健康によさそうなのに逆効果!? 真面目な人ほど間違いがちな「老化を早める食事」【医師が解説】
【医師が解説】野菜中心の食事やカロリーカットなど、真面目な人ほど頑張りがちな極端な食事制限。実はその頑張りが、老化を早めてしまう可能性があります。若々しさを保つ食のポイントを解説します。(※画像:amanaimages)
健康のために、食生活で注意していることはありますか? 日本政策金融公庫の『食の志向等に関する調査結果』(2024年)でも報告されているように、いつまでも若々しく健康でいるために食事に気をつかっている人は、非常に増えているようです。
しかし、一般的に「健康にいい」と信じられている食事法の中には、逆効果になってしまうものもあります。今回は、真面目な人ほど陥りやすい間違った食習慣の危険性と、科学的に正しい「老化を防ぐための食事法」について解説します。
美容と健康によさそうなのに逆効果!? 老化が加速する食事とは
さて、皆さん。以下の食事法の中で、美容や健康のために実践しているものはありませんか?
・肉をできるだけ避け、野菜を中心に食べる
・カロリーや脂質を徹底的にカットする
・体にいいと言われている特定の食材だけを毎日食べる
・若さを保つため、食事の量自体を極端に減らす
実はこれらの食事法は、全て間違っている可能性があります。
健康意識が高い人ほど、ストイックに「肉より野菜を多く食べよう」「カロリーはなるべく減らそう」といった努力を徹底しがちです。しかし極端な制限や偏った食事法は、体の細胞や脳の衰えを招く可能性があることが指摘されています。
例えば、ヘルシーだからと野菜中心の食生活にして、タンパク質の摂取を極端に減らしてしまうと、筋肉量や骨密度が低下しやすくなります。筋肉の減少は基礎代謝を下げ、結果として見た目や内面の老化を加速させます。健康を害する要因にもつながります。
また、「体にいいとされるひとつの食材」だけに頼り過ぎるのも危険です。真面目な人ほど決まった健康食材を毎日食べ続けてしまいがちですが、バランスを欠いた食事は必要な栄養素の不足につながります。体の修復機能を低下させてしまうリスクにつながるのです。
健康を守るための努力が裏目に出てしまうのは、とてももったいないことです。
科学が証明する「老化を防ぐ食事法」は?
それでは、本当に若々しさを保つためにはどのような食事を意識すればよいのでしょうか。その鍵となるのが、複数の栄養素や生活習慣をバランスよく組み合わせる「包括的アプローチ」と呼ばれるものです。近年の研究では、単一の食材に頼るのではなく、運動や脳トレ、そして適切な栄養管理を組み合わせることが、脳や体の健康維持に極めて有効であることが示されています。
アメリカで2025年に2000人以上の高齢者を対象に行われた大規模な比較研究によると、食事管理や運動、認知トレーニングを組み合わせた指導を受けたグループは、2年間にわたり脳の認知機能(特に計画性や判断力を司る実行機能など)が有意に向上・維持されたと報告されています。
この研究では、地中海食と高血圧予防食を組み合わせた「MIND食(Mediterranean DASH Intervention for Neurodegenerative Delay)」と呼ばれるバランスの取れた食事法が推奨されました。
地中海食とは、地中海沿岸のイタリア、ギリシャ、スペインなどにおける、野菜や果物を多く食べる、豆類やナッツを取り入れる、主な油としてオリーブオイルを使う、魚をよく食べる、赤身肉は食べ過ぎない、穀類は全粒のものを重視するといった伝統的な食事パターンのことです。地中海食は脂質異常症、糖尿病、冠動脈疾患、高血圧の予防に加えて、認知機能の向上に役立つとされています。
高血圧予防食とは、減塩を中心に、野菜や果物を増やし、脂肪の取り方を整える食べ方です。日本高血圧学会は可能であれば、食塩摂取は1日6g未満とすることを推奨しています。
また、日本の大阪河リハビリテーション大学などが行った研究(2019年発表)でも、運動に加えて大豆ペプチド(大豆タンパク質を分解して吸収しやすくしたもの)を摂取したグループは、運動のみを行ったグループと比較して、計算能力などの認知機能の一部により良い変化が見られたとされています。大豆に含まれる豊富なタンパク質やアミノ酸は、筋肉の維持だけでなく、脳の健康にも寄与している可能性が示唆されています。
これらの研究結果からも分かるように、老化を防ぐためには「何かを極端に制限する」のではなく、「必要な栄養を幅広く取り、適度に体を動かす」ことが何よりの近道といえそうです。
アラフィフから始める! 老けないための3つの食習慣
今日からでも実践できる、若々しく健康を保つための具体的な食事のポイントを3つご紹介します。
1つ目は、タンパク質を毎食しっかり取り入れることです。肉、魚、卵、大豆製品などを毎食バランスよく食べることが大切です。特に大豆製品は手軽に高品質なタンパク質を補給できるため、日々の食事に意識してプラスしてみましょう。
2つ目は、「制限」よりも「彩り」を重視することです。極端なカロリー制限は避け、お皿の上がカラフルになるように意識してみてください。緑黄色野菜、果物、穀物などを幅広く食べることで、細胞の酸化を防ぐ抗酸化物質やビタミンをバランスよく摂取できます。
3つ目は、「頑張り過ぎない」心の余裕を持つことです。真面目な人ほど「完璧にやらなければ」とストレスを抱えがちですが、ストレス自体が老化を促進する「酸化ストレス」を溜め込む原因になります。「8割達成できればOK」という気持ちで、食事を楽しむ余裕を持つようにしましょう。
医師である筆者の周りにも、健康のために厳しい食事制限をし過ぎて、かえって体調を崩してしまった友人が少なくありません。過度なカロリー制限は、傷の治りが遅くなることや性機能低下の可能性があることも示されています。頑張り過ぎは、必ずしも健康につながるとは限りません。続けられるちょうどよさの方が大切なのだと思います。
すなわち健康は、完璧に管理しきることで守るものではないということです。食事も運動も睡眠も、少し乱れるような日があっても構いません。厳しく頑張り過ぎるのではなく、無理のない形で自分を整えていくことを大切にしましょう。過度な制限で心や体をすり減らすより、「長く続けられるちょうどよさ」を見つけることが、本当の意味で健康につながります。
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小児神経学・児童精神科を専門とする小児科医・救急救命士。プライベートでは4児の父。子どもの心と脳に寄り添う豊富な臨床経験を活かし、幅広い医療情報を発信中。
執筆者:秋谷 進(医師)
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