。

― 「兄は敬うものだ!」と。

家にいて、電話が鳴るじゃないですか。そしたら母親が取るんですけど、母親がいない時は必ず兄弟の一番下のやつが取るっていう。例えば僕の目の前で電話が鳴っていても、僕より下の弟がいたらわざわざ来て取らないといけないんですよ。

― そんなにキッチリとしたルールが!

教えっていうほどでもなく、気付いたらそうなっていたんですけどね(笑)。

― でも、年上を敬うという教えはとても大切ですよね。

一番上の兄がまだ高校生の時とかは、やっぱり弟たちが子供でうるさくて。僕たち弟が調子にのっていたら手が出たり、結構厳しかったんですけど、今はもう全然。大人になったので、そんなことはなくなりました(笑)。

4月の放送をお楽しみに!(C)モデルプレス
(modelpress編集部)

吉沢亮(よしざわ・りょう)プロフィール

1994年2月1日生まれ、東京都出身。アミューズ全国オーディション2009「THE PUSH!マン~あなたの周りのいけてる子募集~」で特別賞を受賞。『仮面ライダーフォーゼ』(テレビ朝日・2011-2012)朔田流星/仮面ライダーメテオ役で注目を浴びる。近年の主な出演作は、ドラマでは『オトナ女子』(フジテレビ・2015)、『武道館』(フジテレビ・2016)、『バスケも恋も、していたい』(フジテレビ・2016)、映画では『彼女は嘘を愛しすぎてる』(13)、『アオハライド』(14)、『通学電車』(15)、『さらば あぶない刑事』(16)、『オオカミ少女と黒王子』(16)、『サマーソング』(16)など。2017年は『ラストコップ THE MOVIE』、『銀魂』、『トモダチゲーム』などが公開予定。

ドラマ&映画『トモダチゲーム』作品情報

ドラマ「トモダチゲーム」より(C)山口ミコト・佐藤友生/講談社 (C)2017「トモダチゲーム」製作委員会
出演:吉沢亮 内田理央 山田裕貴 他
ドラマ:2017年4月よりテレビ神奈川ほか全8局にて放送開始
映画:2017年公開予定
<ドラマ版ストーリー>
コックリさんコックリさん、この中に裏切り者はいますか?高校の修学旅行費としてクラス全員から集めた200万円が消えた。女手一つで育てられた貧乏学生の片切友一(吉沢亮)は、責任を感じた副委員長の沢良宜志法(内田理央)から手紙で呼び出されるが、そこには友一から呼び出されたという志法と、大事な友達である美笠天智(山田裕貴)、四部誠(大倉士門)、心木ゆとり(根本凪)がいた。何者かに襲われた5人は白い壁の部屋に閉じ込められ、アニメキャラの被りものをしたマナブから衝撃の事実を告げられる。5人のうちの誰かが2000万円の借金返済のため「トモダチゲーム」に申し込んだというのだ。友一たちはその人物を助けるためにゲームへの参加を決意する。こうして第1ゲーム「コックリさんゲーム」が始まった……。

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