彼のスマホに「好きな人できた」の下書き→送信先は、付き合って2年の私でした
入力欄に残っていた下書き
付き合って2年になる彼の部屋で、鍋を囲んだあとのことです。洗い物中の彼に「スマホあるから送っといて」と言われ、彼のスマホを手にしていました。
画面の一番下にあったのは、数日前に私が送った「ごめん、今日も同期とご飯になった」でした。新しい案件が始まってから、同期の女性3人と打ち合わせを兼ねて食べて帰る日が続き、彼への返信も後回しになりがちでした。
その下の入力欄に、「好きな人できた」とだけ打たれていました。カーソルは、その文字のすぐ後ろで点滅したまま。宛先は、私でした。
入力欄には触れず、写真だけを選んで送りました。アプリを閉じ、彼のスマホを元の位置に伏せて置きました。
「明日早いから、今日は帰るね」
そう言ってコートを手に取りました。駅まで送るという彼の申し出も断り、1人で部屋を出ました。
打っては消した返信
家に着いて手を洗っていると、スマホが鳴りました。
「急に帰ったけど、大丈夫?」
いつもと変わらない文面でした。あの下書きを消してから打ったのか、そればかりが気になっていました。
大丈夫、と打っては消し、疲れただけ、と打っては消し。結局送ったのは、聞きたかったことそのものでした。
「写真送るとき、下書き見えちゃった。好きな人できたの?」
長い間のあとに届いたメッセージ
既読はすぐにつきました。けれど、返信は来ません。
今頃、私への言い方を考えているのだろうか。相手は、私の知っている人なのだろうか。コートを脱ぐのも忘れて、ベッドの端に座ったまま画面を見ていました。
何度目かの確認のあと、ようやく通知が鳴りました。
「ごめん。あれは送るつもりなかった」
違う、とはどこにも書いてありませんでした。送るつもりがなかったのは、好きな人ができたことなのか、それを私に伝えることなのか。どちらだとしても、あの文字を打った彼がいることに変わりはありません。
鍋の湯気の向こうで笑っていた彼の顔を思い出すほど、入力欄に並べる言葉はきつくなっていきました。責める文をいくつも打って、全部消しました。
そして...
送った先で彼がどんな顔をするのか、ここから見えるはずもありません。見えないまま問い詰めても、欲しい答えは返ってこない気がしました。
最後に送ったのは、これだけでした。
「ちゃんと聞くから、会って話したい」
既読がついたのを確かめて、スマホを枕元に伏せました。
送るつもりのなかったメッセージを、彼はどうして消さずに残していたのでしょう。
(20代女性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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