「学校のカイダン」間宮祥太朗、7年目の“未熟者”が語る「好きか嫌いか、そのどちらかでいい」 モデルプレスインタビュー
2015.03.13 18:00
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14日に最終回を迎えるドラマ『学校のカイダン』(日本テレビ系、土曜よる9時)の須堂夏樹役で注目を集める俳優の間宮祥太朗(21)がモデルプレスのインタビューに応じた。学校を牛耳るチーム“プラチナ8”のリーダーに君臨する夏樹は、青い長髪という異色のビジュアルで主人公の生徒会長・春菜ツバメ(広瀬すず)と対峙し、校内の王様かの如く絶対的な権力を振りかざす―。役柄の鮮烈なイメージが先行するからこそ、“役者・間宮祥太朗”の素顔を知りたくなった視聴者も多いはずだ。
中学生で映画の魅力に取り憑かれ、役者という道を選んで7年目。近年は『山田くんと7人の魔女』(13)『ミス・パイロット』(13)『弱くても勝てます ~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』(14)『水球ヤンキース』(14)など数々のドラマで多彩な表情を見せ、確かな足跡を残している。そんな彼が、自身初の写真集につけたタイトルは『未熟者』。その言葉に込めた思いとは?数ヶ月仕事がないこともあったという過去、新たなやりがいを見つけた現在、そして役者として見据える未来についても語ってもらった。
【SPECIAL INTERVIEW】「他人の気がしない」当たり役との出会いが反響に
― 「学校のカイダン」は放送のたびにTwitterを大いに賑わせていますが、間宮さんご自身、反響の大きさを肌で感じているのではないでしょうか。
間宮:ドラマの反響を身近に感じる部分で言うと、Twitterのフォロワーの増加率をまとめたサイトがあるみたいなんですが、放送日とその翌日は広瀬すずちゃんをはじめ、出演者のアカウントがそのランキングを独占しているらしくて。それと、キッズ&ティーン層の視聴率がだいたい20%を上回っているっていうこと。もちろん昔学生だった大人の方たちにも見てほしい思いがあるんですが、スクールカーストのストーリーが学生にちゃんと届いているということですから、すごく大きなことだなと思います。
― 夏樹という役柄を演じてみていかがでしたか?
間宮:今回、僕自身の演技の仕方や精神的な部分も知っている人達からは「この役はお前の当たり役になる可能性をすごく秘めているから、ちゃんと消化できるように演じていきなさい」というアドバイスをもらっていて。それは僕自身、1話の台本を初めて読んだ時に感じたことでもあったんです。今まで関わってきた作品や演じてきた役の中で、こんなにも自然に役に溶け込んでいけたのは初めてだった。それは多分、僕が学生時代に感じていたことや経験がものすごく生かされていて。僕の根っこにある思いと夏樹がうまく共鳴して、すごく演じやすかった。他人の気がしないんですよね。
― 夏樹に共鳴した部分について、具体的にお聞かせいただけますか?
間宮:僕は物心ついた頃から一番威張るようなガキ大将だったんですけど、それが中学生になると、知らず知らずのうちに虚勢を張るようになっていて。学生って、従っているとか従わせているとかそういう意識がなくても「あいつが行こうって言うから行く」「あいつが授業さぼるって言うからなんとなくさぼる」みたいな、本当にそれだけで動くことってよくあるじゃないですか。僕は自分の好き勝手に動くタイプだったので、従わせているという認識はなかったですけど、そういう微妙な上下を勝手に感じるようになった。そうやって自分の言うことを否定しない人達と過ごすのってもちろんラクだし気持ちがいいけど、それじゃあ自分の中に新しい刺激は入ってこない。そういうことを当時考えたことがあって。ちょうど6話や7話で描かれていたように、気づいたら自分の弱みを見せられないコミュニケーションの取り方になっていた。それで群れるのを急にやめた時期があったんです。
― まさに夏樹と同じようなモヤモヤを抱えていた。
間宮:学生の時、なんでかわからないんですけど毎日退屈だったんです。それは夏樹もそうで、その退屈さに苛立って、自分が世界の中心だと思ってしまうというか…それも今思えば重要な時期だったと思いますけど、もっと意味のあるコミュニケーションの取り方や、時間の過ごし方があったのかなとは思います。夏樹はツバメがいたから助かった。ツバメという存在がそれに気づかせてくれたんですよね。
― 同業の皆さんからの反応はいかがですか?
間宮:去年2作品一緒にやった中島裕翔(Hey! Say! JUMP)は、放送が終わる10時頃にリアルタイムでメールをくれて「今回の間宮は『水球~』の時とは打って変わって、すごく圧力があって怖い」と言ってくれました。あと事務所の先輩の小栗旬さんにも、この間会った時に「お前、なんかカッコつけた役やってんな~」って言われて(笑)。
― 業界視聴率も高いんですね。
間宮:そうですね。とにかく、すずちゃんへの注目度が今すごい。まだ経験が浅いのにいきなり主演。『学校のカイダン』は一段ずつ昇っていくっていうストーリーなのに、すずちゃんに関してはポンッと最上階にのせられて。でもその中で切磋琢磨ありつつ、すごく必死になって、多分誰よりも寝る間を惜しんでセリフを覚えて、言い方も研究して。嗅覚が敏感な子だから、現場の色々な人の芝居に合わせてまた変えてきたりして、本当に頑張っているなぁと思います。
― そんな現場の様子も、実際の学校のような感じですか?
間宮:すごく若いエネルギーにあふれた現場ですね。僕もあまり歳は離れていないので、若々しいというのはなんか変な感じもするんですけど、キラキラとしていて…なんか自分がここに交じっていいんだろうかって…(笑)。最初の頃、ちょっと浮いてたんですよ。
― そうだったんですか?!
間宮:すずちゃんからも「間宮さんは見た目からして怖い人だと思ったから、お芝居以外でしゃべれることはないと思ってた。でも、本当は優しいですね」って言われて。優しいですよそりゃ!と(笑)。
― (笑)。徐々に溶け込んでいったんですか?
間宮:基本的に、人がたくさんいるとどういう風に接していこうかな?とまずは様子をうかがってしまうんですよ。役柄も役柄だし、あの感じでみんなが談笑しているのを黙って見ていたから、そういう風に思われていたんでしょうね。しばらくして、自分から話しかけることにしたんです。学生のドラマを何度かやらせてもらって身にしみて感じたことなんですが、若くて経験がないからこそ、現場の空気がそのまま画面に映る気がするんですよ。本当に仲が良くて、コミュニケーションをとっている現場の雰囲気って、絶対に視聴者に伝わると思っていて。だからそういう良いチーム感みたいなものが出ればいいなぁと思って、話しかけるようにしました。
― しっかりと伝わってきました。
間宮:特に今回は、撮影に入る前にプロデューサーから「生徒たちを引っ張っていってほしい」と言われていたので、そこは意識しました。かと言って「ついてこい!」というのは違うと思ったから、僕ができることと言ったら、みんなと話して現場の空気を作る手助けをすることかなと。
― その心遣いに助けられた方はとても多かったと思います。そうやって現場ごとに立ち位置を意識するんですか?
間宮:意識しますね。『水球~』の時はのっけからふざけていきました。千秋役でアドリブとか色々やりたかったので、それを許されるには「こいつしょうがない奴だな~」って思われるような人間であるべきだと。今回の現場で最初静かにしていたのも同じ理由。やっぱり共演者にちょっとでも夏樹と僕自身のイメージをダブらせてもらいたかったから。
間宮:一本の軸にしたくなくて、パラレルワールド的な、万華鏡みたいにコロコロ景色が変わる印象を持ってほしかったんです。僕が今見せられるものはそれなので。
― いわゆる“甘め”な表情やシチュエーションは、間宮さん的にはすごく新鮮ですよね。
間宮:グレーのニットで帽子をかぶっているショットは本当に千葉雄大!スペシャルサンクスに載せたほうがいいんじゃないかって思うくらい意識しました(笑)。今までこういうことを求められてこなかったし、僕なんかがするのはおこがましいなと思っていたんですけど、今回は“多面性”がテーマなので、そこは逃げるわけにはいかないと。どんな悲惨な結果になろうとも一度チャレンジしようと(笑)。そう言って撮影に入ったものの、どうしたらいいんだろう…と悩み、頭に浮かんだのが「千葉雄大降りてこい!」。無事降臨しました。
― (笑)。『未熟者』というタイトルは、今の間宮さんを表現した言葉ということで。
間宮:そうですね。未熟だなと思うことが多々あって。それは「なんでこんなことができないんだろう」という些細なことはもちろん、自分のパーソナリティ以上のことを求めて足りなくて、未熟だなって思うこともあるんです。例えば今、すずちゃんが経験の浅い中で主演という大役を背負っていますけど、彼女は反応がいい子だから、2人のシーンを撮る時には「彼女が良くならなかったら自分のせいだ」と、別にそんな必要もないのにおせっかいで抱えようとしてしまう。僕がそれをやろうとしてもできるわけないのに。
― “こうありたい”という理想とのギャップを感じる瞬間。
間宮:そこの未熟さもあるし、何をやっても隙があるというか。でも未熟っていうのは僕の中でマイナスなことじゃないんですよ。未熟は熟すまでの過程であって、その過程で得られるものは大きい。果物に例えれば、熟した後は腐っていくだけ。だから未来への思いも込めて、常に未熟だってことを自覚していたいし、未熟だって思われていたい。そういう意味を込めています。
― “未熟者”と表現した今のご自身を、過去と比べてみるといかがですか?特に変化を感じる部分は?
間宮:自分のモチベーションや気持ちの部分においては浮き沈みがないんです。仕事もプライベートも。1~2ヶ月仕事がなくてヒマな時期もありましたけど、「俺なんかこの仕事向いてないし」って思ったことはないし、かと言って仕事がありがたいことに入ってくる今「絶好調だぜ!」ってこともない。僕のスタンスとしては常に、役者をやりたいからやる。やりたい仕事が続くから、やり続ける。
ただ確かに変わったことと言えば、写真集を出せるようになったこともそうですけど、僕がやりたいだけじゃなくて、「僕にやってほしい」と思ってくれる人がたくさんいてくれるようになったっていうことですかね。僕がドラマに出るとすごく喜んでくれる人がいる。それを最近痛感するんですよ。仕事を始めたばかりの時はそこまで気が回らなかったけど、仕事がないと誰かが心配してくれるんだということに気づいたし、写真集を出せるところまで来たことを喜んでくれる人もいる。あと、これを嬉しいって言うと語弊があるかもしれないですけど、ちゃんと“アンチ”されるようになった。今までの僕って本当に否定をされてきてない。というのも、誰も僕のことを認識してなかったから。興味がないから、別にいいも悪いもないんですよ。それが最近、Twitterにストレートな批判の言葉が来たことがあって、すごく嬉しかった。僕のことが目障りってことは、それだけ存在を認識してもらえたってことだから。
― 良くも悪くも、たくさんの反応が寄せられるようになったと。
間宮:あなたのことが好きか、嫌いか。そのどっちかでいい。「別に興味ない」っていうのが一番傷つくじゃないですか。それは作品のメッセージ性に関してもそう。『学校のカイダン』に対しても「あんなのはキレイ事だ」と言う人もいれば、「学校に行く勇気が持てる」と感銘を受けた人もいる。賛否両論が大事だなぁと。まぁ、何よりも嬉しかったのは、写真集の需要がある程度…ちょっと…あったらしいので。それが嬉しくて…(照)。
― 発売記念握手会の追加開催も決まりましたし、ものすごい需要ですよ!
間宮:いやいや、安心したんですよ!すごくありがたいことではあるんですけど、マネージャーから突然「写真集出すことになったんで」と言われて、僕としては「どこに需要があるんだ!?」って不安しかなかった(笑)。もちろん役として作品に入る時は自信を持っているし、作品に貢献するために僕のことを見てほしいと思うことはあったけど、写真集って要は“僕自身”じゃないですか。僕が出ている作品を見るのと、僕しか出ていない作品を見るのは全然違うこと。僕の演技じゃない部分…人間性に興味を持ってくれる人がこんなにたくさんいるんだと知った時は、やっぱりすごく嬉しかったですね。
― それは新たなモチベーションの源になりますよね。
間宮:そうですね。本当に応援してくれてるんだなっていう。もともと“知って知って願望”が強いほうではないので、こっ恥ずかしさはあるんですけど…写真集っていう“知ってもらえる場所”ができたのは嬉しい。インタビューでも自分のバックボーンや、これまで語ってこなかった恋愛観まで詰めてもらって。
― ルーツや内面を知れば、もっとたくさんの人が間宮さんのことを好きになりますよ。
間宮:そうですかね。でも、写真集を買ってインタビュー読んで、逆に離れてったらすごくないですか(笑)!?無理だわこの人!ってなって、全然ファンでもなんでもなくなるっていう!
― それは絶対にないです(笑)!
間宮:そんなことないように祈ります(笑)。ただ、これは今の自分なんで、すぐに変わるかもしれない。役者っていう職業をやっている以上、どこかしら掴めない存在ではいたいですね。これからもいい意味で「こういう人なんじゃないか」という先入観を裏切っていきたいです。
間宮:本当に仕事を始めたばかりの頃は、“将来の自分”にピンをドロップして、そこに行くためには…って考えてましたけど、今はそれもちょっと違うかな。それって自分を寄せに行く作業だから、ルートもある程度決まってきちゃって、あんまり自由じゃない。だからわざわざピンを刺す必要はないかなって。普段の散歩や旅でも寄り道が好きだったりするので、頭でっかちにならずにやっていけたらいいなと思います。何よりも大切なのは、人や作品と出会った時の“におい”というか、第六感的なもので「この人と合うだろうな」「この人と仕事したいな」という感覚。それが僕にとって一番信用できるものだから、そうやって惹きつけられたものにいつでもジャンプできるように身軽でいたい。そういう存在の仕方でありたいなぁと。
― 21歳にしてその柔軟さを手にしたきっかけは?
間宮:今目の前にいるからちょっと…チッ(舌打ち)って感じなんですけど(笑)、マネージャーが僕の狭い視野を広げてくれたと思います。自分の信じるものがすごく鋭利で狭くて「あそこに行きたい」「これをしたい」ばっかりだった僕とコミュニケーションをとって、全然違う方向に引っ張ってくれて、そこで色んな人に出会うことができた。要は一番最初に僕が見ていた方向からしたら、ものすごくたくさん寄り道をしたんですよ。その結果、寄り道って素晴らしいなってようやく気づいた。時間をかけてそうなっていった感じがしますね。
― この1年もとても楽しみですね。
間宮:楽しみですね~本当に…うん。最近感じるのは、7年目でやっとどの現場にいても知り合いがいるようになった。共演者はもちろん、スタッフも。テレビ局に行ったら「あの人がいるかな?」って寄って帰れるんですよ。僕がこの業界にいるんだってことを実感させてくれる。それがこれからどんどん増えていくんだろうなと思うと楽しみです。それと、これからも横のつながりは大切にしていきたい。最近、ずっと仲が良かった友達が構成作家の元で弟子入りをしたり、昔から知ってるバンドマンが注目されるようになってきたり。もちろん同業者もそう。“この世代”ってきっと言われるようになる。日本のエンターテインメントにおいていい波を起こせる世代っていうことを感じたいです。
― 確かに、間宮さん世代の若手俳優の方々の活躍は目覚ましく、互いに受ける刺激もすさまじいのだろうと思います。
間宮:同世代が仕事で認められたり、いい芝居してるなってことに対しての悔しさは全然なくて。ただ、やっぱりその世代に誰がいる?ってなった時に、名前が挙がる存在ではいたいですよね。こう考えているのも、先輩の小栗さんや綾野(剛)さんと一緒にお酒を飲みに行く機会があって、あの世代の層の厚さというか、個々が爆発的な個性を持って独立しつつも、並べた時に「この世代強いな」って思わせるその存在感。そういう世代っていうのはすごいかっこいいなぁと。
― では最後に、モデルプレス読者へ向けて“夢を叶える秘訣”をアドバイスお願いします。
間宮:追いかけ始めは貪欲なほうがいい。僕が俳優っていうことを意識し始めた時の話ですけど、自分が売れない気がしなかったんですよ。それは夢というよりも目的地であって、そこに向かっていれば近づけるとどこかしら信じていたし、その思いがエネルギーにつながったと思う。と同時に、漠然としていてもいいんじゃないですかね。みうらじゅんさんの『アイデン&ティティ』という漫画の中で「やるべきことをやるだけさ、だからうまくいくんだよ」っていう僕の好きな言葉があるんですけど、つまり「やりたいことがやるべきこと」。それを自分でわかっていれば、ある程度道から逸れたとしても、うまくいっているってきっと思えると思う。
あとこれは僕の心情ですけど、自分の人生に絶望しないこと。自分の人生が常にうまい方向にいっていると思うこと。仕事がない時期が悪いなんていうのは誰が決めたんだって話で。そういう時に「自分は役者じゃない」と思ってしまった瞬間、役者でいられなくなる。ミュージシャンでも画家でも何でも、「自分がミュージシャンだ」と思っていさえすればミュージシャンではある。そこに対して自信を持って進んでいれば、きっとそれを拾ってくれる人達がいるから。
― ありがとうございました。
同世代において、彼ほど“男らしい”という言葉が似合う俳優は稀有な存在だ。それは一つ一つの役柄・現場にかける情熱はもちろん、誰に対しても分け隔てなく接する人間性にも現れていて、彼と関わった人達は皆「また一緒に仕事をしたい」と感じる。その連鎖が今の活躍を形作っていることは言うまでもなく、日々確実に進化している“未熟者”のこれからが楽しみだ。(modelpress編集部)
血液型:O型
出身:神奈川県横浜市
趣味・特技:ギター、映画、音楽鑑賞、野球
身長:179cm
08年『スクラップ・ティーチャー~教師再生~』にて役者デビュー。その後、テレビドラマでは『ヤンキーくんとメガネちゃん』『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011』『山田くんと七人の魔女』 『ミス・パイロット』『弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』『水球ヤンキース』『信長協奏曲』などに出演。『銀河英雄伝説』シリーズなど、舞台でも活躍している。
【SPECIAL INTERVIEW】「他人の気がしない」当たり役との出会いが反響に
― 「学校のカイダン」は放送のたびにTwitterを大いに賑わせていますが、間宮さんご自身、反響の大きさを肌で感じているのではないでしょうか。
間宮:ドラマの反響を身近に感じる部分で言うと、Twitterのフォロワーの増加率をまとめたサイトがあるみたいなんですが、放送日とその翌日は広瀬すずちゃんをはじめ、出演者のアカウントがそのランキングを独占しているらしくて。それと、キッズ&ティーン層の視聴率がだいたい20%を上回っているっていうこと。もちろん昔学生だった大人の方たちにも見てほしい思いがあるんですが、スクールカーストのストーリーが学生にちゃんと届いているということですから、すごく大きなことだなと思います。
― 夏樹という役柄を演じてみていかがでしたか?
間宮:今回、僕自身の演技の仕方や精神的な部分も知っている人達からは「この役はお前の当たり役になる可能性をすごく秘めているから、ちゃんと消化できるように演じていきなさい」というアドバイスをもらっていて。それは僕自身、1話の台本を初めて読んだ時に感じたことでもあったんです。今まで関わってきた作品や演じてきた役の中で、こんなにも自然に役に溶け込んでいけたのは初めてだった。それは多分、僕が学生時代に感じていたことや経験がものすごく生かされていて。僕の根っこにある思いと夏樹がうまく共鳴して、すごく演じやすかった。他人の気がしないんですよね。
― 夏樹に共鳴した部分について、具体的にお聞かせいただけますか?
間宮:僕は物心ついた頃から一番威張るようなガキ大将だったんですけど、それが中学生になると、知らず知らずのうちに虚勢を張るようになっていて。学生って、従っているとか従わせているとかそういう意識がなくても「あいつが行こうって言うから行く」「あいつが授業さぼるって言うからなんとなくさぼる」みたいな、本当にそれだけで動くことってよくあるじゃないですか。僕は自分の好き勝手に動くタイプだったので、従わせているという認識はなかったですけど、そういう微妙な上下を勝手に感じるようになった。そうやって自分の言うことを否定しない人達と過ごすのってもちろんラクだし気持ちがいいけど、それじゃあ自分の中に新しい刺激は入ってこない。そういうことを当時考えたことがあって。ちょうど6話や7話で描かれていたように、気づいたら自分の弱みを見せられないコミュニケーションの取り方になっていた。それで群れるのを急にやめた時期があったんです。
― まさに夏樹と同じようなモヤモヤを抱えていた。
間宮:学生の時、なんでかわからないんですけど毎日退屈だったんです。それは夏樹もそうで、その退屈さに苛立って、自分が世界の中心だと思ってしまうというか…それも今思えば重要な時期だったと思いますけど、もっと意味のあるコミュニケーションの取り方や、時間の過ごし方があったのかなとは思います。夏樹はツバメがいたから助かった。ツバメという存在がそれに気づかせてくれたんですよね。
― 同業の皆さんからの反応はいかがですか?
間宮:去年2作品一緒にやった中島裕翔(Hey! Say! JUMP)は、放送が終わる10時頃にリアルタイムでメールをくれて「今回の間宮は『水球~』の時とは打って変わって、すごく圧力があって怖い」と言ってくれました。あと事務所の先輩の小栗旬さんにも、この間会った時に「お前、なんかカッコつけた役やってんな~」って言われて(笑)。
― 業界視聴率も高いんですね。
間宮:そうですね。とにかく、すずちゃんへの注目度が今すごい。まだ経験が浅いのにいきなり主演。『学校のカイダン』は一段ずつ昇っていくっていうストーリーなのに、すずちゃんに関してはポンッと最上階にのせられて。でもその中で切磋琢磨ありつつ、すごく必死になって、多分誰よりも寝る間を惜しんでセリフを覚えて、言い方も研究して。嗅覚が敏感な子だから、現場の色々な人の芝居に合わせてまた変えてきたりして、本当に頑張っているなぁと思います。
― そんな現場の様子も、実際の学校のような感じですか?
間宮:すごく若いエネルギーにあふれた現場ですね。僕もあまり歳は離れていないので、若々しいというのはなんか変な感じもするんですけど、キラキラとしていて…なんか自分がここに交じっていいんだろうかって…(笑)。最初の頃、ちょっと浮いてたんですよ。
― そうだったんですか?!
間宮:すずちゃんからも「間宮さんは見た目からして怖い人だと思ったから、お芝居以外でしゃべれることはないと思ってた。でも、本当は優しいですね」って言われて。優しいですよそりゃ!と(笑)。
― (笑)。徐々に溶け込んでいったんですか?
間宮:基本的に、人がたくさんいるとどういう風に接していこうかな?とまずは様子をうかがってしまうんですよ。役柄も役柄だし、あの感じでみんなが談笑しているのを黙って見ていたから、そういう風に思われていたんでしょうね。しばらくして、自分から話しかけることにしたんです。学生のドラマを何度かやらせてもらって身にしみて感じたことなんですが、若くて経験がないからこそ、現場の空気がそのまま画面に映る気がするんですよ。本当に仲が良くて、コミュニケーションをとっている現場の雰囲気って、絶対に視聴者に伝わると思っていて。だからそういう良いチーム感みたいなものが出ればいいなぁと思って、話しかけるようにしました。
― しっかりと伝わってきました。
間宮:特に今回は、撮影に入る前にプロデューサーから「生徒たちを引っ張っていってほしい」と言われていたので、そこは意識しました。かと言って「ついてこい!」というのは違うと思ったから、僕ができることと言ったら、みんなと話して現場の空気を作る手助けをすることかなと。
― その心遣いに助けられた方はとても多かったと思います。そうやって現場ごとに立ち位置を意識するんですか?
間宮:意識しますね。『水球~』の時はのっけからふざけていきました。千秋役でアドリブとか色々やりたかったので、それを許されるには「こいつしょうがない奴だな~」って思われるような人間であるべきだと。今回の現場で最初静かにしていたのも同じ理由。やっぱり共演者にちょっとでも夏樹と僕自身のイメージをダブらせてもらいたかったから。
常に未熟者だと思われていたい
― この反響の中で、初の写真集『未熟者』を発表。沖縄の美しいロケーションで、これまで見たことのない間宮さんの魅力が開花した一冊ですね。間宮:一本の軸にしたくなくて、パラレルワールド的な、万華鏡みたいにコロコロ景色が変わる印象を持ってほしかったんです。僕が今見せられるものはそれなので。
― いわゆる“甘め”な表情やシチュエーションは、間宮さん的にはすごく新鮮ですよね。
間宮:グレーのニットで帽子をかぶっているショットは本当に千葉雄大!スペシャルサンクスに載せたほうがいいんじゃないかって思うくらい意識しました(笑)。今までこういうことを求められてこなかったし、僕なんかがするのはおこがましいなと思っていたんですけど、今回は“多面性”がテーマなので、そこは逃げるわけにはいかないと。どんな悲惨な結果になろうとも一度チャレンジしようと(笑)。そう言って撮影に入ったものの、どうしたらいいんだろう…と悩み、頭に浮かんだのが「千葉雄大降りてこい!」。無事降臨しました。
― (笑)。『未熟者』というタイトルは、今の間宮さんを表現した言葉ということで。
間宮:そうですね。未熟だなと思うことが多々あって。それは「なんでこんなことができないんだろう」という些細なことはもちろん、自分のパーソナリティ以上のことを求めて足りなくて、未熟だなって思うこともあるんです。例えば今、すずちゃんが経験の浅い中で主演という大役を背負っていますけど、彼女は反応がいい子だから、2人のシーンを撮る時には「彼女が良くならなかったら自分のせいだ」と、別にそんな必要もないのにおせっかいで抱えようとしてしまう。僕がそれをやろうとしてもできるわけないのに。
― “こうありたい”という理想とのギャップを感じる瞬間。
間宮:そこの未熟さもあるし、何をやっても隙があるというか。でも未熟っていうのは僕の中でマイナスなことじゃないんですよ。未熟は熟すまでの過程であって、その過程で得られるものは大きい。果物に例えれば、熟した後は腐っていくだけ。だから未来への思いも込めて、常に未熟だってことを自覚していたいし、未熟だって思われていたい。そういう意味を込めています。
― “未熟者”と表現した今のご自身を、過去と比べてみるといかがですか?特に変化を感じる部分は?
間宮:自分のモチベーションや気持ちの部分においては浮き沈みがないんです。仕事もプライベートも。1~2ヶ月仕事がなくてヒマな時期もありましたけど、「俺なんかこの仕事向いてないし」って思ったことはないし、かと言って仕事がありがたいことに入ってくる今「絶好調だぜ!」ってこともない。僕のスタンスとしては常に、役者をやりたいからやる。やりたい仕事が続くから、やり続ける。
ただ確かに変わったことと言えば、写真集を出せるようになったこともそうですけど、僕がやりたいだけじゃなくて、「僕にやってほしい」と思ってくれる人がたくさんいてくれるようになったっていうことですかね。僕がドラマに出るとすごく喜んでくれる人がいる。それを最近痛感するんですよ。仕事を始めたばかりの時はそこまで気が回らなかったけど、仕事がないと誰かが心配してくれるんだということに気づいたし、写真集を出せるところまで来たことを喜んでくれる人もいる。あと、これを嬉しいって言うと語弊があるかもしれないですけど、ちゃんと“アンチ”されるようになった。今までの僕って本当に否定をされてきてない。というのも、誰も僕のことを認識してなかったから。興味がないから、別にいいも悪いもないんですよ。それが最近、Twitterにストレートな批判の言葉が来たことがあって、すごく嬉しかった。僕のことが目障りってことは、それだけ存在を認識してもらえたってことだから。
― 良くも悪くも、たくさんの反応が寄せられるようになったと。
間宮:あなたのことが好きか、嫌いか。そのどっちかでいい。「別に興味ない」っていうのが一番傷つくじゃないですか。それは作品のメッセージ性に関してもそう。『学校のカイダン』に対しても「あんなのはキレイ事だ」と言う人もいれば、「学校に行く勇気が持てる」と感銘を受けた人もいる。賛否両論が大事だなぁと。まぁ、何よりも嬉しかったのは、写真集の需要がある程度…ちょっと…あったらしいので。それが嬉しくて…(照)。
― 発売記念握手会の追加開催も決まりましたし、ものすごい需要ですよ!
間宮:いやいや、安心したんですよ!すごくありがたいことではあるんですけど、マネージャーから突然「写真集出すことになったんで」と言われて、僕としては「どこに需要があるんだ!?」って不安しかなかった(笑)。もちろん役として作品に入る時は自信を持っているし、作品に貢献するために僕のことを見てほしいと思うことはあったけど、写真集って要は“僕自身”じゃないですか。僕が出ている作品を見るのと、僕しか出ていない作品を見るのは全然違うこと。僕の演技じゃない部分…人間性に興味を持ってくれる人がこんなにたくさんいるんだと知った時は、やっぱりすごく嬉しかったですね。
― それは新たなモチベーションの源になりますよね。
間宮:そうですね。本当に応援してくれてるんだなっていう。もともと“知って知って願望”が強いほうではないので、こっ恥ずかしさはあるんですけど…写真集っていう“知ってもらえる場所”ができたのは嬉しい。インタビューでも自分のバックボーンや、これまで語ってこなかった恋愛観まで詰めてもらって。
― ルーツや内面を知れば、もっとたくさんの人が間宮さんのことを好きになりますよ。
間宮:そうですかね。でも、写真集を買ってインタビュー読んで、逆に離れてったらすごくないですか(笑)!?無理だわこの人!ってなって、全然ファンでもなんでもなくなるっていう!
― それは絶対にないです(笑)!
間宮:そんなことないように祈ります(笑)。ただ、これは今の自分なんで、すぐに変わるかもしれない。役者っていう職業をやっている以上、どこかしら掴めない存在ではいたいですね。これからもいい意味で「こういう人なんじゃないか」という先入観を裏切っていきたいです。
惹きつけられる思いに正直でいること
― 今少しお話に出ましたが、この先、役者としての“理想の形”をどのように思い描いていますか?間宮:本当に仕事を始めたばかりの頃は、“将来の自分”にピンをドロップして、そこに行くためには…って考えてましたけど、今はそれもちょっと違うかな。それって自分を寄せに行く作業だから、ルートもある程度決まってきちゃって、あんまり自由じゃない。だからわざわざピンを刺す必要はないかなって。普段の散歩や旅でも寄り道が好きだったりするので、頭でっかちにならずにやっていけたらいいなと思います。何よりも大切なのは、人や作品と出会った時の“におい”というか、第六感的なもので「この人と合うだろうな」「この人と仕事したいな」という感覚。それが僕にとって一番信用できるものだから、そうやって惹きつけられたものにいつでもジャンプできるように身軽でいたい。そういう存在の仕方でありたいなぁと。
― 21歳にしてその柔軟さを手にしたきっかけは?
間宮:今目の前にいるからちょっと…チッ(舌打ち)って感じなんですけど(笑)、マネージャーが僕の狭い視野を広げてくれたと思います。自分の信じるものがすごく鋭利で狭くて「あそこに行きたい」「これをしたい」ばっかりだった僕とコミュニケーションをとって、全然違う方向に引っ張ってくれて、そこで色んな人に出会うことができた。要は一番最初に僕が見ていた方向からしたら、ものすごくたくさん寄り道をしたんですよ。その結果、寄り道って素晴らしいなってようやく気づいた。時間をかけてそうなっていった感じがしますね。
― この1年もとても楽しみですね。
間宮:楽しみですね~本当に…うん。最近感じるのは、7年目でやっとどの現場にいても知り合いがいるようになった。共演者はもちろん、スタッフも。テレビ局に行ったら「あの人がいるかな?」って寄って帰れるんですよ。僕がこの業界にいるんだってことを実感させてくれる。それがこれからどんどん増えていくんだろうなと思うと楽しみです。それと、これからも横のつながりは大切にしていきたい。最近、ずっと仲が良かった友達が構成作家の元で弟子入りをしたり、昔から知ってるバンドマンが注目されるようになってきたり。もちろん同業者もそう。“この世代”ってきっと言われるようになる。日本のエンターテインメントにおいていい波を起こせる世代っていうことを感じたいです。
― 確かに、間宮さん世代の若手俳優の方々の活躍は目覚ましく、互いに受ける刺激もすさまじいのだろうと思います。
間宮:同世代が仕事で認められたり、いい芝居してるなってことに対しての悔しさは全然なくて。ただ、やっぱりその世代に誰がいる?ってなった時に、名前が挙がる存在ではいたいですよね。こう考えているのも、先輩の小栗さんや綾野(剛)さんと一緒にお酒を飲みに行く機会があって、あの世代の層の厚さというか、個々が爆発的な個性を持って独立しつつも、並べた時に「この世代強いな」って思わせるその存在感。そういう世代っていうのはすごいかっこいいなぁと。
― では最後に、モデルプレス読者へ向けて“夢を叶える秘訣”をアドバイスお願いします。
間宮:追いかけ始めは貪欲なほうがいい。僕が俳優っていうことを意識し始めた時の話ですけど、自分が売れない気がしなかったんですよ。それは夢というよりも目的地であって、そこに向かっていれば近づけるとどこかしら信じていたし、その思いがエネルギーにつながったと思う。と同時に、漠然としていてもいいんじゃないですかね。みうらじゅんさんの『アイデン&ティティ』という漫画の中で「やるべきことをやるだけさ、だからうまくいくんだよ」っていう僕の好きな言葉があるんですけど、つまり「やりたいことがやるべきこと」。それを自分でわかっていれば、ある程度道から逸れたとしても、うまくいっているってきっと思えると思う。
あとこれは僕の心情ですけど、自分の人生に絶望しないこと。自分の人生が常にうまい方向にいっていると思うこと。仕事がない時期が悪いなんていうのは誰が決めたんだって話で。そういう時に「自分は役者じゃない」と思ってしまった瞬間、役者でいられなくなる。ミュージシャンでも画家でも何でも、「自分がミュージシャンだ」と思っていさえすればミュージシャンではある。そこに対して自信を持って進んでいれば、きっとそれを拾ってくれる人達がいるから。
― ありがとうございました。
同世代において、彼ほど“男らしい”という言葉が似合う俳優は稀有な存在だ。それは一つ一つの役柄・現場にかける情熱はもちろん、誰に対しても分け隔てなく接する人間性にも現れていて、彼と関わった人達は皆「また一緒に仕事をしたい」と感じる。その連鎖が今の活躍を形作っていることは言うまでもなく、日々確実に進化している“未熟者”のこれからが楽しみだ。(modelpress編集部)
間宮祥太朗(まみや・しょうたろう)
生年月日:1993年6月11日血液型:O型
出身:神奈川県横浜市
趣味・特技:ギター、映画、音楽鑑賞、野球
身長:179cm
08年『スクラップ・ティーチャー~教師再生~』にて役者デビュー。その後、テレビドラマでは『ヤンキーくんとメガネちゃん』『花ざかりの君たちへ~イケメン☆パラダイス~2011』『山田くんと七人の魔女』 『ミス・パイロット』『弱くても勝てます~青志先生とへっぽこ高校球児の野望~』『水球ヤンキース』『信長協奏曲』などに出演。『銀河英雄伝説』シリーズなど、舞台でも活躍している。
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