「今日は残業」と送ってきた夫→直後、リビングで鳴った古いスマホに、私の友人から届いた通知とは?
使わなくなったはずのスマホ
画面には、夫から続けて2通のメッセージが届いていました。
「今日は残業」
「先に食べてて」
「了解。無理しないでね」と返して、スマホをカウンターに伏せた直後のことです。ソファのほうから、聞き慣れない通知音が鳴りました。
クッションの間に挟まっていたのは、夫の古いスマホでした。半年前に機種変更をして、それからは書斎の引き出しにしまってあるはずのもの。手に取ると、暗い画面に通知が1つ浮かんでいました。
送り主は、私の学生時代からの友人。夫とは、結婚式で顔を合わせた程度の間柄です。
「今日は19時に駅前でいい?絶対にばれないようにしてね」
同じ文面を、何度も読み返しました。残業のはずの夫と、私の友人。使わないはずのスマホ。1つずつ並べるほど、考えは悪いほうへ進んでいきます。
写真に添えた短い問いかけ
友人に直接聞くことも考えました。でも、先に確かめるべき相手は夫だと思い直しました。
古いスマホにはロックがかかっていて、通知の続きは開けません。自分のスマホのカメラを向け、通知が消えないうちに画面を撮りました。
夫に写真を送り、続けて打ち込みます。
「これ、何?」
返信はなかなか届きませんでした。
「ごめん。帰ってからちゃんと話す」
謝る言葉だけが先にあって、肝心のことは何も書かれていません。私はすぐに聞き返しました。
「残業じゃなかったの?」
「残業じゃない。でも、今は言えない」
私に言えないことを、どうしてわざわざ古いスマホで、私の友人とやりとりしているのか。
「言えないことって何?」
私はそう問い詰めました。
届いたのは帰るという連絡だけ
しかし、なんの説明もなく、夫から届いたのは一言だけでした。
「今から帰る」
それきり、夫からのメッセージは途絶えました。
友人とのチャットを開くと、最後のやりとりは先月交わした他愛のない雑談で止まっています。あの雑談の裏で、2人は連絡を取り合っていたのでしょうか。
テーブルに古いスマホと自分のスマホを並べて置き、玄関のほうばかり見ていました。
そして...
玄関の鍵が回る音がしたのは、それからしばらくたってからでした。
リビングに入ってきた夫は、テーブルの上の古いスマホに目をやり、上着も脱がないまま言いました。
「ちゃんと話すから、座って」
うなずいて、夫の向かいに腰を下ろしました。2つのスマホの画面は、どちらも暗いままです。
夫はまず、残業だと嘘をついたことを謝りました。けれど、友人と何をしていたのかを聞くと、言いかけて首を振ります。
「もう少しだけ待ってほしい。そのときに、全部話すから」
頭を下げたままの夫を見て、私は「分かった」とだけ答えました。問い詰めたい気持ちより、待ってみようという気持ちのほうが、少しだけ大きかったのです。
残業だと嘘をついてまで、夫は私の友人と何をしていたのか。そして、どうして今はまだ言えないのでしょうか。
(30代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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