「写真、見てくれた?」に「まだ。ちょっとね」と返した僕→写真38枚を開かずにいた、休みの日の計画
ちゃんと見たかった
付き合っている彼女が、2週間の研修で北海道へ行くことになりました。出発前に、毎日写真を送ると言われました。
僕は昔から、楽しみなものを後に取っておく性分です。仕事の合間に慌ただしく眺めるより、休みの日にゆっくり、1枚ずつ見たい。それに北海道は、僕がずっと行ってみたかった場所でした。写真を見ながら、次に2人で行く旅の行き先を決めたかったのです。
だから、写真が届いても開かないことにしました。彼女の声が聞きたくなったら、電話をかけるようにしました。
「写真、見てくれた?」と聞かれたときは、照れくさくて「まだ。ちょっとね」としか言えませんでした。
決めていた休みの日
彼女が帰ってきた翌々日に、僕は休みを取りました。その日に彼女を部屋に呼んで、2人で1枚ずつ開いていく。どこで撮ったのか、何を食べたのか、1枚ごとに話を聞くつもりでした。
カフェで会った日、通知を確認したときに画面を見られていたとは、気づいていませんでした。
家に帰ると、彼女からメッセージが届きました。通知に表示されたのは、こんな文面です。
「さっきスマホ見えちゃった。私の写真、まだ1枚も開いてないよね」
開かずに送った返事
チャットを開けば、38枚の写真が一度に目に入ってしまいます。それでは、休みの日まで取っておいた意味がありません。
僕は通知の画面から、そのまま返事を打ちました。
「明日、休みだよね。家に来れる?」
説明になっていないことは分かっていました。けれど、文章で理由を並べるより、会って話すほうがいいと思ったのです。
しばらくして、彼女から「行く」と届きました。いつもより短い返事が少し気になりましたが、僕は机に北海道の地図を広げてから、部屋の片づけを始めました。
そして...
次の日、部屋に来た彼女は、どこか硬い顔をしていました。ソファに並んで座り、僕は初めて彼女とのチャットを開きました。
1枚目は、空港の窓から撮った飛行機の写真でした。「これ、どこ?」と聞くと、彼女は戸惑った顔のまま答えてくれました。
2枚目、3枚目と進むうちに、彼女の口数は少しずつ増えていきました。僕は1枚ごとに、地図の上へ小さな印をつけていきました。
「ちゃんと見たかったから、開かなかった。次は2人で、ここを全部回りたい」
僕がそう打ち明けると、彼女は呆れたように「先に言ってよ」とつぶやき、お土産の袋を地図の横に置きました。
1枚も開かれていないと彼女が思っていた38枚は、その日、2人で行く旅の38か所の行き先になりました。
(20代男性・公務員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)
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