アカデミー主演女優賞ジュリアン・ムーア、世界中の反響＆夢を叶える秘訣を語る　モデルプレスインタビュー

6月27日に日本で公開される映画「アリスのままで」で同賞を受賞したジュリアン。若年性アルツハイマーと診断された50歳の女性アリスが記憶を失っていく日々をつづった同作。避けられない運命との葛藤と、家族の絆を描く感動のストーリーが繰り広げられる。ジュリアンは、その若年性アルツハイマーと診断された女性を演じた。

今年5月、米ニューヨークにて行われたインタビューに応じたジュリアンは、同作の見どころのほか、「アカデミー賞」主演女優賞を受賞したときの心境を振り返り。さらに、モデルプレス読者に向けて、夢を叶える秘訣も語ってくれた。

― 日本でもついに「アリスのままで」が公開されます。公開を楽しみにしているファンがたくさんいますが、撮影を振り返ってみて、現在の心境はいかがですか？

ジュリアン：この映画の成果に、私は驚かされると思う。だって、この作品は本当に小さな（低予算の）映画なのよ。ようやく、なんとかまとまった小作品だったのよ。去年、私は「ハンガーゲーム」を撮影していた。2作品（注：「ハンガーゲームFINAL：レジスタンス」「ハンガーゲームFINAL：レボリューション」）続けてだったから、すごく時間がとられていて、すぐに撮影所に戻る感じだった。私の撮影契約は1年だった。「ハンガーゲーム」のプロデューサーとライオンズゲート配給社が私に「この一ヶ月の休暇をあげても良いよ」って言わなかったら、私はこの作品「アリスのままで」に出演することはできなかった。一ヶ月の期間を与えてもらえたから、私はそのスケジュールの中で、この小さな映画を作ることができたわけよ。そして、（撮影中は）寒かったのよ。そして、撮影はあっという間に素早く進んでいった。早くて、寒くて…、まさかこれでアカデミー賞を獲ることになるなんて思いもしなかったことだった。だから、この映画の効果には驚くばかりなのよ。

「アカデミー賞」主演女優賞受賞を振り返る

― 改めて「アカデミー賞」主演女優賞おめでとうございます。当時どのような想いでトロフィーを手にしましたか？

ジュリアン：素晴らしい気持ちだったわ。それに、長く続いたシーズンでもあった。去年9月、トロントから始まった。この作品が話題になって報道陣との対応もいっぱいあってね。だから、もうアカデミー賞の時期になると「そろそろ疲れてきた」って感じ？（笑）

― 「またこの作品について」って感じですかね（笑）。

ジュリアン：「まだ、この作品について語っているの」って感じもしたわけよ（笑）。でも、本当に素敵な気持ちにさせられた。こんなことが起きたなんて、本当にクレイジーよ。大きな意義を感じたわ。

― 受賞できるという自信はありましたか？

ジュリアン：ノー！！！（笑）まったく考えもしなかったことよ。

― 主演女優賞を受賞し、世界中から多くの反響があったと思います。

ジュリアン：そうね。「あなたの映画をとても気に入った」って言われるのって、本当に素敵なことなの。「あなたの演技が良かった」「応援していた」って言われると、とても素敵な気持ちにさせられる。素敵なことよ。だって、この業界は大きな世界なのだから。そんな中、前向きな反響が自分に向けられるなんて、本当にうっとりさせられることだと思うわ。特に外国での反響をみて興味深いと思うのは、これがどう文化の違えを超えて世界の人々に通じるものか、ということ。外国からの映画を観て、大好きだと感じる点は、すべてに共感できるものだ、ってことよ。みんなが一緒になる感じが大好きなの。刺激的なことよ。だって、映画を通して私たちはお互いを理解できるのですもの。映画で他のカルチャーを理解できるようになるのよ。

― そのほかの映画賞でも受賞し、世界主要6大映画賞・主演女優賞を制覇という快挙も成し遂げましたね。

ジュリアン：とっても素敵だわ。とても素敵な満足いく気持ちよ。でも、それは追加で舞い込んできた素敵なものなの。

― 同作を通じて、女優人生を送る上で糧になったことはありますか？

ジュリアン：うーん、わからない。「アリスのままで」に限られたことではなくて、どの仕事でも働いたあとは、以前に比べると少しばかりベターになっている。私は練習が大切だと信じている。「習うより慣れよ」という格言を信じているの。アクションを実行すればするほど、よりサクセスになる。練習を重ねていくことが重要だと思っているの。どの仕事でも、毎回、何かを少し学んで糧にしていけるって。

夢を叶える秘訣とは？

― ついに「アカデミー賞」主演女優賞を初受賞したジュリアンさん。夢を追いかけているモデルプレス読者に向けて夢を叶える秘訣を教えてください。

ジュリアン：ハードに働くこと！（笑）。そして夢や目的を叶える秘訣は、遠い将来に大きな目標を持つだけじゃない。もし、あなたの夢が「国の大統領または世界的リーダーになる」ということだったら、「18才の自分からいきなり世界的リーダーになる！」と、ゴールを持って突き進むのではなく、それに向かっていくステップを目的にすれば良いと思うの。次のステップは何？どこの学校に行く？まずその学校を卒業することを目的にする。そのあと、大学院に行く？大学院を出たあと、どの仕事にすぐ就くべき？どうやって、その最初の仕事を開発していけるか。そんな風に、いまの自分が手の届くところに目標をたてて、それを達成していく。そして前進していく。焦って進む必要はないのよ。18才の自分から、いきなり大きな夢に向かってジャンプして素早く夢を叶えるのではなくてね。全てがステップなのよ。歩みの積み重ねよ。まるで、小さなものをかじっていくようにね。そうやって少しずつ、自分が欲しいものに近づいていくのよ。

― 最後に女性ファンに向けて「アリスのままで」の見どころやメッセージをお願いします。

ジュリアン：「めぐりあう時間たち」をやったときのことを思い出すわ。その映画について、多くの日本人記者たちと話したの。彼らはその映画にとても感動していたの。映画の登場する3人の女性達の様子にとても感銘を受けていた。その女性キャラクターたちが情緒的にどんな思いを体験していたか、それに感動していた。その日本人女性たちは、映画の女性キャラクターの人生、彼女たちの内側の体験にとても感情的になっていたことが印象的で嬉しかった。日本人の女性たちも、違う文化に育まれた女性たちに共感してくれているのだと感じたわ。この作品「アリスのままで」も、女性に関する映画で、その彼女の人生の内側を見せるものだから、日本の女性たちに共感してもらえると願うのよ。彼女が気にしていること、彼女の家族、彼女のアイデンティティー。それらは、私がいままで話をしてきた日本人女性たちにとっても重要なことだった。だから、きっと今回の作品も通じるものがあると思う。

― ありがとうございました。

（modelpress編集部）

ジュリアン・ムーア　プロフィール

1960年12月3日生まれ、 米ノース・キャロライナ州出身。ボストン大学で演劇の学士号を取得後、1980年代半ば頃から舞台やテレビに出演。1994年のルイ・マル監督作「42丁目のワーニャ」での演技が高い評価を受けたことがきっかけで数々の作品に出演。主な作品は「ブギーナイツ」「ことの終わり」「羊たちの沈黙」の続編「ハンニバル」「エデンより彼方に」「めぐりあう時間たち」「トゥモロー・ワールド」「シングルマン」「キッズ・オールライト」など。