お風呂でスマホを見ている人へ。年間7000人以上が死亡? 若くても命にかかわる、危ないお風呂の入り方

2026.09.09 20:45
提供:All About

【医師が回答】「お風呂で突然死」のリスクがあるのは高齢者だけだと思っていませんか? 実は熱いお湯での長風呂は、立ちくらみや体温の上がり過ぎにより、若い世代でも命にかかわる危険があります。分かりやすく解説します。(※画像:Shutterstock.com)

Q. 「若くてもお風呂での死亡事故は珍しくない」って本当ですか?

Q. 「お風呂が大好きで、いつもスマホで動画を見ながらゆっくり過ごしています。『お風呂に長時間入っていると突然死のリスクがある』と言われたのですが、高齢者でなければ大丈夫ですよね? 何か注意点があれば教えてください」

A. お風呂のリスクは誰にもあります。過度の長風呂は禁物です

実は、お風呂で命にかかわる事故が起こるのは高齢者だけの話ではありません。急激な温度変化によって血圧が大きく変動する「ヒートショック」は、入浴中の突然死につながる大きなリスクです。

動脈硬化が進んだ高齢者に多く見られるのは事実ですが、生活習慣病を抱える若い世代にも起こりえます。「健康な人がお風呂で突然亡くなってしまった」ということは、残念ながら珍しいことではないのです。

そして、特に若い世代で見落とされがちなお風呂のリスクが、湯船から立ち上がった瞬間に血圧が急降下する「谷型ヒートショック」です。

谷型ヒートショックは、座った姿勢から立ち上がる動作、温熱作用による血管の拡張、長風呂による脱水、水圧が急になくなることなどが複数重なることで起こります。

立ちくらみや一時的な意識の喪失は、室内であれば軽い事故で済むことも多いですが、浴槽内では非常に危険です。そのまま溺れてしまう可能性を伴うため、命にかかわるリスクがあります。

谷型ヒートショックは、動脈硬化が進んでいない若い人でも起こり得るため、油断は禁物です。お風呂にスマホやタブレットを持ち込んで、ゆっくりと動画を見て過ごす人もいるようですが、十分に注意しましょう。

厚生労働省の研究班による推計では、入浴に関連する事故死は年間およそ1万9000人にのぼるとされています。

また人口動態統計によると、浴槽内での溺死及び溺水による死亡者数は年間7,166人(2024年)です。そのうち約95%を65歳以上が占めますが、65歳未満の死亡者も年間374人に上っているため、決して他人事とは言えません。

さらにもう一つ見落としがちなのが「入浴中の熱中症」です。長時間湯船に浸かり続けると体温が上がり過ぎ、眠気やだるさを感じたり、そのまま意識を失ったりすることがあります。

「熱いお湯にゆっくり長く浸かるほど体に良い」というイメージを持つ人も多いですが、この思い込みこそが危険を招く一因になっているのです。過度な長風呂は命にかかわる危険をともなうことを忘れてはいけません。

正しい入浴法を知っていれば、こうした事故の多くは防ぐことができます。

・湯船の温度は40度程度を目安にする
・入浴時間は合計10分程度を目安にする
・入浴前にコップ1~2杯の水分補給をする
・湯船から立ち上がるときはゆっくりと、手すりを使う

「自分はまだ若いから大丈夫」と思わないことが大切です。過度な長風呂は避けるなど、正しい知識を持っていれば、入浴のリラックス効果はそのままに、思わぬ事故のリスクを大きく減らすことができます。

早坂 信哉プロフィール

お風呂・温泉の正しい情報を伝える 温泉療法専門医。浜松医科大学准教授、大東文化大学教授 などを経て、2015年より東京都市大学人間科学部教授(現職)。一般財団法人日本健康開発財団温泉医科学研究所所長も兼任。


執筆者:早坂 信哉(医師)

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