付き合って2年の恋人を自分のもの扱いした俺が、電話に出た女性の同僚から聞かされた事情
口にした「俺のもの」
「その企画、男もいるんだろ」
「いるけど、仕事だよ」
彼女はそう返しましたが、俺の口は止まりませんでした。
「お前は俺のもの」
「忘れるなよ」
言ったあとで彼女の顔がこわばったのに、気づかないふりをしました。その企画が彼女にとってどれほど大事なものなのか、聞こうともしていなかったのです。
付き合って2年、彼女がどこかへ行ってしまう気がして怖かったのです。その日は、ほとんど話さないまま彼女の部屋を出ました。
同僚が話してくれたこと
次の日、謝ろうと彼女に電話をかけました。何度かけてもつながらず、ようやく出たのは知らない女性の声です。
彼女と同じチームの同僚で、スマホがデスクに置き忘れられていたのだそうです。慌てて切ろうとした俺に、同僚は笑いながら話し始めました。
彼女が休憩のたびに、俺の話ばかりしていること。企画に選ばれたのは、彼女が誰よりも粘って案を出し続けたからだということ。
「あの子がいないと、うちのチーム回らないんですよ」
気づけば、12分も話しこんでいました。俺の知らない場所で、彼女は彼女の居場所を自分の力でつくっていたのです。
同僚は最後に、今の話は内緒にしておくと言ってくれました。
エントランスで出かかった言葉
打ち上げの帰りに、彼女の会社まで迎えに行きました。
ガラス扉から出てきた彼女の隣に、あのときの同僚がいます。
「いつもお世話になってます」
頭を下げたあと、いつもの調子で口が動いてしまいました。
「こいつは、俺の」
そこで、電話で聞いた話がよみがえったのです。
「いや、違うな」
「俺のほうが、彼女に支えてもらってるんです」
彼女は少し驚いた顔で、俺と同僚を見比べています。
同僚は満足そうに目を細めて、彼女の肩をたたいて帰っていきました。
そして...
駅までの道で、言うべきことを何度も組み立て直しました。改札の手前で足を止め、彼女のほうを向きます。
「この前の、取り消させて。お前は俺のものじゃない」
彼女はしばらく黙ってから、じゃあ何なのと聞き返してきました。すぐにうまい答えは出てきませんでした。それでも、エントランスで言い直した言葉のほうが本当だと分かっています。
お前は俺のものと言った俺のほうが、ずっと前から彼女に支えられていたのです。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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