「お前の家貧乏なんだな」と送ってきた彼→うちの座敷で正座した理由
写真に返ってきたメッセージ
付き合って1年半になる彼が、来月うちの実家へ挨拶に来ることになっていました。写真には「来月来てもらう実家、こんな感じ。古いけど落ち着くよ」と添えました。
既読はすぐにつき、返信もすぐに届きました。
「お前の家貧乏なんだな」
続けて、もう1通。
「手土産とか安いのでいいよな笑」
語尾に「笑」がついていても、読み流せる文面ではありませんでした。
実家は昔から土地を持っていて、暮らしに困ったことはありません。家が古いのは、祖父が建てたままの造りを家族みんなが気に入っているからです。
けれど、お金の話を自分から持ち出すのはためらわれました。
「古い造りなだけだよ」
そう返すと、彼からは「へえ」とだけ届き、やりとりはそこで途切れました。
座敷に戻った彼の座り方
挨拶の日、駅の改札で彼と合流し、父の運転する車で実家へ向かいました。
座敷に通された彼は、座布団の上ですぐに足を崩しました。父は気にする様子もなく、お茶を飲み終えたころに声をかけました。
「家の中、案内しましょうか」
彼が父について座敷を出ていき、私は台所で母と果物を切っていました。
しばらくして戻ってきた彼は、座布団の上で正座をしていました。背筋を伸ばし、父を「お父さん」と呼んで、庭の手入れについて熱心に質問しています。出ていく前とは、座り方も声の調子もまるで違っていました。
彼を駅まで送ったあと、父が思い出したように笑いました。
「あの人、庭でずっと写真撮ってたぞ」
帰り道に届いたメッセージ
その日は実家に泊まることにしていました。昔の自分の部屋に入ると、スマホに彼からの通知が並んでいました。
「お前の実家すごすぎない?庭、旅館かと思った」
「てか、まわりの田んぼもお前んちの?」
画面をさかのぼると、少し上に「お前の家貧乏なんだな」が残っています。同じ人が、同じ家について送ってきた文面でした。
あの日と同じ言葉を、もう一度打ちました。
「古い造りなだけだよ」
すぐに既読がつき、次のメッセージが届きました。
「次いつ行く?お父さんにちゃんとお礼したい」
そして...
お礼と言われても、父が見せたのは家と庭だけです。彼が座り方を変えたのは、いったい何を思ったからだったのか。
彼はお金目的で私と付き合ったとは思っていません。でも、こんなに態度を変える姿にすこし不安を感じてしまいました。「少し考えさせて」
そう送って、スマホを伏せました。窓の外では、父がまいた水が庭石の上でまだ光っていました。
(20代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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