「俺が正しい」で終わる彼のメッセージに、私が足した一文
連休の温泉を提案しただけだった
同棲して2年になる彼とは、来年の引っ越しに向けて貯金をしている最中です。外食を減らし、旅行もやめて、2人で決めたことでした。ただ、その「2人で決めた」が、いつからか私だけの我慢になっている気がしていました。
残業続きの彼が帰ってこない部屋で、私は思い切って送りました。
「連休、温泉行きたい。予約しちゃっていい?」
既読はすぐにつきました。返事はひとこと。
「今は無理。引っ越し貯金優先って決めたよね」
「決めたけど、ずっと我慢はきついよ」
そう返してから、私はスマホを裏返して洗い物に戻りました。
画面いっぱいの正論
次に届いたのが、あの長い1通でした。
「去年も直前で予定崩れて無駄になっただろ。今回だって残業で行けるか分からない。無理して行って疲れて喧嘩するくらいなら、やめておく方がいい。俺が正しい」
言っていることは、たぶん全部その通りです。去年のキャンセル料も、彼の残業も、事実でした。それでも私が引っかかったのは、内容ではなく最後の1行でした。正しいかどうかを、こちらに確認もせずに決めてしまう書き方です。
私が足した一文
言い返す言葉を全部消して、私は1つだけ残しました。
「うん、正しいよ」
送ってから、既読がつくまでの間、画面の文字を何度も読み返しました。喧嘩に勝ちたいわけではなかった。ただ、正しさの向こう側にいる彼と、同じ部屋で話がしたかっただけでした。
既読はつきました。返事は、なかなか来ませんでした。
そして...
「今から帰る」
その短い1通のあと、玄関のチャイムが鳴りました。彼はコンビニの袋を下げたまま、靴も脱がずに言いました。
「ごめん。正しいって書いた時点で、もう負けてた」
「知ってた」
袋の中身はプリンが2つ。温泉の話は、そのあとで改めてしました。行けるかどうかはまだ分かりません。それでも、決めるのが2人になっただけで十分でした。
(20代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)
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