「離婚しようよ」が支持される3つの理由 離婚題材作品との明確な違い・松坂桃李&錦戸亮“二大クズ男”にハマる
2023.07.21 18:00
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俳優の松坂桃李が主演を務めるNetflixシリーズ『離婚しようよ』(Netflixにて独占配信中)。初回放送日の翌日に早くもNetflixの国内TV番組TOP10で1位を獲得、さらにグローバルTOP10(6月26日~7月2日)にTBS作品として初めてランクインするというヒットぶり。同作がここまで支持されるのか、大きく3つのポイントにまとめて紹介する<※一部ネタバレあり>
松坂桃李主演「離婚しようよ」
宮藤官九郎氏と大石静氏が、初のNetflixシリーズで異例となるタッグを組んだ本作。交換日記のように、交互に脚本を書き継いでいくスタイルによるオリジナルストーリーは、気持ちはすでに冷めきったものの、それぞれの事情ですぐには離婚できない夫婦のすれ違いを描くコメディ作品となっている。妻の人気にあやかり、選挙での勝利を目指す政治家の夫・大志(松坂)と、お嫁さんにしたい女優ナンバー1ともてはやされ、ドラマに映画、CMと引っ張りだこの妻・黒澤ゆい(仲里依紗)が、別れに伴うリスクを背負いながらも一致団結して離婚という揺るぎない目標に向かっていく。
ランキング入りはもちろん、SNS上でも多数の反響が寄せられその人気を証明している。特に「ハマりすぎて一気見した」という声が多く、まとめ視聴できる配信ドラマならではの強みを発揮し、様々なファンを獲得した。
1.松坂桃李&仲里依紗、“凸凹夫婦”攻防戦が面白い
同作の魅力を語る上で欠かせないのは、やはり個性豊かなキャラクターとそれらを鮮やかに色づけるキャスト陣の演技力だろう。“お坊ちゃん”政治家・大志を実力派俳優の松坂がユーモアたっぷりに仕立て上げ、どうしようもないダメ男っぷりを体現。それでありながら、松坂本人の柔らかい表現と絶妙なさじ加減でどこか憎めず放ってはおけない愛らしさをのぞかせ、主人公としての魅力を見せた。一方、ゆいは国民的人気女優として世間のイメージを壊さないよう理想の女性像を演じているが、本人はいたってまっすぐで等身大。大志との口論をはじめ、見事なキレっぷりやツッコミは、表向きの顔があるからこそより強く際立つ。さらに、仲本人にも通ずるようなキャラクター性が合致し、リアリティーが増した。
そんな凸凹夫婦の攻防戦は観ているだけでクスッと笑え、離婚という重い題材を忘れさせる。そしてこの2人を囲むのが、色気ダダ漏れの謎めいた自称アーティスト・加納恭二(錦戸亮 ※後述)、ふがいない東海林をビシビシ鍛え上げる敏腕弁護士・印田薫(板谷由夏)、歌と話が上手い東海林の対立議員候補・想田豪(山本耕史)、うさんくさいが敏腕な妻側の弁護士・石原ヘンリーK(古田新太)ら。全く異なるクセの強いキャラクターが作品に大きなインパクトを残している。
2.松坂桃李&錦戸亮が体現したダメ男っぷり
2つ目のポイントとして、ここでは2人の“二大クズ男”に注目したい。1人は、前述した大志だ。過去には不倫経験もあるなど女性関係にだらしなく世間知らず、周囲からは「親の七光り+巫女ちゃん(ゆい)の七光り、合計十四光り」と言われるほどのありさまだが、話が重なるにつれ彼のピュアな人柄や成長していく様は多くの人の感動を呼ぶ。そしてもう1人の男性・恭二は、ゆいと運命的な出会いを果たし、恋に落ちる浮気相手として物語の展開を大きく左右するキーパーソン的存在。一方で、東大を卒業するも職に就かず、自称アーティストと名乗りながら毎日のようにパチンコに明け暮れる生活を送っている典型的なクズ男だ。
言わずもがなのクズっぷりだが、そんな事実を忘れさせるくらいの圧倒的な色気はゆいを大いに惑わせることに。ほのかな危険を香わせながらも「生きているのか死んでいるのか分からないような人」という表現通り、生気のない姿が女性の母性本能をくすぐり、ゆいをはじめ多くの視聴者が彼に惹きつけられた。
これは歳を重ね、酸いも甘いも経験した今の錦戸だからこそ成し得たものだろう。錦戸はNHKプレミアムドラマ『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(2023)を除いては、フジテレビ系『トレース〜科捜研の男〜』以来約5年ぶりのドラマ出演となり、彼を久しぶりに目にしたという視聴者も少なくないはず。さらに磨きをかけた演技力とキャッチコビー通りの“色気ダダ漏れ”っぷりで新たな層にもリーチしたのではないだろうか。
3.ただの離婚劇ではない!新たな視点で楽しめるストーリー
そして何と言っても、驚かされたのは「離婚劇」だけでは終わらない怒涛のストーリー展開。タイトルやあらすじからも見ての通り、離婚をテーマに物語が進んでいくと多くの人が思うはず。実際に、夫婦での描写や2人の心情もモノローグを通じ丁寧に描かれていた。しかし物語中盤からは、大志の選挙活動を軸に男女間の格差や政治について考えさせられ、思っていた展開とは180度変わった視点で締めくくられた。また、4月期ドラマ『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)をはじめ、離婚を題材とする作品は年々存在感を増しているが、多くは夫婦が離婚するのか、やり直すのかといった2人の関係性に焦点が当てられている。対して、同作は「離婚する」という明確なゴールを置いた上で、どう離婚するのかといった紆余曲折をコメディタッチに映し出している。そんな一風変わった視点からの夫婦劇が新鮮で同作の面白さをグッと引き上げた。
コミカルな会話劇を楽しんでも良し、大志&恭二のイケメンダメ男っぷりを楽しむも良し、大志の成長物語として涙したり自身の価値観を改める機会にしても良し。何度観ても別の角度から二度、三度と楽しめることができる同作の世界観にぜひどっぷり浸かってみてほしい。(modelpress編集部)
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